修士論文発表会が行われました

2月7日(水)に修士2年生 3名の修士論文発表会が行われました。

◆ 大倉 博貴

路面画像と気象情報を用いた除雪出動決定支援システムに関する研究
A Study on Decision Support System for Snow Removal Dispatch using Road Surface Images and Weather Information

概要: 本研究では,冬季の積雪地帯における道路除雪業務の重要性とその課題に焦点を当てている.
特に,道路除雪業務が16時から翌日2時までの時間帯の除雪出動の流れにおいて難しさを抱えている.
問題として挙げられるのは,16時の出動判断がその後の天候変化や道路状況によって覆されることが多いことである.
このため,実際の除雪作業員は16時に出動がないと判断された場合でも出動に備える必要があり,これが大きな負担となる.雪見巡回は積雪状況を確認する手段として行われているが,深夜の雪道での走行は危険が伴う.
研究では,Visual analytics を活用し,積雪状況や気象情報を担当者に視覚的に提供することで出動判断の支援を行う.
また,除雪作業員にも情報を共有し,変更される可能性のある出動判断に備えさせる.
定点カメラからのリアルタイムな道路画像の取得と気象情報の収集を行い,これらをシステム上で可視化して担当者の意思決定を補完する.
これにより,雪見巡回の手間を軽減し,効果的な出動判断を促進する.
更に,深層学習を用いた積雪割合推定モジュールの提案や,除雪出動予測機能の検討も行う,これらの取り組みにより,現場の作業員や担当者の負担軽減と,効率的な道路除雪業務の実現を目指す.

― 発表を終えて

学部3年生から調和系工学研究室にお世話になりました。
修士課程から研究内容が変更になり、技術的な問題や不安が多くありましたが、研究室の先生方や先輩方のサポートのおかげで乗り越えることができました。深く感謝申し上げます。今後、新たな困難に直面した際は、ここでの学びを活かして乗り越えます。


◆ 清水 雅之

経路探索のための媒介中心性に基づく道路ネットワーク階層化手法に関する研究
A Study on a Road Network Hierarchization Methods Based on Betweenness Centrality for Route Search

概要:本研究では,ドライバーの細街路に対する選好を考慮した経路探索における道路ネットワークの階層化手法を提案する.
提案手法では,ネットワーク分析の中心性指標の一つである媒介中心性の高いノードを特定して,各階層の非連結なサブネットワークを連結する.
提案手法の有効性を検証するために,複数のドライバーの細街路への選好を用意し,札幌市の中心市街 14km 四方の道路ネットワークを対象とした計算機実験をおこなう.
提案手法および先行手法における経路探索にかかる計算時間と得られた経路のコストを比較した結果,提案手法の優位性が確認された.

― 発表を終えて

研究活動において、ゼミやミーティングなどで助言をくださった先生方、また、論文執筆や発表資料の作成の際に沢山の協力をしてくださった研究室の皆様に心より感謝申し上げます。
修士課程での経験をもとに、これからも精進していきます。


◆ 千坂 知也

代替出勤者の選定業務における依頼順決定方法に関する研究
A Study on Request Order Determination Methods in the Selection Process of Substitute Employees

概要:シフト勤務制の職場における従業員の急な欠勤は業務に支障をきたし,顧客などに対する信頼の失墜などにより,事業そのものに深刻な支障をきたす恐れがある.
このような急な欠勤に対し,管理者は代わりの出勤を他の従業員に依頼し,代替出勤者の選定を行う必要がある.
この代替出勤者の選定業務における従来手法では,代替出勤者の選定後に発生した勤務表制約違反を解消するために勤務表全体を再作成するアプローチがとられてきた.
このアプローチは厳しい勤務表制約条件が課される病院のような職場では有効とされてきたが,管理者は再作成した勤務表を再度全従業員に周知する必要があり,従業員側からしても自分以外の従業員の欠勤により自身の勤務予定が変更される可能性があるため,欠勤者が多発する職場では扱いにくい.
そのため欠勤者が多発する職場では,代替出勤を行っても勤務表制約条件に違反しない従業員を事前に割り出しておき,それらの従業員に対し代替出勤依頼を行う手法がとられている.
この手法では管理者の従業員に対する依頼順が業務の安定性,管理者や従業員の負担に直結する.
以上より本研究では管理者による従業員の代替出勤依頼の依頼順決定方法を提案し,代替出勤シミュレーターを構築して評価を行う.
シミュレーターでは,従業員の休み希望のもと,複数の制約条件に基づき勤務表を作成し,勤務表上で確率的に欠勤を発生させ,管理者による代替出勤依頼をシミュレーションする.
各従業員は管理者からの依頼に対し,確率的に可否を応答するものとする.
本研究ではこのシミュレーター上で複数のパラメータセットに対し,従業員の受諾確率に基づいた方法,各従業員の代替出勤した回数に基づいた方法,代替出勤可能な日数に基づいた方法及び各日の代替出勤候補者に基づいた方法に関して提案,評価を行う.

― 発表を終えて

修論発表では自分の未熟さを痛感させていただきました.
先生方,先輩方には助けてもらってばかりでしたがたくさんのことを学ばせていただきました.
今後,自分の人生を歩んでいくにあたっての大きな財産となりました.
修論発表に向けて手伝っていただいた先生,先輩,同期,後輩の全ての方々に感謝申し上げます.
本当にありがとうございました.

——————————
研究内容にご興味がありましたら、下記フォームからお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ:http://harmo-lab.jp/contact
ご意見・ご感想もお待ちしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。