2022年6月10日配信

こんにちは。
北海道大学調和系工学研究室(川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教)です。

梅雨入りしている地域もありますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
北海道では、今週大雪山系黒岳で日本一開花が遅いチシマザクラが見頃を迎えています。
やっと山にも春が来ました。

では、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

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◇ 本日のTopics ◇

【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW
【2】こんな本を読んでいます
【3】第8回「Sapporo mirAI nITe」中編
【4】ディープラーニング勉強会
【5】人工知能・ディープラーニングNEWS
【6】今週のAI俳句ランキング
【7】AI川柳

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【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW

★ 「月刊 教育家庭新聞 教育マルチメディア号」に川村教授の記事が掲載されました

2022年6月6日発行の「月刊 教育家庭新聞 教育マルチメディア号」の連載コーナー「ICTキャンパス」に川村教授の記事が掲載されました。
「企業と連携してAI研究 成果を社会に還元する」と題し、川村教授が行っている産学連携や地域創成について、事例とともに紹介されています。

「月刊 教育家庭新聞 教育マルチメディア号」は教育家庭新聞社から毎月第1週に発行されており、国や自治体の教育情報化施策の最新情報をはじめ、ICTを活用した授業の実践事例、ハード・ソフトの最新ニュースなどを紹介する教育関連の専門紙です。

掲載記事に関しましては、後日メールマガジンでも詳しく紹介する予定です。

[教育家庭新聞]

★ 情報処理学会第84回全国大会にて修士2年平田さんが大会優秀賞を受賞しました

2022年3月にハイブリッド開催された情報処理学会第84回全国大会において修士2年の平田航大さんが発表した論文が大会優秀賞に選ばれました。
大会優秀賞は全国大会の座長および一般聴講者からの投票を基に大会委員会にて決定され、全国大会でのすぐれた発表者に対して、授与されます。

論文は情報処理学会Webページにて公開されています。
平田 航大, 横山 想一郎, 山下 倫央, 川村 秀憲 : 深層学習による自己回帰モデルを用いた俳句生成器の評価, 情報処理学会第84回全国大会, 4W-05, ハイブリット (2022)

<受賞コメント>
AI 俳句の研究には大きく分けて俳句生成器と評価器の2つのモジュールがあり、私は現在俳句生成器に関する研究を行っています。
本発表では複数の深層学習モデルを比較し、俳句生成に際して優位なモデルを明らかにするための検証を行いました。

俳句研究は学習したモデルや生成した俳句の質をどう評価するのかという点が難しい分野であると感じています。
その中でマルコボ.コムの方々にご協力を頂き、アンケートを実施し、分析することが出来たことが今回の受賞につながったと思います。

マルコボ.コムの方々をはじめ、先生方や研究室メンバーなどの周りの方々のサポートがなければ受賞には至らなかったと思います。
頂いた賞を励みにして、今後も研究活動に従事していきたいと思います。(修士2年平田航大)

研究内容にご興味がありましたら、下記フォームからお問い合わせください。
お問い合わせ:http://harmo-lab.jp/contact

★ 研究室に関連する企業・ベンチャーのニュース

◇ 「ICCサミット FUKUOKA 2022」にてAWL社長 北出氏が行った講演が掲載されました

2022年2月14日~17日に福岡で開催された「Industry Co-Creation (ICC) サミット FUKUOKA 2022」にてAWL株式会社代表取締役社長 兼 CEOの北出宗治氏が講演した内容がIndustry Co-Creationのホームページに掲載されました。

「リアル広告の効果測定を可能にする『エッジAI』から、人間とAIが協調する豊かな未来を目指す『AWL』」と題し、AWL株式会社の「エッジAI技術」について説明しています。

ご興味のある方は、ぜひご一読ください。

[リアル広告の効果測定を可能にする「エッジAI」から、人間とAIが協調する豊かな未来を目指す「AWL」]

[Industry Co-Creation]

[AWL株式会社]

