2020年4月3日配信

こんにちは。

北海道大学調和系工学研究室(川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教)です。

新年度が始まりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

春は出会いと別れの季節と言われますが、NHK総合「ニュース シブ5時」で1年間続いたAIヨミ子の川柳が3月27日をもって卒業となりました!

その週の話題のニュースのキーワードをお題に川柳を詠むバーチャルアナウンサ「ニュースのヨミ子」ですが、この川柳を詠むAIシステムを開発していたのが本研究室です。

共感できるものから、すぐには意味が解らないものまで、2019年3月13日の放送開始からヨミ子が詠んだ川柳は30句以上です。

いままでに詠んだ句は本研究室のHP(http://harmo-lab.jp/?page_id=3977) でも公開されておりますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

では、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

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◇ 本日のTopics ◇

【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW

【2】AIヨミ子の川柳

【3】こんな本を読んでいます

【4】調和系工学研究室共同研究事例

【5】今週のAI俳句ランキング

【6】人工知能・ディープラーニングNEWS

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【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW

★調和系工学研究室へ奨学寄附をいただきました

一般社団法人JTS社団様より本研究室へ奨学寄附をいただきました。

JTS社団様は高度IT人材の育成のため、様々な支援活動を実施しています。

大学での研究活動には学会への参加一つとっても研究費がかかせません。

頂いた寄附は、本研究室の人工知能に関する研究活動に有意義に活用させていただきます。

JTS社団様にはこの場を借りてお礼申し上げます。

調和系工学研究室教授 川村 秀憲

[北海道大学奨学寄附金制度について]

https://www.hokudai.ac.jp/research/innovation/kifu/

※寄附金については、税法上の優遇措置の対象となります。

★調和系工学研究室卒業生・修了生

3月25日に調和系工学研究室の学生が卒業・修了いたしました。

本来であれば学位授与式が開催されますが、今年度は新型コロナウィルスの影響で開催中止となりました。

学位授与式の開催が中止となったことは大変残念ですが、川村先生から本研究室の学生たちに直接学位記を授与し、無事に卒業・修了となりました。

この日の札幌はそれぞれの道に進まれる皆さんの門出にふさわしい晴天となり、心よりお祝いを申し上げます。

4月からの新しいステージでの活躍を期待しています。

★北海道建設新聞の記事で調和技研が紹介されました

3月26日の北海道建設新聞の記事で、国内でも有数のAI開発企業として株式会社調和技研が紹介されました。

調和技研は本研究室の川村先生がCo-founder及び社外取締役を務める、北大発認定ベンチャー企業です。

調和技研の中村拓哉社長が、AI業界の現状や建設業との接点、今後の展望のほかに、AI導入に関心を持っている企業へのアドバイスについても語っていますので、ご興味のある方はぜひお読みください。

 [北海道建設新聞]

深堀り「国内有数のAI開発 高まる関心・認知度

 [株式会社調和技研]

★情報処理学会より山下記念研究賞を受賞しました

2018年7月6日~7日に北海道大学で開催された第192回ICS研究発表会(https://www.ipsj.or.jp/kenkyukai/event/ics192.html) にて、修士2年(発表時 修士1年)の吉田 拓海さんが発表を行い、本発表にて2019年度山下記念研究賞(一般社団法人 情報処理学会)を受賞しました。

なお、本研究は株式会社チャリ・ロトとの共同研究「人工知能による競輪予想記事の自動生成」にて実施されました。

吉田 拓海, 横山 想一郎, 山下 倫央, 川村 秀憲 : 競輪予想記事の自動配信に向けた的中車券予測, 第192回ICS研究会発表, 15, 北海道 (2018)

