2021年3月19日配信
こんにちは。
北海道大学調和系工学研究室(川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教)です。
札幌は最低気温が0度を上回るようになり、根雪が終わるのももうすぐですが、皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか。
様々なメディアで取り上げていただいているのでご存じの方もいらっしゃると思いますが、本研究室ではAI俳句について研究しています。
この度、オーム社よりAI俳句について本を出版することになりました。
店頭に並ぶのは夏ごろになりますが、本号からその内容を少しずつご紹介していきたいと思います!
では、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
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◇ 本日のTopics ◇
【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW
【2】人工知能が俳句を詠む(仮)
【3】こんな本を読んでいます
【4】イスラエルにおける新型コロナウイルスのワクチン接種現地レポート・その3
【5】AI川柳
【6】今週のAI俳句ランキング
【7】人工知能・ディープラーニングNEWS
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【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW
★調和系工学研究室へ奨学寄附をいただきました
株式会社クレスコ様より本研究室へ奨学寄附をいただきました。
株式会社クレスコ様はコンサルティングから開発、運用・保守までをワンストップで提供し、付加価値の高いソリューションとサービスを実現する企業です。
2012年に技術研究所を設立し、2014年には先端技術事業部を立ち上げ、AI(人工知能)など先端技術を利活用したサービスの事業化を推進しています。
2020年には、本研究室の川村教授がCo-founder及び社外取締役を務める、北大発認定ベンチャー企業である株式会社調和技研との間で、資本業務提携契約を締結し、AI関連のビジネスを展開しています。
大学での研究活動には学会への参加一つとっても研究費がかかせません。
「次世代を担う人材育成の支援およびAI(人工知能)技術に関する研究の促進」を目的として頂いた寄附は、本研究室の人工知能に関する研究活動に有意義に活用させていただきます。
株式会社クレスコ様にはこの場を借りてお礼申し上げます。
調和系工学研究室 教授 川村 秀憲
[日本赤十字社および北海道大学への寄付実施に関するお知らせ] [株式会社クレスコ] [北海道大学奨学寄附金制度について]★「コロナ禍を越えて~サッポロミライナイトvol.2~」にて川村教授が登壇します
2021年3月19日(金)にオンラインで開催される、さっぽろ産業振興財団主催「コロナ禍を越えて~Sapporo mirAI nITe(サッポロミライナイト)vol.2~」にて、本研究室の川村教授が登壇します。
「サッポロミライナイト」は札幌におけるIT産業の取り組みを国内外に広くPRし、首都圏企業と札幌IT企業とのビジネスマッチングを目指したイベントです。
今回は新型コロナウイルス感染症対策として開発されたソリューションが、テレビ東京系「ワールドビジネスサテライト」をはじめとするニュース番組や全国紙の誌面を飾った、「北大発スタートアップ企業」の取組について語られます。
ご興味のある方はぜひご参加ください。
[Sapporo mirAI nITe (サッポロミライナイト) vol.2詳細]日時:2021年3月19日(金)19:00~20:30
会場:YouTube ライブ配信(オンラインイベント)
参加費:無料
定員:事前登録制となります
申込方法:下記 URL よりお申込みください。 開催当日に、登録メールアドレス宛に YouTube ライブ配信の URL をお送りいたします。
https://docs.google.com/forms/d/15rmpdmQgE7JK3la3siQtEetHqru-1LX4s55REcNeb7g
★好書好日でAI俳句について取り上げていただきました