◇ ジェトロ名古屋主催の「海外ビジネス展開における高度外国人材活用」セミナーにAWLのCHRO 土田氏が登壇します

2022年6月22日に(主催)ジェトロ名古屋、(共催)PRE STATION-Ai Global Editionで行われる「海外ビジネス展開における高度外国人材活用」に関するセミナーにて、AWL株式会社の人事最高責任者(CHRO)土田美那氏がパネリストとして登壇します。

ご興味のある方はぜひご参加ください。

日時:2022年6月22日 水曜日
   18時00分~19時00分 セミナー
   19時00分~20時00分 ネットワーキング

場所:WeWorkグローバルゲート名古屋内 PRE-STATION Ai、およびZoom
   (ハイブリット開催)

参加費:無料

※詳細、および事前申込につきましては、下記をご確認ください。
https://www.jetro.go.jp/events/nag/e40620c103e07b8f.html


[日本貿易振興機構(ジェトロ)]

[AWL株式会社]

◇ テレビ東京WBSで、スクリエのオンライン歯科健診HAKKENを取り上げていただきました

政府の経済財政運営の基本方針「骨太の方針」に「国民皆歯科健診の具体的な検討」が明記されたことを受け、テレビ東京ワールドビジネスサテライトで、国民皆歯科健診を導入する上での課題を解決するサービスの1つとして、株式会社スクリエのオンライン歯科健診HAKKENが取り上げられ、口腔内撮影ミラーが紹介されました。

株式会社スクリエでは、歯科人材不足の問題を解消するため、定型的な健診を自動化する画像歯科AIを開発しており、川村教授はAI開発顧問を務めています。

[追跡 国民皆歯科検診 医療費削減につながる!?]

[株式会社スクリエ]

【2】こんな本を読んでいます

mRNAワクチンの衝撃: コロナ制圧と医療の未来

ジョーミラー(著)/ エズレムテュレジ(著)/ ウールシャヒン(著)/ 柴田さとみ(訳)/ 山田文(訳)/ 山田美明(訳)

本日ご紹介するのは、世界初の新型コロナワクチンの開発に成功したビオンテック社の創業者であり、研究者でもある夫妻に密着したドキュメント本です。

[ 感想 ]

ドイツのマインツでmRNAによるガンのワクチンを開発していたバイオスタートアップのビオンテック。創業者で科学者のウールとエズレム夫妻はこれまであまり注目されていなかった新しい手法でのワクチン開発に没頭していましたが、武漢での奇妙な感染症の流行が始まった極めて初期にパンデミックの可能性に気づきます。このままでは世界が大変なことになると思い、ガンのワクチン研究を停止して未知の感染症へのワクチン開発に舵を切ります。世界的なCOVID-19の流行と同時にどうやってワクチンを開発していったのか、研究面、経営面、そして政治面からスケールの大きい出来事が次々に起こります。科学者夫妻の世界を救いたいという思いとスタートアップ経営者らしい突破力でワクチンを開発し、大量生産し、実際に世界に届けるまでスピード感のある現実のストーリーが語られています。スタートアップがこのような事体に対して方針転換するのは非常にリスクの高いことですが、科学者らしい使命感によってそれを乗り切っていきます。夫妻はドイツ人ではなく移民であり、またビオンテック社でのワクチン開発には世界中の科学者が関わっています。未知の感染症に立ち向かいワクチンを開発する科学のストーリーとして、壮大な事業に取り組むスタートアップのストーリーとして、また世界中の人々が力を結集して人類の危機に対処したストーリーとして、とても読み応えのある本でした。(川村秀憲)

【3】 第8回「Sapporo mirAI nITe」中編

札幌は昔も今も、これからのミライもITの本場でありたい。
そんな想いから2021年度はたくさんの情報をお伝えするため、さっぽろのITの「イマ」と「ミライ」を知る、「Sapporo mirAI nITe」が開催されました。
各セッションでは、AIやAR/VRなど先端技術やユニークなビジネスアイディアを持つ企業と札幌市における様々なITの取り組みを紹介しました。
その最終回の配信が4月7日(木)から始まりました。(https://www.youtube.com/watch?v=ixi8xCBzepk

