2022年6月24日配信

こんにちは。
北海道大学調和系工学研究室(川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教)です。

梅雨真っ只中ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
北海道も「蝦夷梅雨」と呼ばれる天候で、曇りや雨の日が続いています。
スッキリとした青空が恋しいです。

では、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

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◇ 本日のTopics ◇

【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW
【2】「月刊 教育家庭新聞 教育マルチメディア号」掲載記事
【3】第8回「Sapporo mirAI nITe」後編
【4】ディープラーニング勉強会
【5】調和系工学研究室関連企業NEWS
【6】人工知能・ディープラーニングNEWS
【7】今週のAI俳句ランキング
【8】AI川柳

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【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW

★ 「調和技研×AIの旗手」に川村教授の対談が掲載されました

北海道大学発AIベンチャーである株式会社調和技研では「調和技研×AIの旗手」と題し、大学教授をはじめとする、AI研究の第一線で活躍する方々と調和技研社員が対談する企画をスタートさせました。
第1回は川村秀憲教授と研究開発部の小潟(但野)友美氏の対談です。
「研究と社会との接点」や「AIと人との調和」について語られています。

対談記事は下記にてご覧いただけます。
https://www.chowagiken.co.jp/news/20220615-2/

[株式会社調和技研]

★ 「ビジネス+IT」にAI俳句に関する川村教授の記事が掲載されました

オンラインメディアである「ビジネス+IT」に「『AI vs 人』の俳句対決 川村教授が説く 『AIは芸術家になれるのか』」と題した記事が掲載されました。
AIに俳句を詠ませるプロジェクトである「AI一茶くん」を通し、人と調和するAIシステムについて川村秀憲教授が解説しています。

[「AI vs 人」の俳句対決] (閲覧には会員登録が必要です。)

[ビジネス+IT] [AI俳句協会]

★ リアルコンピューティング社のカタログに本研究室からのコメントが掲載されました

リアルコンピューティング株式会社の2022年度カタログに調和系工学研究室が寄せたコメントが掲載されました。
下記よりご覧いただけます。
http://www.realcomputing.jp/5422/

本研究室でもリアルコンピューティング株式会社のRC GPU Server nami4II を3台用いて、深層学習の計算をおこなっています。

[リアルコンピューティング株式会社]


★ 研究室に関連する企業・ベンチャーのニュース

◇ 株式会社クレストがAWLと事業提携を開始しました

LMIグループ株式会社および子会社株式会社クレストがAWL株式会社と事業提携の開始を発表しました。

事業提携により、小売業界に対して店舗づくりから効果測定に役立つ取得データの提供・分析を行う株式会社クレストと、小売業界向けに店舗課題の解決を促すデータ取得サービスを提供しているAWL株式会社の技術を組み合わせることで、小売業界における「データを活用した施策づくり」に向けたデータ取得方法の幅が拡大します。

[株式会社クレストが小売業界向けにエッジAIカメラソリューションを提供するAWL株式会社と事業提携を開始]

[LMIグループ株式会社]

[株式会社クレスト]

[AWL株式会社]

◇ AWLが内閣府・内閣官房が推進する「地方創生テレワーク推進運動 Action宣言」を行いました

AWL株式会社が内閣府・内閣官房が推進する「地方創生テレワーク推進運動 Action宣言」を行い、受理されました (https://www.chisou.go.jp/chitele/sengen/company/777.html)。

「地方創生テレワーク」は内閣府地方創生推進室/内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局が行っている、ICT(情報通信技術)を活用し時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方をすることにより、多様な形で地方の活性化に貢献しようとするものです。

[内閣府 地方創生テレワーク] [AWL株式会社]

【2】「月刊 教育家庭新聞 教育マルチメディア号」掲載記事

2022年6月6日発行の「月刊 教育家庭新聞 教育マルチメディア号」連載コーナー「ICTキャンパス」に掲載された川村教授の記事をご紹介します。

企業と連携してAI研究 成果を社会に還元

― 産学連携によって想定外の成果も

北海道大学大学院 情報科学研究院 川村秀憲教授は、企業などと連携して人工知能に関わる研究を行っている。また研究成果を活かした地域創成も推進している。
産学連携や地域創生を進めている背景について、川村教授は「もともと工学に関する研究は最終的に社会実装し、社会の役に立つことで初めて評価されるものと考えていました」と話す。

