harmolab156/横山助教の米国研修レポート、最新の人工知能ニュースをお届けします(2025年10月31日配信)

こんにちは。
北海道大学調和系工学研究室(川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教)です。
北大キャンパスでは、今週初雪が降り、銀杏並木が見ごろを迎えています。皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、9月から10月にかけての3週間、横山助教が米国政府の国際交流プログラムに参加し、米国6都市を訪れて、サイバーセキュリティとAIの最前線を見てきました。
本メルマガでは数回に渡り、そのレポートをお届けします。
ご興味のある方はぜひお読みいただければ幸いです。

それでは、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

2025年10月31日配信
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■ 本日のTopics
【1】横山助教の米国研修レポート
【2】調和系工学研究室WHAT’S NEW
【3】研究室に関連する企業・ベンチャー等のニュース
【4】人工知能・ディープラーニングNEWS
【5】調和系工学研究室関連企業NEWS
【6】AI川柳
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【1】横山助教の米国研修レポート
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調和系工学研究室 助教の横山です。米国政府の国際交流プログラムInternational Visitor Leadership Program (IVLP) に参加し、デジタル社会の基盤を支えるサイバーセキュリティとAIの最前線を、米国6都市で見る機会がありました。その内容をご報告します。

今回のプログラム「Advancing Digital Security and Development」では、ASEAN諸国および日米豪印(Quad)諸国の11か国から12名が参加し、3週間をかけてアメリカの6都市を訪問しました。他の参加者は通信関係の省庁や法執行機関など、政府機関の関係者が中心で、民間企業からは銀行のセキュリティ担当者など、公共部門に関わる方が多く、学術機関からの参加は私のみでした。

プログラム期間中は、ワシントンD.C.をはじめ、ノースカロライナ州、ニューハンプシャー州、バーモント州、カリフォルニア州の6都市を訪問しました。各地では政府機関、大学、民間企業、非営利団体などを訪れ、それぞれの立場からサイバーセキュリティやAI技術に関する取り組みについて意見交換を行いました。

政府機関ではサイバーセキュリティ対策の組織体制と具体的な取り組み、プライバシーや法令を遵守したAI活用方法について、大学では、信頼されるAIの講義や、産学連携の取り組み、セキュリティ人材育成についての説明を受けました。海底ケーブルや衛星通信サービスを提供する企業では、主に政府関係の参加者と情報交換が行われ、また銀行ではセキュリティの取り組みについても議論しました。デジタル・ディバイドの解消に取り組む非営利団体を訪問し、技術的な支援だけでなく、地域社会に根ざした教育活動の重要性について学びました。

本プログラムを通じて印象的だったのは、急速に発達するAI技術が社会に与える影響の大きさと、それに対応するための体制整備がアメリカでも喫緊の課題となっていることでした。シリコンバレーを擁するカリフォルニア州の行政担当者からも、最先端企業の進歩に追いつくだけでも容易ではないという率直な声も聞かれ、AIにより社会が急激に変化する実態を改めて実感しました。

また、研究・教育の観点からは、AIを正しく理解して使いこなすことのできる人材の育成が強く求められていることを感じました。当研究室でも、AI技術の社会実装のみならず、学生などへの教育の観点から今後の研究に生かしていきたいと考えています。

今後のメールマガジンでは、各都市での訪問先や印象的な取り組みをさらに詳しくご紹介する予定です。どうぞご期待ください。

最後に、プログラムの調整にご尽力くださった皆様、そして旅費・滞在費等を支援してくださったアメリカ政府関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。


【2】調和系工学研究室WHAT’S NEW
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◇ TCシンポジウム2025に山下准教授が登壇しました

2025年10月8日から10日に京都リサーチパークで開催された「テクニカルコミュニケーションシンポジウム2025(TCシンポジウム2025)」にて、山下准教授がパネルディスカッションに登壇し、「AIを使ったマニュアル作成支援とその先」をテーマにお話ししました。
「最新版AI事情 ~これからのTCとAIを考える~」と題された本パネルディスカッションでは、最新のAI情報やその実践的な活用方法、さらにAIの現状と今後のテクニカルコミュニケーション(TC)の可能性について、AIの専門家およびTCの制作現場の立場から発表と議論が行われました。
本セッションの企画を担当されたYAMAGATA株式会社のwebサイトに、当日の内容をレポートしていただきましたので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

下記よりお読みいただけます
https://yamagata-corp.jp/column/20251017

当研究室はYAMAGATA株式会社と「次世代マニュアル」に関する共同研究を行い、大規模言語モデルを用いたマニュアル作成支援の開発に取り組んでいます。

[テクニカルコミュニケーションシンポジウム2025]
[YAMAGATA株式会社]


【3】研究室に関連する企業・ベンチャー等のニュース
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◇ 日本経済新聞「YOUTH FINANCE」にて「Aill goen(エールゴエン)」を取り上げていただきました

