こんにちは。
北海道大学調和系工学研究室(川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教)です。
札幌ではこのところ少しずつ暖かくなり、雪解けが始まっています。まだ雪が降る日もありますが、春が待ち遠しい季節となりました。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
本日のメルマガでは前回に引き続き『DoconReport Vol.219 2025』に掲載された川村教授のエッセイ「AIが自律する時、人間の価値はどこにあるのか?」をご紹介します。
今回は、ユーザーの代理人として複雑なタスクを主体的に遂行する「AIエージェント」について解説しています。
ご興味のある方はぜひお読みいただければ幸いです。
なお、3月から山下准教授の所属が変わります。
本メルマガで山下准教授より異動のご挨拶をさせていただきます。
それでは、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
2026年3月6日配信
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■ 本日のTopics
【1】川村教授のエッセイ
【2】調和系工学研究室WHAT’S NEW
【3】学会参加レポート
【4】今月のAIトレンド
【5】人工知能・ディープラーニングNEWS
【6】調和系工学研究室関連企業NEWS
【7】AI川柳
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【1】川村教授のエッセイ
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「AIが自律する時、人間の価値はどこにあるのか?」
2.AI エージェントとは
生成AI は、ユーザから与えられた指示、すなわちプロンプトに基づきテキストや画像といったコンテンツを生成する技術である。
例えば、「3 泊4 日で北海道の観光プランを提案して」といった要求に対し、それらしい出力を返すが、その動作は基本的にユーザの指示を待つ「受動的」なものであり、高い処理能力があっても自ら判断し、行動を起こすことはない。
これに対しAI エージェントは、与えられた抽象的な目標に対し「能動的」に行動するソフトウェアエンティティである。
ちなみにエージェントとは日本語で「代理人」を意味し、その名の通り、ユーザの代理人として複雑なタスクを主体的に遂行するのがAI エージェントの本質である。
目標達成のためには、現状を分析し、必要なタスクを自ら計画・分解し、それらを逐次実行する。
さらに、行動の結果が目標達成に不十分であれば、計画を修正したり、新たなタスクを追加したりといった一連のプロセスを、人間の介入なしに自律的に繰り返す。
この自律的な振る舞いは、いくつかのコア技術の組み合わせによって支えられている。まず、その「脳」として機能するのが、推論や計画能力を司るLLM という思考エンジンである。
これに加え、過去の対話やユーザの嗜好、成功・失敗体験を将来の行動に活かすための長期的な記憶(Memory)が決定的に重要となる。
そして、LLM 単体では不可能なリアルタイムの情報収集や外部システムの操作を、Web 検索やAPI 連携といったツールを使用(ToolUse)することで可能にし、デジタル世界で具体的なアクションを実行する。
さらに、実行したタスクの結果を批判的に評価し、戦略を練り直す自己反省と自己修正のメカニズムが組み込まれており、このフィードバックループを通じて、エージェントは試行錯誤を繰り返し、より最適な行動を選択できるようになる。
その動作を、より具体的なシナリオで考えてみよう。例えば、あなたには大好きなアーティストがおり、どうしてもそのライブに参加したいが、チケットの発売日には仕事で手が離せない、という状況に置かれたとする。
そこで「このアーティストのライブチケットを1 枚購入する」という目標をAI エージェントに与えたとする。
エージェントはまず、公式サイトを定期巡回して発売日時を確認し、その時刻まで販売サイトを監視する。
そして、発売が開始されると、記憶しているユーザの認証情報でログインし、座席選択に進む。
ここでの判断は単純ではない。座席にはS席、A 席など様々なランクと価格があり、エージェントはユーザの意図を汲んで最適な席を選ばねばならない。
もし、あまり熱烈なファンではないアーティストなら末席の安いチケットで良いかもしれないが、「推し」のアーティストであれば、価格が高くとも最高の体験ができる席を望んでいる可能性が高い。
この暗黙的な嗜好を長期記憶から読み取り、判断に反映させる能力が求められる。
