harmolab164/川村教授のエッセイ「AIが自律する時、人間の価値はどこにあるのか?」、「札幌AI道場 第4期・成果発表会」の開催案内をお届けします(2026年2月20日配信)

こんにちは。
北海道大学調和系工学研究室(川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教)です。

札幌では、「さっぽろ雪まつり」が終わり、少しずつ日が長くなってきたことを実感するこの頃です。皆さまはいかがお過ごしでしょうか。

本日のメルマガでは『DoconReport Vol.219 2025』に掲載された川村教授のエッセイ「AIが自律する時、人間の価値はどこにあるのか?」をご紹介します。
本エッセイでは、AIの発展を単なる脅威として捉えるのではなく、人間とAIが共に活かし合う未来像を模索しています。
今号から数回に分けて内容をご紹介しますので、ご興味のある方はぜひお読みいただければ幸いです。

それでは、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

2026年2月20日配信
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■ 本日のTopics
【1】川村教授のエッセイ
【2】調和系工学研究室WHAT’S NEW
【3】研究室に関連する企業・ベンチャー等のニュース
【4】人工知能・ディープラーニングNEWS
【5】調和系工学研究室関連企業NEWS
【6】AI川柳
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【1】川村教授のエッセイ
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「AIが自律する時、人間の価値はどこにあるのか?」

1.はじめに

人工知能(AI)、特に大規模言語モデル(LLM)を中心とした生成AI は、この数年で驚くべき速度で技術進歩してきた。かつては一部の研究者や技術者だけが注目していた領域が、いまや日常生活やビジネスの現場に深く入り込み、社会全体を揺さぶる存在となっている。OpenAI のChatGPT をはじめ、Google やAnthropic、Meta など世界の主要企業が次々と新しいモデルやサービスを投入しており、その革新のペースは、インターネットの普及やスマートフォンの登場に匹敵する、いやそれ以上の速さだと言っても過言ではない。

前回のエッセイではChatGPT o1 を用い、北海道大学の2025 年度前期日程入学試験(文系数学)の問題を解かせた結果について紹介した。AI はわずか数十秒で満点を取るという驚異的な実力を示し、もはや「人間と同等」ではなく「人間を凌駕する」局面が訪れていることを実感させる。この例は一部にすぎず、現在の生成AI は文章の理解や生成のみならず、画像や動画の制作、音楽の作曲、プログラミングコードの自動生成といった多様な分野に広がりつつある。それらの成果は単なる効率化にとどまらず、芸術や教育、科学研究といった創造性の高い領域にも新たな可能性を切り開いている。

さらに近年は「AI エージェント」という概念が急速に注目を集めている。従来の生成AI はあくまでユーザからの指示に反応して結果を返すʠ受動的なツールʡであった。しかしAI エージェントは一歩先を行き、抽象的な目標を与えられると自律的に計画を立て、タスクを実行し、必要に応じて修正や改善まで行うʠ能動的な存在ʡである。これは人間の「代理人」として、判断や行動を一定程度任せることが可能になりつつあることを意味し、社会への影響は生成AI 以上に大きいだろう。

このようにAI は、急速に人間の知的活動を補完し、時に代替する存在へと変化している。その一方で、「AI にできること」と「人間にしかできないこと」の境界をどう見極めるかは、ますます重要な問いとなっている。AI が強みを発揮する領域を知ることは不可欠だが、それ以上に、人間が発揮すべき独自の価値を自覚することこそ、AI 時代を生き抜くための最重要課題である。多目的意思決定や責任の引き受け、本能や感覚に基づく判断、そして人間ならではの感性や存在意義といった領域は、今後ますます注目されるだろう。

本エッセイでは、まずAI エージェントの仕組みと特徴を解説し、その可能性とリスクを具体的に検討する。次に、AI が進化する社会において人間がどのように自らの価値を発揮すべきか、身体性や感性、説明責任、存在の意味といった観点から考察する。さらに、経済合理性や社会制度との関係を踏まえつつ、AI が浸透する領域とそうでない領域の見極めを行い、最後に人間とAI の協働の未来像を描いてみたい。AI の発展を単なる脅威として捉えるのではなく、共に活かし合う可能性を模索することこそが、これからの時代に必要とされる姿勢である(『DoconReport Vol.219 2025』に掲載)。