近年の人工知能分野の研究においては、アメリカ主導の傾向が加速している。さらに、研究成果はソースコードまでもが公開されていることも多い。
川村教授もグーグルが作ったディープラーニングのプラットフォームや公開データを使い研究を進めることがある。
しかし、そうすると公開されたソフトやデータに、少しだけ自分たち独自のものを付け加えて研究を進めることになる。
北海道大学をはじめとしたほとんどの大学は、自前のデータや実装先は持ちあわせていない。そのため、川村教授は大学の研究室が独自の研究を行うためには、企業や地域との連携が不可欠と考えている。
「企業からデータや課題をいただくことで、大学の研究室では思い付かなかった研究成果が出ることもあります。これは工学研究を進める上で、学術的にも意義深いものとなっています」(川村教授)

― 学術研究だけでは存在意義が問われる
これまで、多くの産学連携による共同研究を行ってきた。その中から3つの事例を紹介する。

◆ AIを搭載した歩行器の自律走行
介護現場の負担軽減を目指し、自律走行可能な歩行器を開発している。
歩行器の前方に取り付けたステレオカメラの画像をAIが処理し、対象物との距離を測定することにより空間を認識する。
さらに、シングルボードコンピュータ(一枚の基盤に必要最小限の部品を付けたコンピュータ)を搭載して、歩行器の自律走行を実現させた。これにより、介護者が歩行器を利用者のところまで運ぶ負担が軽減される。
また、小型タブレットを搭載し、目的地への経路を利用者に提示する機能も持つ。
(札幌に本社を置く株式会社サンクレエとの共同研究)

◆ AIによるバス車内状況の分析
バス車内の状況や乗客の行動をリアルタイムで検知し、安全で快適なバスの運行に役立てる。
車内に設置したカメラで収集した車内画像を、ディープラーニングで学習したモデルを使用して、乗客の不用意な行動をリアルタイムで検知し、注意喚起を行う。
また、スーツケースの有無などの判定により、海外旅行客が乗車したと認識した場合は、車内アナウンスを日本語のほかに英語や中国語などでも自動的に流す。
(札幌に本社を置く株式会社シーズ・ラボとの共同研究)

◆ AIによる競輪予想記事の自動生成
AIが競輪レースの結果を予測し、予想記事を自動生成するものだ。
過去のレース結果と選手情報から、ディープラーニングでレース結果を予測する。
さらに、AIが出した予測や判断結果を組み合わせることで、文章テンプレートに「選手名」や「予測順位」を当てはめて、自動で予想記事を生成する。2018年10月からAI競輪予想サービス「AI競輪」として実用化している。
(東京・五反田に本社を置く株式会社チャリ・ロトとの共同研究)

「大学はこれまでのように学術的な研究を追求するだけでは存在意義が問われる時代になってきています。国からの予算だけではなく、産学連携やスタートアップの創出をとおして自前で研究費を稼ぎながら、幅広く基礎研究から応用研究までをカバーし、その成果を社会に還元する循環を作る必要があります」(川村教授)

こうした循環をとおして、大学、地域、企業、社会がともに良い方向に向かうエコシステムを構築していく考えだ。

掲載紙:月刊 教育家庭新聞 教育マルチメディア号 (教育家庭新聞社)
記事:蓬田修一

【3】 第8回「Sapporo mirAI nITe」後編

札幌は昔も今も、これからのミライもITの本場でありたい。
そんな想いから2021年度はたくさんの情報をお伝えするため、さっぽろのITの「イマ」と「ミライ」を知る、「Sapporo mirAI nITe」が開催されました。
各セッションでは、AIやAR/VRなど先端技術やユニークなビジネスアイディアを持つ企業と札幌市における様々なITの取り組みを紹介しました。
その最終回の配信が4月7日(木)から始まりました。(https://www.youtube.com/watch?v=ixi8xCBzepk

最終回は「ヒトとAIが共存するミライ~札幌AIラボ 令和3年度最終講義~」と題し、川村教授が講義者となり、聞き手に北海道コカ・コーラボトリング株式会社 成長戦略策定室室長 三浦世子氏をお迎えし、一般財団法人さっぽろ産業振興財団 IT産業振興課長 佐々木諭志氏の進行で行われました。
今回は後編のお話をメルマガでも紹介させていただきます。

― 「AI・人工知能」に「心」ができる日がくるか?

