2022年10月14日配信
こんにちは。
北海道大学調和系工学研究室(川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教)です。
北大構内では、木々が色づき始めていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
紅葉を楽しむには、まだ少し早いですが、暑くもなく、寒くもなく、いい時期ですね。
それでは、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
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◇ 本日のTopics ◇
【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW
【2】イベントのご案内
【3】川村秀憲のなるほどAI
【4】学会レポート
【5】ディープラーニング勉強会
【6】調和系工学研究室関連企業NEWS
【7】人工知能・ディープラーニングNEWS
【8】AI川柳
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【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW
★ 日経MJに川村教授の連載コラム「川村秀憲のなるほどAI」の第4回が掲載されました
2022年10月5日の日経MJに川村教授の連載コラム「川村秀憲のなるほどAI」が掲載されました。
第4回は「人の会話を読めることが目標」と題し、今まで1億句以上の俳句を生成している「AI一茶くん」についてのお話です。
メルマガでもその内容を詳しく紹介させていただきます。
★ 読売新聞「エウレカ!北大」にて川村教授のインタビューを掲載いただきました
2022年10月5日の読売新聞「エウレカ!北大」にて川村教授のインタビューを掲載いただきました。
AI俳句をはじめ、本研究室で行っているその他の研究や、川村教授の生い立ちなどが紹介されています。
また、修士2年の平田航大さんが川村教授はどんな人なのかを話してくれています。
★ NoMaps Conference 2022 「サッポロミライナイト」特別編に川村教授がゲスト出演します
2022年10月19日(水)にNoMaps Conference 2022 「サッポロミライナイト」特別編に川村教授がゲスト出演します。
「ヒトとデジタルが共存するミライ ~スタートアップが目指すべき市場とは~」と題したセッションにおいて、AIスタートアップ企業の選考事例や、スタートアップ企業が目指すべきAIビジネスの方向性について紹介する予定です。
日時:2022年10月19日(水) 15:30~16:30
会場:オンライン(視聴には事前登録が必要です。)
参加費:無料
ゲスト:川村秀憲教授
三浦世子氏(北海道コカ・コーラボトリング株式会社 新領域デザイン室 室長)
主催:STARTUP CITY SAPPORO
共催:NoMaps実行委員会
詳細は以下をご確認ください。
https://no-maps.jp/2022/program/19b1530/
★ 研究室に関連する企業・ベンチャーのニュース
◇ 北海道新聞にてAWLが「NASAスペース・アップス・チャレンジ」に参加したことを取り上げていただきました
2022年10月4日の北海道新聞にて、株式会社AWLが「NASAスペース・アップス・チャレンジ」に参加したことを取り上げていただきました。
「NASAスペース・アップス・チャレンジ」はNASAイノベーションプログラムの一環として開催されているNASA公式の国際的なハッカソンです。
[NASA Space Apps Challenge][AWL株式会社]
◇ 北海道大学関西同窓会会報にAWLのCHRO 土田美那氏の寄稿文が掲載されました
北海道大学関西同窓会会報 「Be ambitious」 87号に、AWL株式会社最高人事責任者(CHRO)の土田美那氏が寄稿した「Dots somehow connect your future~点と点が未来の線になっていくような」が掲載されました。
土田氏の生い立ちから現在に至るまで、そしてこれからのAWLについても言及されています。
また、多くの方との出会いや交流の中で、本研究室の川村教授のお名前も出てきます。
寄稿文は下記よりご覧いただけます。
[Dots somehow connect your future]
[AWL株式会社]
【2】イベントのご案内
★ NoMaps×スタートアップスタジオ協会×北海道庁のコラボイベント「NoMaps for Students Pitch 2022」が開催されます