決済に進めば、ユーザのクレジットカード情報を利用して支払いを代行し、最終的に購入結果をあなたに報告して目標達成となる。
しかし、この一見便利なシナリオには、ユーザが真剣に考慮すべき多くの技術的・倫理的課題が潜んでいる。
アカウントのパスワードやクレジットカード番号といった極めて機密性の高い情報をエージェントに預けることになり、それらが外部に流用されるセキュリティリスクはゼロとは言えない。
また、エージェントの判断がユーザの価値観と一致しないアライメント問題も深刻である。
ユーザの意図に反して不適切な席を確保するかもしれないし、最悪の場合、プログラムの不具合や予期せぬ状況変化によってエージェントが暴走し、勝手に100 席を予約して巨額の請求が発生する、といった制御不能のリスクも考えられる。
AIエージェントをどこまで信頼し、どこまで権限を代行させ、万が一問題が起こった時にユーザはどこまでそれを許容するのか。
起こりうる全てのリスクを事前に列挙し、許可と禁止を細かく設定できれば理想的だが、その組み合わせは無数にあり、現実的ではない。
したがって、ユーザはエージェントの行動をどう制御し、発生した問題の責任をどこまで受け入れるのか、十分に考慮した上で仕事を依頼する必要がある。
これらの課題は大きいものの、AI エージェントが社会に浸透すれば、人が行っていた多くの知的労働を代替するポテンシャルを秘めている。
例えば、日々のニュースから特定業界のレポートをリアルタイムにまとめる、小売店の在庫減少を検知して商品を自動発注する、子供一人ひとりの理解度やモチベーションをケアしながら最適な学習を提供する、あるいは自社に必要な人材を自律的にスカウトするなど、高度な判断を伴う業務での活躍が期待される。
目的に沿った資産の自動運用や、日々の食事と運動を記録・分析して個人の健康管理を行うといった、よりパーソナルな領域での応用も進むであろう。
大学入試で満点を取るほどの能力を持つ生成AI を基盤とすれば、将来的には特定の領域で人よりも信頼性が高く、有能なAI エージェントが誕生するかもしれない。
このような高度なエージェントの開発は一部の巨大AI 企業に集約され、世界中の個人や企業がその能力を購読する形で「AI エージェントを派遣する」ビジネスが展開されると予想される。
生成AI の発展の次には、間違いなくAI エージェントが社会に浸透する展開が待っていると思われる(『DoconReport Vol.219 2025』に掲載)。
【2】調和系工学研究室WHAT’S NEW
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◇ 山下倫央准教授 異動のご挨拶
2026年3月1日付で北海道大学 情報科学研究院を離れ、
北海道大学 情報基盤センター 知識生成基盤研究部門
特任教授に着任いたしました。
2017年2月に北海道大学 情報科学研究院 准教授として着任して以来、
調和系工学研究室において人工知能技術の社会実装をテーマとした研究と、
産学連携による共同研究に取り組んでまいりました。
調和系工学研究室は、研究・教育・共同研究のいずれの面においても
充実した研究環境を有しており、社会との連携を重視した研究活動が
活発に展開されている研究コミュニティです。
学生の皆さん、秘書の早坂さん・山城さん、横山先生、川村先生をはじめ、
多くの関係者の皆様とともに研究活動に携わる機会を得られたことは、
大変貴重で意義深い経験となりました。
また、多くの皆様との議論や共同研究、さまざまな形での協働を通じて
研究を発展させる機会を得られましたことに、心より感謝申し上げます。
これまで研究活動を続けてこられましたのも、皆様から温かいご支援と
ご協力を賜ったおかげであり、この場をお借りして深く御礼申し上げます。
今後は、これまで調和系工学研究室で進めてきた人工知能技術の
社会実装に関する取り組みを基盤として、情報基盤センターにおいて
データやAIを活用した研究基盤の高度化を図り、北海道大学全体の
研究活動を支える研究DXの推進に取り組んでまいります。
所属は変わりましたが、調和系工学研究室の研究活動にも引き続き
参画しております。共同研究や技術相談等につきましても、
これまでと変わらずお気軽にご連絡いただけますと幸いです。
これまでのご厚情に改めて深く感謝申し上げますとともに、
今後とも研究活動を通じて引き続きご一緒させていただけますと幸いです。
新しい所属・連絡先は下記の通りです。
北海道大学 情報基盤センター 知識生成基盤研究部門
(居室:情報基盤センター北館)
〒060-0811 北海道札幌市北区北11条西5丁目(北13条門付近)
E-mail: tomohisa@iic.hokudai.ac.jp
TEL: 011-706-3557
https://www.iic.hokudai.ac.jp/
