2023年1月20日配信

こんにちは。
北海道大学調和系工学研究室(川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教)です。

札幌は寒い日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今日は二十四節気の「大寒」ということで、一層寒く感じられます。
それでは、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

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◇ 本日のTopics ◇
【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW
【2】日経MJ「川村秀憲のなるほどAI」
【3】こんな本を読んでいます
【4】ディープラーニング勉強会
【5】人工知能・ディープラーニングNEWS
【6】AI川柳
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【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW

★ 日経MJに川村教授の連載コラム「川村秀憲のなるほどAI」の第7回が掲載されました

2023年1月11日の日経MJに川村教授の連載コラム「川村秀憲のなるほどAI」が掲載されました。
第7回は「新たな価値観 受け入れて前進」と題し、2022年のAI発展におけるエポックメイキングな出来事について振り返っています。
本メルマガにてその内容を詳しく紹介させていただきます。

[日経MJ]


★ 研究室に関連する企業・ベンチャーのニュース

◇ 北海道新聞デジタルにてAWLを取り上げていただきました

2023年1月8日の北海道新聞デジタル(旧電子版)に掲載された道内新興企業に関するコラムにて、AWL株式会社を取り上げていただきました。
道内のスタートアップ(新興企業)をけん引する企業であり、「独創的で高い技術力や新たな市場を開拓する力があると評価され、億単位の資金調達が可能な企業」の一つとして、AWL株式会社をご紹介いただいています。

[北海道新聞デジタル](お読みになるには、ログインが必要です。)

[AWL株式会社]


◇ 北海道新聞にてAWLを取り上げていただきました

2023年1月18日の北海道新聞にて、AWL株式会社が実施している海外での実証実験について取り上げていただきました。
AWL株式会社は、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビにあるショッピングセンターの店舗にて来店者の行動データを収集し、商品の売れ行き動向を分析するデジタルマーケティングを行っています。

[北海道新聞デジタル](お読みになるには、ログインが必要です。)

[AWL株式会社]


【2】日経MJ「川村秀憲のなるほどAI」

2022年7月より日経MJで川村教授の連載コラム「川村秀憲のなるほどAI」がスタートしました。
2023年1月11日に掲載されました第7回の内容をメルマガでも紹介させていただきます。

新たな価値観 受け入れて前進
画像生成・対話型・ヘルパーロボで大変化

2022年は人工知能(AI)の発展においてエポックメーキングな出来事がいくつかありました。その出来事について振り返り、これからの社会がどうなっていくのかについて考えてみたいと思います。

一つ目は、単語や文章などのテキストから画像を生成するAIの登場です。「ミッドジャーニー」「ステーブル・ディフュージョン」によって高品質な画像やイラストを生成することができるようになりました。AIの登場によってイラストレーターという職業のあり方が今後、大きく変わっていくかもしれません。

特筆すべきはステーブル・ディフュージョンが社会に与えた影響です。公開時から高性能の画像生成AIをオープンソース化し、ライセンスを明記することで営利・非営利問わずに応用することができました。

すぐにLINEによるチャットボット化がなされたり、スマートフォンのアプリ化がなされたりと様々なサービスに発展しました。今後は画像生成以外の分野のAIでも同じようなことが起こると予測されます。

二つ目は「Chat(チャット) GPT」に代表される対話AI、文章生成AIの登場です。これらに使われるAIはウェブなどから収集した膨大なテキストデータを学習したものをベースとしています。Chat GTPは問い合わせに対し、意味や文脈があまり乱れずにある程度の長文も作文して回答してくれます。

筆者が「戦争をなくすためにはどうすればよいか」という問い掛けをしてみたところ、曖昧で明確な答えがない抽象的な質問にもそれなりの回答が行えていることに驚きを感じました。

<Chat GPTに聞いた>
Q:戦争をなくすためには?
A:戦争をなくすためには、様々な取り組みが必要です。まず、国際的な協力を強化し、紛争を解決するための国際的な仲裁や調停機関を構築することが重要です。また、国際的な法的枠組みを整備し、戦争が起こる前に紛争を防ぐ仕組みを作り出すことが求められます。さらに、教育や文化交流などを通じて、人々の間で理解と信頼を醸成することも大切です。いくつかの取り組みを組み合わせることで、戦争をなくすことができるかもしれません。

このサービスの登場によって、ホワイトカラーの仕事のあり方が大きく変わる可能性がでてきました。仕事の中で「あることについて調べて意思決定する」などといったことは日常的に行われています。「検索エンジンで調べる」「結果を選別しまとめる」「それを参考に決める」などとすることが多いと思いますが、Chat GPTは特に前者二つを代替してしまう可能性を秘めています。

人の仕事にも影響を与えますが、グーグルなどの検索サービスのあり方をも根本的に変えてしまうかもしれません。まだChat GPTの受け答えはとんちんかんなものや誤ったものも多く含まれ、人による検索やまとめを代替するには性能不足ですが、今のAIの発展スピードを考えると近いうちに人と同じレベルに到達するかもしれません。

三つ目の出来事は、グーグル・リサーチとロボット開発会社のエブリデー・ロボットが共同開発したヘルパーロボットです。このロボットは、現実世界の状況を理解し、人の曖昧で抽象的な指示を受けて行動することができます。介護現場や建設現場、外食産業などに普及する日もそう遠くないのではないでしょうか。