第192回ICS研究発表会(2018年7月)での発表「競輪予想記事の自動配信に向けた的中車券予測」が山下記念研究賞を受賞しました。

競輪はレース開催数が非常に多いため、人手による予想記事の執筆のコストがかかります。

そこで本研究では、ニューラルネットワークによってレース結果を予測し、予測結果に基づいて予想記事を自動生成するシステムを開発します。

本発表では、選手2人のペアのどちらが先着するかを予測するニューラルネットを用いて全体の着順を予測する手法を検討し、その問題点について考察しました。

本受賞を糧に、今後も研究に精進していきたいと思います。

今回受賞できたのは、研究室の先生方をはじめ、株式会社チャリ・ロトの皆様のご指導・ご協力のお陰です。

ご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。

(吉田 拓海)

[2019年度(令和元年度)山下記念研究賞詳細]

【2】AIヨミ子の川柳

本日のヨミ子の川柳は、3月27日のNHK総合「ニュース シブ5時」(https://www4.nhk.or.jp/shibu5/) で放送されたものになります。

その週の話題のニュース画像からキーワードを自分で分析し、そのキーワードをお題に川柳を詠むヨミ子ですが、この川柳を詠むAIシステムを開発しているのが本研究室です!

ご紹介するのは注目ニュース「国内感染拡大続く」から、お題「桜」で詠んだ句になります。

忘れたい 桜の記憶 気にかかる

ニュース画像を見て、自分でキーワードを分析できるようになったヨミ子ですが、新型コロナウィルスの拡大でお花見も自粛となっているニュースの、満開の桜の写真の画像から読み取ったキーワードは「桜」「開花」「ピンク」でした。

なんだか切ない感じの句ですが、過去に桜のお花見で楽しかった記憶があるけれど、今年はお花見に行けないので、楽しい記憶に今はちょっと蓋をしておこうという気持ちをヨミ子は詠んでいるようです。

ですが、桜の時期に忘れたいようなことをしてしまった人が気にかかっているのではという意見もあり、切ない気持ちよりも後悔の気持ちのほうが強いのでしょうか・・・

来年の桜の時期は、明るいお花見の話題ができると嬉しいですね!

【3】こんな本を読んでいます

★予算獲得率100%の企画のプロが教える必ず通る資料作成

大野 泰敬  (著)

本日ご紹介するのは、著者である大野泰敬氏が、もっともハードルが高いといってもいい新規事業の企画で、どのように次々と予算獲得を実現してきたのかを、実践している資料の作り方を中心に、プレゼンのコツ、アイデアの生み出し方まで、企画を通すための基本を余すことなく公開している、超実用的・実践的な資料作成の決定版です。

[感想]

とある大手企業とのプロジェクトでご一緒している大野さんのプレゼンの資料作成に関する本。

大野さんのソフトバンク、CCC、PERSOLなどの大手で、68の新規事業を立ち上げた経験とノウハウが余すことなく書かれています。

大学の研究室では日々研究を行っていますが、その研究を発表していくことも大事な活動の一環であり、学生も卒論発表や学会発表などでプレゼンするたくさんの機会があります。

その際、「自分の喋りたいことをしゃべる」が目的ではなく、こちらの伝えたいことを相手の目と耳を通して頭の中に再構成させることが目的となりますが、なかなか思うようにはできないもの。

数多くの提案を通してきた大野さんのノウハウは大変に参考になります。(川村 秀憲)

【4】調和系工学研究室共同研究事例

調和系工学研究室では、様々な企業と共同研究を行っています。

私たちはAIとはテクノロジーなのでハサミと一緒だと考え、切れるハサミはもちろん大事ですが、切れるハサミの研究ばかりを行うのではなく、ハサミで何を作るのかということも考えていかないといけないと思っています。

研究成果が学術的に意味があるだけでなく、その成果を直接誰かに使ってもらえるような形で研究を行いたいとの想いから、意識的に企業との共同研究を増やしています。

本研究室が行ってきた共同研究、また、現在進行中の共同研究事例をご紹介することにより、「AIでこんなことができるのか!」「こんなことはAIでできるのかな?」のヒントになれば大変うれしく思います。