◇ 川村教授の著書『ChatGPTの先に待っている世界』が同志社女子大学の国語入試問題に出題されました
川村教授の著書『ChatGPTの先に待っている世界』が2026年度の同志社女子大学の国語入試問題に出題されました。
― 川村教授のコメント
拙著『ChatGPTの先に待っている世界』が同志社女子大の国語入試問題になりました。人の感情や生得的能力と人工知能の関係について論じている部分です。サールの中国語の小部屋の話についても述べています。
入試問題に採用されたということは、それなりに文章の質や内容が良かったのかなということで素直にうれしいです。作者の考えはどれか、という問題は難しかった笑
『人工知能が俳句を詠む ―AI一茶くんの挑戦』も入試問題などに採用していただきましたが、こちらは高校入試の問題になったことが多いです。『ChatGPTの先に待っている世界』はもう少し大人向きということですね。
あとは『10年後のハローワーク これからなくなる仕事、伸びる仕事、なくなっても残る人』がどこかの問題に使われたら、私の本を読むのは入試対策になるかもですね笑
リンクを貼っておくのでご興味がある方はぜひ手に取ってみてください。
[川村秀憲著、山下倫央著、横山想一郎著『人工知能が俳句を詠む ―AI一茶くんの挑戦』(オーム社)]
[川村秀憲著『10年後のハローワーク これからなくなる仕事、伸びる仕事、なくなっても残る人』(アスコム)]
◇ 株式会社本田技術研究所と共同研究を開始しました
調和系工学研究室は2025年11月から、株式会社本田技術研究所と共同で「AIを利用した音響制御技術の研究」を開始しました。
研究名:「AIを利用した音響制御技術の研究」
研究目的:AIと音場制御を融合した制御技術の実現可能性に関する調査及び基礎検討
研究内容:
- AI技術の活用による車室内騒音を低減する制御技術の性能向上
- 該当AI制御モデルを構成するために必要なデータ形式及びデータ処理手法
- 該当技術の座席毎に個別の音楽などのコンテンツを視聴させるなどの音場制御に活用する可能性
コンピューターシミュレーションと実時間制御実験を用いて、上記技術の実現可能性を検討するための基礎研究を行う
調和系工学研究室との共同研究にご興味がある方はお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ先:http://harmo-lab.jp/contact
◇ 調和系工学研究室は愛媛県美術館「美術館吟行」にAIによる俳句講評を提供しています
調和系工学研究室は、有限会社マルコボ.コム(愛媛県松山市)との共同研究の一環として、愛媛県美術館の鑑賞プログラム「美術館吟行」に、俳句生成AI「AI一茶くん」による俳句講評を提供しています。
利用者が美術作品を鑑賞して詠んだ俳句に対し、AIが講評を行い、それを公開することで、「美術館吟行」の楽しさを伝え、より深い鑑賞体験につなげています。
愛媛県美術館のウェブサイト「17音で美術鑑賞 レッツ575」では、利用者の俳句に対する「AI一茶くん」の講評が、三毛猫キャラクター「ねこ山ニャ」のコメントとして紹介されています。
ご興味のある方は、ぜひご覧いただければ幸いです。
「AI一茶くん」は調和系工学研究室が開発した俳句生成AIです。
俳句企画会社である有限会社マルコボ.コムとの共同研究を通じて、俳句の生成だけでなく、選句や講評、句会への参加にも取り組んでいます。
[マルコボ.コム]
◇ 読売新聞に川村教授のコメントが掲載されました
2026年2月28日付、読売新聞に川村教授のコメントが掲載されました。
記事「AI時代、岐路に立つ川柳コンテスト…人の作品か見分けつかないと『妖怪川柳』は終了」では、生成AIの普及により運営の在り方が問われている川柳コンテストの現状について紹介されています。
記事の中で川村教授は、AIによる創作の広がりや、人間同士が作品を競い合うことの意義についてコメントしています。
ご興味のある方はぜひお読みいただければ幸いです。
【3】学会参加レポート
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◇ 観光情報学会第29回研究発表会にて学生が発表しました
2026年2月27日にアマホームPLAZA(奄美市市民交流センター)にて開催された「観光情報学会第29回研究発表会」に本研究室より、西浦 翼さん(博士3年)が参加し、研究発表を行いました。
[観光情報学会第29回研究発表会]◆ 西浦 翼, 横山 想一郎, 山下 倫央, 川村 秀憲:「路線バスにおける乗降人数推定精度向上手法が乗車区間別OD推定に与える効果の検証」
路線バス車内カメラ画像を用いた乗客 OD 推定では,各バス停における乗降人数のカウント精度に加え,乗車人物と降車人物の対応付けに基づく乗車区間別の推定精度を評価することが重要である.