ライフ&カルチャーを楽しみたい人におくる、人生を豊かにする本の情報サイト「好書好日」にて、AI俳句について取り上げていただきました。
2018年2月のNHK番組「超絶凄ワザ!」にてAIと人類の俳句対決が行われましたが、その時に人類代表としてAIに勝利した、俳人の大塚凱さんがインタビュー形式でAI俳句について述べています。
人間とAIの類似点と違う点、AI俳句の課題など、俳人の視点から語られていますので、ご興味のある方はぜひお読みください。
好書好日
[AIが人間以上の俳句を作って、選句もできる時代になる!? 俳句AI「一茶くん」のいま]★社会システムと情報技術研究ウィークにて発表を行いました
3月6日(土)~9日(火)にハイブリッドで開催された社会システムと情報技術研究ウィーク(RST2021)( http://www.ai.comp.ae.keio.ac.jp/rst2021/index.html )にて、本研究室から2名の学生が発表を行いました。
久保田 遼裕, 横山 想一郎, 山下 倫央, 川村 秀憲, 弓崎 潔, 佐藤 好美 : メトリックラーニングを用いたOD推定システムの開発, 社会システムと情報技術研究ウィーク(RST2021), SAI5, ハイブリッド開催(オンライン/虻田郡留寿都村)(2021)
柳 公人, 横山 想一郎, 山下 倫央, 川村 秀憲: 着衣人物画像に対する印象推定を用いた衣服推薦システムの開発, 社会システムと情報技術研究ウィーク(RST2021), SAI6, ハイブリッド開催(オンライン/虻田郡留寿都村)(2021)
発表を行った久保田さんには興味をもった研究発表、及び、学会に参加して気づいた問題点と最近の動向についてレポートしてもらいました。
M2の久保田です。
2021年3月6日に開催された社会システムと情報技術研究ウィーク(RST2021)の社会システムと知能合同研究会(SIG-SAI)のセッションにて発表してきました。
今回はオンラインと会場のハイブリット開催でした。
その中から「新型コロナウイルスの感染状況に伴うTwitter上の変化」、井原史渡、岸本大輝、栗原聡(慶応義塾大学理工学部)について紹介します。
この研究では新型コロナウイルスの第1波から第3波までについてTwitterを分析したところ、投稿頻度・リツイート量の低下から、人々の関心が薄れていっていることがわかったとのことです。
セッションとしては、分析結果や開発について運用方法にもう一歩踏み込むことが大事だと感じました。(修士2年 久保田 遼裕)
★第201回知能システム研究発表会にて発表を行いました
3月9日(火)にオンラインで開催された第201回知能システム研究発表会にて、本研究室から5名の学生が発表を行いました。
今原 智広,横山 想一郎,山下 倫央,川村 秀憲:ロードヒーティング制御に向けたセマンティックセグメンテーションによる路面画像の積雪状況認識, 第201回知能システム研究発表会, オンライン(2021)
小林 直也,横山 想一郎,山下 倫央,川村 秀憲, 関屋 英理子, 杉浦 仁志:料理レシピの構造化による家庭料理の食品ロス削減に向けた献立作成手法の提案, 第201回知能システム研究発表会, オンライン(2021)
椿 康平,横山 想一郎,山下 倫央,川村 秀憲:遺伝的アルゴリズムによる灯油配送計画の最適化, 第201回知能システム研究発表会, オンライン(2021)
西 佑希,横山 想一郎,山下 倫央,川村 秀憲:深層強化学習による自動運転車両の円滑な追い越しの実現, 第201回知能システム研究発表会, オンライン(2021)
平田 航大,横山 想一郎,山下 倫央,川村 秀憲:単語の分散表現を用いた俳句における取り合わせの評価手法, 第201回知能システム研究発表会, オンライン(2021)
発表を行った平田さんには、学会に参加して気づいた問題点と最近の動向についてレポートしてもらいました。
最近はコロナの影響もあり、学会がオンラインで開催されることが増えました。
今回参加したRST2021はルスツリゾートでの現地開催とオンラインでのハイブリット開催でしたが、我々は全員オンラインでの発表をさせていただきました。
オンラインでの発表であっても、ほかの大学から参加されている先生方からの質問や貴重なご意見をいただきました。
今後の研究に生かしていきたいと思います。