三浦  最初に「知能とは?」というお話をいただきましたが、知能の部分と心の部分というのが、AIにもできてくるのではなかという期待を抱いているのですが、知能だけではなく、心、例えば先生は本を出されているかと思うのですが、その中で心を扱われていますが、その辺はいかがでしょうか。

川村  正直、取っ掛かりも見えないくらい難しい領域だと思います。人工知能は生きているわけではないですし、体を持っているわけでもないですし、生存していくために食べるわけでもないと考えると、全然人間とは違うわけですよね。その中で人が持っているような心や、意識が持てるのか。そもそも原理的に持てるのかという議論が人工知能の分野では昔からなされていました。よくあるのは、先ほどのGPT-3がReddit (レディット)に繋がって、人の相談を受けていても、誰も気づかなくて、人と同じように考えているし、人の気持ちを理解しているじゃないかと表面的には見えるかもしれない。でも中身を開けてみると計算式しか入っていない。それは果たして人の気持ちを理解できるのかというような論争が昔から何度もなされてきていて、蓋を開けてみたら数式しかないんだから、人とは違うじゃないかという言い方もあれば、人から見たときに見破られないんだから、それはもう心を持っていると言ってもいいのではないかと言う人もいる。「知能がある/ない」の、二元論で区別しがちなのですが、僕は、ちょっと違ったことを思っています。最近の色々なサービスでいうと半分ロボットで、半分人かもしれないように、これはどちらなんだろうということもあり得るんですね。その境目がよくわからない。例えば、スマホを使ったサービスで、「人と会話をしてくれるロボットです」と紹介されたとします。色々な会話をするんだけれど、実はロボットと言っているのは、同じサービスを使っている、反対側も人だったということもあるかも知れないですよね。それが、一人の人に繋がっているのであれば、ロボットだと思っていたら人と話していたということになりますが、アプリを使っている全員と繋がっていて、その時誰と繋がっているのかもわからないけれど、人のデータを使っているというようなこともありえますよね。そのようなことをイメージしていくと、「心がある/ない」、「意識がある/ない」というように、「ある/ない」で言ってしまうのは、ナンセンスなのではないか。昔から似たような議論で、意識をもって、知能をもって考えて話していると、その中で人の脳細胞の一つを例えばディープラーニングじゃないですけれど、機械に置き換えるということはできますよね。もちろん、生物学的な、医学的な意味で1個取り換えられるかというと、簡単ではないですが、思考実験と言いますけれども、同じような機能を持った機械に1個の部品を置き換えることはできる。たぶん、脳細胞の1個をその部品に置き換えたとしても全体の動作としては、人と変わらないですよね。では、1個ではなく2個置き換えたらどうなるのかというと、変わらない。というように、1個ずつ全部置き換えていって、最後まで置き換えたときに、それは生き物の意識を持っているのか、持っていないのかということになる。実際に脳細胞の幹細胞を持ってきて、それを培養液の中で培養して、その細胞に電気信号を入れたり、出したりしてあげる電極をつけて、テレビゲームのブロック崩しみたいなゲームをやらせるということを実験したグループがいます。これはとてもすごいプレーができるまでにはいかないのですが、ちゃんと培養した脳細胞に刺激をやり取りして、ゲームができるようになっています。イーロン・マスクのニューラリンクという会社は脳の中に電気信号を取り出すディバイスを埋め込んで、脳の中から発生する電気信号で機械を操作しようということを、実際に研究しているんですね。そうすると考えるだけで、ゲームができるというような技術も実際にできつつあるわけです。もう境目がわからなくなってきているんです。テクノロジーとして、そもそも曖昧なので、純粋に今のコンピューターだけの考えで「意識がある/ない」みたいなことを議論してもしょうがないんじゃないかなと思います。

その中でも、今できること、最初の一歩として何ができるのかということを考えたいので、AIに俳句を詠ませるという研究をしているわけです。

― 「AIと俳句」とは?