本発表では,新たな手法やシステム開発は行わず,既存 OD 推定システムに含まれるマッチングモジュールを用いて,個人識別の精度向上手法および乗降判定の精度向上手法が出力する乗降人物の軌跡に対するマッチング評価を実施する.
具体的には,乗車・降車として抽出された人物軌跡を入力とし,同一人物の対応付け結果を基に乗車区間別の推定結果を算出し,正解データと比較して精度を定量化する.
さらに,バス停別カウント評価との対応関係を整理し,バス停別での改善が最終出力である乗車区間別推定にどの程度寄与するかを示す.
◆ 学会の様子を西浦さんがレポートしてくれました
― 研究会に参加して気づいたこと
情報よりも観光の要素が強く,様々なデータを使って地域PRを行ったり,オーバーツーリズムの問題にアプローチしたりという内容が多かった.
AIやディープラーニング技術を使った発表は少なく,CNNモデルのResNet-50を使った平易な画像分類や,LightGBMのような機械学習手法,既存サービスのChatGPTやKling AIを用いたものがある程度だった.
観光資源として雲海の発生をカメラで自動判定する研究や,事業者向けに歩行者数を予測する研究,地域PR用の縦型動画を生成AIで作る研究などがあった.
情報系に特化した所属ではない発表者も多く,その点も情報より観光寄りの雰囲気を強めていた.
― 興味深かった発表について
自分の研究に関連する発表はなかったが,興味深かった発表について
・ 「大阪・関西万博での没入型映像技術を用いた観光体験:ルーム型LEDビジョンとHMDを用いた比較分析」澤田幸輝(沖縄女子短期大学),
株式会社G1companyとの共同研究で,先日の万博において,VRを使ったバーチャルツーリズム体験施設を出店した.
ルーム型LEDビジョンとHMDによる体験効果を比較し,観光地の訪問意欲や観光地認知の違いを示した.
・ 「VR教材を用いたホテル人材のための英語接客トレーニング」山崎敦子(デジタルハリウッド大学),
京王プラザホテルとの共同研究で,インバウンド客に対するホテル接客のトレーニングとして,VR教材を開発・有効性の検証を行った.
クレーム対応や緊急時対応のような高ストレス場面を安全かつ反復可能な学習機会として提供可能にした.
研究内容にご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ: http://harmo-lab.jp/contact
【4】今月のAIトレンド
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北大発認定スタートアップである株式会社調和技研のスタッフが、直近1ヶ月程度のニュースの中で、インパクトがあったAI情報をピックアップして紹介します。
◇ OpenAI、「GPT 5.3 Codex Spark」を発表 ~リアルタイム用途に特化した小型・高速版/リサーチプレビューとして「ChatGPT Pro」ユーザーに提供(窓の杜より) [AIエンジニアのコメント]
OpenAIが「GPT-5.3-Codex-Spark」を発表した。リアルタイム用途に特化した小型・高速版で、現在はリサーチプレビューとして「ChatGPT Pro」ユーザー向けに提供されている。
性能(精度)はGPT-5.1とGPT-5.3の中間程度とされるが、特に即応性の高さが特徴とされており、実際の使い勝手が注目される。
本モデルは、OpenAIが提携するCerebrasの専用システムに最適化されている模様で、LLMの推論基盤も従来のNVIDIA中心から多様化が進んでいる。Cerebrasはデータセンター向け推論処理に強みを持つプレイヤーの一つだ。
インタラクティブ用途に適するのはもちろん、マルチエージェント構成での活用も考えられる。
例えば、アーキテクチャ設計は高性能モデルで行い、実装はSparkで高速に回し、最終レビューを再び高性能モデルで行う、といったヘテロジニアスな運用である。
用途に応じてモデルを使い分けられれば、実務上の利便性は高いだろう。
◇ AI同士で相談させて“最強の布陣”を組む新技術 日立製作所が開発(ITmediaより)
日立製作所が、AI同士で相談させて“最強の布陣”を組む新技術を開発したと発表した。
昨年から一昨年にかけて注目された、複数のLLMを組み合わせる仕組みがベースであるが、本技術のポイントは、モデル同士の「会話のかみ合い」や「関係性」を評価し、自動的にチーム化する点にある。
実際の回答内容をもとにグルーピングを行うため、ブラックボックスになりがちなMCP環境でも活用の余地がありそうである。