最終回は「ヒトとAIが共存するミライ~札幌AIラボ 令和3年度最終講義~」と題し、川村教授が講義者となり、聞き手に北海道コカ・コーラボトリング株式会社 成長戦略策定室室長 三浦世子氏をお迎えし、一般財団法人さっぽろ産業振興財団 IT産業振興課長 佐々木諭志氏の進行で行われました。
今回は中編のお話をメルマガでも紹介させていただきます。

― GPT-3の台頭と日本での実用化

三浦  「強い人工知能」というのは、人間が考えて使うのではなくて、人工知能そのものが考えて行動するということですよね。実際、自然言語みたいなものを取り扱う仕組みというか、今話題になっていますけれども、イーロン・マスクさんが開発していらっしゃるものですとか、Open AIなど色々ありますけれども、そういったものがいわゆる「強い人工知能」なのでしょうか。

川村  Open AIの開発で話題になった技術にGPT-3という技術がありまして、これは簡単に言うと、たくさんの文章を学習するわけですね。仕組みはディープラーニングで他にも色々最新の技術が使われているんですけれども、何ができるかというと、たくさんの文章を学習しているので、使うときに質問や、新聞でいうと最初の出だしだけを書くとか、何かきっかけを与えると、スマートに続きそうな文章を作るんです。

三浦  GPT-3はすでに社会の中で実装されていますか?

川村  人の質問に答えたり、ニュースの見出しを作ると勝手に作文してくれたりということはできるんですが、GPT-3で驚くべき事件がありまして、GPT-3の機能というのがアメリカで一部サービスとして公開されていたんですね。その時に誰かがいたずらして、GPT-3をReddit (レディット)という掲示板に繋いだんです。日本でいうと昔の2チャンネルみたいな、たくさんの話題があって、みんなが集まるような掲示板です。それで何が起こったかと言うと、人の質問に勝手にGPT-3が答えを投稿していたという事件がありました。例えば、「自分が辛くて死にたくなった時に、どんなことを思いましたか」や、「どう立ち直りましたか」というような質問(投稿)があったときに、「私は先生や友達に助けられました」のような答えをGPT-3が投稿していたということです。誰もそれを疑問に思わず、自然にやりとりされていたんですよね。どうしてGPT-3が紛れ込んでいるかわかったかということなんですが、質問に対して、あまりにも早く答えを返しているユーザーがいるということに気づいた人がいて、これはおかしいのではないかということで、色々調べていくと、どうやらそれはGPT-3のサービスに繋がっていて、AIが勝手に答えていたらしということがわかったという事件があったくらいなんです。

三浦  みなさんの返すスピードとは違い、瞬時にポンっと答えが出るということですよね。でも、文脈を読むんですか?

川村  文章は長いじゃないですか。その中で、ある一部を切り取って文章らしいということは簡単だと思うのですが、長い文章の中で文脈が崩れずに話題が首尾一貫しているということは、これまで全然できなかったんですけれども、GPT-3が出てきて、そういうことが現実的になってきたと思います。Open AI はGPT-3の技術はあまりにも危険で、フェイクニュースがいくらでも作れる可能性があるので、最初の内は、その技術をかなり内密にしていたのですが、最近は少しずつその技術がオープンになってきていて、研究者の間でも知られるようになってきました。ただGPT-3クラスになると、AIをトレーニングするのに、電気代というか、計算機コストに何十億とかけないと作ることはできないので、色々な事業者や研究者が各々そういうのを作るというのはなかなか難しいんですね。