【2】調和系工学研究室WHAT’S NEW
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◇ 「札幌AI道場 第4期・成果発表会」に川村教授が登壇します

2026年3月3日(火)、札幌市民交流プラザにて開催される、札幌AIラボ主催「札幌AI道場 第4期・成果発表会」に川村教授が登壇します。
「札幌AI道場」は、AI人材の育成、地域企業間の協業や地域発のAI開発の促進を目的に、道内企業やエンジニア、学生などが実務に近い形で開発に挑むプログラムです。
本期も、道内企業が実際に抱える業務課題に対し、AIを活用した解決策の検討・提案・実装に取り組みました。

本イベントでは、参加企業が抱える課題に対して、道場門下生であるエンジニアがどのようにAIを活用し、解決に取り組んできたのか、約半年間にわたる実践の成果を紹介します。
新たなつながりや学びの機会となる交流の場も用意していますので、AIやデータ活用に関心のある企業・関係者の方はぜひご参加いただければ幸いです。

川村教授は、各参加企業の成果発表の後、「全体講評・トークセッション」にて札幌AIラボ長として登壇します。

日時:2026年3月3日(火)15時30分~20時30分(予定)
   第一部 15時30分~19時30分 札幌AI道場 第4期 成果発表会
   第二部 19時30分~20時30分 交流会 (立食形式、事前申込要)
会場:札幌市民交流プラザ3階クリエイティブスタジオ(札幌市中央区北1条西1丁目)
参加定員:300名(要事前申込。先着順)
参加費用:無料、交流会参加者は1人1,000円(学生は無料)

こちらのフォームよりお申込みいただけます(申込締切 2月26日(木))
https://forms.gle/2XGYy3H6iSTEozKM7
詳細は下記よりご確認下さい
https://www.s-ail.org/notice/4697/

[札幌AIラボ(札幌市、一般財団法人さっぽろ産業振興財団)]


◇ 第9回「インフラメンテナンス大賞」にて堀口組の取組が内閣総理大臣賞を受賞しました

2026年1月20日、総理大臣官邸で開催された第9回「インフラメンテナンス大賞」の表彰式にて、株式会社 堀口組の「豪雪地の交通インフラ維持を図る除雪支援の取組」が、内閣総理大臣賞を受賞しました。
本取組は、AIや生体センサーといった最新のデジタル技術を活用し、高齢化が進む建設技能者の負担を軽減する先駆的な取組です。建設業における過酷な労働環境の改善や、建設技能者の不足の解消に対応する極めて顕著な功績として評価されました。
調和系工学研究室は、株式会社堀口組と共同研究を行い、AIを活用した除雪の出動判断支援技術を開発しています。当日の式には、山下准教授が出席しました。

表彰式の様子は下記よりご覧いただけます
https://www.gov-online.go.jp/press_conferences/chief_cabinet_secretary/202601/video-306816.html
尚、本取組の概要は下記のPDFよりご覧いただけます
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/maintenance/03activity/pdf/09_01.pdf

[インフラメンテナンス大賞 表彰式 | 首相官邸ホームページ]
[インフラメンテナンス情報 国土交通省]
[株式会社堀口組]


◇ 第149回SCE・Net技術懇談会に山下准教授が登壇しました

2026年2月7日、オンラインにて開催された「第149回SCE・Net技術懇談会」に山下准教授が登壇しました。
当日は、「AI技術の最前線と社会実装への挑戦」と題し、調和系工学研究室が取り組むAI技術を活用した研究の成果と社会実装への挑戦や、AI技術の最前線を紹介しました。

[化学工学会SCE・Net]
[第149回SCE・Net技術懇談会]


【3】研究室に関連する企業・ベンチャー等のニュース
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◇ 2/26(木)調和技研がAI Business Trends Webinarを開催します

