2020年5月15日配信

こんにちは。

北海道大学調和系工学研究室(川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教)です。

新緑の季節を迎え、街路樹の色合いが鮮やかになってきましたが、皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか。

札幌は日中20度を超える日もあり、これから北海道の初夏を彩るライラックが見ごろとなります。

今年は新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、残念ながら「さっぽろライラックまつり」は中止となりましたが、ラベンダーが見ごろとなる夏には状況が落ち着いていることを切に願います。

では、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

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◇ 本日のTopics ◇

【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW

【2】こんな本を読んでいます

【3】調和系工学研究室共同研究事例

【4】今週のAI俳句ランキング

【5】人工知能・ディープラーニングNEWS

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【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW

★日本経済新聞道内版で調和技研の音声入力システムについて取り上げていただきました

5月2日の日本経済新聞道内版で、株式会社調和技研が株式会社日立ソリューションズと組んで開発した音声入力システムについて取り上げていただきました。

調和技研は本研究室の川村教授がCo-founder及び社外取締役を務める、北大発認定ベンチャー企業です。

本音声入力システムは、日立ソリューションズの音声認識技術をベースに、調和技研で精度向上のカスタマイズを行っています。

中小企業にも利用しやすいようにサブスクリプション方式で提供し、バングラデシュへの進出も計画しています。

ご興味のある方はぜひお読みください。

日本経済新聞

[音声入力、人間に近い精度で 北大発の調和技研サブスクで海外展開] (お読みいただくにはログインが必要となります。)

[株式会社調和技研]

★YAHOO!ニュースで北大発認定ベンチャー3社が開発しているAIを活用した「3密」監視アプリ「AWL Lite with 新型コロナ対策ソリューション」が紹介されました

5月6日にFNNプライムオンラインで紹介された、北大発認定ベンチャー企業であるAWL株式会社、株式会社調和技研、ティ・アイ・エル株式会社が連携して開発している、AIを活用した「3密」監視アプリ「AWL Lite with 新型コロナ対策ソリューション」について、YAHOO!ニュースでも取り上げていただきました。

AWL、調和技研、TILの3社は、本研究室の川村教授がCo-founderを務めている北大発認定ベンチャー企業です。

本ソリューションは「サツドラ」での試験導入を経て、4月27日より販売を開始しており、AIが「3密」の状態をどのように判断しているかについても紹介されています。

ご興味のある方はぜひお読みください。

YAHOO!ニュース

[「マスク着用の有無」も検知…店内の“3密”を監視して回避するシステムが登場]

[AWL株式会社]

★フジテレビ「とくダネ!」で北大発ベンチャー3社が開発したコロナ対策ソリューショを取り上げていただきました

5月8日(金)に放送されたフジテレビ「とくダネ!」で、北大発認定ベンチャー3社、AWL株式会社、株式会社調和技研、ティ・アイ・エル株式会社が連携して開発したコロナ対策ソリューションを取り上げていただきました。

サツドラでの実証実験の様子や、2週間という短い開発期間についても紹介していただきました。

AIを活用した「3密」監視アプリは、店内のカメラの映像から込み具合や、お客さん同士の距離、マスクの着用率を分析し、店内が混雑すると出入り口のモニター画面でお客さんに注意を呼びかけます。

[AWL株式会社] [株式会社調和技研] [ティ・アイ・エル株式会社]

【2】こんな本を読んでいます

★新・生産性立国論

デービッド アトキンソン (著)

本日ご紹介するのは、「新・観光立国論」(山本七平賞)で日本の観光政策に多大な影響を与えた著者が、「日本経済改革の本丸=生産性」に切り込み、生産性向上のために初公開した「超具体的な方法」です。

日本人は「生産性」と「効率性」を混同しています。

たとえば、誰も求めていない商品を「効率よく」つくることは可能です。

しかし、売れない以上、「生産性」はゼロです。

生産性のないもののことを、無駄と呼ぶのです。

―デービッド・アトキンソン―

[感想]

もとゴールドマン・サックスの金融調査室長の著者による日本の現状とこれからに関する提言。

日本は人口ボーナスによる高度成長によって経済が伸びてきました。

しかし、いよいよ人口減少時代になり、これまでの仕組み、やり方では今後の社会福祉を維持することは不可能です。

著者からの提言では、移民でそれを賄うことは不可能であり女性の活用と生産性の向上以外に道はないということです。

日本で言われている女性の活用というと地位向上や働き方の問題ばかりが焦点に当てられますが、著者は手厳しくそもそも年金や社会保障も男女の差なく個人で負担すべきであり、そのためには必然的に女性が働かなければならないという環境に変化しなければ日本はもたないと述べています。