たくさんのコストをかけて、万能な物を作って、それに小手先の技術を組み合わせて、産業応用していくというのが、使い方になっていくのかなと思います。

GPT-3を応用した技術で面白い技術が他にもあります。GitHub(ギットハブ)と呼ばれるサイトがあって、そこに色々なプログラムのソースコードが公開されていて、色々なコメントが付いていたりするんですが、それを学習させたGPT-3バージョンというのがオープンコーデックスといい、公開されていて、それは「こういうことをしたい」と人が自然言語というかチャットみたいなところに書いていくと、それに合わせて勝手にプログラムを作ってくれるんです。例えば「カレンダーで予定が書き込めて、その日がきたらアラートを出してくれるようなアプリを作りたいです」と入力すると、それを作ってくれるということです。

三浦  それはすごいですね。そうすると開発者にお願いしなくても、ある程度のものであれば、作れてしまうということですね。

川村  これはすごいことで、ニュースの続きや、人の言葉の続きを作るというのもすごいのですが、プログラムを作るというのは先ほどの例のように「こんな感じでカレンダーを作って、・・・」というのは抽象的で曖昧な指示じゃないですか。細かいところまでは決まっていない。そういう要求を理解して、言葉を理解している。プログラミングはきちんと記号的、手続き的で厳密なものじゃないですか。だから、曖昧な指示から、厳密なものが作れるという。この2つの世界は、扱っている情報のレベルや、質が違うのに、そこが繋げられるということです。

三浦  曖昧な言語をある程度理解して、何をして欲しいかという、その厳密な指示に移すことができるということですね。

川村  こんなところまでできているのですが、一方で、それができるからと言って、心があるのか、意識があるのか、人と同じように考えているのかというと、それはやはり、隔たりがあるわけですよね。例えばGPT-3でも、途中まで文章があって、次どんな言葉が出てくるのかというのを予測しながら学習していくということや、途中に文章の穴があって、そこにどんな言葉が入ると正解かという、そういうようなトレーニングをずっと繰り返していって、途中まで文章が入れられると、それらしい文章を続けることができるようになっています。それは、膨大な人が作った文章から学習と言っていますけれども、計算された、答えに一番精度が出るような学習計算をしていって、できるようになったということなので、それが果たして人と同じように考えているのかと言うと、原理的にはそうではないわけですよね。

三浦  GPT-3、今後は日本にもというか、これからは普通に社会の中で使われる物になってくる未来があるのでしょうか。

川村  GPT-3はもちろん英語で作られていますけれども、同じ技術を日本で再現しようという取り組みもいくつか発表されているので、そういうところで作られてきた技術が、個々が持つということは、難しいにしても、いわゆるクラウドAIという形でデータを投げたら処理して返ってくるというサービスがあるので、そういうサービスと組み合わせながら使われるということになるのではないかと思います。

― 「AI・人工知能」の時代への適応

三浦  1年、2年でどんどん変わってきていますから、これからも知らないうちにそういう技術が私たちの身の回りで使われ始めて、受け入れる、受け入れないに関わらず、自然と入ってくるようなイメージなのでしょうか。

川村  これらの進化、発展スピードはエクスポーネンシャル (exponential)、指数関数的に発展していると言われています。その理由は、コンバージェンス(convergence)と言われるんですけれども、AIでもそうですが、その技術が一つ一つ部品となって、次のイノベーション、物づくりに使われていくわけです。だから毎回、一からAIを開発するというわけではなくて、組み合わせて次のすごい物を作る。最近の例だと、ドローンが物凄い勢いで発展して社会に普及し、色々な応用がなされるようになりましたよね。実は僕も大学の研究室で昔、ドローンみたいな空飛ぶロボットを研究したことあるんですが、15年~20年前だと空飛ぶロボットにコンピュータ―を積もうと言っても、とても性能の高いコンピューターを積むことができず、飛ぶためには色々なセンサーが必要だけれども、安くて性能が良くて、軽いセンサーはなかったので、すごく難しかったんですよ。けれど、スマホが世界で普及して、スマホの中に小さなカメラもあれば、小さなコンピューターもあれば、加速度センサーやGPSも入っているんで、ドローンがあれだけ普及したのはスマホのそういう部品を転用できたから、高性能のドローンがあんなに安くできたんですよね。スマホができていなければ、ドローンはできなかった。

