川村秀憲著『ChatGPTの先に待っている世界』、最新の人工知能ニュースをお届けします/harmolab129

こんにちは。
北海道大学調和系工学研究室(川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教)です。

今号のメルマガでは、川村教授の著書『ChatGPTの先に待っている世界』より、「第八章 一変する「教育」の風景 人工知能時代に必要な自発的「学び」」の一部を抜粋して紹介します。

第八章では、「人工知能と教育」というテーマを掘り下げていますので、興味のある方はぜひお読みになってください。

それでは、本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。

2024年9月27日配信
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■ 本日のTopics
【1】ChatGPTの先に待っている世界
【2】調和系工学研究室WHAT’S NEW
【3】調和技研エンジニアブログ
【4】人工知能・ディープラーニングNEWS
【5】調和系工学研究室関連企業等NEWS
【6】AI川柳
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【1】ChatGPTの先に待っている世界
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(第八章 一変する「教育」の風景 人工知能時代に必要な自発的「学び」 より一部を抜粋)

◆ 自発的な「学び」が重要に

いまのところ、学校で教えられる科目を勉強することが「学び」とされていて、それ以外の学びは単なる趣味という扱いになってしまっています。しかし、前述したように、これは学びの本質とは異なります。

では、そこに人工知能が入り込んだら、どのようなことが起こるのか。人工知能がさらに進化した世界では、学ぶ意味はなくなるという見方もあるようです。しかし私は、意味を失うのは教育システムであって、個人の自発的な学びは、これまでより重要性を増していくと考えています。

第六章で述べたとおり、私たちの人生は多くの意思決定に満ちています。それらは言ってみれば「多目的最適化問題」であり、私たちは一つ一つ、自分が納得できる意思決定を重ね、自分の人生においてその結果を引き受けていくことが求められます。納得できる意思決定をし、幸せな人生を全とうするためには、多くの指標からいくつかの指標を選び、選択肢が将来どのような結果をもたらすかをできるだけ正確に予測しなければなりません。

今日は何を食べるのか、仕事が終わったら家に帰るのか遊びに行くのか、お金を使うのか貯めるのか、結婚するのかしないのか、勉強するのかSNSで時間をつぶすのか……。これら一つ一つの意思決定が、人生を左右するということを理解しておく必要があります。人工知能が進化しても、意思決定だけは任せることができないというのは前述したとおりです。

多目的最適化問題は多くの場合、問題そのものが不明瞭であり、その目的や指標が何か、それが自分にとってどういう意味を持つのか、将来的にどのような影響を及ぼすのかが未知数です。引越し先の賃貸アパートを決める例で言えば、広さ・家賃・アクセスのほかに、セキュリティやデザインなどを考慮に入れる必要はないでしょうか。さらに考えるべき項目はないでしょうか。また、デザインと一口に言っても、部屋のデザインの良し悪しはそもそも簡単に比較できるでしょうか。

自分が直面している問題がどのようなものであるかを明確に理解するためには、多くの知識と教養が必要になります。例えば、歴史や文学、芸術、技術、科学などの幅広い知識が大いに役立つと考えられます。つまり、自分の対峙する多目的問題の解像度を上げ、よりよい意思決定を行い、人生において後悔しないためには、自発的な「学び」がますます重要になっていくということです。

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続きが気になる方はぜひ本書をお読みいただければありがたいです
[川村秀憲著, ChatGPTの先に待っている世界(dZERO, 2023)]

ご意見・ご感想はこちらからお願いいたします
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【2】調和系工学研究室WHAT’S NEW
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◆ 研究室に関連するベンチャーのニュース

◇ BloombergにてAWL CHRO土田 美那 氏のコメントが掲載されました

2024年8月9日付 Bloombergの「インドAI人材が日本へ、中小企業に関心-円安でも企業文化に魅力」と題した記事にて、AWL株式会社 最高人事責任者 兼上席執行役員 土田 美那 氏のコメントが掲載されました。

AWL株式会社は、インドを含む約20カ国から集まる多国籍なメンバーが、リテール店舗の課題解決、価値向上を実現するためのAIカメラソリューションを開発、提供しています。

[Bloomberg]
[AWL株式会社(北大発認定スタートアップ)]


【3】調和技研エンジニアブログ
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北大発認定スタートアップである株式会社 調和技研は、同社のwebサイトにて、エンジニアによるブログを公開し、AIの最新動向、事例、ノウハウなどを紹介しています。最近の記事をご案内いたしますので、ご興味のある方はぜひお読みになってください。

