2022年3月18日配信

こんにちは。

北海道大学調和系工学研究室(川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教)です。

根雪が終わるのはまだ先になりそうな札幌ですが、皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか。

来週3月24日に予定されている学位記授与式は、2年ぶりに対面で実施されることになりました。

コロナ禍で制限の多い学生生活でしたが、最後は皆で顔を合わせて集まれることをとても嬉しく思います。

調和系工学研究室も学士、修士、博士の10名の学生を送り出すので、ハレの門出が好天に恵まれることを願います。

では、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

***************************************

◇ 本日のTopics ◇

【1】日刊工業新聞「次代をつくる」

【2】AI研究者と俳人 人はなぜ俳句を詠むのか 第二章

【3】調和系工学研究室WHAT’S NEW

【4】人工知能・ディープラーニングNEWS

【5】今週のAI俳句ランキング

【6】AI川柳

***************************************

【1】日刊工業新聞「次代をつくる」

今年度から川村教授が寄稿している日刊工業新聞「次代をつくる」が、今回で最終回を迎えました。

培養したヒト脳細胞に刺激を与えることで、脳細胞と機械との相互作用を実現し、わずか5分で脳細胞はコンピューター上の簡単な卓球ゲームをプレイすることが可能に。

遠い未来のことと考えられていた技術の実現について述べています。

[「次代をつくる/培養した脳細胞にコンピューター接続 卓球ゲーム プレイ可能に」 3月15日(火)]

*日刊工業新聞社の転載承認を受けています

豪州の研究チームが「DishBrain」という驚くべきシステムに関する研究成果を発表した。このシステムでは微小電極アレイの上にiPS細胞(人工多能性幹細胞)由来のヒト脳細胞を培養。その細胞に刺激を与えることで脳細胞と機械との相互作用を実現するそうである。その応用例として、パドルを動かしてボールを打ち返し合うコンピュータ上の簡単な卓球ゲーム「Pong」のプレイを学習させることに成功したという。

その仕組みは、まずボールの位置を表す電気信号をアレイに送る。アレイの脳細胞はボールの位置に応じてニューロンを発火させ、続いていくつかのニューロンが連続発火したあと、パドルを前後に動かす電気信号を出す。その電気信号を読み取り、強弱に応じてコンピュータ上で実際にパドルを動かす。わずか5分で脳細胞は、ゲームをプレイすることを学んだという。ゲームの実力はそれほどでもないとのことだが、コンピュータからの信号が生きた脳細胞に接続され、実際に情報処理されて機能したのは、驚くべきことである。

また、イーロン・マスクが設立した米ニューラリンクは、人間の脳内に手術でデバイスを埋め込むことで、脳と機械の高速相互作用を実現し、病気や麻痺がある人を助ける技術を研究開発している。実現すれば、脳内で考えただけでコンピュータを操作できることになる。その原理証明のため実際に、猿の脳内にデバイスを埋め込み、猿が考えるだけでコンピュータ上のPongをプレイする動画を公開して物議を醸した。現在様々な応用がなされている深層学習(ディープラーニング)は、もともと脳細胞の動きをコンピュータ上でシミュレートしたものである。生化学反応をデジタルコンピュータでシミュレートするには原理的に多大なコストがかかるので、生きた脳細胞を直接利用できれば桁違いの情報処理ができそうだということは想像上は理解できる。

そのような技術の実現は、遠い未来のことのような気がしていたが、映画『マトリックス』のようなSFめいた話が実現するのもすぐそこである。

【2】AI研究者と俳人 人はなぜ俳句を詠むのか 第二章

3月20日にdZERO社より、『AI研究者と俳人 人はなぜ俳句を詠むのか』が出版されることになりました。

俳句を詠むときに人の脳の中では何が起こっているのか。

AI研究者である川村教授と若手俳人の大塚凱氏が、本書で知能とは何か、人間とは何かについて語っています。

本メールマガジンの読者の方にはいち早く内容をご紹介していきますので、発売を楽しみにしていただけましたら大変うれしく思います。

[第二章 記号と意味 ハードルは何か]

意味を知らずにつくる俳句

川村    人は、ことばを聞くとき、文字を見るとき、「意味」をセットにして受け取ります。知らないことばは別として、基本的に、声や文字には「意味」がくっついている。「意味」は言語にとって決定的に重要です。こうしたことばの作用は、人間にとってあたりまえのことですが、AIにとっては簡単なことではありません。

例えば「罪」は、人間にとってはさまざまな意味と、さらには連想や感情をともなっています。けれども、現状の「AI一茶くん」にとって、「罪」という一文字は、特定の番号、振り分けられた番号でしかありません。プログラム上、「罪」は57番といった具合に。