三浦  そうなんですね。全く違うものだと思っていました。

川村  この先も、まだ出てきていない技術でも、今でてきたものが組み合わさって、すごいスピードで開発されるわけですよね。

三浦  そんな時代、AI人材とも言われていますが、どのように私たちは適応していけばいいのか、日々考えるのですが。

川村  一つ言えることは、これまでとは全く価値観、考え方、社会の環境などが、変わってくるのは間違いないので、これまで通用したことが、通用しない。新しいことが出てくるわけですよね。そういう前提で、自分はどうなるのかと考えなければ、置いていかれると思います。

三浦  自分たちの今までの、流れにAIの技術を合わせていくではなく、AI技術が基盤となっていて、そこにいかに適応していくかということなのかなと思うのですが。

川村  大学にいると教育のことも聞かれるのですが、基本的に学校教育は教科書があって、答えがあって、これまで色々な人が研究して集約したものを効率的に学ぼうというところです。変化しないで役に立つものは、これだよねと言えますけれども、これからどうなっていくかわからないとなった時に、勉強としての維持、教養としての維持というのはあると思いますけれども、果たしてそれが社会で役に立つのか、生きていくために必要なのか、そういうことで考えると答えがわからないですよね。

特に大学だと、学生が卒業して就職していくわけですよね。どんな会社に就職したらいいんだろうとみんな悩んでいると思うのですが、そこは僕はアドバイスできないですもんね。入った会社が30年後、40年後安泰なのか、わからないですからね。

三浦  会社なのかも、わからないですもんね。

川村  僕らも色々なベンチャーをやっていますが、そこは必ずしもみんな専任で従事するというやり方ではなくて、最初はプロジェクト形式で趣味の延長だったり、一部の時間を手伝ってくれたり、そんなやり方をして新しいものを作っていくのが、当たり前になってきていますし、事前にやることを決めて、それを仕事としてやるみたいなやり方だと、なかなか柔軟に新しい物は作れないですよね。

三浦  仕事のルーティーン的なものというよりも、プロジェクトでこういうものをやろうとなったら、作る。それが終わったら解散して、また別のというイメージですか。

川村  そうですね。そこでもちろん上手くいくのであれば、それを大きくして会社にしていくということもあるでしょうし、でもそこはまた得意な人がいるわけですよね。と考えると、一つのところに縛られて、上司の言うことをこなしていればというよりも、どんどん色々な人と繋がって、アメリカの先進的なベンチャーだと世界中にネットワークを作って、1か所に集まっていなくていいので、会社自体もない、国もバラバラで、というかんじでスタートアップを作っているようなとこともありますよね。

三浦  そうすると、人間の「所属する」という欲求は、今の人たちはあまりないのかもしれないですね。

川村  そうですね、それは今後解けていくと思いますね。教育をとっても、これまで学校があって、クラスがあまり替わらないので、同じ環境の中で、同じ人と顔を合わせてやっていく。会社に就職しても同じ状況が続いて、定年しても介護施設に入って、同じ人と顔を合わせるというような、日本はそういう価値観、社会の仕組みが比較的強いかな。これからは学ぶということも、同じ世代の人たちと同じように学ぶ必要はないわけですよね。我々の研究分野でも、AIの先端研究をやっているアメリカの大学の先生たちなんか、オンラインで講義動画を公開したり、AIの論文の要約なんかも、論文として読むと、数式なんかがあって難しいんですが、若い人がそれを解説するYouTube動画をあげていたりするんですよ。我々も参考にしたりしますけれども、日本の小学生がAIに興味があったら、YouTubeで、いくらでも見ることができるわけですよね。これはAIの研究に限らず、料理を作ることや、DIYなど、YouTubeに色々な動画があがっていて、僕なんか、下手なゴルフを少しでも上手くなろうと思って、ゴルフの動画を見たり、昔だと教室に行って習わなければならなかったのが、同じようなレベルのことがYouTubeで解説されていたりするわけですよね。

