こんにちは。
北海道大学調和系工学研究室(川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教)です。
札幌では、落ち葉が舞い始め、雪の日も多くなってきました。いよいよ本格的な冬の訪れを感じます。皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、本日のメルマガでは、横山助教の米国研修レポートの第2回をお届けします。
今回は、訪問先6都市のうち、最初に訪れた首都ワシントンD.C.での所感をご紹介します。
ご興味のある方は、ぜひお読みいただければ幸いです。
それでは、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
2025年11月14日配信
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■ 本日のTopics
【1】ご寄附のお礼
【2】横山助教の米国研修レポート
【3】調和系工学研究室WHAT’S NEW
【4】研究室に関連する企業・ベンチャー等のニュース
【5】人工知能・ディープラーニングNEWS
【6】調和系工学研究室関連企業NEWS
【7】AI川柳
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【1】ご寄附のお礼
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この度、富士通株式会社 様より「次期、研究連携および人材パイプライン強化にむけたリレーション構築」を目的として、多大なるご寄附を賜りましたことに心より感謝申し上げます。
私たちの研究・教育活動にご賛同いただきましたこと、大変心強く、活動を続けるうえで大きな励みとなりました。
ご寄附を賜りました富士通株式会社 様に重ねまして御礼申し上げます。
2025年11月
調和系工学研究室 教授 川村 秀憲
[富士通株式会社]
【2】横山助教の米国研修レポート
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調和系工学研究室 助教の横山です。
米国政府の国際交流プログラムInternational Visitor Leadership Program (IVLP) に参加し、デジタル社会の基盤を支えるサイバーセキュリティとAIの最前線を、米国6都市で見る機会がありました。
前回はプログラムの概要をご紹介しましたが、今回は最初の訪問地であるワシントン D.C. について触れたいと思います。
首都ワシントン D.C. では、行政省庁の政策担当者とのサイバーセキュリティに関する意見交換が中心でした。
人材育成の政策から具体的な運用の悩みまで、参加者各国の現状も率直に共有され、想像よりも生々しい議論が交わされていたのが印象的でした。
AIについてもいくつか示唆的な話題がありました。
特に気になったのは、スキル構造の変化と、人材育成の遅れです。
セキュリティの世界でも、生成AIの影響は既に深刻です。
高校生が生成AIで得た知識で不正アクセスを行った事例など、悪用が増える一方で、防御側も脆弱性診断などをAIで自動化し始めています。
しかし、AIを適切に扱える中堅・ベテラン層は不足し、新人が経験を積むための単純作業は自動化で消えつつあるとのことでした。
本来は大学などの教育機関がその穴を埋めるべきだが、変化への対応が追いついていないという、教員としては耳が痛い指摘もありました。
大学でプログラミングを教えていると、私自身も同じ課題に直面しています。
AIに指示を出せばコードが生成できる時代に、学生に何をどこまで教えるべきか。
以前このメルマガでも触れられていたように、AIが量産するプログラムの候補から実際に使えるものを見抜く力が重要になっています。
今回の議論は、その力を育てる方法を具体的なカリキュラムに落とし込む必要性を改めて感じさせるものでした。
もう一つ印象に残ったのは、アメリカ国外からの参加者の多くがAIインフラの海外依存を非常に気にしているように見えた点です。
生成AIを提供する主要な企業は米国にあり、アメリカ政府はいざとなれば規制や介入が可能です。
しかし、他国の政府機関はその枠外におり、そもそも、自国のサイバーセキュリティにAIを安心して活用できるのか、という懸念が多くの参加者から出ていました。
アメリカ側の担当者も、中国と関係の深い企業が提供する生成AIの使用については、非常に慎重な立場をとっていました。
これは日本にも共通する課題です。
国産LLMの開発の動きもありますが、現状では基盤モデルの多くを海外に依存しているのが実態です。
行政や公共分野で生成AIを活用する際には、技術的な性能だけでなく、サプライチェーンの観点やガバナンスをどう確保するかが問われる局面が今後増えていくと感じました。
次回以降は、ノースカロライナ州やカリフォルニア州など、その他の訪問先での話題を紹介します。どうぞご期待ください。
【3】調和系工学研究室WHAT’S NEW
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◇ 日本経済新聞に川村教授が登壇した「AI利活用セミナー」が紹介されました
2025年11月10日付、日本経済新聞に川村教授が登壇した「AI利活用セミナー」が紹介されました。
「AI利活用セミナー」は、北海道と札幌市の主催で、11月8日に札幌グランドホテルにて開催されました。
川村教授は基調講演で「AIの基礎知識と社会への影響」をテーマに道内の現状と今後の展望についてお話しました。
[AI利活用セミナー]
【4】研究室に関連する企業・ベンチャー等のニュース
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◇ 北海道新聞にて調和技研 代表 中村氏が登壇した「なよろ未来カレッジ」が紹介されました
2025年11月8日付、北海道新聞にて、株式会社調和技研 代表取締役社長 中村 拓哉 氏が登壇した「なよろ未来カレッジ」が紹介されました。
「なよろ未来カレッジ」は、人工知能(AI)をテーマとしたイベントで、10月25日に一般社団法人名寄青年会議所の主催により、駅前交流プラザ「よろーな」にて開催されました。
調和技研 中村氏は、「仲間と働けばまちが変わる」と題し、自社の取り組み等について講演しました。
[株式会社調和技研(北大発認定スタートアップ)]
◇ 文部科学省「アントレプレナーシップ推進大使」にAWL CHRO 土田 美那 氏が任命されました