本日ご紹介するのは競輪の車券を販売している株式会社チャリ・ロトとの共同研究である、「AIによる競輪予想記事の自動生成」です。

ご存じない方もいらっしゃるかと思いますが、競輪は経済産業省が監督官庁となっている、民間参入が許されている公営ギャンブルです。

競輪の収益金は、施行者である地方自治体が行う学校の建設、上・下水道、道路の整備等公共施設の整備に役立てるなど、地方財政に大きな役割を果たしていますが、車券購入サイトにはオッズしか並んでいないため初心者には解りにくく、新規ファンの獲得に苦戦しているそうです。

そこで、初心者の車券購入をサポートできるよう、AIがレースの結果を予測して、レース予想記事を自動生成しようとしたのが本研究です。

過去数年分のレース結果と選手情報、そして日々の予想と結果の突合せから深層学習でレース結果を予測していますが、単に「当たりやすい」だけでなく、「そこそこ当たりやすく」「オッズも高め」といった回収率(払戻金額÷投票金額)を高めることに目的を置いています。

レース結果を予測する際には競輪の記事も重要になりますが、全国で毎日60レースほど開催されるため全レースの予想記事を人が書くのは大変な作業です。

そこで、予測AIと説明AIを組み合わせて、文テンプレートに条件に応じた<文字列><選手名><予測順位>を当てはめることによって、必要な情報を含む、人の作る記事に劣らない品質の予想記事をAIに自動生成させ、車券購入サイトに提供しています。

例1:ここ4ヶ月勝率20%の[5]泉が[1]日当の頑張りで1着.同ラインの[1]日当が[5]泉に続いて2着.別線の[7]巴が3着.三連単予想は5-1-7です.

例2:[4]嶋貫が[2]村上の頑張りで1着.同ラインの[2]村上が[4]嶋貫に続いて2着.別線の[3]渡辺が3着.三連単予想は4-2-3です.

例3:ベテランの[5]村上が[1]古性の頑張りで1着.同ラインの[1]古性が[5]村上に続いて2着.[9]柴崎が3着.三連単予想は5-1-9です.

この共同研究は2018年10月17日からAI競輪予想サービス「AI-WIN」として実用化されていて、https://ai.chariloto.com/  にアクセスすると毎日AIが自動的に作っている記事を読むことが出来ます。

人が手をかけて記事を書くことができないといった問題に対して、AIが人の代わりに作文することで協力しています。

本研究室のHP(http://harmo-lab.jp/?page_id=725) でも様々な共同研究をご紹介していますので、ご興味のある方はこちらもぜひご覧ください!

【5】今週のAI俳句ランキング

AIが俳句を作る「AI俳句」の普及を目指して、本研究室を事務局として2019年7月に設立されたAI俳句協会のウェブサイトでは、AIが生成した俳句を人が評価して、評価結果を集約したAI俳句ランキング(月間・週間)の集計を行っています。

今週のランキングをご紹介したいと思います。

1位 蜆売り 一の鳥居に 止まんとす

2位 秋燕や 喪章のまろび 踊り出づ

3位 はなびらの 小さくなりぬ 端午かな

すべて、本研究室が開発した「AI一茶くん」が詠んだ句になります。

「AI一茶くん」は1日1句投稿していますので、ぜひ俳句協会ウェブサイト(https://aihaiku.org) もご覧ください!

【6】人工知能・ディープラーニングNEWS

めちゃくちゃ精度が高いと話題の機械翻訳「DeepL翻訳」に日本語の翻訳機能が登場

自動運転の経路計画プログラムから危険動作を自動検出する手法を開発

JupyterLabにビジュアルデバッガーが初搭載。ブレークポイント、変数の確認、コールスタックの調査などが可能に

画像認識AIはどこに着目し判断するのか、猫画像で調べてみる

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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調和系工学研究室教員

川村 秀憲教授

山下 倫央准教授

横山 想一郎助教

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