また、生産性向上についても、日本の経営者が無能で人口減少というゲーム変化に対応せず、無能に従業員の給与をカットしていくことだけで成果を出してきた点を厳しく指摘しています。

本では指摘されていませんが、とある日本の大手ITベンダーはまぁまぁ利益水準は維持しているもののここ20年で売上を半減させており、営業利益率もほとんど向上していません。

さらに、ここ数年来毎年シニア以降のリストラ策を頻繁に打ち出しています。

このような会社はあと20年後はなくなっているのではないでしょうか。

また、日本の中小企業の多さの問題も指摘しています。

一般に中小企業は一人あたりの様々なオーバーヘッドの負担率が重く効率を上げていくのは容易ではなく、生産性の低い会社は新陳代謝されていくべきですが、日本は中小企業を温存することが民意であると思われている節があります。

そのような状況では、いくらAIやIoTが出てきても日本という国を維持していくことは難しいです。

この本は、私がこの20年間日本の状況について感じていたことをデータをもって的確に述べており、概ね正しいと思います。

ここから将来に対して悲観的になるのではなく、正しく難局に立ち向かいたいものです。(川村 秀憲)

【3】共同研究事例

調和系工学研究室では、様々な企業と共同研究を行っています。

私たちはAIとはテクノロジーなのでハサミと一緒だと考え、切れるハサミはもちろん大事ですが、切れるハサミの研究ばかりを行うのではなく、ハサミで何を作るのかということも考えていかないといけないと思っています。

研究成果が学術的に意味があるだけでなく、その成果を直接誰かに使ってもらえるような形で研究を行いたいとの想いから、意識的に企業との共同研究を増やしています。

本研究室が行ってきた共同研究、また、現在進行中の共同研究事例をご紹介することにより、「AIでこんなことができるのか!」「こんなことはAIでできるのかな?」のヒントになれば大変うれしく思います。

本日ご紹介するのは日本ステージ株式会社との共同研究として実施した、「AIによるバルーンロボットの群制御」です。

本共同研究はコンサートの時に飛ばす大きい舞台演出装置を作ろうと始まりました。

ライブやコンサートなどのイベント会場での観客上空の空間で、天井から風船を投下する演出はすでに行われていますが、風船それぞれが自律的に移動して編隊飛行を行うと面白いという発想から、バルーン型ドローンのバルーンロボットを作成しました。

バルーンロボットのプロペラは3Dプリンターで作るため偏りが大きく、部品の精度も高くないため正確に飛ばすとなると難しいのですが、それを吸収するためにプロペラごとにニューラルネットワークと機械学習の仕組みを入れています。

初めに周りに6台のカメラを設置してバルーンを撮影し、屋内の正確な位置を計算します。

目標軌道が決められているときに、そこからバルーンが外れるとそれは誤差になるので、誤差を減らすためにどのようにプロペラを動かせばよいかということを学習させます。

そうしてトレーニングをしていくと、3次元空間をほぼ正確に飛べるようになります。

本研究室はロボットの研究が専門ではありませんが、AIを使ったハードの研究も行った例となります。

バルーンロボットの試験飛行の動画(https://youtu.be/Rd0MCKooU0I) が公開されていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

本研究室のHP(http://harmo-lab.jp/?page_id=725) でも様々な共同研究をご紹介していますので、ご興味のある方はこちらもぜひご覧ください!

【4】今週のAI俳句ランキング

AIが俳句を作る「AI俳句」の普及を目指して、本研究室を事務局として2019年7月に設立されたAI俳句協会のウェブサイトでは、AIが生成した俳句を人が評価して、評価結果を集約したAI俳句ランキング(月間・週間)の集計を行っています。

今週のランキングをご紹介したいと思います。

1位 線香の 整然とせり 初大師

2位 小判草 うすむらさきの 真昼かな

3位 ゆるやかに 身を寄せてゐる 蛍かな

すべて、本研究室が開発した「AI一茶くん」が詠んだ句になります。

「AI一茶くん」は1日1句投稿していますので、ぜひ俳句協会ウェブサイト(https://aihaiku.org) もご覧ください!

【5】人工知能・ディープラーニングNEWS

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1枚の写真から「存在しないそっくりさん」をAIが自動的に作り出してくれる「Artbreeder」を使ってみた

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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川村 秀憲教授

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横山 想一郎助教

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