三浦  面白い俳句など出てきましたか。

川村  過去の人が詠んだ俳句をたくさん学習させて、ディープラーニングを使って、俳句をつくらせるわけですよね。そうすると機械なので、寝ずに、365日、24時間つくり続けられるので、いくらでも数ができるんですね。1億句以上実際につくったのですが、それだけつくると、中には俳人の方々から「これすごく良いじゃない」や「これすごく面白い」と言われるのもあります。一方で、良いものをどうやって選ぶのかという話になると、そこがやはり難しいんですね。俳句でも、音楽でも「作曲してください」や「俳句を詠んでください」と言われると「いやいや、できません」と、多くの人は言うと思うのですが、みんな音楽を聴いて、「この音楽好きだな」や「この音楽良い」と、評価は簡単にしますよね。俳句もプレバトというテレビで芸能人が俳句を詠んでいるのを見て、「直した方がいい」と評価したり、「いいね」と共感したりは、みんな簡単にやるんですよね。ところが、AIにやらせようとすると、そちらが全然できないんです。

三浦  確かに難しいですよね。言葉として間違っていないですもんね。

川村  俳句は人生経験の中でしみじみと、「これはいいな」というように、人生とリンクして言葉の意味というのは解釈されるわけですよね。もしくは、芸術的な意味で「響きがいい」や「心地いい」など。AIは少なくとも人生経験が今のところないわけですよ。

三浦  「しみじみした」や、日本でいう「わびさび」みたいな部分をAIは持っていないということですか。

川村  現状は、そこをどうやって理解やAIが扱える問題として定義していくのかというところを考えていかないと、応用に繋がりません。そのために、僕自身俳句は全くできないんですけれども、俳句を詠んでいる人たちが何を考えているのか、俳句を詠んでいる人たちが、どうやって俳句を鑑賞しているのか、何にこだわっているか、そういうところを様々な切り口からディスカッションしています。もし、「そういうことを考えるのか」、「そういう観点だったのか」というように、みんな俳句を学んでいくんだったら、それをディープラーニングの問題に再現できるのではないか。そのようなことを考えながら、「AIと俳句」という組み合わせの研究をやっています。僕らも答えがわからず、日々勉強ですね。

― 「AIと俳句」のきっかけ

三浦  でも、なぜ俳句だったんですか。

川村  たまたま知り合いのふとした思い付きだったんでしょうね。雑談の中で「AIに俳句ってつくらせられるのか」という会話になったんです。それを聞いたときに、AIに俳句をやらせるということは、AIが乗り越えるのが難しいと議論されてきた多くの課題に繋がってくるので、それを考えるのにいいきっかけになるんじゃないかと思いました。それで、そのアイディアいただきっていうことで、始まったのが「AIと俳句」の研究だったんです。最初の「知能とは何なのか」と考えた問題は、かなり漠然としていて広いじゃないですか。そこを具体的に考えるのは難しいけども、「俳句」という例を通して、漠然とした難しい問題を、少しずつ小出しに切り出しながら、わかりやすく考えようというのが、「AIと俳句」の組み合わせの研究だと思っています。

三浦  絶妙な組み合わせだなと思いました。小説は前からAIにやらせてみようというのはあったと思うのですが、やはり「俳句を詠む」や「心を理解する」は、「日本人らしさ」「~らしさ」というのに通ずるものがあるじゃないですか。すごく絶妙な色々なものがそこに入っている気がして、非常に楽しみですね。

川村  これ、面白いのは、AI研究者として僕らも色々ディスカッションするんですけれども、俳人の方々がすごく面白がってくれて、「AIに俳句をつくらせるって何か意義があるのか」、「AIが理解できると何か意義があるのか」という話から、俳人の方々は「なんで俺たちは俳句を詠むのだろう」と。

三浦  哲学の問いですね。

川村  俳句をやる方々も、これを通して色々考えてくれていまして、そのようなことについては、本にしています。「人工知能が俳句を詠む」は僕らAI研究者が俳句をつくるということに対して何を考えているか、人工知能の歴史はどうなっているのか、人工知能にとって何が難しのかということを、我々の目線からまとめた本です。もう1冊は最近出た本で、「AI研究者と俳人 人はなぜ俳句を詠むのか」ということでAI研究者と俳人の対談です。私と番組を通して知り合いになった若手の新進気鋭の俳人で大塚凱さんという方がいるのですが、その大塚さんと一緒に「AIと俳句」について語り合った対談をまとめたものでして、mirAI nITeの話題にも挙がった「知能とは何か」、「人はどうしていくべきか」など、そのようなことも含めて俳句を広く色々な視点からディスカッションしているので、ご興味のある方は、ぜひ読んでいただければと思います。

― 「ヒトとAIが共存するミライ」は訪れるか?