22年はAIが飛躍的に発展しました。大事なのは、この発展は更に加速的になっていくということです。それに伴って人の生活や仕事、社会のあり方が変化していくのは必然です。私たちはその変化にあらがうのではなく、変化を楽しみながら新しい価値観を受け入れていくことがAIの時代をしなやかに生きていくコツではないかと思います。


【3】こんな本を読んでいます

『人類の歴史とAIの未来 』
バイロン・リース (著), 古谷 美央 (翻訳)

技術調査会社ギガオムCEOであり、その他複数のハイテク企業の創設者でもあるバイロン・リース氏が、人類の歴史を紐解きながら、AIの本質にせまる本です。

[ 感想 ]
これからAIは人類にとってどのような存在になっていくのか。人類とAIの未来について、一般の方々だけでなく研究者の間でも楽観論から悲観論まで様々な予想があります。本書では、AIにまつわる学術的な議論をきちんと抑えた上で、中立的な立場で人類とAIの未来について考察しています。特に意見が食い違う原因となる、知能・AIというものをどう定義するのかという前提条件について丁寧に解説し、その前提条件の違いから意見の食い違いが生じていることを上手に整理しています。AGIやAIの意識についても、「サピエンス全史」や「ホモデウス」などの名著のエッセンスもうまく取り込み、学術的な議論を踏まえながらわかりやすく解説しています。AIの専門家にも、漠然とAIに不安を抱いている人にもぜひ一度読んでもらいたい本です。


【4】ディープラーニング勉強会

調和系工学研究室ではディープラーニングの最新の知識共有を目指し、毎週ゼミを実施しています。
担当学生がトップカンファレンスから自分の興味のある論文について発表し、意見交換をしながら進めています。
本研究室HP( http://harmo-lab.jp/?page_id=1194 )には過去の発表に使用したスライドも公開していますので、ご興味のある方はぜひそちらもご覧ください。

[紹介論文]
Feature Erasing and Diffusion Network for Occluded Person Re-Identification

公開URL:https://arxiv.org/abs/2112.08740

論文紹介スライドURL: https://www.slideshare.net/harmonylab/feature-erasing-and-diffusion-network-for-occluded-person-reidentification

出典:Zhikang Wang, Feng Zhu, Shixiang Tang, Rui Zhao, Lihuo He, Jiangning Song,CVPR2022

概要:オクルージョン消去モジュール(OEM)と特徴拡散モジュール(FDM)を導入したReIDモデル,FEDを提案.ReIDのベンチマークでSoTAを達成.(博士1年 西浦翼)


【5】人工知能・ディープラーニングNEWS

AI-OCRで国立国会図書館の資料をテキスト化 約1300万文字のデータセットから開発 その舞台裏に迫る
歩行速度に関わらず複数の人を同時に安定して追跡し続けるトラッキング技術 行動分析技術アクトライザー
NVIDIA、YouTubeなどに対応したAI超解像機能
画像10枚からそっくりのアイコンができる!AIによる顔アイコン生成サービス
自動運転技術の開発を加速するシミュレーション、仮想環境の構築はどうする
New study explores artificial intelligence in fashion
業界初のAI自動要約!会議の文字起こしから要約の作成までAIにお任せ「AI議事録取れる君」
ChatGPTの言語モデル「GPT-3.5」、司法試験を受ける 結果は?
DeepLに“文章修正機能”が登場 AIが文法ミスの修正、言い回しの提案をしてくれる
エヴァのMAGIシステムをGPT3で作ってみた


【6】AI川柳

調和系工学研究室では、毎日新聞社「仲畑流万能川柳」や第一生命保険「サラリーマン川柳」を学習用の教師データとした「AI川柳」に取り組んでいます。
2020年3月までの1年間「NHK総合 ニュースシブ5時」にて、その週の話題のニュースのキーワードをお題に、バーチャルアナウンサー「ニュースのヨミ子」さんが詠んでいたAI川柳も、本研究室が開発した人工知能システムです。
多くの皆さんに楽しんでいただけるよう、2020年6月にAI川柳のTwitterアカウント( https://twitter.com/ai_senryu )を開設いたしました。
AIには詠んだ句に対する「良し悪し」の感覚はありません。そのため、人間がどのように感じ、どのような情景を思い浮かべるかにより、AIが詠んだ句に意味が生じてきます。
AIが詠んだ句に共感していただけましたら大変うれしく思います!

★ お題 「停止」(1月12日投稿)
  恋愛は心だけでは停止する
AI川柳さんに、何があったのでしょうか(笑)。

★ お題「安全」(1月17日投稿)
 安全な場所で平和を祈ってる
阪神・淡路大震災から28年。兵庫県では1月17日を「ひょうご安全の日」として安全で安心できる社会を作る取り組みをしているそうです。


【ご寄附のお願い】
人工知能によるイノベーションでより素晴らしい世界を実現することが、私たち調和系工学研究室の使命であると考え日々研究に取り組んでいます。
大学での研究活動には、研究に必要な機器の整備のほかにも、学生の学会への参加や論文投稿など研究費が欠かせません。
私たちの取り組みにご賛同いただけ、応援のご寄附を賜れましたら大変心強く、研究を続けるうえで大きな励みとなります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
調和系工学研究室 教授 川村 秀憲

[北海道大学奨学寄附金制度について](本学への寄附金については、税法上の優遇措置の対象となります)
お問い合わせ先:http://harmo-lab.jp/contact

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

◇ 次号は、2023年2月3日に配信する予定です。
◇ メールマガジンのバックナンバー
 http://harmo-lab.jp/?page_id=2923

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調和系工学研究室教員
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Twitter 調和系工学研究室AI川柳

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