2022年8月19日配信

こんにちは。
北海道大学調和系工学研究室(川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教)です。

皆様、お盆休みはいかがお過ごしになりましたか。
今夏の札幌は、エアコンが必要ない日もあるくらい、過ごしやすいです。
毎年こうだったらいいのにと思ってしまいます。

それでは、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

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◇ 本日のTopics ◇
【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW
【2】日経MJ 川村秀憲の『なるほどAI』
【3】ディープラーニング勉強会
【4】人工知能・ディープラーニングNEWS
【5】AI川柳
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【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW

★ 「AIとIoTを活用したデータ駆動型灯油配送の実現」ノーステック財団の研究開発助成事業に採択されました

本研究室とゼロスペック株式会社とで申請した「AIとIoTを活用したデータ駆動型灯油配送の実現」(研究代表者:山下倫央准教授)が、北海道科学技術総合振興センター(ノーステック財団)の研究開発助成事業である「イノベーション創出研究支援事業」に採択されました。
ノーステック財団は、「研究開発から事業化までの一貫した支援」を活動理念とし、科学技術の振興と技術シーズの事業化支援を通じ、北海道産業の振興と活力ある地域経済の発展に取り組んでいます。
本研究では、レーザセンサや給油履歴に基づく灯油タンクの灯油残量の推定手法、および灯油残量の推定結果を用いて在庫配送計画問題として定式化した灯油配送計画の近似解法を開発し、灯油配送業務の効率化の実現と従業員の労働負担の軽減を目指します。

[2022ノーステック研究開発助成・採択テーマおよび概要一覧]
[公益財団法人 海道科学技術総合振興センター(ノーステック財団)]
[ゼロスペック株式会社]


★ 北海道新聞、および朝日新聞にて「札幌AI道場」の開設式を取り上げていただきました

2022年8月5日の北海道新聞、および朝日新聞道内版にて「札幌AI道場」の開設式について取り上げていただきました。
開設式では、「札幌AI道場」最高師範である川村教授が「札幌AIラボのこれまでとこれから。~次なる成長に向けた地域エコシステムの発展を目指して~」と題し、基調講演を行いました。
また、「札幌AI道場」の運営事務局となる株式会社調和技研の代表取締役社長 兼 総師範である、中村拓哉氏が道場について説明を行いました。

「札幌AI道場」は、産学官が連携し設立した「札幌AIラボ」が主宰する実践的AI人材育成・実証プログラムです。
「札幌AI道場」の詳細は下記よりご覧ください。
https://www.s-ail.org/ai-dojo/

[北海道新聞]
[朝日新聞]
[株式会社調和技研]


★ 日刊ゲンダイDIGITALに『AI研究者と俳人 人はなぜ俳句を詠むのか』の書評を掲載いただきました

日刊ゲンダイDIGITAL「熟読乱読 世相斬り」にて、作家 大岡玲氏より『AI研究者と俳人 人はなぜ俳句を詠むのか』(dZERO)の書評をいただきました。
「芭蕉vs.AI」と題し、「感情を持たないAIが俳句を詠む『奇妙さ』がまた面白い」と感想をくださっています。
『AI研究者と俳人 人はなぜ俳句を詠むのか』は、俳人 大塚凱氏と川村教授の対談本です。

[日刊ゲンダイDIGITAL「熟読乱読 世相斬り」](お読みになるにはログインが必要です。)
[『AI研究者と俳人 人はなぜ俳句を詠むのか』]


★ 道新こども新聞「週刊まなぶん」に連載「北大・川村秀憲教授に聞くAIを知ろう」が掲載されました

道新こども新聞「週刊まなぶん」にて連載中の「北大・川村秀憲教授に聞くAIを知ろう」の「10 『かわいい』を判断する」が8月13日(土)に掲載されました。
「かわいい」や「かっこいい」などの人間の感性をAIに教えるための工夫について、子どもにもわかりやすく解説されています。

「週刊まなぶん」は北海道新聞を購読している方に、毎週土曜日の朝刊と一緒に無料で届けられる子ども新聞です。
お子様をお持ちの皆様など、ご興味がありましたらぜひお読みください。

[週刊まなぶん]


★ 研究室に関連する企業・ベンチャーのニュース

◇ Aillが松竹ベンチャーズと新作映画の予告編を使った実証実験を開始しました

株式会社Aillと松竹ベンチャーズ株式会社が福利厚生サービス AI縁結びナビゲーションアプリ「Aill goen(エール ゴエン)」を使用し、映画予告視聴を通じた出会いとリアル映画館デートの創出を通じ、ネット環境において自然な出会いが生まれる可能性を検証する実証実験を開始しました。

実証実験の詳細は以下をご覧ください。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000104108.html

[Aill goen]
[松竹ベンチャーズ株式会社]
[株式会社Aill]


◇ ジョブキタにAWLのCTOである土田氏のインタビューを掲載いただきました

札幌・北海道の転職・就職求人情報サイトである「ジョブキタ」の「グローバルビジネスに挑戦する J-Startup HOKKAIDO企業」のコーナーにて、AWL株式会社 最高技術責任者(CTO)である土田安紘氏のインタビューを掲載いただきました。
「AIの『鮮度』を常に保つプロセスを世界中に。」と題した、インタビューでは、「AWL BOX(アウルボックス)や、今後の目標などについて、お話になっています。