2022年11月5日(土)に、北海道在住、もしくは北海道にゆかりがあり、起業に関心のあるU25の若者向けのサイドイベント「NoMaps for Students Pitch 2022」が初開催されます。
固定概念に囚われない学生の立場だからこそ生まれる事業アイデアによって、エンジェル投資家、VC、スタートアップスタジオにプレゼンテーションし、チャンスを掴み取りませんか。
ピッチに登壇できるのは、事前に行われる「起業ゼミ」または「Brush Up!」のいずれかに参加して出場権を獲得した人だけです。
詳細は下記よりご確認ください。
https://no-maps2022.tilda.ws/
■選考プログラム1「起業ゼミ」
対象者 :北海道在住、もしくは北海道にゆかりがあり、起業に関心のあるU25の若者(高校生・大学生等)
参加枠 :最大20名(先着順)
開催日時:1回目 10/16(日)19:00-21:00(仮説レクチャー、仮説組み立て作業)
2日目 10/23(日)19:00-21:00(検証レクチャー、検証作業)
3日目 10/29(土)19:00-21:00(検証結果レビュー、ピッチレクチャー)
場所 :全てオンライン
■選考プログラム2「Brush Up!」
対象者 :北海道在住、もしくは北海道にゆかりがあり、すでに事業アイデアがある方
参加枠 :最大4名(選考あり)
開催日時:10/27(木)19:00-21:00
場所 :オンライン
■NoMaps for Students Pitch 2022
【予選】
対象者 :「起業ゼミ」参加者が出場可能
開催日時:11/5(土)10:00-12:00
場所 :SAPPORO Incubation Hub DRIVE
【本選】
対象者 :予選を勝ち抜いた3-4名と「Brush Up!」の上位者
開催日時:11/5(土)13:00-16:00
場所 :SAPPORO Incubation Hub DRIVE
■主催
一般社団法人スタートアップスタジオ協会、北海道
■協力
・株式会社ガイアックス
・SAPPORO Incubation Hub DRIVE
・NoMaps実行委員会
・札幌・北海道スタートアップ・エコシステム推進協議会
・STARTUP CITY SAPPORO
・HSFC(北海道未来創造スタートアップ育成相互支援ネットワーク)
・Social Change Lab
・一般社団法人未完
■問い合わせ先
スタートアップスタジオ協会北海道 川口
yuri.kawaguchi@startup-studio.jp
【3】川村秀憲のなるほどAI
人の会話を読めることが目標
「AI一茶くん」、1億句以上の俳句を生成
今回は私達の研究室で行っている「人工知能(AI)俳句」の研究について紹介したいと思います。ここではその名の通り、AIに俳句を生成させることを目指しています。人が詠んだ俳句を教師データとして用い、ディープラーニング(深層学習)に様々な工夫を加えることで徐々にAIで俳句を生成できるようになってきました。私たちは「AI一茶くん」と名付けて研究を進めています。
最初は小林一茶の俳句をひらがなにして学習させるところから始めました。
「かおじまい つきとにげるね ばなななな」
最初の作品はこのような意味不明のものでした。そこから、漢字まじりの現代俳句およそ40万句を教師データに用い、様々な工夫を重ねたAIに学習させて生成した俳句が次です。
「宙吊りの東京の空春の暮れ」
なかなか味わい深い俳句になっているのではないでしょうか。現在、AI一茶くんによってこのような俳句を1億句以上生成しています。これまでの研究ではそれなりの俳句を生成するところまで来ています。一方で、AIによって良い俳句を選句させるという研究が難航しています。人にとっては俳句を詠むことは難しくても、好きな俳句を選ぶことは気楽にできるのではないかと思います。
しかし、面白いことにAIにとってはその難易度が逆転してしまいます。計算機パワーによってたくさんの俳句を生成することはできるのですが、AIは人生経験に照らして俳句の意味や意義などを理解できないため、俳句の価値をちゃんと評価できないのです。
私たちの研究の究極のゴールは句会にAI一茶くんを参加させることです。句会では、人がそれぞれ匿名で俳句を出し合い、選句して優秀句を決めます。その後、作者を明かし、批評しあってお互いの価値観を確認したり、より良い句にするためのアドバイスを行ったりします。句会に参加したAIが、AIと見破られないレベルまで高められたら良いと思っています。
そのためにはAI一茶くんは人と同等のレベルの俳句を詠むだけでなく、人の俳句を評価し、また批評できなければなりません。