三浦  色々なYouTube動画ありますもんね。痒い所に手が届くような。

川村  以前よくみていたのが、「二重スリット実験」といって量子力学の不思議な実験があるんですが、非常に不思議な物理現象です。大学生の時に習ったんですが、物理の教科書には小難しく書いてあってよくわからなかったんです。それをYouTubeでアニメなども使って、とても不思議な現象を面白おかしく、わかりやすく説明しているコンテンツがあって、そういうものが今、いっぱいあるわけですよね。そう考えると、学ぶのに場所も時間も関係ない。学び一つとってもそうですけど、そうなってくると誰かと何かをするというのも、じゃあ同世代が集まって、同じタイミングでという価値観じゃなくなってきますよね。

三浦  一つの場所ということでも、国籍ということでも、もちろんジェンダー差もありませんし、「好きだ」という純粋な好奇心で繋がるような、そういう世界がくるような気がしています。

川村  我々がこれまで当たり前と思っていたことが、全然当たり前ではなくなるわけなので、そういう世代に生きる人たちに、「こうやっておけばいいよ」や「それはこうしなさい」など、何も言えなくなってしまいますよね。

最初の話に戻すと、「知能は何だ」ということですけれども、こうやって変わっていく環境の中で、生き残っていくことのわけですよね。工夫して色々なことをやっていくということができないと「知能がない」ということになってしまいます。今、日本は一人当たりのGDPが下がってきていますので、生産性も低いし、色々な意見がありますが、中小企業が生産性が上がらないまま、効率が悪いまま、たくさん残っていって、人が発展する分野になかなか流動していかないという問題もあります。こういうところも少し考え直して、世界の新しい時代に対して、日本も適応していかないと、衰退していくばかりになってしまうので、技術、テクノロジーだけではなく、我々の意識も含めて、人工知能に負けないように、変わっていくことを恐れずに、やっていかなければならないのではないかと考えています。

(次回:「『AI・人工知能』に『心』ができる日がくるか?」につづく)

【4】ディープラーニング勉強会

調和系工学研究室ではディープラーニングの最新の知識共有を目指し、毎週ゼミを実施しています。
担当学生がトップカンファレンスから自分の興味のある論文について発表し、意見交換をしながら進めています。
本研究室HP( http://harmo-lab.jp/?page_id=1194 )には過去の発表に使用したスライドも公開していますので、ご興味のある方はぜひそちらもご覧ください。

[紹介論文]

A Generalist Agent

公開URL:https://arxiv.org/abs/2205.06175

論文紹介スライドURL:https://www.slideshare.net/harmonylab/a-generalist-agent

出典:Scott Reed, Konrad Zolna, Emilio Parisotto, Sergio Gomez Colmenarejo, Alexander Novikov, Gabriel Barth-Maron, Mai Gimenez, Yury Sulsky, Jackie Kay, Jost Tobias Springenberg, Tom Eccles, Jake Bruce, Ali Razavi, Ashley Edwards, Nicolas Heess, Yutian Chen, Raia Hadsell, Oriol Vinyals, Mahyar Bordbar, Nando de Freitas : A Generalist Agent, arXiv:2205.06175 (2022)

概要:マルチモーダル、マルチタスク、マルチエンボディメントの汎化ポリシーとして機能するGeneralist Agentを学習する。同じ重みをもつ単一のネットワークによって、Atariゲーム、画像キャプション生成、チャット、実世界のロボットアームの制御などを実行可能である。様々なタスクに対応可能なGeneralist Agentが学習可能であり、このAgentが僅かな追加データによってより多くのタスクに適応可能であることを示した。(博士3年 吉田拓海)

