卒業論文発表会が行われました

2月7日(火)に学部4年生 5名の卒業論文発表会が行われました。
皆さんお疲れさまでした。

◆ 阿部 晃平
衣服画像ペアの差異を強調したキャプションの生成に関する研究
A Study on the Generation of Clothing Captions Highlighting the Differences between Image Pairs

概要:1枚の画像を説明する自然文を自動生成する画像キャプション生成への取り組みは近年広く行われているが,従来の手法では類似した画像に対して汎用的なキャプションを生成し,画像が持つ特徴的な部分を無視してしまうことが多い.また,複数画像間の文脈を捉えられず,指定した画像間の差異を考慮したキャプションの生成ができない.そこで,本研究では複数画像の差異を強調したキャプションの生成に取り組んでおり,今回はその最初の取り組みとして2枚の衣服画像を対象とし,衣服画像ペアの差異を強調したキャプション生成手法の提案と検証を行った.本提案手法では,衣服画像ペアの差異について属性を用いて表現し,キャプション生成に利用した.実験では,提案手法の出力キャプションが差異を強調したキャプションとして適切と感じるかどうかについてアンケート調査を行い,提案手法の有効性を確認した.

― 発表を終えて
先生方や先輩方の手厚いサポートのおかげで,卒業論文を無事に終えることができました.今回学んだ事を生かして,今後の修士課程における研究に取り組みたいです.

◆ 阿部 拓真
Octilinear格子を用いたデフォルメ路線図の生成に関する研究
A Study on Generation of Deformed Route Maps using Octilinear Grid

概要:公共交通利用者に目的地までの経由情報などを視覚的に認識しやすい形で示す路線図は,その時々の状況に応じて,路線図の範囲や形状を変える必要性がある.一方で,現状路線図は駅間距離の均等化などによる一覧性の確保と実空間での位置関係の保持の両立が求められることから手作業で作られており,オンデマンドでの生成は実現されていない.こうしたデフォルメ路線図の自動生成に関する研究としてOctilinear格子を用いたLOOM(Line-Ordering Optimized Maps)が挙げられる.本研究では,二地点間の移動において理想的な路線図の形状を検討したのち,提案手法としてLOOMに実座標に着目した事前処理を加え,二地点間における適用結果を比較する.

― 発表を終えて
研究者としては初めての発表でしたが意外と緊張はしませんでした。これは先輩方や先生方の多大なるサポートによるものだと思っております。本当にありがとうございました。この経験を活かし、これからの研究活動を進めていきたいです。

◆ 音喜多 俊平
B2Bオークションにおけるユーザ別入札行動予測に関する研究
A Study on Prediction of Bidding Behavior by User in B2B Auctions

概要:B2Bブランド品オークションは,近年ではインターネットオークションの普及により,1回のオークションで扱われるアイテムの数が増えている.このため,時間的な制約からユーザは全てのアイテムに目を通すことが困難であり,十分な入札が無いままにオークションが終了してしまうアイテムがある.また,主催者はユーザのニーズを把握しきれていないため,最適なスタート価格設定が困難である.本稿では,こうした課題を入札アイテムの推薦や不落札アイテムの推定により解決するためユーザとアイテムの属性,およびユーザの入札履歴などの補助的な関係情報を利用するシンプルな多関係推薦モデルMultiRecを用いたユーザ別入札行動予測システムの利用可能性を検証した.

― 発表を終えて
課題設定や解決のためのアプローチを探る段階で多く苦労しました。教授方の的確な指摘と、プログラミングや論文の書き方について相談を聞いてくださった先輩方のお陰で無事に発表を終えることが出来ました。ありがとうございました。

◆ 北野 勇太
形態素解析を用いた帝国議会議事速記録の変遷に関する研究
A Study on the Transition of the Stenographic Record of the Imperial Diet Using Morphological Analysis

概要:対話形式議事録は,口語での会話内容が記録されており,言語研究において重要な資料となる.対話形式議事録の1つである帝国議会議事速記録は,記録期間が長く分量も多いという特徴があり,近代における言語表現の変化を分析するのに適した資料であるといえる.
このようなテキストデータに対して分析の第一段階である表現抽出を自動で行う手法については知見が少なく,抽出作業のほとんどが手作業で行われているのが現状である.大規模なデータに対して手作業での該当表現の抽出を行うのには多大な労力がかかり,見逃しも発生しやすく,分析を行う上でのボトルネックとなる.
本研究では,抽出段階の自動化を目的とし,可能の意味を表す可能表現について,品詞の組み合わせマッチングによる自動抽出を試みた.さらに,可能表現の出現頻度や変遷と会議の話題の関係性を分析するための先駆けとして,重要単語抽出による話題の自動タグ付けを行った.話題タグの自動付与においては,TF-IDFを用いたシンプルな特徴単語の抽出を試みた.可能表現の抽出においては,文型に注目した品詞のパターンマッチングによる抽出を試みた.

― 発表を終えて
発表にあたり、先生方や先輩方には手厚い支援をいただきました。ありがとうございました。これからの研究活動にこの経験を生かしていきたいと思います。

◆ 竹田 悠哉
深層生成モデルを用いたユーザ意図に基づく衣服画像の生成に関する研究
A Study on Generation of Clothing Images Based on User Intentions Using Deep Generative Models

概要:「かわいい」や「フェミニン」といった,印象を表す抽象的なファッション用語に基づいて,衣服画像の生成や編集をすることで,ユーザ意図の正確な伝達を支援することを目的とした研究.

― 発表を終えて
4年次は授業が(ほとんど)ないので,ゼミなどを除いても週30時間以上は研究に割くことができ,6月ごろに始めたとして約1000時間が研究に充てられる計算になります.プログラミングは得意なつもりでしたし,深層学習の開発経験や論文を読んできた蓄積もあるので,当初はこれだけ時間があればもっとできるだろうと思っていました.しかし実際やってみると,研究ならではの作業や,誰もやっていないことをコンストラクトする難しさ,といった難儀なことも多々あり,首尾よく進まないことも多かったですが,研究の経験を通して色々と勉強できました.そのような詰まったときのご支援や,実装や追試の際のコツ,実験の進め方のノウハウなど,先生・先輩方には色々とご教授いただき,大変お世話になりました.ありがとうございました.

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お問い合わせ:http://harmo-lab.jp/contact
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