2026年2月26日(木)にオンラインにて、株式会社調和技研が「生成AIではカバーしきれない業務、どうしてる?〜属人化しがちな業務・運営を支える最適化AIとは〜」と題し、AI Business Trends Webinarを開催します。
本ウェビナーでは、シフト作成や人の割り当て、計画立案といった、複数の条件や制約が絡む業務運営を支援する「最適化AI」について、実例を交えながら紹介します。

属人化や非効率、人手不足といった課題を感じている推進担当者、管理職、経営層の方におすすめの内容です。
ご興味のある方はぜひご参加ください。

開催日時:2026年2月26日(木)12時~12時45分
開催方法:WEBセミナー(Zoom)
募集定員:30名(先着順)※定員になり次第締め切ります
参加費:無料

詳細・お申込みは、調和技研webサイトよりご確認いただけます
https://www.chowagiken.co.jp/webinar/webinar_202602/

[株式会社調和技研(北大発認定スタートアップ)]


◇ 経済産業省「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」に調和技研が採択されました

経済産業省 令和6年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(小規模実証・FS事業:二次公募)」に株式会社調和技研が採択されました。

事業名称:バングラデシュ人民共和国/バングラデシュAI人材育成による日本企業向け実践型AI開発実証事業
概要:実践的なAIエンジニアとして育成したバングラデシュの人材を、北海道の実際の地域課題(半導体・GX・農業等)を解決するためのAI開発プロジェクトに活用し、開発力や実務適性を評価することで事業モデルとしての成立可能性を評価する実証事業。

採択結果の詳細は、こちらよりご覧いただけます
https://www.meti.go.jp/information/publicoffer/saitaku/2026/s260205001.html

[株式会社調和技研(北大発認定スタートアップ)]


◇ 「2026さっぽろ雪まつり」会場にてAWLがエッジAI映像解析を提供しました

2026年2月4日~11日に札幌市で開催された「2026さっぽろ雪まつり(第76回)」の大通会場1丁目「J:COMひろば」において、AWL株式会社がエッジAI映像解析を提供し、「賑わいAI予測」を配信しました。
J:COM 札幌が運営する「J:COMひろば」内の「アロマの足湯」や「雪板アクティビティ」など、来場者の関心が高い2か所の賑わい状況をエッジAIカメラでリアルタイムに解析。待ち人数や待ち時間をAIで予測し、YouTubeで「賑わい情報 AI予測」としてリアルタイム配信を行いました。

詳細は下記よりご覧いただけます
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000071.000046547.html

[AWL株式会社(北大発認定スタートアップ)]


◇ 経済産業省主催「インド高度エンジニア人材活用セミナー」にAWL CHRO 土田 美那 氏が登壇しました

2026年2月10日にオンラインで開催された経済産業省主催「インド高度エンジニア人材活用セミナー」に、AWL株式会社 最高人事責任者 兼 上席執行役員 土田 美那 氏が登壇しました。
本イベントは、経済産業省が主催する India–Japan Talent Bridge事業の一環として開催され、北海道企業に向けて、インド人材採用・活用に関する実践的なヒントが、現地の最新動向や採用事例とともに紹介されました。
土田氏はパネルディスカッションに登壇者の一人として参加し、インド人材活用の実践事例や現場の実情についてお話ししました。

[インド高度エンジニア人材活用セミナー(経済産業省)]
[AWL株式会社(北大発認定スタートアップ)]


【4】人工知能・ディープラーニングNEWS
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無料で「Suno v4.5」超え? 音楽生成AI「ACE-Step v1.5」公開 個人向けGPUでも動作(itmediaより)
AIスタートアップの米Timedomainは2月4日(日本時間)、音楽生成AI「ACE-Step v1.5」を公開した。「RTX 3090」など消費者向けのGPUでも動作し、同様の音楽生成AI「Suno」の前世代モデル「v4.5」を上回る性能とうたう。MITベースの独自ライセンスで、商用利用や配布、複製が可能だが、利用者に対して規約として芸術的誠実性や法令順守を求めている。


【5】調和系工学研究室関連企業NEWS
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生成AIでマイグレーションを加速、生産性50%向上(株式会社クレスコ)
当社では、生成AIを活用したマイグレーションの高度化に取り組み、レガシー資産を活かしながら次世代システムへの移行を支援しています。