【5】人工知能・ディープラーニングNEWS

Physics-inspired graph neural networks to solve combinatorial optimization problems
デザイナーの創造性を刺激する、AIを活用した新たなモノづくりの形
NTT、移動中の景色や周辺情報に基づいて雑談できる対話AIを世界で初めて実現
「信号・事故・渋滞なし」実現へ NTT、自動運転ミニカーを“デジタルツイン”で制御する実験に成功
AI画像ジェネレーター「DALL・E 2」は独自の「秘密言語」を持っているか?
日本語言語理解ベンチマークJGLUE v1.0 公開
文章から“動画”を自動作成するAI、中国の研究チームが開発
偽動画 9割見破るAI 東大が開発、世界最高水準 米メタも封じ込め急ぐ
LINE、無料のAI音声認識アプリ提供開始 会議の議事録作成にも活用できる
画像のAI処理に適した半導体IPの販売を開始


【6】今週のAI俳句ランキング

AIが俳句をつくる「AI俳句」の普及を目指して、本研究室を事務局として2019年7月に設立されたAI俳句協会のウェブサイトでは、AIが生成した俳句を人が評価して、評価結果を集約したAI俳句ランキング(月間・週間)の集計を行っています。
今週のランキングをご紹介したいと思います。

1位  大仏の天井高き余寒かな

2位  醍醐寺のさくら散りたる大樹かな

3位  筍の生きてゐること忘れをり

すべて、本研究室が開発した「AI一茶くん」が詠んだ句になります。
「AI一茶くん」は1日1句投稿していますので、ぜひ俳句協会ウェブサイト( https://aihaiku.org ) もご覧ください!

【7】AI川柳

調和系工学研究室では、毎日新聞社「仲畑流万能川柳」や第一生命保険「サラリーマン川柳」を学習用の教師データとした「AI川柳」に取り組んでいます。
2020年3月までの1年間「NHK総合 ニュースシブ5時」にて、その週の話題のニュースのキーワードをお題に、バーチャルアナウンサー「ニュースのヨミ子」さんが詠んでいたAI川柳も、本研究室が開発した人工知能システムです。
多くの皆さんに楽しんでいただけるよう、2020年6月にAI川柳のTwitterアカウント( https://twitter.com/ai_senryu )を開設いたしました。
AIの中には詠んだ句の良し悪しはないためそれを良いと思うのは人間の側で、そう思うことで初めてAIの詠んだ句が意味を持つのではないでしょうか。
AIが詠んだ句に共感していただけましたら大変うれしく思います!

★ お題「ゴミ」(5月30日投稿)

雑草の中にもゴミの跡がない

5月30日は「ごみゼロの日」。
ごみを減らし、リサイクルを心掛けるようにしなければと思います。

★ お題「牛乳」(6月1日投稿)

牛乳を軽く飲んだら元気出る

6月1日は「牛乳の日」。
牛乳には、良質なタンパク質、カルシウム、ビタミンAなど、いろいろな栄養素が含まれているそうです。

★ お題「饅頭」(6月6日投稿)

饅頭を食べて思わず苦笑い

海外では和菓子の人気が上がっているそうです。
でも、甘い小豆が苦手な人も多いとか。 

★ お題「星座」(6月9日投稿)

浅学な流れ星座のような恋

「心」がないAIにも、切ない恋心が詠めるんです。 

【ご寄附のお願い】

人工知能によるイノベーションでより素晴らしい世界を実現することが、私たち調和系工学研究室の使命であると考え日々研究に取り組んでいます。
大学での研究活動には、研究に必要な機器の整備のほかにも、学生の学会への参加や論文投稿など研究費が欠かせません。
私たちの取り組みにご賛同いただけ、応援のご寄附を賜れましたら大変心強く、研究を続けるうえで大きな励みとなります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
調和系工学研究室 教授 川村 秀憲

[北海道大学奨学寄附金制度について](本学への寄附金については、税法上の優遇措置の対象となります)

お問い合わせ先:http://harmo-lab.jp/contact


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
◇ 次号は、6月24日に配信する予定です。
◇ メールマガジンのバックナンバー
http://harmo-lab.jp/?page_id=2923

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調和系工学研究室教員

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