博士2年の幡本昂平さんの論文「B2Bブランド品オークションにおける階層ベイズモデルを用いた落札 価格分布の推定」が、人工知能学会論文誌Vol.36, No.5 特集論文「エージェント技術とその応用2021」に掲載されました。
本研究は、ブランド買取「なんぼや」「BRAND CONCIER」、BtoBネットオークション「STAR BUYERS AUCTION」、ユーズド・ヴィンテージショップ「ALLU」を運営し、日本国内でのブランド品、時計、宝石、貴金属などのリユース事業を行っているバリュエンスジャパン( https://www.valuence.inc/group/japan/ )が開催するB2Bの中古ブランド品のオークションデータを対象に行った研究です。
著者:幡本昂平、横山想一郎、山下倫央、川村秀憲
要旨:オークションは価値が一意に定まらない財の取引に古くから用いられており、近年ではインターネットオークションの普及により一度に扱うことができる商品数が増加している。
しかし、卸売のような多数の商品を取引する場合でも1商品あたりの判断にかかる時間は変わらないため、商品数に比例して評価額の決定に多大な時間を要する。
このことは主催者の留保価格の設定、参加者の入札額・入札対象の決定が困難になるという問題を生じさせ、円滑な取引を妨げる要因になる。
この問題に対し、本論文では商品価値の把握が必要であると考え、落札価格を推定する。
オークションに出品される商品は価格が一意に定まらない性質をもつため、価格の点推定値ではなく落札価格分布を推定対象とする。
本論文では商品数が多く1商品あたりの入札判断コストが高いB2Bブランド品オークションを対象とし、ブランド品の中でも取引量が比較的多い腕時計の実落札データを対象とした落札価格分布の推定を行った。
MAEやMAPEなどの誤差指標で精度検証を行い、提案手法が専門家に近い推定精度を保持したうえでデータ分布を捉えられていることを確認した。
最後に、落札価格分布推定を用いることで商品数の多いブランド品オークションにおける主催者・参加者の両者に対する支援が行えることを示す。
人工知能学会論文誌2021年36巻5号p. AG21-C_1-12