今回発表させていただいたセッションは、我々以外の発表者がおらず、ほかの方の発表を聴講することができませんでした。
今後学会に参加させていただいた時には、ほかの方の発表を聴講し、自分達の研究に生かしていきたいと思います。(学部4年 平田 航大)
★研究室に関連する企業・ベンチャーのニュース
『AWL札幌本社開設について日本経済新聞で紹介』
3月16日(火)の日本経済新聞で、AWL株式会社の札幌本社開設について取り上げていただきました。
札幌市内のオフィスを本社に格上げし、東京との2本社体制に移行することにより、優秀な海外人材を札幌に集結させてシステム開発機能を高めます。
アウルは2016年創業で、札幌オフィスは17年に開設し、北海道でAI開発を行っている特異な会社として、札幌市や北海道など地域からの後押しを受けられるようになりました。
今後は研究開発だけでなく、法務や人材開発などの機能も充実させていきますので、引き続き、応援をよろしくお願いいたします。
日本経済新聞
[アウルも本社、札幌にオフィス開設の流れ加速] [AWL株式会社]『AWLがYouTubeで紹介』
YouTube「勝手に広報チャンネル」で、AWL株式会社を取り上げていただきました。
川村教授とAWL代表取締役社長兼CEOである北出氏との出会いから創業期の話や、サービス、特徴などが丁寧に調べられており、とてもわかりやすい広報になっています。
YouTube
[勝手に広報チャンネル]『AWLがAI分野にてEY Innovative Startup 2021を受賞』
EY新日本有限責任監査法人が主催する「EY Innovative Startup 2021」は、今後著しい成長が期待されるホットトレンド12分野において、イノベーションを推進するスタートアップ企業を表彰する制度で、AWL株式会社が、AI分野にてEY Innovative Startup 2021を受賞しました。
EY Innovative Startup 2021
[AI映像分析でリテールを未来のカタチに]【2】人工知能が俳句を詠む(仮)
この度、調和系工学研究室のこれまでの俳句人工知能「AI一茶くん」に関する研究成果、ストーリーを本にまとめる機会をいただきました。
技術的詳細の説明だけではなく、人工知能に興味がある方にも俳句に興味がある方にも読んでいただけるような内容を心がけ執筆しました。
オーム社より7月発売予定ですが、「AI一茶くん」の研究を始めた経緯や人工知能と創作について、人工知能を実現する技術やその未来についてなど、メールマガジンの読者の方にはいち早く内容をご紹介していきたいと思いますので、こちらを読んでいただき、発売を楽しみにしていただけましたら大変うれしく思います。(川村 秀憲、山下 倫央、横山 想一郎)
[第1章 人工知能が俳句を詠む日]「人工知能に俳句を詠ませることは出来ますか?」
二〇一七年春、出張中の電車の中だったと思いますが、スマートホンのメッセンジャーを通して知人から問いかけがありました。問いを発した知人は研究者ではなく、意味深な問いというよりふと心に浮かんだちょっとした疑問だったのだと思います。ですがこの問いの中に、長年の人工知能に関する研究分野の中で議論されてきた、多くの未解決課題が凝縮されている気がしてハッとさせられました。
この瞬間から、私たちの果てしない人工知能と俳句の研究が始まりました。
人工知能と俳句の研究を始めるに当たり、考えなければいけないことはたくさんあります。今の人工知能の基礎技術であるディープラーニングでは、例えば人がつくったお手本となるデータを教師データとして、大量の教師データからその判断を学ぶことによって性能を向上させていきます。俳句を生成する人工知能を開発していくためには、お手本となる俳句そのもののデータはもちろんですが、何をテーマにして詠んだ俳句なのか、どのような心情が詠まれているのかなど様々な観点からの大量のデータが必要になります。特に、俳句の善し悪しを学ぶためには、俳句の評価に関する教師データが必要不可欠となります。しかし、古典や現代俳句を含めて俳句そのものはたくさんありますが、人が他の人の詠んだ俳句を読んだ時にどう思うのか、どう評価するのかという大量のデータはほとんどありません。
