2023年9月6日(水)~9月8日(金)に大阪公立大学 中百舌鳥キャンパス/オンライン(ハイブリット)にて開催された、「第22回 情報科学技術フォーラム(FIT2023)」に本研究室より、森 雄斗さん(修士2年)、千坂 知也さん(修士2年)、阿部 晃平さん(修士1年)、北野 勇太さん(修士1年)が参加し、各々の研究について発表しました。
[第22回 情報科学技術フォーラム(FIT2023)]◆ 森 雄斗, 横山 想一郎, 山下 倫央, 川村 秀憲, 森 正人 : 前腕支持部の圧力変動による行動推定を用いたロボット歩行器の歩行支援機構の開発
概要:
日本は急速に高齢化が進み、介護人材の不足が深刻な問題となっている。
多くの介護施設では、被介護者の歩行時における自立性を保つために歩行器の使用が推奨されている。しかし、安全性や歩行負荷におけるいくつかの課題があり、それを解決するために現在では、IoTやセンサを用いた歩行器のロボティクス化の研究が進められている。
本研究では、歩行器利用者が前腕支持部にかける圧力の変動を分析し、そのデータが利用者の行動予測にどの程度寄与するかを確認した。そして、行動予測の結果を基にロボット歩行器の新たな歩行支援機構を提案する。
◆ 千坂知也,横山想一郎,山下倫央,川村秀憲 : 代替出勤依頼モデルを用いた依頼順決定手法の複数ラウンドによる評価
概要:
欠勤が多く発生する職場では、欠勤による従業員不足が業務の安定性に悪影響を与えることがある。そのため管理者には、欠勤者の代わりに出勤する従業員(代替出勤者)を選定する負担があり、このことが管理者にとって時間的および精神的な負担につながっている。従来の再スケジューリング問題の研究の多くでは、従業員の勤務可能な時間が事前にわかっている状況に焦点を当てているが,このことは現実の状況とかけ離れているといえる。
本研究では、従業員が管理者からの代替出勤の依頼を受諾する確率が不確かな状況に対処する確率的シミュレーションモデルを構築し,異なる複数の依頼順序を検討する。従業員の依頼受諾確率に基づく3つの依頼順序を提案し、業務の安定性と管理者の負担を従業員の不足数や管理者の依頼回数などの指標を用いて評価する。
本研究は、依頼順序の間に大きな差異が見られるパラメータがある一方で、依頼順の間にほとんど差が発生しないパラメータも存在することを示した。さらに、依頼順序の間で大きな差異が見られた場合、受諾確率が高い従業員の影響が大きいことが明らかになった。
◆ 阿部 晃平, 横山 想一郎, 山下 倫央, 川村 秀憲 : 属性推定を用いた衣服画像ペアの2者間関係を表現するキャプションの生成
概要:
1枚の画像の説明文を生成する従来の画像キャプション生成では,類似した画像に対して汎用的なキャプションを生成することがあり,画像が持つ特徴的な部分を無視してしまうことがある.また,キャプション生成の対象画像以外を考慮できないため,複数画像間の関係を考慮したキャプションを生成できない.そこで,本研究では複数画像の関係を考慮したキャプションの生成に取り組む.
今回はその例として衣服画像を対象とし,2つの衣服画像の関係を考慮したキャプションの生成手法の提案と検証を行った.各衣服画像の特徴を表す属性をキャプション生成に利用することで,2つの衣服画像の関係を考慮したキャプションを生成できたことを確認した.
◆ 北野勇太, 横山想一郎, 山下倫央, 川村秀憲, 伊藤孝行:品詞のパターンマッチングを用いた帝国議会議事速記録における可能表現の自動抽出
概要:
本研究は,57年間にわたる帝国議会議事速記録の口語対話の分析を通じて,議会における議員の可能表現の使用状況の変遷を明らかにすることを目指す.可能表現は,議員が自身の主張を述べる際に頻繁に使用する表現で,議会というこれまでの日本社会には存在しなかった文脈において,大きな影響を受けていると推察される.
本研究では,速記録データを形態素に分割し,文章中の品詞と従来研究における9つの可能表現の区分とのパターンマッチングを適用する手法を開発する.さらに,テキスト化された帝国議会秘密会速記録のデータセットを用いて,開発した抽出手法の精度を検証して,その有用性を示す.
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