こんにちは。
北海道大学調和系工学研究室(川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教)です。
あっという間に年の暮れとなりました。
皆様におかれましても慌ただしい日々かと思いますが、どうぞご自愛いただき、よいお年をお迎えください。
さて、本日のメルマガでは、横山助教の米国研修レポート第5回をお届けします。
今回は、訪問先6都市のうち、最終訪問地であるカリフォルニア州サンフランシスコおよび州都サクラメントでの視察内容をご紹介します。
米国研修レポートの記事は、今回が最終回となります。
ご興味のある方は、ぜひお読みいただければ幸いです。
それでは、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
2025年12月26日配信
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■ 本日のTopics
【1】横山助教の米国研修レポート
【2】調和系工学研究室WHAT’S NEW
【3】研究室に関連する企業・ベンチャー等のニュース
【4】人工知能・ディープラーニングNEWS
【5】調和系工学研究室関連企業NEWS
【6】AI川柳
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【1】横山助教の米国研修レポート
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調和系工学研究室 助教の横山です。IVLP プログラムの最終訪問地として、カリフォルニア州を訪れました。
サンフランシスコおよび州都サクラメントを中心に、AIとデジタル社会を巡る議論を通じて、これまでの訪問地とはまた異なる視点を得ることができました。
サンフランシスコでは、自動運転タクシー Waymo に乗車する機会がありました。
配車や乗車の感覚は Uber と変わらず、狭い路地での走行や路上駐車の回避、バイクを通す判断なども非常にスムーズで、正直なところ、ペーパードライバーの私よりはるかに安定した運転に感じられました。
空港からホテルに向かうバスでは、「あのWaymoが走っているぞ」と参加者の注目を集めていたのですが、街中の至る所で見かけるため、すぐに慣れてしまいました。
技術がすでに実験ではなく、日常の交通手段として溶け込みつつあることを実感しました。
今回のプログラムでは、いわゆるシリコンバレーの企業訪問は行わず、政府機関や非営利団体を中心に話を伺いました。
調整担当者からは、企業よりも公共部門のほうがトップレベルの方を交えた議論ができ、プログラムの目的にも合致するとの説明がありました。
実際、デジタル・ディバイド解消に取り組む団体や、州政府のサイバーセキュリティ部門では、AI導入時にどのようなデータが収集・送信され、どう管理されるべきかが重要な論点として共有されていました。
AI企業を国内に持たない国にとっては、より厳しい判断を迫られるテーマだと感じました。
また、衛星通信サービスを提供する企業では、安全性や信頼性を重視したサービスが国家機関向けに展開されており、その信頼の裏付けとして米国の政府や軍隊も認証していると強調されていた点が印象的でした。
結局のところ、技術だけでなく「どの国の制度を信頼できるか」という問題に行き着くのだと感じます。
サンフランシスコでは、ソフトウェアを家電製品のような製造物として捉え、安全性を法制度で担保するという議論にも触れました。
一方で、開発者同士がオープンに共有する文化が研究開発を加速させてきた側面もあり、規制と自由のバランスは依然として難しい課題だと感じました。
AIモデルの規制についても、カリフォルニア州では、中央集権的な管理よりも、モデルの学習に使われたデータの詳細を公開し、透明性と利用者の選択を重視する姿勢が示されており、アメリカらしいアプローチだと感じました。
3週間にわたり各地を移動する中で、都市ごとの雰囲気や人々の価値観、空港遅延まで含め、現地でしか得られない経験が多くありました。
この機会を支えてくださったアメリカ政府、そしてその背景にある国民の皆様に感謝します。
恐らく、このプログラムの参加者の誰かが、将来に大きな影響力を持ったとき、アメリカの価値観を知っていてもらいたいとの考えがあるのかと思います。
しかし、誰が将来どのような役割を担うか分からなくとも、多くの人に機会を与えるという発想が実行できる点に、改めて超大国の余裕を感じた旅でもありました。
【2】調和系工学研究室WHAT’S NEW
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◇ 「日経クロステック」にて川村教授の共著による記事が掲載されました
2025年12月18日に「日経クロステック」の連載「AIデータ設計」にて、株式会社D.Force 代表取締役社長 川上 明久 氏、AWL株式会社 取締役CTO 土田 安紘氏、川村教授の共著による記事が掲載されました。
記事では、今回から5回にわたり、マルチモーダルAI(人工知能)の進化で注目を集める「映像データ」の活用について解説します。