そこで、研究のはじめの一歩として、データ収集をたくさんの人に協力してもらうことを考えました。毎年十月に札幌で行われているNoMapsというおあつらえ向きのイベントがありました。NoMapsはテクノロジー、クリエイティブ、文化に関するイベントです。ここでデモを公開することによって俳句の「いいね」を集め、市民参加型で人工知能を育ててもらうプロジェクトとして考えたのです。こうして、俳句を生成する人工知能を「AI一茶くん(坊や)」と名付け、二〇一七年夏に研究を開始しました。
ちょうど私たちが一茶くんの開発を進めながら四苦八苦していた頃、NHK(日本放送協会)のディレクターから突然一本の電話がかかってきました。
「超絶 凄ワザ!という番組で人工知能と人類の俳句対決を行います。ついては人類最強チームを準備するので、それを倒せる人工知能を準備してもらえないでしょうか。撮影は三ヶ月後です。」
一茶くんが俳句対決?しかも人類最強チームと三ヶ月後に?私たちがこの突然の申し出にどれほど驚いたかは想像に難くないと思います。
三ヶ月で人類と対決するような俳句を生成する人工知能が開発できるのか。恥をさらす結果になってしまわないのか。非常に悩みましたが、せっかくの大舞台でのオファーです。どこまでできるかは全くわかりませんでしたが、「なんとかなるだろう」と楽観的にオファーをお受けすることにしました。
私たちが挑戦を受けると返答したあと、参考までにその時点での一茶くんで生成した俳句として「かおじまいつきとにげるねばなななな」をお送りしたところ、局内で随分と不安の声があがったそうです。今はもう笑い話ですが。
さて、このような経緯でNHK「超絶 凄ワザ!」での俳句対決が決まりました。対決方法は「写真で一句」の三番勝負。
こうしていよいよ勝負の数週間前になり、事前にお題となる写真が私たちの手元に届きました。お題の写真は、「紅葉」、「花火」、「蛙」の三点でした。これまでに開発した二つの機能を用いて、この三点の写真に合わせて勝負俳句を決めていかなければなりません。しかし、この時点で一茶くんには大きく欠けているものがありました。それは、最終的に勝負に勝てるような素晴らしい一句を選句するという機能です。
ただ、この時に選句の機能が実現できなかったのは決して時間が足りなかったからではありません。そもそも俳句を生成することに比べて、俳句の評価を行うこと、素晴らしい俳句を選句するということが人工知能にとってとても難しいことなのです。一茶くんはコンピュータープログラムなので、一日におよそ百万句を生成することができます。これだけ大量に生成すると、稀だとしても中には素晴らしい俳句も含まれることがあります。コンピューターならではの力技ですが、そのようにして素晴らしい俳句を生成することはできます。
一方で、その中から良い俳句を選ぶためには、人のように俳句を理解できなければなりません。写真と相性の良い俳句を選ぶということで、お題にあった写真を選別するところまではなんとかできましたが、最終的に一句に絞るほど高精度に俳句を評価することはできませんでした。
そこで、最後の勝負句を選ぶために人の手を借りることにしました。そもそも、最終段階で人の手を借りるということは始めから想定していたことでもあります。俳句を生成するということは三ヶ月でなんとかなると思っていましたが、良い俳句を選句するという課題を解決するためには何年もかかって研究する必要がある。それくらい難易度が高いということは、初めからわかっていたことです。
三ヶ月の突貫工事で取り組んできた人工知能による俳句プロジェクトの結果ですが、この時点ではなんとか人類最強チームと勝負ができる、それなりの俳句ができたのではないかと手ごたえを感じていました。この中から議論を重ね、最終的に「花火師や夜の刻刻の勢を見て」、「旅人の国も知らざる紅葉哉」、「又一つ風を尋ねてなく蛙」という三句を勝負の場に持って番組収録に臨むことにしました。
さて、気になる勝負の様子、そして勝負の結果ですが、そちらは後の章で詳しく述べたいと思います。
【3】こんな本を読んでいます
★起業の天才! 江副浩正8兆円企業リクルートをつくった男
大西 康之 (著)
本日ご紹介するのは、ネット時代の到来を予見し、コンピューターとそれを操れる人材に猛烈に投資。日本型経営を断固拒否し、才能とモチベーションを極限まで引き出す「仕組み」を構築したリクルート創業者、歴史から葬られた「起業の天才」江副浩正の真の姿です。
[感想]
誰でも知っている大企業のリクルート。
その生い立ちは理系大学の就職の古い仕組みと情報の非対称性がきっかけでした。
前半はネットが普及する前に如何にして江副さんが情報ビジネスを立ち上げ、日本中に展開していったのか、疾走感のあるストーリーが続きます。