[AIの「鮮度」を常に保つプロセスを世界中に。
[AWL株式会社]


◇ 日経新聞にてAWLとインド工科大学との連携拡大について取り上げていただきました

2022年8月17日の日本経済新聞にて、AWL株式会社とインド工科大学ボンベイ校との連携拡大について取り上げていただきました。
8月16日に、同大学にて共同研究に関する契約などの調印式が行われ、本研究室OBでもあるAWL株式会社 最高技術責任者(CTO)の土田安紘氏が出席しました。
AWL株式会社は、今後同大学内に拠点を設け、AIを使ったカメラ開発への応用を行っていく方針です。

[日本経済新聞](お読みになるにはログインが必要です。)
[AWL株式会社]


◇ 北海道新聞にて大型資金調達を達成したスタートアップ企業としてAWLが掲載されました

2022年8月15日の北海道新聞にて、札幌・北海道スタートアップエコシステム推進協議会がまとめた、スタートアップ関連の業績評価指標が取り上げられ、AWL株式会社が大型資金調達を実施した企業として紹介されました。

[北海道新聞](お読みになるにはログインが必要です。)
[AWL株式会社]


◇ 北海道新聞にてAIを開発する高度人材の獲得方法について調和技研を取り上げていただきました

2022年8月17日の北海道新聞の道内IT人材の確保についての記事内にて、株式会社調和技研を取り上げていただきました。
人工知能(AI)を開発する高度人材分野において、株式会社調和技研が行っている外国人の人材獲得について紹介いただきました。
[北海道新聞](お読みになるにはログインが必要です。)
[株式会社調和技研]


【2】日経MJ 川村秀憲の『なるほどAI』

2022年7月より日経MJで川村教授の連載コラム「川村秀憲のなるほどAI」がスタートしました。
8月3日に掲載されました第2回の内容をメルマガでも紹介させていただきます。

深層学習・ビッグデータで能力向上

昨今、紙面でもAI(人工知能)の文字を目にする機会が多くなりました。
人のように考えることができる「強いAI」の実現はまだ先ですが、限られた課題において人と同程度の情報処理ができる「弱いAI」は様々なところで応用され始めています。
AI研究の歴史は長いですが、なぜここ最近でAIの能力が急速に発展したのでしょうか。

それには3つの要因があると言われています。
1つ目は、深層学習(ディープラーニング)と呼ばれる技術の発展です。
データが入力された際に計算処理をして出力を決めるのがAIの基礎です。
猫が写った画像が入力された際に「猫」というタグを出力するといった具合です。
この入力と出力を正しく結びつけるための計算式を見つける技術がディープラーニングです。

2つ目は、ビッグデータです。
AIを学習させるためには膨大なデータが必要となります。
今、SNSなどの普及でネット上には膨大なデータがあります。
ウェブサービスやIoTなどで収集される企業内データなども、ものすごい数にのぼります。
これらを使ってAIを学習させることが可能になってきました。

3つ目はコンピュータの計算力の向上です。
多くのデータから学習によって正しい計算式を見つけるには膨大な回数の計算が必要になります。
一昔前はスーパーコンピュータを使うしかありませんでしたが、近年は3Dグラフィックスを描画する際に使われていた装置を転用することで、割合安価に膨大な計算を行うことが可能になりました。

さらに、ディープラーニングを実現するためのソフトウェアのオープンな開発環境もあります。
膨大な計算を効率よく実行するためには高度なソフトウェアが欠かせませんが、それらのソフトが次々と開発され、公開されることで誰でも利用できるようになりました。
世界最先端のソフトをベースに自分の課題にカスタマイズすることで実用化が可能となったのです。

ついこの前までは画像認識などでAIの能力に驚かされましたが、最近は更に驚くべきことが起きています。イーロン・マスク氏が出資したことでも知られる米非営利団体OpenAIは、言葉で指示するとプログラムを作成する「OpenAI Codex」という技術を開発しました。

これまでプログラミングは人の仕事でしたが、AIに「このような機能をもったプログラムを作れ」などと指示するだけでプログラミングしてくれる時代が来ようとしています。
同団体が最近公開した「DALL・E」は入力された文章に基づいた画像を生成するAIです。
「狐」や「宇宙飛行士」などの文章からそれぞれの画像を出力することはできそうな気がしますが、このAIのレベルは想像を超えます。

例えば、「日の出の野原に座っているクロード・モネ風キツネの絵」とか、「鉛筆で描かれた宇宙で馬に乗っている宇宙飛行士の絵」といったむちゃ振りの要求にも答えてくれるのです。

AIの技術がすごい勢いで発展していく中、我々はこのような技術をどう理解し、どう付き合っていくか。
社会的なコンセンサスを意識し、高い倫理観を持って考えていく必要がある時代になってきています。