佐々木  最後に、今回は「ヒトとAIが共存するミライ」というタイトルで行っていますが、今研究の最中だとは思いますが、ずばりそのような未来は訪れるんでしょうか。

川村  私の研究室は「調和系工学研究室」という名前が付いていまして、意味は、「人とAIが共存するということ」だと思っているんです。冒頭に三浦さんから、「AIはもしかしたら人の脅威になるかもしれないというイメージがあった」というお話もありましたが、僕自身、AIと人がバッティングするというか、問題として勝ち負けが決まって、正解不正解が決まるような問題は、人とAI、どちらが行ったら精度が高いかということになると思います。AIの方が精度が高く、上手にできるというのであれば、そこは入れ替わっていくと思います。一方で人が生きていく社会の中で、地域の中で、世界の中でとなったときに、そういう勝ち負けで決まらない、そもそも答えがないような問題の方がたくさんあるような気がするんです。人はなぜ会話をするのかって、そこに意義はないわけですね。でも話すということで安らぎが得られたり、学びがあったりするかもしれない。実際に社会生活の多くは、人との関わりの中で営まれるとすると、そこに人を排除してAIというのは・・・。例えば、今日は3人で楽しく話していますが、2人がAIになっていたとすると意味がなくなってくるわけですよね。AI脅威論もあるんですけれども、僕自身は多くのことは人がいないと意味がないことの方が多い気がしていて、その中でAIが上手に振舞えるかどうか、便利に振舞えるかどうかということ。だから脅威になるとか、AIが負ける、人が負ける、勝ったとかそういうことではなく、やはりお互いなくてはならないような存在になっていく。人にとってもAIがあるからもっと便利になったり、ゆとりが持てたり、もっと豊かになれたり、自分の好きなことに時間が使えたり、そのようになっていく。そうすると「ヒトとAI」というのは、共存して調和していくというのは、僕からすると自然な未来ではないかと思います。ただ、それを実現するためには、色々考えなければならないことや、研究しなければならないこともあるので、そういうことを引き続きやっていきたいと思います。(完)

【4】ディープラーニング勉強会

調和系工学研究室ではディープラーニングの最新の知識共有を目指し、毎週ゼミを実施しています。
担当学生がトップカンファレンスから自分の興味のある論文について発表し、意見交換をしながら進めています。
本研究室HP( http://harmo-lab.jp/?page_id=1194 )には過去の発表に使用したスライドも公開していますので、ご興味のある方はぜひそちらもご覧ください。

[紹介論文]
MLP-Mixer: An all-MLP Architecture for Vision

公開URL:https://arxiv.org/abs/2105.01601

論文紹介スライドURL:https://www.slideshare.net/harmonylab/mlpmixer-an-allmlp-architecture-for-vision-251865239

出典:Ilya Tolstikhin, Neil Houlsby, Alexander Kolesnikov, Lucas Beyer, Xiaohua Zhai, Thomas Unterthiner, Jessica Yung, Andreas Steiner, Daniel Keysers, Jakob Uszkoreit, Mario Lucic, Alexey Dosovitskiy : Mlp-mixer: An all-mlp architecture for vision, Advances in Neural Information Processing Systems 34 (2021)

概要:最近の画像処理分野ではCNNやVision Transformerのようなネットワークが人気です。この論文では、多層パーセプトロン(MLP)のみで作成したアーキテクチャ”MLP-Mixer”を提案します。MLP-Mixerは2種類のレイヤーを保持しており、チャネルとトークン(位置)をそれぞれ別のMLPで学習します。このモデルは画像分類ベンチマークにおいて、事前学習と推論コストが最新モデルに匹敵するスコアを達成しました。(博士1年 森雄斗)