江副さんのビジネスセンスと当時の時代背景が絶妙に噛み合い、リクルートはどんどんと大きくなっていきます。
特筆すべきは、江副さんの組織の作り方、人の扱い方。
リクルートは個人個人に判断と権限が移譲され、自分で考えて新しいことを立ち上げる集団、まさにティール組織として知られています。
江副さんの時代を読むセンス、そしてどのようにして江副さんによってティール組織としてのリクルートが作られていったのか、その現場を垣間見ることができます。
後半は、日本の大企業の社長や政治家との関わり、リクルートコスモスの成功と凋落、そしてリクルート事件の全貌について重い話が続きます。
日本のバブルに踊らされた時代の一つの象徴であるリクルート事件を経て、今のリクルートがあるということは感慨深いものがあります。
江副さんの起業のストーリーとしても、当時の日本を知るという意味でも、またリクルート事件というベンチャーとメディア、検察とが交差したダイナミクスの一つの例としてもとても興味深い本でした。(川村 秀憲)
【4】イスラエルにおける新型コロナウイルスのワクチン接種現地レポート・その3
新型コロナウイルスのワクチン接種が日本でも始まりましたが、すでに接種が進められている国も多くあります。
その中で、人口あたりの接種回数が最も多い国がイスラエルです。
このたび、INSIGHT LAB株式会社が配信しているメールマガジン「ISLイスラエルニューズレター」をシェアしていただけることになりました。
INSIGHT LABは本研究室の川村教授が技術顧問を務める、データとデータ技術を活用して企業や社会のDXを実現していくITソリューションカンパニーであり、イスラエルにも支社があります。
イスラエル在住で、「ISLイスラエルニューズレター」のライターを務める中島直美さんは、川村教授とも交流があり、イスラエルのAIビジネスのスタートアップ事情にもとても詳しい方です。
イスラエルで中島さんが体験した、新型コロナ予防接種現地レポートはとても興味深い内容ですので、前編に続き後編をご紹介したいと思います!
「コロナ予防接種 現地レポート」後編
私が選択した予防接種会場は、隣町の市役所前の広場に簡易設置された可動式のプレハブ小屋。
小屋の入り口には誘導係がいて、接種に来た人に名前と予約時間を聞きながら表にペンでチェックを入れています。
ここはいきなり、ものすごいアナログなんですね。(誘導係には個人のデータにアクセスする権限がないのかな?それとも単に会場の広さとか動線の問題?)
私の名前も無事に表から見つけられチェック。
「呼ばれるまでここで待ってて」と、外で待機。
5分も待たずに名前が呼ばれ、小屋に入りました。
名前を聞かれ、本人確認。
健康維持機構のカードを機械に通して、熱は38℃以下か、今までに予防接種でアレルギーなどが起きたことはないか、この1週間に他の予防注射をしていないか、そして「右と左どっちがいい?」の質問を受け、いざ、注射。
「ちょ、ちょっと待ってください!あの、注射打ってる時に、セルフィー撮っていいですか?」日本の家族にも知らせたかったし、この投稿のためにも、絶対に写真を撮りたかったので勇気を出して言いました。
「いいわよ、ぜひ撮りなさい」と、いやな顔一つせず二つ返事の看護師さん。
「準備できたら言ってね」。でも、普段セルフィーなんて撮り慣れないし、利き手は注射のために動かせないし、恥ずかしさも相まって、全然画面が決まらない。
「いいわよ、ゆっくりいい角度みつけて」なんて応援されると、もっと焦ってしまって、携帯を横にしたり縦にしたり…。
もう、焦りが最高潮に来てなんとなく何かが写っていれば良いのでは?という気になる私。
焦りまくって「あ、ほら、こんな感じで、準備、できました」と言ったら、「ダメよ、そんなの。全然決まってないじゃない」と、看護師さんからのまさかのダメ出し。
「ちょっと、あなた、手空いてるんだから、こっち来て彼女の写真撮ってくれる?」と、たまたま手の空いていた隣の机の看護師さんを、小屋中に響く大声で呼んでくれました。
医療用手袋をゴミ箱に放り込み、消毒液を手に塗りながらこちらに向かってくる看護師さん。
「どれどれ、僕も新しいキャリアをはじめようかな。ここで写真スタジオ開設~」などと冗談を飛ばしながら。
他の机の看護師さんや、事務係や待機のお医者さんなど…皆がこっちを見て笑ってる気がする。