「検索順位」から「AIの推奨」へ——Webサイトの構造をAI向けに再構築する「AIO(AI Optimization)サービス」を開始(ザ・サン・ストラテジック・ソリューションズ株式会社)
〜実装前にAIの回答をシミュレーションする新技術を採用。AI代理購買(Agentic Commerce)の到来も見据えた、検索流入に依存しない新たな企業情報基盤を構築〜

JAL、航空機エンジン内視鏡検査の記録・分析を効率化するシステムが稼働 故障の兆候を早期に察知して整備を行う「予測整備」を目指す(株式会社クレスコ)
日本航空(JAL)は、航空機エンジンの内視鏡(ボアスコープ)検査における記録・分析作業を効率化するシステムをJALエンジニアリング、クレスコと共同開発し、開発し、運用を開始した。

TILが「音声AI×コンサルティング」をテーマに、RECORiSの販売を本格展開 データ連携により、営業支援・従業員教育・業務改善までを支援するご提案モデル(ティ・アイ・エル株式会社)
ティ・アイ・エル株式会社はAI音声ダッシュボード RECORiSを「音声AI×コンサルティング」をテーマに本格展開いたします。SaaS導入で終わらせず、CRM/SFA/CDP/コミュニケーションツール等と連携し、”録音から活用”までを支援する新しい音声活用モデルを提案します。

データセキュリティ・ネットワークセキュリティに強みを持つ網屋と資本業務提携契約を締結(株式会社網屋)
キヤノンマーケティングジャパン株式会社は、サイバーセキュリティ事業の強化を目的として、2026年2月12日に株式会社網屋の株式取得について合意し、資本業務提携契約を締結しました。


【6】AI川柳
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調和系工学研究室では、毎日新聞社「仲畑流万能川柳」や第一生命保険「サラリーマン川柳」を学習用の教師データとした「AI川柳」に取り組んでいます。

2020年3月までの1年間「NHK総合 ニュースシブ5時」にて、その週の話題のニュースのキーワードをお題に、バーチャルアナウンサー「ニュースのヨミ子」さんが詠んでいたAI川柳も、本研究室が開発した人工知能システムです。
多くの皆さんに楽しんでいただけるよう、2020年6月にAI川柳のTwitterアカウント( https://twitter.com/ai_senryu )を開設いたしました。

AIには詠んだ句に対する「良し悪し」の感覚はありません。そのため、人間がどのように感じ、どのような情景を思い浮かべるかにより、AIが詠んだ句に意味が生じてきます。
AIが詠んだ句に共感していただけましたら大変うれしく思います!

★ お題「雪だるま」(2月17日投稿)

ふるさとへ帰れたらまた雪だるま

童心に戻る口実を、雪だるまがちゃんと用意してくれているのかもしれません(感想は #ChatGPT と作成)。


★ お題「冬」(2月18日投稿)

今日もまた雪が降るよな冬の朝

繰り返される雪景色に、日常の静かなあきらめや、冬の厳しさに寄り添うような穏やかな受容がにじむ一句(感想は #ChatGPT と作成)。


【ご寄附のお願い】
人工知能によるイノベーションでより素晴らしい世界を実現することが、私たち調和系工学研究室の使命であると考え日々研究に取り組んでいます。
大学での研究活動には、研究に必要な機器の整備のほかにも、学生の学会への参加や論文投稿など研究費が欠かせません。

私たちの取り組みにご賛同いただけ、応援のご寄附を賜れましたら大変心強く、研究を続けるうえで大きな励みとなります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

調和系工学研究室 教授 川村 秀憲

[北海道大学奨学寄附金制度について](本学への寄附金については、税法上の優遇措置の対象となります)
お問い合わせ先:http://harmo-lab.jp/contact

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

◇ 次号は、2026年3月6日に配信する予定です。
◇ メールマガジンのバックナンバー
 http://harmo-lab.jp/?page_id=2918
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調和系工学研究室教員
川村 秀憲教授
山下 倫央准教授
横山 想一郎助教

調和系工学研究室HP
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川村 秀憲教授FB
AI一茶くん
調和系工学研究室AI川柳

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