「林檎」も同様です。現実の林檎と、「林檎」あるいは「りんご」「リンゴ」という語が結びついていません。「AI一茶くん」で、林檎の句をつくれても、「AI一茶くん」は林檎が赤いことも、食べられることも知りません。

「罪」と「林檎」が並ぶと、多くの人はアダムとイヴの神話を思い浮かべます。それは、これらの語の意味を知り、語のもつ象徴性を理解し、背後にある物語の知識があるからです。意味さえ知らない「AI一茶くん」にはとうてい不可能な連想です。

これが「シンボルグラウンディング(記号接地)問題」と呼ばれる、AI研究の大きな課題、高いハードルの一つです。AI研究で俳句を扱う大きな意味の一つが、この問題の解決なのですが、記号(シンボル)を記号として処理できても、それが現実に接地(グラウンディング)していない。意味も形状も理解していない状態です。

大塚    言語学でいうところの「シニフィエ(意味されるもの)」が欠落した状態ですね。

川村    では、意味を知らないまま、どうやって「AI一茶くん」で俳句をつくるのか。まず一つには、「組み合わせ」を学ぶ。

最初期バージョンの「AI一茶くん」は、文字単位でした。「LSTM」というディープラーニングのモデルを用いて、最初の一文字を学び、それに続く次の一文字を学び、さらにそれに続く一文字を学び……といったぐあいに、教師データにある俳句の文字の並びを学習していきました。

大塚    読者のために補足しておくと、AI俳句を、俳句自動生成プログラムと同一視する人もいるようですが、ディープラーニングであるということ、つまり「学ぶ」という点で決定的に異なるものですね。

インターネットでよく見かけるその手の自動生成プログラムの基本的な仕組みは、昔からある「天狗俳諧」と呼ばれる遊びと同じです。

俳句版のスロットマシーンのようなもので、偶然の組み合わせが一句になる。上五と中七と下五に意味的なつながりがないので、突拍子もない句が生まれる。自動生成プログラムは、その「天狗俳諧」をコンピュータープログラムにしたものです。

川村  「AI一茶くん」の新しいバージョンで試しているのは、ことばをベクトルで捉える方法です。膨大なセンテンスをもとに、「意味」を数値化し、一語一語をベクトルに置き換える。「Word2Vec」と呼ばれる手法です。

単純化して説明すると、例えば、「おとうさん」から「男性」を引いて「女性」を足すと「おかあさん」。「イギリス」引く「ロンドン」足す「東京」だと「日本」。いわば、それぞれの語を「意味」の座標軸で捉える。要素が多いので、多次元の座標軸になります。

ただ、これにしても入力モードが言語だけなので、早晩、限界が見えてきます。人間は、ことばだけで情報を得ているのではありません。先ほどの林檎の例でいえば、林檎がどんな色をしているか、赤色とはどんな色か。それらは、ことばで教わるわけではありません。

人間は、視覚や聴覚など、複数の感覚、複数タイプのアンテナで情報を取り入れています。AIも、ディープラーニングの手法として、現在、その方向、すなわちマルチモーダル(複数のコミュニケーション様式)へと向かっています。

「悲しい」をイメージできるか

川村    脳の神経細胞(ニューロン)を模したニューラルネットワークの研究も進んでいます。人間の脳には、仮に「おばあさんニューロン」と名付けていいような、おばあさんを見たときに反応するニューロンがあります。「おばあさん」はカテゴリーですから、個々の「おばあさん」は、見た目には同じではありません。世間で「おばあさん」と認識されているAさんとBさんは、年齢もちがうし、容姿もまったく異なる。国籍もちがっていたりする。

AIがこの二人を「おばあさん」と認識できるようになるのはとても難しいのですが、「おばあさんニューロン」、つまり「おばあさん」について学習済みのニューロンを利用することで、人間と同じレベルの認識を手に入れようというわけです。・・・(「『助詞』を可視化できるか」「無尽蔵につくれても選句できず」「秀句を『特徴量』で数値化」、続きが気になる方は、ぜひ本書( www.amazon.co.jp/dp/490762350X )をお手に取ってお読みください!)