もう、思わぬハプニングで、顔から火が出る思いでした。
でも、こうやって、皆がリラックスしてるところなんか、すっごくイスラエルらしい。
私は気恥ずかしかったけれど、雰囲気は暖かかったです。
消毒液でささっと拭いて、注射そのものは2~3秒くらい?本当にあっという間です。
あとはガーゼで揉んだりするでも、コットンパッドで抑えるでもなく、おしまい。
写真撮影の看護師さんと、注射を打ってくれた看護師さんにお礼を言って、予防接種
後の説明の紙をもらって「外で15分待機ね」。
セルフィーハプニング以外は、本当にあっけないものでした。
広場にはプラスチック製の椅子が適当にバラバラと置かれて、接種済みの人はこの椅子に腰かけて15 分待機することになっています。雨よけのテントもあります。
今日はいい天気だし、久しぶりにちょっと遠出して隣町の公園にいるからか、なんとなく開放感。(予防接種を受けた時はまだロックダウンの最中で、車に乗って町境を超えたのは久し振ぶりだったのです。)
椅子に座って、携帯で撮ってもらった写真をチェック。
結構上手に撮れてる。
あの看護師さん、もしかして本当に新しいキャリアをスタートする気とか、あるのかしら?なんて勝手に想像して笑ってしまいました。
暇を持て余している誘導係のおじさんが、「調子はどうかい?大丈夫?」なんて声をかけてくれたり。
イスラエル人は本当に皆、人との距離が近い。
皆、知り合いみたいに話しかけてくるし、友達みたいにふるまうし。
とりあえず、第1回目の接種は無事終了。
副反応と言えば、まあ、注射を打ったところを押したり触ったりするとちょっと痛いかなあ…という程度。
実は、ここのところ肩こりがひどく、左肩から腕にかけて痛みと重さに苦しんでいた私は、予防接種の注射針が針治療の代わりみたいに作用してくれないかな…と何の根拠もない期待を抱いて、左側に注射を打つように頼んだのでした。
もともと痛かったので副反応で痛いのか肩こりで痛いのかわからない。
でも、なんとなく痛みが軽減したような気もするのですが、絶対に気のせいだろうなあ…。
後日接種を受けた私の主人は、接種後2日ほど頭痛や倦怠感があったというから、本当に個人差があるようです。
実は私は、このコロナの予防接種、イスラエルではイスラエル人よりも、イスラエルに住んでいる日本人の方が、興奮度が高いような気がしています。
イスラエル人は別に国がやると言っているから普通にやっているだけ(もしくは国がやると言うから反発、という人も)。
でも、日本人は日本に住む友人や家族にイスラエルの様子を伝えたいという気持ちがあるし、日本と比較して物事を考えるので、なんだか一種のお祭り騒ぎの様な感覚すらありました。
そんなわけで、イスラエルに長く住んでいる友人の一人は「日本人がこれだけ騒いでいるんだもの!ワクチン饅頭つくって、ワクチンTシャツ売って、ワクチン御殿を建てないと!」なんて冗談を言っています。
以上が私のコロナ予防接種体験談でした。
社会的にも医療的にも何の役にもたたない体験談ではありますが、ニュースにならないイスラエルの一場面を皆さんに実感していただけたら…と思いました。
第2回目の注射がまたもうすぐに迫っていますが、第2回目のほうが副反応が強いというウワサも耳にしています。
無事に済むといいなあと思います。
そして、異変種にも効果はあるのかとか、いつまで効き目が持つのかなあとか…。
悩みや不安は尽きませんが、とりあえず、今日はここまで。
どんな時も、明けない夜はないのです!以上、現場からお伝えしました。(Insight Lab Israel 中島直美)
【5】AI川柳
調和系工学研究室では、毎日新聞社「仲畑流万能川柳」や第一生命保険「サラリーマン川柳」を学習用の教師データとした「AI川柳」に取り組んでいます。
2020年3月までの1年間「NHK総合 ニュースシブ5時」で、その週の話題のニュースのキーワードをお題に、バーチャルアナウンサー「ニュースのヨミ子」さんが詠んでいたAI川柳も、本研究室が開発した人工知能システムです。
多くの皆さんに楽しんでいただけるよう、2020年6月にAI川柳のTwitterアカウント( https://twitter.com/ai_senryu )を開設いたしました。
AIの中には詠んだ句の良し悪しはないためそれを良いと思うのは人間の側で、そう思うことで初めてAIの詠んだ句が意味を持つのではないでしょうか。
AIが詠んだ句に共感していただけましたら大変嬉しく思います!
