合同エージェントワークショップ&シンポジウム2019にてポスター発表を行いました

9月9日~11日に別府温泉 杉乃井ホテルで開催された合同エージェントワークショップ&シンポジウム2019(JAWS2019)(http://jaws-web.org/event/jaws2019/)にて、修士2年の幡本 昂平さんがポスター発表を行いました。

幡本 昂平, 横山 想一郎, 山下 倫央, 川村 秀憲 : 効率的なB2Bオークションメカニズム設計に向けた基礎分析

発表を行った幡本さんには興味をもった研究発表、及び、学会に参加して気づいた問題点と最近の動向についてレポートしてもらいました。

JAWSは日本国内のエージェント関連の研究者が一堂に会する貴重な研究交流の場となっています。

取り扱う内容としては、制度設計から強化学習・シミュレーションまでエージェントが少しでも関わるものなら広く取り扱っています。

私はシミュレーション・オークションメカニズムの設計の研究に関わっているため、今回のJAWSでは自らの発表に加え、それらのトピックに注目して聴講しました。

今回は特にオークション設計に直接関わる研究発表として、「ネットワークオークションにおける戦略的操作不可性かつ非浪費性を満たすメカニズムの設計」: 川﨑岳洋(九州大), 高梨誠之(京都大), 東藤大樹(九州大), 横尾真(九州大)を紹介します。

ネットワークオークションは一般的なオークションと違い、買手間で情報の拡散が行われ、情報を受け取った買手がオークションに参加するというものです。

このオークション形式のもとで、複数同質財(買手にとって同じ性質の商品が複数存在する)の場合に、オークションに参加することで損をしない(個人合理性)・売手の収入が非負(予算非負性)・虚偽の申告に頑健(戦略的操作不可能性)・販売できる財をすべて買手に割り当て可能である(非浪費性)メカニズムを提案しています。

このメカニズム自体を直接私の研究対象であるB2Bブランド品オークションに適用できるわけではありませんが、オークションが満たすべき性質の理論的な解析の事例として非常に参考になります。

また、ネットワークオークションが実際に現実で適用できるのはどのような状況なのかを考えるのも非常に重要だと感じました。

明示的にものを売る場合でないところでも使える状況はあるような気がします。

本学会では、メカニズムデザインの研究に関しては丁寧な理論的解析を行っているものが多く、非常に完成度の高い研究が多いと感じました。

一方でそうした研究は現実の状況をふまえておらず、実際にどこで適用するのかの想定をしていない場合が散見されました。

質疑の中でも実応用としてはどのようなものを考えているのかといったものが多く、たとえ理論研究であっても実応用のことを考えなくてよいわけではないといった雰囲気がありました。

機械学習関連の発表では応用先を含めて説明しているものが多かったため、この流れに乗って私の研究内容であるシミュレーションとメカニズムデザインに関しても、具体的な応用先をイメージして研究をすすめることが求められているのだと思います。(幡本 昂平)