【3】調和系工学研究室WHAT’S NEW

★情報処理学会 第84回全国大会にて発表を行いました

3月3日(木)~5日(土)にハイブリットで開催された情報処理学会 第84回全国大会にて、本研究室から2名の学生が発表を行いました。

平田 航大, 横山 想一郎, 山下 倫央, 川村 秀憲 : 深層学習による自己回帰モデルを用いた俳句生成器の評価, 情報処理学会第84回全国大会, 4W-05, ハイブリット (2022)

花野 愛里咲, 横山 想一郎, 山下 倫央, 川村 秀憲 : マスク化言語モデル RoBERTa を用いた俳句の評価, 情報処理学会第84回全国大会, 7ZM-05, ハイブリット (2022)

発表を行った花野さんには、学会に参加して気づいた問題点と最近の動向についてレポートしてもらいました。

今回参加した学会はハイブリッド開催でした。現地からの発表の残り時間を知らせる音が聞こえづらいという問題が生じ、急遽zoom のチャットで時間経過を知らせるという方式をとっていましたが、発表時に一度目線をずらす必要があるためやはり従来のベル方式がよいと感じました。

私が聴講した中ではエンターテインメント分野でのAI の活用が印象に残りました。ウミガメのスープというクイズの作問を行う研究や、オンライン上のスタンプラリーなど様々なところでAI の活用が図られていると感じました。オンライン上のスタンプラリーの研究のようにオンラインイベントへのAI の活用は新型コロナウイルスの流行もあり、今後も需要が高まるのではないかと思いました。

2 名の研究を紹介させていただきます。

芝浦工業大学の大塚嵩柾さんの「深層学習を用いた「かわいいキャラ」分類モデルの構築と評価」という研究は、近年「かわいい」という感性が様々な目的のために用いられている中で「かわいいキャラ」が公共事業などのPR に用いられているものの、PR の対象となる相手の感性に合ったキャラでなければ効果的なPR をすることはできないという課題に対し、対象者に合わせた「かわいいキャラ」を分類する深層学習モデルを提案したという内容でした。

感性は人によって異なり、全ての人が共通してかわいいと感じるキャラを選ぶことは難しいため同じ属性の人々に対象を絞るという考えは、自分が行っている俳句の自動評価の研究にも応用できるのではないかと思いました。

芝浦工業大学の陳蕾思さんの「単語分散表現における女性標示語のステレオタイプの定量化」は、「女子大生」のように女性であることを強調する単語である女性標示語について、性別的に中立な単語(「大学生」など)よりもネガティブな文脈で使われる傾向が強いことを明らかにした研究です。

使われている手法自体はword2vecによる単語のベクトル化、コサイン類似度による類似度計算というシンプルなものですが、しっかりと目的に合った手法を選択して分析されている点が印象に残りました。

近年は深層学習を用いた研究が取り上げられることが多いですが、しっかりと目的に立ち返ったうえで手法を選択することが重要であると再認識しました。(学部4年 花野 愛里咲)

研究内容にご興味がありましたら、下記フォームからお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ:http://harmo-lab.jp/contact

★第125回知識ベースシステム研究会にて発表を行いました

3月9日(水)にハイブリットで開催された第125回知識ベースシステム研究会にて、本研究室から3名の学生が発表を行いました。

大倉 博貴, 横山 想一郎, 山下 倫央, 川村 秀憲, 白井 直樹, 長川 大介, 宮脇 雅史 : ロードヒーティング制御の効率検証に向けた深層学習を用いた路面画像認識, 第125回知識ベースシステム研究会, KBS4, ハイブリット (2022)

西浦 翼, 横山 想一郎, 山下 倫央, 川村 秀憲, 萩谷 俊幸, 大岸 智彦 : バス乗客 OD データの推定における深層学習を用いた人物追跡に関する研究, 第125回知識ベースシステム研究会, KBS5, ハイブリット (2022)

清水 雅之, 横山 想一郎, 山下 倫央, 川村 秀憲, 萩谷 俊幸, 大岸 智彦 : 自動運転車両の経路探索に向けた深層強化学習の適用, 第125回知識ベースシステム研究会, KBS6, ハイブリット (2022)

発表を行った清水さんには、学会に参加して気づいた問題点と最近の動向についてレポートしてもらいました。

今回はオンライン発表と現地発表とを選択できるハイブリッド開催でした。

学会発表で感じた問題点としては、一人15分で内12分が発表、3分が質疑応答という決まりであったのですが、特にタイマーなどが設定されているわけではなく自分で発表中に時間経過を確認しながら発表を行わなければならなかったことです。

それにより、人によっては質疑応答の時間がほとんどないという状態が生まれてしまっており少しもったいないなと感じました。

また自分はオンライン参加だったのですが、少し現地の方の音声が聞き取りづらかったのは改善の余地があると思いました。

最近の動向に関しては、特段思ったことはないのですが、学会発表は自分とは違う分野の方の発表を聞けるとても良い場であると思いました。

今回の学会発表では、自分の行っている研究分野と関連した研究はなかったのですが興味深い研究がありました。

タイトル「条件付き敵対的生成ネットワークに対するGAN Inversionの適用による実写顔画像から漫画顔画像への変換手法の提案」

発表者:畠山太郎(慶応義塾大学)