★お題「布団」(3月5日投稿)
愛犬を見つけ布団の外に出でる
週末はゆっくり寝てるつもりが、視線を感じて薄目を開けると・・・
すごいこっち見てる・笑
この視線に気づいたら、起きないわけにはいきません!
★お題「かわいい」(3月8日投稿)
かわいいと言ってる犬が寄ってくる
「かわいい」という単語を聞きつけると、自分のことを話題にしてると嬉しそうに寄ってくるうちの犬
今の「かわいい」は君のことじゃないから!笑
★お題「サンキュー」(3月9日投稿)
サンキューが確定してるはずだけど
おやつがもらえるのを前提に、先にありがとうを言ってくれるの?
いや・・・もちろんあげるけど・笑
★お題「事実」(3月10日投稿)
贅沢に生きてるという事実知る
贅沢の定義はひとによって違うけど、それは間違いなく贅沢だと思う・笑
★お題「期待」(3月11日投稿)
期待するときはゴロつく猫だった
お腹出してゴロゴロしてるから撫でてあげたら不満そう
遠回しにおやつを期待してたとは気づきませんでした・笑
★お題「スイーツ」(3月12日投稿)
スイーツは嫌いじゃないと言い張った
嫌いじゃないのは知ってる!
でもこれは人間用だからあげられないの・笑
★お題「怪獣」(3月15日投稿)
怪獣の顔を見るたび平和賞
牙がちらっと見えて怪獣みたい・・・
可愛い寝顔でいつも癒してくれる猫たちには、平和賞をあげたい!笑
★お題「自転車」(3月16日投稿)
自転車に乗せる時間長くなる
元気に散歩していたのがだんだん歩調もゆっくりになり
途中で立ち止まるから、自転車に乗せている時間のほうが長くなったかな?
子犬はもちろん可愛いけど、老犬の愛おしさは別格!
★お題「冷蔵庫」(3月17日投稿)
冷蔵庫開けて下さい演技力
おやつが冷蔵庫から出てくることに気づいたうちの猫
あれ以来、あの手この手で冷蔵庫を開けさせようとしてくる・笑
★お題「花粉症」(3月18日投稿)
目の前に春を感じる花粉症
花粉症が辛くて
この話題が出ると本州はもう春なんだと思いますが、北海道はまだまだ寒いです・・・
(今朝の札幌は雪?みぞれ?が降っていました!)
【6】今週のAI俳句ランキング
AIが俳句を作る「AI俳句」の普及を目指して、本研究室を事務局として2019年7月に設立されたAI俳句協会のウェブサイトでは、AIが生成した俳句を人が評価して、評価結果を集約したAI俳句ランキング(月間・週間)の集計を行っています。
今週のランキングをご紹介したいと思います。
1位 名月や雲より落る水の上
2位 寒鯉の動きのとどくところかな
3位 鳥帰る空の青さに目をとぢて
すべて、本研究室が開発した「AI一茶くん」が詠んだ句になります。
「AI一茶くん」は1日1句投稿していますので、ぜひ俳句協会ウェブサイト(https://aihaiku.org) もご覧ください!
【7】人工知能・ディープラーニングNEWS
★国家による検閲が人工知能の“判断”に影響する? 「中国の事例」の研究から見えてきたこと
★10億枚以上のInstagramに投稿された写真を用いて学習した画像認識モデル「SEER」をFacebookが発表
★SNSで話題に! AIで顔写真を動かせるアプリ 織田信長やベートーヴェンが歌う動画も
★重みやノードではなく層をDropout!『LayerDrop』の提案
★CGへの扉 Vol.24:自然現象もすべて人工知能で再現する時代
★Preferred NetworksがCrypkoを含む深層学習活用のデジタル素材生成システムをクリエイティブ産業向けに開発
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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川村 秀憲教授
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