【3】ディープラーニング勉強会

調和系工学研究室ではディープラーニングの最新の知識共有を目指し、毎週ゼミを実施しています。
担当学生がトップカンファレンスから自分の興味のある論文について発表し、意見交換をしながら進めています。
本研究室HP( http://harmo-lab.jp/?page_id=1194 )には過去の発表に使用したスライドも公開していますので、ご興味のある方はぜひそちらもご覧ください。

[紹介論文]
Personalized Fashion recommendation from personal social media data an item to set metric learning approach

公開URL:https://arxiv.org/pdf/2005.12439.pdf

論文紹介スライドURL: https://www.slideshare.net/harmonylab/personalized-fashion-recommendation-from-personal-social-media-data-an-item-to-set-metric-learning-approach

出典:Haitian Zheng, Kefei Wu, Jong-Hwi Park, Wei Zhu, Jiebo Luo, Personalized Fashion recommendation from personal social media data an item to set metric learning approach, 2021 IEEE International Conference on Big Data (Big Data)

概要:オンラインショッピングの成長により、服装の推薦精度が重要なタスクになり、個人の好みもソーシャルメディアデータから分かるようになりました。そこで、ソーシャルメディアデータを用いて、個人の好みに沿った衣服の推薦を提案します。具体的には過去のアイテムと新しいアイテムの距離を計算して学習する枠組みを提案します。提案手法の特徴として、マルチモダリティな特徴量やクロスモダリティな融合方法を使用します。実験では、ソーシャルメディアに実在するデータを用いて、他の手法よりも優れた成果を出すことができました。(修士2年 右田幹)


【4】人工知能・ディープラーニングNEWS

★ JCB、自然な会話で対応する「AIオペレーター」をコールセンターに導入 年間190万件への対応をめざす
★ コミュ力の高い対話型AIは人間との関係をどのように築くのか?
★ Meta、チャットボット育成のため「BlenderBot 3」を一般公開(「Tay問題」対策も)
★ 突然注目を集めたAI画像生成Midjoureyを運営する社員10人の「零細企業」の裏側
★ LEGOの説明書を読んで組み立てるAI、米スタンフォード大などが開発 家具やMinecraftでも応用可能
★ AI作成の画像を修正する技術 単語を変えて「自転車に乗る猫」を「車に乗る猫」に 米Googleらが開発
★ 人間や動物により近い自律的機械知の実現に向けた提案論文「A Path Towards Autonomous Machine Intelligence」 を詳細解説!
★ 進化したAIによる成果物の権利は誰のもの? Midjourneyだけではない、小説、映画、音楽で既にAI生成物は広まっている
★ 赤ん坊のように直観を学ぶDeepMindの人工知能「PLATO」
★ 日立、不審人物や迷子、荷物の置き引きをAI映像解析で早期発見する新機能を「人物発見・追跡ソリューション」で提供開始
★ 自然な話し言葉でロボットを操作 Googleが基盤技術
★ 口パクで音声入力できるイヤフォン 口を動かした際の耳穴の変形から予測 米国チームが開発


【5】AI川柳

調和系工学研究室では、毎日新聞社「仲畑流万能川柳」や第一生命保険「サラリーマン川柳」を学習用の教師データとした「AI川柳」に取り組んでいます。
2020年3月までの1年間「NHK総合 ニュースシブ5時」にて、その週の話題のニュースのキーワードをお題に、バーチャルアナウンサー「ニュースのヨミ子」さんが詠んでいたAI川柳も、本研究室が開発した人工知能システムです。
多くの皆さんに楽しんでいただけるよう、2020年6月にAI川柳のTwitterアカウント( https://twitter.com/ai_senryu )を開設いたしました。
AIには詠んだ句に対する「良し悪し」の感覚はありません。そのため、人間がどのように感じ、どのような情景を思い浮かべるかにより、AIが詠んだ句に意味が生じてきます。
AIが詠んだ句に共感していただけましたら大変うれしく思います!

★ お題「太陽」(8月10日投稿)
   太陽が輝いている下り坂
今日も暑くなりそうですね・・・。

★ お題「ため息」(8月16日投稿)
  ため息をつく暇がない冷蔵庫
猛暑日が続くと、冷蔵庫や冷房は大忙しですね。

  
【ご寄附のお願い】
人工知能によるイノベーションでより素晴らしい世界を実現することが、私たち調和系工学研究室の使命であると考え日々研究に取り組んでいます。
大学での研究活動には、研究に必要な機器の整備のほかにも、学生の学会への参加や論文投稿など研究費が欠かせません。
私たちの取り組みにご賛同いただけ、応援のご寄附を賜れましたら大変心強く、研究を続けるうえで大きな励みとなります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
調和系工学研究室 教授 川村 秀憲

[北海道大学奨学寄附金制度について](本学への寄附金については、税法上の優遇措置の対象となります)
お問い合わせ先:http://harmo-lab.jp/contact

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

◇ 次号は、9月2日に配信する予定です。
◇ メールマガジンのバックナンバー
 http://harmo-lab.jp/?page_id=2923

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調和系工学研究室教員
川村 秀憲教授
山下 倫央准教授
横山 想一郎助教

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Twitter 調和系工学研究室AI川柳

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