OpenAIの軽量モデル「GPT-4o mini」を試してみる(9/11公開)
今回の記事では「GPT-4o mini」にいくつかの質問を提示し、同社の他モデルとの違いを比較しています。
#生成系AI #言語系AI # ChatGPT


【4】人工知能・ディープラーニングNEWS
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“AIキャラクターによるゲーム実況”の裏側 バンダイナムコ研究所が解説 AI生成コンテンツの“5つの落とし穴”とは
バンダイナムコ研究所は、ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2024」に登壇し、AI生成コンテンツの利用例について解説した。AIを活用したゲーム実況配信とゲーム内テキスト生成の2つの領域を主に紹介した。

ChatGPTに「o1」登場 じっくり考えて賢さアップ、数学オリンピック予選で8割正答 プレビュー版はきょうから
米OpenAIは9月12日(現地時間)、新たなAIモデル「o1」を発表した。ユーザーの入力に対し時間をかけて考え返答することで、従来よりも複雑なタスクを正しく解けるようになるという。同日から有料のChatGPT Plus、Teamユーザーはプレビュー版が利用可能になる。

Gartner、「生成AIのハイプ・サイクル:2024年」を発表 - 2027年までに生成AIソリューションの40%がマルチモーダルになると予測
ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下Gartner) は、 2027年までに生成AIソリューションの40%がマルチモーダルになる (テキスト、画像、音声、動画など複数のタイプのデータを一度に処理するようになる) との見解を発表しました。

なぜAIに“日本語”を学習させるのか? 35種類のLLMで実験し分析 東工大などが研究報告
第261回自然言語処理研究発表会において、東京工業大学と産業技術総合研究所に所属する研究者らは、大規模言語モデル(LLM)に日本語を学習する効果について実験結果を基に評価した研究報告を発表した。

シャープが“首にかけられる生成AI”開発 NECらも協力、2025年度の実用化目指す
シャープは9月17日、ウェアラブルデバイス「AIスマートリンク」を開発したと発表した。首にかけられるデバイスで、音声によって生成AIとコミュニケーションを取ることが可能。今後、実証実験を進めた上でNECや、音声AIサービスの開発を手掛けるFairy Devices(東京都文京区)と協力し、2025年度中の実用化を目指す。

“学習データも全てオープン”なLLM、NIIが公開 GPT-3級モデルのプレビュー版
国立情報学研究所(NII)は9月17日、パラメータ数約1720億の大規模言語モデル(LLM)のプレビュー版「LLM-jp-3 172B beta1」を公開した。NIIが開発するLLMは、データをフルスクラッチで学習しており、AIモデルの他に学習データもオープンになっているのが特徴。プレビュー版モデルは、学習データの約3分の1までを学習した段階のものになる。

録音→議事録をAIが作成してくれるツール、LINE WORKSから 無料版も用意 「CLOVA Note β」は終了へ
ビジネス版LINEやAIツールなどを提供するLINE WORKSは9月18日、AIを活用した議事録自動作成ツール「LINE WORKS AiNote」を11月下旬から提供すると発表した。文字起こしツール「CLOVA Note β」の正式版として法人向けに機能を強化。音声認識の精度やセキュリティなどが向上したという。

「クリスタの“非公式”画像生成AIプラグインを公開しよう」→Xで批判殺到 セルシスが「配布認めない」と表明する事態に
セルシスは9月20日、イラスト作成ソフト「CLIP STUDIO PAINT」(クリスタ)の非公式プラグインやソースコードに関する声明を発表し、非公式プラグインの配布などを一切認めない方針を示した。セルシスは「プラグインSDK規約では、当社サービス以外でのプラグインを利用する目的での不特定多数への配布は認めていない」と表明している

Google、Geminiと自然な会話が可能な「Gemini Live」を無料提供開始。日本語対応は未定
Googleは、AI音声アシスタント「Gemini Live」の無料提供を、「Android」版Geminiアプリのユーザーに段階的に提供すると発表しました。
英語版「Gemini Live」は、自然な会話でユーザーをアシストできる次世代AI機能であり、今後数週間以内に他のAndroidデバイスやiOS、さらには他の言語にも対応が拡大される予定です。


【5】調和系工学研究室関連企業等NEWS
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★ 海外ビジネスに挑戦する札幌企業~株式会社サンクレエ(株式会社サンクレエ)
https://youtu.be/4w5WLfpIAeE?si=i4Q7ND2g-OlGJCG4
30年以上にわたって製品開発からカスタマイズやサポートを一貫して行っている「サンクレエ」。様々な発想で新しいアイディアを創造し、海外展開をはじめ新たな取組みにも積極的にチャレンジしています。その取組みについて、代表取締役の森正人さんにお話を伺いました。

