2023年2月3日配信

こんにちは。
北海道大学調和系工学研究室(川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教)です。

節分の日ということで、豆まきや恵方巻を食べて幸運祈願をなさる方も多いのではないでしょうか。
札幌では明日から11日まで「第73回さっぽろ雪まつり」が開催されます。
札幌まで来ることができない方も公式オンラインイベントがあるそうなので、ぜひそちらで楽しんでください。
それでは、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

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◇ 本日のTopics ◇
【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW
【2】日経MJ「川村秀憲のなるほどAI」
【3】こんな本を読んでいます
【4】俳句の缶づめ「今回のAI一茶くん」
【5】ディープラーニング勉強会
【6】人工知能・ディープラーニングNEWS
【7】AI川柳
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【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW

★ 日経MJに川村教授の連載コラム「川村秀憲のなるほどAI」の第8回が掲載されました

2023年2月1日の日経MJに川村教授の連載コラム「川村秀憲のなるほどAI」が掲載されました。
第8回は「カメラ映像で客の行動分析」と題し「エッジAI」と呼ばれる技術について解説しています。

本メルマガでは、その内容を詳しく紹介いたします。

[日経MJ]


★ 研究室に関連する企業・ベンチャーのニュース

◇ スタートアップ・カンファレンス「TechBBQ Sapporo」にAWLのCHRO 土田美那氏が登壇しました

デンマークを代表するテックスタートアップの祭典「TechBBQ」の日本では初となるスピンアウト・イベント「TechBBQ Sapporo」が2023年1月27日にジェトロ北海道主催により開催され、AWL株式会社の最高人事責任者 (CHRO) 土田美那氏が登壇しました。

[TechBBQ Sapporo]
[AWL株式会社]


◇ 「機械学習・ディープラーニングによる異常検知技術と活用事例集」に調和技研の「異常検知AI」が掲載されました

2022年12月27日発刊の「機械学習・ディープラーニングによる異常検知技術と活用事例集 ~工場・プラント、インフラ設備、外観検査、医療、電気機器、車載機器~」(技術情報協会)に株式会社調和技研の画像系AIエンジン「異常検知AI」に関する活用事例が掲載されました。

書籍内、以下のパートを株式会社調和技研が担当しています。
第6章 ディープラーニングによる異常検知技術と外観検査への活用
第6節 自動車部品の外観検査における異常検知技術の適用

[機械学習・ディープラーニングによる異常検知技術と活用事例集]
[技術情報学会]
[株式会社調和技研]


【2】日経MJ「川村秀憲のなるほどAI」

2022年7月より日経MJで川村教授の連載コラム「川村秀憲のなるほどAI」がスタートしました。
2023年2月1日に掲載されました第8回の内容をメルマガでも紹介させていただきます。

カメラ映像で客の行動分析
北大発振興「アウル」、小売りに焦点

AI(人工知能)は様々なビジネス応用の可能性が考えられます。大きな予算をかけた大規模なサーバーで実現されるサービスがある一方、最近では数千円から数万円程度の安価なハードウエアの上で動作する「エッジAI」と呼ばれる技術も発展してきました。

エッジAIはたくさん設置して広く情報処理することが可能なことから、小売店や工場などのデジタルトランスフォーメーション(DX)などに利用されるようになってきています。

今回は私が設立に関わり、共同で研究開発している北海道大学発のエッジAIベンチャーであるAWL(アウル)について紹介したいと思います。AWLがターゲットとするエッジAI領域は小売店舗です。

店舗には多数のセキュリティーカメラが設置され、映像が常時録画されています。この映像は万引きや事故が発生した際の証拠映像として利用されますが、一定期間の保存後に削除されることが一般的でした。

しかし、見方を変えると、この映像には来店客の属性や店内行動、店員の働き方など様々な価値のある情報が含まれています。人手で分析すると大変ですが、AIによる機械の目でこれら情報を取り出して利用しやすく処理できれば、拡販や業務効率化などに利用できます。ただ、AIの導入・運用が非常に高価だとその導入はなかなか進みません。

そこで、エッジAIに着目しました。エッジAIは比較的安価なデバイスを用いてデータを処理し、結果のみをサーバーに集約します。工夫次第では、生データを大規模なサーバー上に集約し処理するクラウドAIと比較して、低コストで導入が可能です。AWLはエッジAIで映像解析を行うためのソフトウエアで2つの主力技術を開発しました。