一方で、いったんモデル同士を会話させたうえでチームを編成する仕組みであるため、分野や依頼内容が頻繁に変化するシステムには適さない可能性がある。
実用面では、システム稼働前や夜間などに多様な入力パターンで評価を行い、チーム編成のログを蓄積してデータベース化しておく。
そして実運用時には、そのデータを参照して最適な組み合わせを判断する、といった設計であれば現実的である。
マルチエージェント領域は依然としてホットなテーマである。最近では、単一のLLMに複数の役割を与え、同一コンテキスト内で議論させるだけでも十分機能する、という議論も見かけた。ただしClaudeとCodexのように異なるモデルを組み合わせる環境では、今回のようなチーム最適化技術の意義はより大きくなると考えられる。
◇ Prototype No.1 Generative AI Virtual Home Staging(株式会社調和技研)
「Generative AI Virtual Home Staging」は、調和技研が研究開発によって生み出した室内バーチャルステージング技術。室内写真をもとに、家具やインテリアを配置したリアルなステージング画像をAIが自動生成し、物件の魅力をより効果的かつスピーディーに表現できる。
空室や既存の室内写真から、家具やインテリアの追加、部屋の用途やレイアウトの変更、デザインテイストの刷新、さらには全アイテムの削除(空の状態の再現)といった空間変換を、撮影やCG制作を行うことなく短時間で実現できる。
生成される画像は、不動産広告や提案資料にそのまま活用できる品質を備えており、空間の魅力を視覚的に分かりやすく伝えることができるため、様々な分野での応用が期待されている。
◇ 【満点9科目!】共通テスト2026を最新版AIに解かせてみた(Chatgpt、Gemini、Claude)(株式会社LifePromptより)
共通テスト2026を最新AIに解かせた検証は、予想通りの高得点という結果であった。しかし、処理時間や誤答の傾向には示唆がある。
GPTやClaudeは画像を「文字情報の塊」として処理する傾向があり、純粋なビジュアル読解でつまずきやすい。
一方、Geminiは画像を「画像」として直感的に捉える力が強く、地図やグラフの相関を見抜く点で優位性を示した。
とりわけ興味深いのは国語の問題である。ある心の葛藤を選ぶ場面でAIは「反省」を選ぶ傾向が強かった。
なぜこの“優等生的誤答”が起きたのか。LLMは「正解」や整った論理を中心に学習し、さらに安全性確保やRLHFによって「望ましい正しさ」へと強くアライメントされている。
そのため、人は誤れば反省し正すべきだという一般論に収束しやすい。
しかし人間は弱さやダークな側面を抱え、ときに割り切れないまま揺れ動く存在である。
今回の誤答は、学習データが前提とする「陽の正しさ」と、人間の内面にある「陰の葛藤」とのあいだに横たわる構造的な乖離を浮き彫りにしている。
◇ AIウォッシング(AI Washing)とは? (ITmediaより)
昨今、「AIウォッシング」という言葉が聞かれるようになった。不都合を隠し、表向きの印象を良く見せることを意味する「ホワイトウォッシング」を語源とする言葉である。
「AI搭載」「高性能AI」など、製品やサービスが宣伝文句としてAIというワードを用いる一方で、実態が伴わない行為や傾向を指す。
トレンドとしてAIというワードが先行していることもあり、最近ではAIという言葉を聞かない日はない。しかし、多くのサービスで実態を伴わないままAIというワードが使われることで、かえってAIの可能性を過小評価させてしまう恐れがある。
発信する側のAI企業には高い倫理観が求められ、受け取る側の企業には、マーケティング上の言葉に踊らされることなく本質を見極めるリテラシーが必要である。技術そのものだけでなく、その扱い方に関する課題が社会に生まれつつあると考える。
【5】人工知能・ディープラーニングNEWS
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★ Geminiアプリに音楽生成AI「Lyria 3」追加 30秒の楽曲を「Nano Banana」ジャケット付きで(itmediaより)
米Googleは2月18日(現地時間)、Google DeepMindの音楽生成モデルの最新版「Lyria 3」を発表した。既にWeb版のGeminiアプリに導入されており、モバイルでも利用できるようになる見込みだ。テキストだけでなく、写真や動画をアップロードすることで、その雰囲気に合わせたオリジナル楽曲を作成できる。日本語もサポートする。
★ Google、推論を強化した「Gemini 3.1 Pro」発表 GitHub Copilotでも利用可能に(itmediaより)