【北海道新聞】灯油配送効率化 道外自治体が注目 札幌のIT企業のシステム 導入相次ぐ(ゼロスペック株式会社)
札幌のIT企業ゼロスペックが手がける灯油の配送管理システムが、給油網の維持に悩む道外自治体の注目を集めている。

成果報告シンポジウム ~個人及びグループの属性に適応する群集制御~(株式会社グッドフェローズ)
JST未来社会創造事業の「世界一の安全・安心社会の実現」領域 に「ひとりひとりに届く危機対応ナビゲーターの構築」というテーマがあります。2020年に採用された研究課題「個人及びグループの属性に適応する群集制御(研究代表者:西成活裕)」がついに最終年度を迎えます。その成果報告シンポジウムを開催しますのでどうぞご参加ください。

【導入事例公開】網屋で包括的セキュリティ強化を実現(株式会社網屋)
サイバーセキュリティサービスを提供する株式会社網屋(東京都中央区/以下、網屋/東証グロース:4258)は、生活協同組合連合会コープきんき事業連合(大阪府淀川区/以下、コープきんき)に対し、セキュリティ強化支援を実施いたしました。これによりコープきんきは、サイバーセキュリティのPDCA体制を構築し、包括的セキュリティ強化を実現いたしました。

網屋とMS&ADインターリスク総研が業務提携(株式会社網屋)
~網屋のSIEM製品ALogを活用した「クラウドCSIRTサービスセキュサポ」をMS&ADインターリスク総研が販売開始~

知識を武器に、セキュリティの迷宮を攻略せよ!オンラインカンファレンス「Security BLAZE2024」今年も開催決定(株式会社網屋)
サイバーセキュリティサービスを提供する株式会社網屋(東京都中央区 / 東証グロース:4258 / 以下、網屋 )はこの度、2024年11月13日(水)と11月14日(木)の2日間、セキュリティカンファレンス「Security BLAZE 2024~知識を武器に、セキュリティの迷宮を攻略せよ!~」をオンライン開催いたします。

個別事業からグループ横断のDXへ、推進体制を進化させたニチレイ(株式会社ニチレイ)
DX(デジタルトランスフォーメーション)の先進企業は、個別の事業で実施したデジタル化の成果を上手に全社へと展開していることが多い。経済産業省などが発表した「DX銘柄2024」に選ばれたニチレイもこのパターンに当てはまる。


【6】AI川柳
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調和系工学研究室では、毎日新聞社「仲畑流万能川柳」や第一生命保険「サラリーマン川柳」を学習用の教師データとした「AI川柳」に取り組んでいます。

2020年3月までの1年間「NHK総合 ニュースシブ5時」にて、その週の話題のニュースのキーワードをお題に、バーチャルアナウンサー「ニュースのヨミ子」さんが詠んでいたAI川柳も、本研究室が開発した人工知能システムです。
多くの皆さんに楽しんでいただけるよう、2020年6月にAI川柳のTwitterアカウント( https://x.com/ai_senryu )を開設いたしました。

AIには詠んだ句に対する「良し悪し」の感覚はありません。そのため、人間がどのように感じ、どのような情景を思い浮かべるかにより、AIが詠んだ句に意味が生じてきます。
AIが詠んだ句に共感していただけましたら大変うれしく思います!

★ お題「盗塁」(9月20日投稿)
盗塁の回数増える日々を生き
挑戦や成長、そして日常の活力を感じる(感想は #ChatGPT と作成)

★ お題「山頂」(9月24日投稿)
山頂に今年も雪が降るならん
自然の営みとその確かさに対する安心感や期待感(感想は #ChatGPT と作成)



【ご寄附のお願い】
人工知能によるイノベーションでより素晴らしい世界を実現することが、私たち調和系工学研究室の使命であると考え日々研究に取り組んでいます。
大学での研究活動には、研究に必要な機器の整備のほかにも、学生の学会への参加や論文投稿など研究費が欠かせません。

私たちの取り組みにご賛同いただけ、応援のご寄附を賜れましたら大変心強く、研究を続けるうえで大きな励みとなります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

調和系工学研究室 教授 川村 秀憲

[北海道大学奨学寄附金制度について](本学への寄附金については、税法上の優遇措置の対象となります)
お問い合わせ先:http://harmo-lab.jp/contact

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

◇ 次号は、2024年10月11日に配信する予定です。
◇ メールマガジンのバックナンバー
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調和系工学研究室教員
川村 秀憲教授
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