ご興味のある方はぜひお読みいただければ幸いです。
◇ 「週刊プレイボーイ」に川村教授のコメントが掲載されました
2025年12月8日発売、「週刊プレイボーイNo.51」のAI特集に川村教授のコメントが掲載されました
川村教授は『コールセンター「AI導入パニック」実況中継』という記事で、コールセンターでのAI導入の背景について解説しています。
ご興味のある方はぜひお手に取っていただければ幸いです。
川村教授の解説を下記よりお読みいただけます
https://www.excite.co.jp/news/article/Shueishapn_129469/
◇ 大丸松坂屋百貨店オウンドメディア「Future is Now」の「新語辞典」に川村教授の解説が掲載されました
2025年12月8日公開、大丸松坂屋百貨店のオウンドメディア「Future is Now」の「新語辞典」に川村教授の解説が掲載されました。
記事では川村教授が「バイブワーキング」という言葉の意味や背景について解説しています。
ご興味のある方はぜひお読みいただければ幸いです。
【3】研究室に関連する企業・ベンチャー等のニュース
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◇ NTTドコモビジネスの自動運転バスの実証実験にてAWLがアプリ開発を行っています
2025年11月27日にNTTドコモビジネス株式会社等は、宮城県仙台市の2エリアにおいて自動運転バスの実証実験を開始したことを発表しました。
AWL株式会社は、本実証実験で行われる、自動運転バスを活用した利用者向けサービス体験の検証において、「乗客の属性に合わせたデジタルプロモーションにおけるアプリ開発」を行っています。
本実証実験の詳細はこちらからご覧いただけます
https://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2025/1127.html
◇ 「TECH+」にて調和技研 武藤氏が登壇した「HP Future of Work AI Conference 2025」のパネルディスカッションが紹介されました
2025年12月17日公開、「TECH+」にて、株式会社調和技研 ビジネス開発部事業推進G マネージャー 武藤 悠貴 氏が登壇した「HP Future of Work AI Conference 2025」のパネルディスカッションが紹介されました。
本イベントは、2025年10月3日に東京国際フォーラムにて、株式会社 日本HPの主催により開催されました。パネルディスカッションでは、4名のパネリストと、ファシリテーターが登壇し、ローカル生成AIの共創エコシステムをテーマに議論が行われました。
記事では、その内容が詳しく紹介されていますので、ご興味のある方はぜひお読みください。
[株式会社調和技研(北大発認定スタートアップ)]
◇ 富山県とAillは「とやま出会い応援アプリ『TOYAMA goen』」の運用を開始しました
2025年12月22日付プレスリリースにて、富山県と株式会社Aill(エール)は、県内企業専用「とやま出会い応援アプリ『TOYAMA goen(トヤマ ゴエン)』」の運用を開始したことを発表しました。
「TOYAMA goen」は、富山県が承認する共働き・共育てを応援する企業・団体・事業所の従業員の専用となるAI縁結びアプリです。
本事業は、企業等専用AI縁結びアプリを県が導入する全国初の取り組みとなります。
詳細は下記よりお読みいただけます
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000059840.html
[Aill goen]
◇ 北海道新聞にてデンソー北海道とAWLが火災システムを開発していることを取り上げていただきました
2025年12月25日付、北海道新聞にて、株式会社デンソー北海道とAWL株式会社が、人工知能(AI)を搭載した工場向け火災検知システムを開発していることを取り上げていただきました。
センサーで検知した温度やガス濃度の異常をAIが瞬時に分析し、火災の発生を判断することで、誤検知の低減が期待されています。
[AWL株式会社(北大発認定スタートアップ)]
◇ 日本経済新聞にてAWLの「エッジAI」を取り上げていただきました
2025年12月24日付、日本経済新聞にて、AWL株式会社が「エッジAI」を株式会社デンソー北海道に提供したことを取り上げていただきました。
株式会社デンソー北海道は、自動車用半導体センサーの設計や生産を行っています。
AWLの「エッジAI」は、デンソー北海道が開発を進める工場向け火災検知システムに搭載され、煙や温度を検知する速度や精度を高めることで、従来の検知器と比べて誤作動が半減することが期待されています。
[AWL株式会社(北大発認定スタートアップ)]
【4】人工知能・ディープラーニングNEWS
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★ Runway、新モデル「Gen-4.5」公開──リアル物理・精密カメラワークを実現 動画AIで世界最高Elo 1247 Veo 3・Sora 2を圧倒(ledge.aiより)