1つ目は安価なアンドロイド端末などで動作するソフトウエアの「AWL Lite(アウルライト)」です。サイネージのカメラ映像を解析することで、広告効果の測定を行います。

最近、大手コンビニを中心に店舗にサイネージを設置して動画広告などを流す「リテールメディア」と呼ばれる広告事業が注目を集めています。サイネージがメディアとして成立するためには視聴者数や性別、年齢、視聴時間などを計測し、その広告効果を評価することが欠かせません。

2つ目は「AWLBOX(アウルボックス)」。店内に設置された複数のセキュリティーカメラ映像を分析します。サイネージでの広告の視聴者がその後店内で広告された商品の売り場に訪れたのか、その商品を手に取ったのか、そして最終的に購入したのか。広告視聴者の店内行動を分析するためには、複数のカメラ映像を統合的に解析する高度なAI技術が必要です。

これらのソフトウエアを複合的に利用することで顧客の行動分析をするだけでなく、店員の行動や棚の状況などを可視化できるようになり、データにもとづいた店舗のオペレーション改善なども可能になります。

また、映像分析を行うエッジAIは小売にかぎらず「人が目視しなければならない」様々な用途に応用可能な技術です。近い将来、あらゆる産業を下支えする基盤的な技術として様々なビジネスの場に導入が進むと考えられます。


【3】こんな本を読んでいます

ロングゲーム 今、自分にとっていちばん意味のあることをするために
ドリー・クラーク (著), 桜田直美 (翻訳), 伊藤守 (監修)

「Thinkers 50」(世界の経営思想家トップ50)の一人であるドリー・クラーク氏の著書です。

[ 感想 ]
これまで日本で生きていくということは高度成長期に作られた企業の論理、すなわち新卒一括採用、年功序列、終身雇用のフレームの中に自分の人生を当てはめ、目標を定めてプライベートをそれに合わせて最適化していくということだったと思います。しかし、高度成長が終わって世の中の進化が加速し、転職や起業などを通して既存の企業のフレームの外に仕事や人生の意義を見出す時代になってきており、どのような指針で自分の人生を組み立てたら良いのか思い悩む人も多いと思います。本書では、人生をロングゲームと定めて自分の人生の中でどういう目標を立て、それを実現するためにはどういう戦略を取るべきかについてのヒントを与えてくれます。目標を立てること、人に貢献すること、仲間を作ること、やりすぎないこと、人生に余白をつくることなどの重要性について、わかりやすい例を交えながらシンプルに説いていきます。自分のキャリアプランをどうするべきか、仕事とプライベートをどう切り分けるべきか、10年後に何をしていたいのか、そんなことに悩んだときに手に取るとヒントが見つかる、そんな本でした。


【4】俳句の缶づめ「今回のAI一茶くん」

AI一茶くんの対決デビュー戦となった、NHK「超絶 凄ワザ!」への出演を契機に知り合ったマルコボ.コム社が季刊発行している『俳句の缶づめ』に、2019年10月号からAI一茶くんの俳句が掲載されています。
この中の「今回のAI一茶くん」というコーナーでは、素性を隠して掲載されたAI一茶くんの句を読者が当てるという企画が行われています。
AI一茶くんが詠んだ句、そしてその句が獲得した得点、AI一茶くんの俳句を見抜いた人数をご紹介したいと思います!

兼題「秋麗」(2022年10月32号)

秋麗ら故郷に帰ることもなし

AI一茶くんは、まだ良い俳句を自分で選ぶことができないので、AI一茶くんの詠んだ20句から、編集室が選んだ一句です。

この句は残念ながら無点句となってしまいました。
今回、見事AI一茶くんの句を見抜いた方は4名いらっしゃいました。

次回の兼題は「落葉」です。
AI一茶くんの句は何点獲得できるのか、そして見抜ける方はいらっしゃるのか、お楽しみに!

『俳句の缶づめ』は年4回発行されています。次回は4月の発行となります。
マルコボ.コムオンラインショップ( http://shop.marukobo.com/ )からも購読のお申し込みができますので、ご興味がある方はぜひご覧ください。


【5】ディープラーニング勉強会

調和系工学研究室ではディープラーニングの最新の知識共有を目指し、毎週ゼミを実施しています。
担当学生がトップカンファレンスから自分の興味のある論文について発表し、意見交換をしながら進めています。
本研究室HP( http://harmo-lab.jp/?page_id=1194 )には過去の発表に使用したスライドも公開していますので、ご興味のある方はぜひそちらもご覧ください。

[紹介論文]
Emotionally Intelligent Fashion Design Using CNN and GAN

公開URL:http://cad-journal.net/files/vol_18/CAD_18(5)_2021_900-913.pdf

論文紹介スライドURL: https://www.slideshare.net/harmonylab/emotionally-intelligent-fashion-design-using-cnn-and-gan

出典:Yang, Cheng et al. “Emotionally Intelligent Fashion Design Using CNN and GAN.” Computer-aided Design and Applications 18 (2021): 900-913.