2025年10月17日付、日本経済新聞「YOUTH FINANCE」にて、株式会社Aill(エール)が開発・提供する企業専用AI恋愛ナビゲーションアプリ「Aill goen(エール ゴエン)」を取り上げていただきました。
記事では、三菱UFJ銀行やりそな銀行が独身者向けの福利厚生として「Aill goen(エール ゴエン)」を導入した経緯や、りそな銀行における導入後のアンケートで、若者を中心にワークライフバランスの改善が見られたことなどが紹介されています。

「Aill goen」は、共働き・共育ての価値観に賛同し実践する企業の独身従業員専用のAI恋愛ナビゲーションアプリです。導入企業に所属する独身者のみが利用できる福利厚生サービスとして、現在1500社を超える企業に導入されています。

川村教授は「Aill goen」の開発に携わり、現在、株式会社Aillの社外取締役をつとめています。

[日本経済新聞] (お読みいただくにはログインが必要です)
[株式会社Aill]
[Aill goen]


◇ 北海道新聞にて調和技研の「AIWEO for ヘルプデスク」を取り上げていただきました

2025年10月24日付、北海道新聞(朝刊)にて、株式会社調和技研が開発・提供する「AIWEO(アイウェオ)for ヘルプデスク」を取り上げていただきました。
「AIWEO for ヘルプデスク」は、生成AIと社内ドキュメントを活用して、企業のヘルプデスク業務を支援する生成AIチャットサービスです。
記事では、専門的な観点から質問に答える個性豊かなキャラクターが社員の知識向上をサポートする新機能「なりきりAIWEO」についてもご紹介いただきました。

[北海道新聞](お読みになるにはログインが必要です)
[AIWEO for ヘルプデスク]
[株式会社調和技研(北大発認定スタートアップ)]


◇ UAE モハメド・ビン・ザイード人工知能大学 スペシャルディスカッションにAWL CHRO 土田 美那 氏が登壇しました

2025年10月21日にアラブ首長国連邦 モハメド・ビン・ザイード人工知能大学にて開催されたスペシャルディスカッションにAWL株式会社 最高人事責任者 兼 上席執行役員 土田 美那 氏が登壇しました。
本ディスカッションで土田氏はAWLの企業理念、キャリア開発施策、インターナショナルな経験を希望する学生向けのインターンシップ・採用機会等についてお話ししました。

[モハメド・ビン・ザイード人工知能大学(Mohamed bin Zayed University of Artificial Intelligence / MBZUAI)]
[AWL株式会社(北大発認定スタートアップ)]


◇ 総務省 地域社会DXナビにてAWLと楽天の実証事業を紹介いただきました

2025年10月14日付、総務省「地域社会DXナビ」にて、AWL株式会社が楽天モバイル株式会社、楽天ヴィッセル神戸株式会社と共同で取り組む、エッジAIを活用した大規模施設の監視システムにおける通信負荷の最適化に関する実証事業を紹介いただきました。
本実証は2025年6月から総務省の「地域社会DX推進パッケージ事業(AI検証タイプ)」を活用し、神戸市の「ノエビアスタジアム神戸」において進められています。

[総務省「地域社会DXナビ」]
[AWL株式会社(北大発認定スタートアップ)]


◇ 『Japan DX Week』にて調和技研 代表 中村氏がクロストークセッションに登壇しました

2025年10月22日(水)~24日(金)に幕張メッセで開催された『Japan DX Week』にて株式会社調和技研 代表取締役社長 中村 拓哉 氏がクロストークセッションに登壇しました。本セッションでは「札幌市におけるIT産業支援の取り組みについて~札幌AI道場から大札新まで~」をテーマに、札幌市が取り組むIT人材育成事業や企業誘致プロジェクトについて紹介しました。

登壇者:
 中村 拓哉(株式会社調和技研代表取締役社長/札幌 AI Labラボ事務局長)
 木村 朋路(札幌市経済観光局 経済戦略推進部 企業立地課長)
 佐々木 浩一(株式会社PTS 代表取締役)

[Japan DX Week]
[株式会社調和技研(北大発認定スタートアップ)]


【4】人工知能・ディープラーニングNEWS
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AWS障害、原因特定も日本時間の21日午前6時時点では完全復旧に至らず(itmediaより)
米Amazon傘下のAmazon Web Services(AWS)のクラウドサービスで10月20日午前0時(現地時間)ごろに発生した障害について、AWSは同日午前8時43分(日本時間の21日午前0時43分)、原因を特定したとステータスページで発表した。「根本原因は、ネットワークロードバランサーの健全性監視を担う内部サブシステム」で、復旧を支援するため、新規EC2インスタンスの起動リクエストを制限したと述べた。

OpenAI、日本のAI活用に提言 「100兆円超の経済価値」を生むための“3本の柱”とは?(itmediaより)
米OpenAIは10月22日(日本時間)、日本のAI活用に関する政策提言「日本のAI:OpenAIの経済ブループリント」を発表した。AIを日本の経済成長の原動力と位置付け、政府や企業、教育機関が連携し、今後注力するべき取り組みを提案している。