この研究はAI一茶くんの俳句のレベルを上げることそのものが目標ではなく、それぐらいのレベルで言葉を扱うことができれば、AIが人の話を理解して対等に会話することが実現できるのではないかと考えています。また、人の心を打つキャッチコピーを作ったり、曲に素晴らしい歌詞を付けられるようになったりするかもしれません。人の価値観に沿った言葉で相互作用できるAIを実現することが真の狙いです。
句会にAIを参加させる意義を考えることで、AIが人とどのように関わっていくべきなのかという哲学的な問の答えを探す手がかりとなると思っています。
これから本格的に社会の中でAIの活用が進んでいくと思います。その応用範囲も、私たちの趣味や娯楽だけではなく、産業や医療、教育、そして兵器などにも及んでいくでしょう。AIをどういう存在とするのか、人とどういう関係性を築いていくのかの答えはAIには出せません。人が考えるべき問題であり、私たちの問題でもあります。
「AI一茶くん」が俳句を作る
さみだれや 貝がらなどの 跡すこし
梅ひらく 朝の水まだ 冷えていて
【4】学会レポート
2022年9月23日~25日に中国で ”2022 5th International Conference on
Artificial Intelligence and Pattern Recognition (AIPR2022)”が開催され、修士2年の鐘支俊さんがオンラインで参加し、 下記の発表を行いました。
Zhijun Zhong, Soichiro Yokoyama, Tomohisa Yamashita, Hidenori Kawamura, Yoshimi Sato, Rei Hasegawa, Miyuki Hirasawa: Estimation of Bus Passenger Attributes Using Swin Transformer, The 5th International Conference on Artificial Intelligence and Pattern Recognition (AIPR), Xiamen, China, September (2022).
発表概要:バス内のカメラで撮影され匿名化された乗客画像から、乗客の属性を認識するアルゴリズムを提案しました。札幌市内を走行する路線バスに設置されたデジタルカメラにより、数千枚の画像を含む実バス乗客データセットを収集し精度の検証を行いました。Swin Transformer を用いた提案アルゴリズムにより、ほとんどの属性カテゴリで85%以上の高い精度を達成し、実用化の可能性が示されました。この研究成果を応用することにより、バス路線の利用客の内訳を詳細に分析し、より使いやすいバス路線の計画に役立てることが期待されます。
[AIによるバス車内状況の分析]学会の様子等を鐘さんがレポートしてくれましたので、ご紹介させていただきます。
―最近の動向について
人工知能や深層学習技術の実用化に関する研究が多いという印象を受けた。物体検出技術でタバコのブランドの認識に関する研究や、モデルを軽量化する手法についての研究、CNNに基づく農作物病害虫の認識に関する研究、深層学習を用いた運転手の注意を追跡するシステム開発に関する研究など、数多くの発表があった。
―学会に参加して気づいたこと
自分に割り当てられたセッション「Image Processing Technology and Method」は、画像処理技術に関する研究のセッションのため、参考になる発表が多かった。例えば、画像解像度を上げる手法に関する研究や、画像輝度を補正する手法の提案、GANによる画像の霧除去手法に関する研究など非常に勉強になった。こういった画像処理手法を使えば、自分の研究における問題も解決できるかもしれないと、考えさせられた。
― 自身の研究に関連する発表について
Session 17: Image Processing Technology and Method; Paper ID: SP038;
Author: Feng Hu (Autonomous Vehicle Software, NVIDIA, USA);
Title: Non-intrusive Automatic 3D Gaze Ground-truth System
Abstract: This paper proposes a non-intrusive automatic 3D ground-truth data collection system for large scale on bench and in car data collection, using gamified camera calibration, occlusion invariant mirror-based camera localization and noise-robust 3D reconstruction algorithms.