米Googleは2月19日(現地時間)、「Gemini 3.1 Pro」を発表した。「単純な答えだけでは不十分なタスク向けに設計」したという。一般ユーザーは、ProかUltraプランであれば「Gemini」アプリと「NotebookLM」で利用可能だ。
開発者や企業は、「AI Studio」「Antigravity」「Vertex AI」「Gemini Enterprise」「Gemini CLI」「Android Studio」を通じて、「Gemini API」でプレビュー版にアクセスできる。さらに、「GitHub Copilot」においてもパブリックプレビュー版として展開が開始されており、CopilotのPro、Pro+、Business、Enterpriseユーザーも同モデルを選択して利用できるようになっている。
【6】調和系工学研究室関連企業NEWS
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★ 「ノーコード開発の孤独を、共有の喜びに」サスケWorks ユーザーコミュニティを2026年2月2日に開設 ~ユーザー同士の知恵が循環し、共に進化する新しい共創の場が誕生~(株式会社インターパーク)
ノーコード業務アプリ作成ツール「サスケWorks(サスケワークス)」を開発・提供する株式会社インターパークは、ユーザー同士が活用事例やアイデアを自由に交換できる「サスケWorks ユーザーコミュニティ」を、2026年2月2日(月)より正式に開設いたしました。
★ 現場作業をサポートする様々なAIソリューションのご紹介(アイシン・ソフトウェア株式会社)
2025年11月に開催された日本最大級の異業種交流展示会「メッセナゴヤ2025」に、アイシン・ソフトウェア株式会社として初の単独出展を果たしました。現場作業の効率化と品質向上を実現する、最新のAI技術を活用したソリューションを多数展示し、多くの皆さまにご来場いただきました。このページでは、会場でご紹介した4つの主要技術についてご説明いたします。
【7】AI川柳
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調和系工学研究室では、毎日新聞社「仲畑流万能川柳」や第一生命保険「サラリーマン川柳」を学習用の教師データとした「AI川柳」に取り組んでいます。
2020年3月までの1年間「NHK総合 ニュースシブ5時」にて、その週の話題のニュースのキーワードをお題に、バーチャルアナウンサー「ニュースのヨミ子」さんが詠んでいたAI川柳も、本研究室が開発した人工知能システムです。
多くの皆さんに楽しんでいただけるよう、2020年6月にAI川柳のTwitterアカウント( https://twitter.com/ai_senryu )を開設いたしました。
AIには詠んだ句に対する「良し悪し」の感覚はありません。そのため、人間がどのように感じ、どのような情景を思い浮かべるかにより、AIが詠んだ句に意味が生じてきます。
AIが詠んだ句に共感していただけましたら大変うれしく思います!
★ お題「春」(3月4日投稿)
期待と現実のずれのような感覚を通して、季節の移ろいの微妙さを表現(感想は #ChatGPT と作成)。
★ お題「春」(3月5日投稿)
春が訪れたのに雪が降ることで、期待していた春の温かさが遠ざかる、季節の気まぐれさや待ち遠しさ(感想は #ChatGPT と作成)。
【ご寄附のお願い】
人工知能によるイノベーションでより素晴らしい世界を実現することが、私たち調和系工学研究室の使命であると考え日々研究に取り組んでいます。
大学での研究活動には、研究に必要な機器の整備のほかにも、学生の学会への参加や論文投稿など研究費が欠かせません。
私たちの取り組みにご賛同いただけ、応援のご寄附を賜れましたら大変心強く、研究を続けるうえで大きな励みとなります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
調和系工学研究室 教授 川村 秀憲
[北海道大学奨学寄附金制度について](本学への寄附金については、税法上の優遇措置の対象となります)お問い合わせ先:http://harmo-lab.jp/contact
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
◇ 次号は、2026年3月19日に配信する予定です。
◇ メールマガジンのバックナンバー
http://harmo-lab.jp/?page_id=2918
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