概要:全体的な製品の性能が向上したことにより、消費者は機能よりもイメージのような感情に訴えられる部分に注目するようになった。そこで本研究では、靴に着目することで商品イメージを識別するProduct Image Recognition model とイメージ通りの商品を生成するIntelligent Design Generation Model を提案する。Product Image Recognition model では、アンケートによって得られた各商品の画像のイメージ情報をCNNベースのモデルによって学習を行い、商品イメージの識別を実現した。Intelligent Design Generation Model では、GANベースのモデルより、イメージに沿った商品の生成を実現した。見た目による定性的な評価や被検者による実験の結果などから、提案手法の実現可能性と有効性が示せた。(修士2年 右田幹)


【6】人工知能・ディープラーニングNEWS

超高精度で商用利用可能な純国産の日本語音声認識モデル「ReazonSpeech」を無償公開
チューリング、自社開発のAI自動運転機能を搭載した「THE 1st TURING CAR」を販売開始
送迎バス置き去り防止用安全装置「IDEA bus security」リリース
MetaとDeepMindが相次いで発表。外交ゲーム『ディプロマシー』ゲームプレイAIの最前線とは?
話題の対話型AI「ChatGPT」は本当に“人間の仕事を奪う”レベルなのか…? 試しに怪奇小説を書かせてみた
鹿児島県の離島へのドローンによる食品配送、映像解析AIで離発着ポートを無人監視
プライバシーに配慮した設計のAIカメラを用いた人流解析を実施|ハービスPLAZA ENT
団塊「2025年問題」控え AI介護広がる 認知症患者の失踪防ぎ、転倒を早期発見
ごみ焼却発電施設でAI制御による長期運転に成功|日立造船と日立ハイテク
ある意味ChatGPT のAIを超えた Perplexity.ai 6つのポイント パープレキシティ


【7】AI川柳

調和系工学研究室では、毎日新聞社「仲畑流万能川柳」や第一生命保険「サラリーマン川柳」を学習用の教師データとした「AI川柳」に取り組んでいます。
2020年3月までの1年間「NHK総合 ニュースシブ5時」にて、その週の話題のニュースのキーワードをお題に、バーチャルアナウンサー「ニュースのヨミ子」さんが詠んでいたAI川柳も、本研究室が開発した人工知能システムです。
多くの皆さんに楽しんでいただけるよう、2020年6月にAI川柳のTwitterアカウント( https://twitter.com/ai_senryu )を開設いたしました。
AIには詠んだ句に対する「良し悪し」の感覚はありません。そのため、人間がどのように感じ、どのような情景を思い浮かべるかにより、AIが詠んだ句に意味が生じてきます。
AIが詠んだ句に共感していただけましたら大変うれしく思います!

★ お題 「不要」(1月24日投稿)
  絶対に不要ですかと訊かれたが
最強寒波襲来のため「不要不急」の外出は避けるようにとのことですが、「絶対に不要ですか?」なんて訊かれたら困ってしまうかも・・・。

★ お題「テレビ」(2月1日投稿)
 テレビ見て感動してた頃もあり 
70年前の2月1日にテレビの本放送が開始となりました。今ではテレビ離れが進んでいるようですが・・・。


【ご寄附のお願い】
人工知能によるイノベーションでより素晴らしい世界を実現することが、私たち調和系工学研究室の使命であると考え日々研究に取り組んでいます。
大学での研究活動には、研究に必要な機器の整備のほかにも、学生の学会への参加や論文投稿など研究費が欠かせません。
私たちの取り組みにご賛同いただけ、応援のご寄附を賜れましたら大変心強く、研究を続けるうえで大きな励みとなります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
調和系工学研究室 教授 川村 秀憲

[北海道大学奨学寄附金制度について](本学への寄附金については、税法上の優遇措置の対象となります)
お問い合わせ先:http://harmo-lab.jp/contact

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

◇ 次号は、2023年2月17日に配信する予定です。
◇ メールマガジンのバックナンバー
 http://harmo-lab.jp/?page_id=2923

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