★ ディズニー、OpenAIに10億ドル出資 動画生成AIツール「Sora」でキャラクター利用を解禁(ビジネス+ITより)
ウォルト・ディズニー・カンパニーは2025年12月11日、OpenAIに10億ドル(約1500億円)を出資し、3年間のライセンス契約を締結した。この契約によりOpenAIのAI動画生成ツール「Sora」や関連サービスで、ディズニー、マーベル、ピクサー、スター・ウォーズの200以上のキャラクターがテキストプロンプトに基づく動画生成に利用可能になる。
★ Google、Gemini活用で翻訳・会話能力を強化 イヤホンでのリアルタイム翻訳も改善(itmediaより)
米Googleは12月12日(現地時間)、Geminiの機能を活用した音声通話と翻訳関連の複数の新機能を発表した。ライブ音声エージェントの能力を向上させる新しいオーディオモデルのリリース、「Google翻訳」のテキスト翻訳機能の改善、イヤホンを使ったリアルタイムの音声間翻訳の提供、言語学習ツールの拡張だ。
★ Google、AIエージェント「Gemini Deep Researchエージェント」発表 「Gemini 3 Pro」搭載で自律的調査機能を強化(itmediaより)
米Googleは12月11日(現地時間)、新たなAIエージェント「Gemini Deep Researchエージェント」のリリースを発表した。このエージェントは、開発者向けに新しく導入された「Interactions API」を介して利用可能になる見込みだ。
★ LINEヤフー、日本語マルチモーダル基盤モデル「clip-japanese-base-v2」を開発 商用利用もOK(itmediaより)
LINEヤフーは12月18日、日本語マルチモーダル基盤モデル「clip-japanese-base-v2」を開発したと発表した。前モデル「clip-japanese-base」から、学習データと学習方法を改善することによって高性能化したモデル。商用利用可能なライセンス「Apache-2.0」のもと、同社のHugging Faceページで公開中だ。
【5】調和系工学研究室関連企業NEWS
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★ 網屋、ソフトクリエイトと共同で「ALog」×「HENNGE One Identity Edition」連携による「SIEM導入スタートパック for HENNGE」を提供開始(株式会社網屋)
企業のログ管理・監査体制を短期間で構築支援
【6】AI川柳
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調和系工学研究室では、毎日新聞社「仲畑流万能川柳」や第一生命保険「サラリーマン川柳」を学習用の教師データとした「AI川柳」に取り組んでいます。
2020年3月までの1年間「NHK総合 ニュースシブ5時」にて、その週の話題のニュースのキーワードをお題に、バーチャルアナウンサー「ニュースのヨミ子」さんが詠んでいたAI川柳も、本研究室が開発した人工知能システムです。
多くの皆さんに楽しんでいただけるよう、2020年6月にAI川柳のTwitterアカウント( https://twitter.com/ai_senryu )を開設いたしました。
AIには詠んだ句に対する「良し悪し」の感覚はありません。そのため、人間がどのように感じ、どのような情景を思い浮かべるかにより、AIが詠んだ句に意味が生じてきます。
AIが詠んだ句に共感していただけましたら大変うれしく思います!
★ お題「雪」(12月22日投稿)
穏やかで温かな日常の一コマ、静寂の中にしみじみとした情緒を感じさせます(感想は #ChatGPT と作成)。
★ お題「冬」(12月23日投稿)
逃げ場のない状況や抱えきれない思い、それでも前に進もうとする葛藤(感想は #ChatGPT と作成)。
【ご寄附のお願い】
人工知能によるイノベーションでより素晴らしい世界を実現することが、私たち調和系工学研究室の使命であると考え日々研究に取り組んでいます。
大学での研究活動には、研究に必要な機器の整備のほかにも、学生の学会への参加や論文投稿など研究費が欠かせません。
私たちの取り組みにご賛同いただけ、応援のご寄附を賜れましたら大変心強く、研究を続けるうえで大きな励みとなります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
調和系工学研究室 教授 川村 秀憲
[北海道大学奨学寄附金制度について](本学への寄附金については、税法上の優遇措置の対象となります)お問い合わせ先:http://harmo-lab.jp/contact
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
◇ 次号は、2026年1月9日に配信する予定です。
◇ メールマガジンのバックナンバー
http://harmo-lab.jp/?page_id=2918
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