Google、新量子アルゴリズム「Quantum Echoes」で検証可能な量子優位性を達成したと発表(itmediaより)
米Googleは10月22日(現地時間)、量子コンピュータで新薬の発見や新建築材の設計など、多様な分野の進歩を加速する新しいアルゴリズムの実行に成功したと発表した。

ChatGPTがWebブラウザに 「ChatGPT Atlas」、米OpenAIが発表(itmediaより)
米OpenAIは10月21日(米国時間)、ChatGPTを搭載した同社製のWebブラウザ「ChatGPT Atlas」を発表した。まずはmacOS版のみの提供となり、すでにダウンロードページを公開している。


【5】調和系工学研究室関連企業NEWS
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大学生や専門学校生向けのIT体験イベント「Sapporo IT CAMP 2025」にサポート企業として参画、地域のIT人材育成を支援(株式会社クレスコ)
当社は、2025年9月2日(火)~4日(木)に開催された大学生や専門学校生向けIT体験イベント「Sapporo IT CAMP 2025」にサポート企業として参画し、地域のIT人材育成を支援いたしました。

日本最大級のセキュリティイベント「Security BLAZE 2025」。全30講演のタイムテーブルが確定 11/19(水)・11/20(木)開催。天下分け目のセキュリティ戦線に備えよ!(株式会社網屋)
株式会社網屋が、2025年11月19日(水)・20日(木)の二日間にわたり開催するオンラインセキュリティイベント「Security BLAZE 2025~天下分け目のセキュリティ戦線に備えよ!~」の、全タイムテーブルが確定したことをお知らせいたします。

中部テレコミュニケーション(ctc)と販売代理店契約を締結 国産SIEM「ALog」で中部地域の法人向けセキュリティ・DX推進ソリューションを強化(株式会社網屋)
株式会社網屋は、KDDIグループとして中部地域で自社光ファイバー網による高速・高品質な通信サービスを提供する中部テレコミュニケーション株式会社と、国産SIEM製品「ALog」およびセキュリティ運用支援サービス「ALog MDR」に関する販売代理店契約を締結したことをお知らせいたします。

「内部不正」の監視をプロに任せる新常識 国産SIEM「ALog」のMDRサービスに『内部不正対策サービス』を追加(株式会社網屋)
株式会社網屋 (東京都中央区 / 以下、網屋 / 東証グロース:4258)は、国産SIEM No.1(※)の「ALog」のマネージド検知・対応サービス(MDR)において、『内部不正対策サービス』の提供を開始しました。


【6】AI川柳
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調和系工学研究室では、毎日新聞社「仲畑流万能川柳」や第一生命保険「サラリーマン川柳」を学習用の教師データとした「AI川柳」に取り組んでいます。

2020年3月までの1年間「NHK総合 ニュースシブ5時」にて、その週の話題のニュースのキーワードをお題に、バーチャルアナウンサー「ニュースのヨミ子」さんが詠んでいたAI川柳も、本研究室が開発した人工知能システムです。
多くの皆さんに楽しんでいただけるよう、2020年6月にAI川柳のTwitterアカウント( https://twitter.com/ai_senryu )を開設いたしました。

AIには詠んだ句に対する「良し悪し」の感覚はありません。そのため、人間がどのように感じ、どのような情景を思い浮かべるかにより、AIが詠んだ句に意味が生じてきます。
AIが詠んだ句に共感していただけましたら大変うれしく思います!

★ お題「秋」(10月29日投稿)

味のある肥えると思うことと秋

秋の豊かな味覚を楽しみながら、つい食べ過ぎてしまう心情(感想は #ChatGPT と作成)。


★ お題「嘘」(10月30日投稿)

生きるって嘘をつくのよまわり道

人間の複雑な生き方を表現。誠実さと弱さの間で揺れる人間らしさがにじむ一句(感想は #ChatGPT と作成)。



【ご寄附のお願い】
人工知能によるイノベーションでより素晴らしい世界を実現することが、私たち調和系工学研究室の使命であると考え日々研究に取り組んでいます。
大学での研究活動には、研究に必要な機器の整備のほかにも、学生の学会への参加や論文投稿など研究費が欠かせません。

私たちの取り組みにご賛同いただけ、応援のご寄附を賜れましたら大変心強く、研究を続けるうえで大きな励みとなります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

調和系工学研究室 教授 川村 秀憲

[北海道大学奨学寄附金制度について](本学への寄附金については、税法上の優遇措置の対象となります)
お問い合わせ先:http://harmo-lab.jp/contact

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

◇ 次号は、2025年11月14日に配信する予定です。
◇ メールマガジンのバックナンバー
 http://harmo-lab.jp/?page_id=2918
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調和系工学研究室教員
川村 秀憲教授
山下 倫央准教授
横山 想一郎助教

調和系工学研究室HP
調和系工学研究室FB
川村 秀憲教授FB
AI一茶くん
調和系工学研究室AI川柳

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