【5】調和系工学研究室関連企業NEWS

★ 北海道ガス、新札幌駅周辺でエネルギー利用をAI管理
★ クラウド型セールス・マーケティング支援ツール「サスケ」が「名刺ソナー」との連携を開始
★ 「ROBOT TECHNOLOGY JAPAN 2022」に出展

【6】人工知能・ディープラーニングNEWS

★ 学習データ作成時間を75%削減 NEC、AI画像認識において新たな対象物を簡単に追加登録できる技術を開発
★ AIが信号機を自律操作 交通渋滞の軽減を目指す 英国の研究チームが技術開発
大量の実画像データの収集が不要なAIを開発
A neuromorphic computing architecture that can run some deep neural networks more efficiently
東京大学らがAIと人工嗅覚センサを利用した呼気による個人認証の原理を実証 偽造できない生体認証技術実現へ期待
★ 人工知能に意識が宿ったと公表したGoogleの社員が停職処分に
グーグルのAIが「感情をもった」とする主張を巡る議論は、本質的な問題を覆い隠す危険性がある
★ GitHub、AIプログラミング機能「Copilot」の一般提供開始 月額10ドル
動画の雑音をほぼ消す技術、米国などのチームが開発 声のみが強調されすぎてアフレコみたいな結果に

【7】今週のAI俳句ランキング

AIが俳句をつくる「AI俳句」の普及を目指して、本研究室を事務局として2019年7月に設立されたAI俳句協会のウェブサイトでは、AIが生成した俳句を人が評価して、評価結果を集約したAI俳句ランキング(月間・週間)の集計を行っています。

今週のランキングをご紹介したいと思います。

1位  かたつむり水の上より陽をつかむ

2位  稲のかげめでたき人の力かな

3位  少年の乱れて見ゆる雲雀かな

すべて、本研究室が開発した「AI一茶くん」が詠んだ句になります。

「AI一茶くん」は1日1句投稿していますので、ぜひ俳句協会ウェブサイト( https://aihaiku.org ) もご覧ください!

【8】AI川柳

調和系工学研究室では、毎日新聞社「仲畑流万能川柳」や第一生命保険「サラリーマン川柳」を学習用の教師データとした「AI川柳」に取り組んでいます。
2020年3月までの1年間「NHK総合 ニュースシブ5時」にて、その週の話題のニュースのキーワードをお題に、バーチャルアナウンサー「ニュースのヨミ子」さんが詠んでいたAI川柳も、本研究室が開発した人工知能システムです。
多くの皆さんに楽しんでいただけるよう、2020年6月にAI川柳のTwitterアカウント( https://twitter.com/ai_senryu )を開設いたしました。
AIの中には詠んだ句の良し悪しはないためそれを良いと思うのは人間の側で、そう思うことで初めてAIの詠んだ句が意味を持つのではないでしょうか。
AIが詠んだ句に共感していただけましたら大変うれしく思います!

★ お題「親切」(6月13日投稿)
親切という表現の無限大
一人ひとりが、小さな親切を重ねていけば、それは無限に広がりますね。

★ お題「歯」(6月16日投稿)
健康も一緒に生きて歯とともに
「国民皆歯科検診」が検討されていますが、歯の健康は本当に大切ですよね。

★ お題「節電」(6月21日投稿)
節電に驚かされたことがない
いつも節電を意識していれば、電力不足も乗り切れるかな・・・。

【ご寄附のお願い】

人工知能によるイノベーションでより素晴らしい世界を実現することが、私たち調和系工学研究室の使命であると考え日々研究に取り組んでいます。
大学での研究活動には、研究に必要な機器の整備のほかにも、学生の学会への参加や論文投稿など研究費が欠かせません。
私たちの取り組みにご賛同いただけ、応援のご寄附を賜れましたら大変心強く、研究を続けるうえで大きな励みとなります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
調和系工学研究室 教授 川村 秀憲

[北海道大学奨学寄附金制度について](本学への寄附金については、税法上の優遇措置の対象となります)
お問い合わせ先:http://harmo-lab.jp/contact

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
◇ 次号は、7月8日に配信する予定です。
◇ メールマガジンのバックナンバー
http://harmo-lab.jp/?page_id=2923

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