文部科学省「アントレプレナーシップ推進大使」にAWL株式会社 最高人事責任者 兼 上席執行役員 土田 美那 氏が任命されました。
文部科学省は、希望する全国の小・中学校、高等学校等に、ビジネスや教育現場等で活躍する「アントレプレナーシップ推進大使」(文部科学大臣任命)の派遣を行っています。
本事業の詳細はこちらよりご覧いただけます。
[文部科学省 アントレプレナーシップ推進大使] [AWL株式会社(北大発認定スタートアップ)]
◇ 日本経済新聞にて株式会社Aill(エール)が紹介されました
2025年11月7日付、日本経済新聞にて株式会社Aill(エール)が紹介されました。
記事では、都道府県による婚活支援におけるAIを活用した公的なマッチング事業が特集されています。
その中で、富山県が進める県内企業限定マッチングアプリ開発を株式会社Aillが委託を受けて担当していることが紹介されました。
株式会社Aill(エール)は、企業専用AI恋愛ナビゲーションアプリ「Aill goen(エール ゴエン)」を開発・提供しています。
川村教授は「Aill goen」の開発に携わり、現在、株式会社Aillの社外取締役を務めています。
[株式会社Aill]
[Aill goen]
◇ 週刊新潮にて「Aill goen(エールゴエン)」を取り上げていただきました
2025年10月30日付、週刊新潮にて株式会社Aill(エール)が開発・提供する企業専用AI恋愛ナビゲーションアプリ「Aill goen(エール ゴエン)」を取り上げていただきました。
記事は、デイリー新潮webサイトにてお読みいただけます
https://www.dailyshincho.jp/article/2025/11011040/
「Aill goen」は、共働き・共育ての価値観に賛同し実践する企業を対象とした法人向けマッチングアプリで、現在、1500社を超える企業に導入されています。
ユーザーの本音をAIがヒアリングし、二人のコミュニケーションをアシストする仕組みで特許を取得しています。
川村教授は「Aill goen」の開発に携わり、現在、株式会社Aillの社外取締役を務めています。
[Aill goen]
【5】人工知能・ディープラーニングNEWS
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★ 「赤本AI」爆誕、教学社が実証実験 小論文対策を支援 2026年春に発売へ(itmediaより)
大学入試の過去問題集「大学赤本シリーズ」で知られる世界思想社教学社は、生成AIを活用した小論文の学習支援教材「赤本AI」の実証実験を始めると発表した。11月から実証実験を始め、2026年4月をめどに商品として発売する予定。
★ 万博「null²」館で使用の3Dアバター技術、筑波大が一般公開──スマホスキャン後約5分で完成(ledge.aiより)
★ 社内会議でAIが発言、不在上司の代わりも……ドコモが「会議支援」の新技術(itmediaより)
NTTドコモは11月10日、複数のAIエージェントが人間と同様に会議に参加し、リアルタイムに情報収集・提案したり、上司の代わりに発言するなどして会議を円滑に進める「会議支援エージェントシステム」を開発したと発表した。
【6】調和系工学研究室関連企業NEWS
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★ 生成AIを活用し、初版で完成度90%の設計書を自動生成(株式会社クレスコ)
当社は、生成AIを活用したリバースエンジニアリング(※)高度化を進めてまいりました。
その結果、初版で完成度90%(当社実績)の設計書自動作成を実現。残り10%をエンジニアが仕上げることで、当該作業の大幅な効率化を実現しました。
【7】AI川柳
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調和系工学研究室では、毎日新聞社「仲畑流万能川柳」や第一生命保険「サラリーマン川柳」を学習用の教師データとした「AI川柳」に取り組んでいます。
2020年3月までの1年間「NHK総合 ニュースシブ5時」にて、その週の話題のニュースのキーワードをお題に、バーチャルアナウンサー「ニュースのヨミ子」さんが詠んでいたAI川柳も、本研究室が開発した人工知能システムです。
多くの皆さんに楽しんでいただけるよう、2020年6月にAI川柳のTwitterアカウント( https://twitter.com/ai_senryu )を開設いたしました。
AIには詠んだ句に対する「良し悪し」の感覚はありません。そのため、人間がどのように感じ、どのような情景を思い浮かべるかにより、AIが詠んだ句に意味が生じてきます。
AIが詠んだ句に共感していただけましたら大変うれしく思います!
★ お題「月」(11月5日投稿)
沈む月をじっと見つめて待つ情景に、秋の夜の静けさやもの寂しさがにじみ出ています(感想は #ChatGPT と作成)。
★ お題「ワイン」(11月6日投稿)
軽々しい「ゴメン」では埋められない心の距離感(感想は #ChatGPT と作成)。
【ご寄附のお願い】
人工知能によるイノベーションでより素晴らしい世界を実現することが、私たち調和系工学研究室の使命であると考え日々研究に取り組んでいます。
大学での研究活動には、研究に必要な機器の整備のほかにも、学生の学会への参加や論文投稿など研究費が欠かせません。
私たちの取り組みにご賛同いただけ、応援のご寄附を賜れましたら大変心強く、研究を続けるうえで大きな励みとなります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
調和系工学研究室 教授 川村 秀憲
[北海道大学奨学寄附金制度について](本学への寄附金については、税法上の優遇措置の対象となります)お問い合わせ先:http://harmo-lab.jp/contact
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
◇ 次号は、2025年11月28日に配信する予定です。
◇ メールマガジンのバックナンバー
http://harmo-lab.jp/?page_id=2918
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調和系工学研究室教員
川村 秀憲教授
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▽調和系工学研究室AI川柳
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