運転手の注視方向を監視することで運転手の注意を追跡する機能は、最新のDriver Monitoring Systemの最も重要な機能の1つであった。深層学習に基づく視線推定に関する研究は、近年盛んに行われている。モデルの精度を向上させるには、何百万の学習画像が必要されている。そのため、論文が上記の非侵入型自動3D ground-truthデータ収集システムを提案した。
実用性が高いDriver Monitoring Systemを開発したり、安全運転の確保するために運転手の注意を追跡する手法を研究したりすることは、自分の研究に近く、興味深い発表であった。
研究内容にご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ:http://harmo-lab.jp/contact
【5】ディープラーニング勉強会
調和系工学研究室ではディープラーニングの最新の知識共有を目指し、毎週ゼミを実施しています。
担当学生がトップカンファレンスから自分の興味のある論文について発表し、意見交換をしながら進めています。
本研究室HP( http://harmo-lab.jp/?page_id=1194 )には過去の発表に使用したスライドも公開していますので、ご興味のある方はぜひそちらもご覧ください。
ArcFace: Additive Angular Margin Loss for Deep Face Recognition from harmonylab
公開URL:https://arxiv.org/abs/1801.07698
論文紹介スライドURL: https://www.slideshare.net/harmonylab/arcface-additive-angular-margin-loss-for-deep-face-recognition
出典:Jiankang Deng, Jia Guo, Niannan Xue, Stefanos Zafeiriou : ArcFace: Additive Angular Margin Loss for Deep Face Recognition, Proceedings of the IEEE/CVF conference on computer vision and pattern recognition (2019)
概要:顔認識のための畳み込みニューラルネットワーク(DCNN)の課題は識別力を高める適切な損失関数を設計することです。本論文では、顔認識のための識別性の高い特徴量を得るために、Additive Angular Margin Loss (ArcFace)を提案します。一般的な顔認識ベンチマークから1兆ペアの大規模データセットなどを用いて、最先端顔認識技術との比較実験を行いました。結果は、従来手法を凌駕する精度を持つことが明らかになりました。(博士1年 森雄斗)
【6】調和系工学研究室関連企業NEWS
★ 「HOSPEX Japan 2022」への出展について【R4.10.26~R4.10.28】(株式会社サンクレエ)
★ スクリエが「酸蝕症歯科健診AI」で基本特許技術を取得 AIが労働者の口腔画像を解析し(株式会社スクリエ)
【7】人工知能・ディープラーニングNEWS
★ 自らを“人間”と認識しているメタのAIチャットボットに、人間がインタビューしてみた結果
★ 日本語の指示からプログラム自動生成「AI programmer」登場 C++とHTMLで試してみた
★ Google、文章から動画を生成するAI「Imagen Video」を紹介 Metaに続き
★ 最強将棋AIが新境地へ、DeepMindのAI「AlphaTensor」が50年以上停滞していた行列乗算アルゴリズムの改良に成功
★ Learning on the edge
A new technique enables AI models to continually learn from new data on intelligent edge devices like smartphones and sensors, reducing energy costs and privacy risks.
【8】AI川柳
調和系工学研究室では、毎日新聞社「仲畑流万能川柳」や第一生命保険「サラリーマン川柳」を学習用の教師データとした「AI川柳」に取り組んでいます。
2020年3月までの1年間「NHK総合 ニュースシブ5時」にて、その週の話題のニュースのキーワードをお題に、バーチャルアナウンサー「ニュースのヨミ子」さんが詠んでいたAI川柳も、本研究室が開発した人工知能システムです。
多くの皆さんに楽しんでいただけるよう、2020年6月にAI川柳のTwitterアカウント( https://twitter.com/ai_senryu )を開設いたしました。
AIには詠んだ句に対する「良し悪し」の感覚はありません。そのため、人間がどのように感じ、どのような情景を思い浮かべるかにより、AIが詠んだ句に意味が生じてきます。
AIが詠んだ句に共感していただけましたら大変うれしく思います!
★ お題「宇宙」(10月4日投稿)
不思議だな宇宙にどんな国がある
今日から10日までは「国連世界宇宙週間」ということで、「宇宙」をお題にAIが一句
宇宙にまだ発見されていない惑星があり、そこに見知らぬ国があったとしたら・・・。
映画みたいですね。
★ お題「旅行」(10月11日投稿)
結局は旅行に出ないことにして
「全国旅行支援」が始まりましたね。お得だけれど、予約が大変そう・・・。
【ご寄附のお願い】
人工知能によるイノベーションでより素晴らしい世界を実現することが、私たち調和系工学研究室の使命であると考え日々研究に取り組んでいます。
大学での研究活動には、研究に必要な機器の整備のほかにも、学生の学会への参加や論文投稿など研究費が欠かせません。
私たちの取り組みにご賛同いただけ、応援のご寄附を賜れましたら大変心強く、研究を続けるうえで大きな励みとなります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
調和系工学研究室 教授 川村 秀憲
お問い合わせ先:http://harmo-lab.jp/contact
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
◇ 次号は、10月28日に配信する予定です。
◇ メールマガジンのバックナンバー
http://harmo-lab.jp/?page_id=2923
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調和系工学研究室教員
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山下 倫央准教授
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