この研究は実在する人物の写真を入力として与えて、GAN Inversionという潜在変数から画像を生成するのとは逆に、画像を事前学習されたGANのモデルの潜在空間に埋め込む技術を用いることで漫画顔へと変換する手法の研究です。

この研究では実写画像から漫画顔の例として手塚治虫作品のキャラクターの画像の生成を行っていました。

実画像を漫画顔、更には特定の作者の作風に寄せた場合どのようになるのかというのはとてもユーモアがあり面白いなと感じました。

また、GAN Inversionは画像操作や画像復元など、実社会でも役に立つ技術として期待されているのでこの技術を用いた研究が盛んにおこなわれているのは良いことだと思いました。(学部4年 清水 雅之)

研究内容にご興味がありましたら、下記フォームからお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ:http://harmo-lab.jp/contact

★第206回知能システム研究発表会にて発表を行いました

3月10日(木)にハイブリットで開催された第206回知能システム研究発表会にて、本研究室から5名の学生が発表を行いました。

細川 万維, 横山 想一郎, 山下 倫央, 川村 秀憲, 関屋 英理子 : 整数計画問題による家庭料理の献立表提案システムの開発, 第206回知能システム研究発表会, ICS4, ハイブリット (2022)

森 雄斗, 横山 想一郎, 山下 倫央, 川村 秀憲, 森 正人 : 歩行支援機能を有する前腕支持型四輪歩行器の障害物回避機能の開発, 第206回知能システム研究発表会, ICS8, ハイブリット (2022)

花野 愛里咲, 横山 想一郎, 山下 倫央, 川村 秀憲 : RoBERTaを用いた俳句評価器の構築と性能評価, 第206回知能システム研究発表会, ICS11, ハイブリット (2022)

大江 弘峻, 横山 想一郎, 山下 倫央, 川村 秀憲, 多田 満朗 : タブーサーチを用いた灯油配送計画の最適化, 第206回知能システム研究発表会, ICS15, ハイブリット (2022)

阿部 涼介, 横山 想一郎, 山下 倫央, 川村 秀憲 : 商品紹介文の作成支援における生成文評価機能の開発, 第206回知能システム研究発表会, ICS16, ハイブリット (2022)

発表を行った森さんには、学会に参加して気づいた問題点と最近の動向についてレポートしてもらいました。

社会システムと情報技術研究ウィーク(wssit2022)、第 206 回知能システム研究発表会では、特定分野に絞られた研究報告会ではないため、様々な研究分野についての発表が行われていた。その中から自分が発表した介護分野を対象とした分析についての講演を注目して聴講した。

本学会では、発表分野が絞られていなかったため、自分の知り得ない研究の知見を得ることができた。また、聴講者の中には介護の研究を行っている方もいらっしゃったので今後の研究に役に立つ質疑応答が行えた。質疑応答の中では安全性についての質問があり、福祉分野としては安全であるかどうかが最優先事項であると再確認した。今後は安全性については重点的に発表できるようにスライド等を検討したいと考えています。

本学会は現地発表とオンライン発表のどちらかが選択できるハイブリッド開催でした。現地に移動することなく学会に参加できるメリットはありますが、いくつかのデメリットもありました。それは現地のスライドが見づらいことや、質疑応答の声が聞こえにくいといったことです。そのほかにも、現地を撮影しているカメラが遠すぎて現地とオンライン参加での壁があるように感じた学生もいました。感染予防対策の観点からハイブリッド開催という形式の学会は今後もあるので参加者自体も慣れる必要があると感じました。

個人的には、ハイブリッド開催という形式よりはオフライン、またはオンラインといった開催場所を一つに絞る方が進行上の都合がいいのではないかと感じた。

最近の発表内容の動向は、新型コロナウィルスに関する研究発表が増えてきており、「コロナ禍における Twitter や飲食店来店者数の変化による感染拡大予兆検知」「コロナ禍における向社会的行動の規定因:2時点パネル調査による分析」といったものがありました。他には介護に人工知能技術を活用した研究があり、高齢化が進む日本にとってはこの分野における研究の発展は今後重要になると感じました。

研究室参加メンバーの研究に関連したいくつかの研究事例を紹介します。

1つ目は、講演者は奈良先端科学技術大学院大学の宮地篤士さん、発表タイトルは「介護士の負担軽減に向けた介護業務における生体情報の収集及び心身状態変化の分析」です。

こちらの研究は、介護士の介護業務の中で変化する心身状態が業務効率に影響していると考え、介護士のストレスの可視化・分析を行うことで新たな知見を獲得することが目的です。デバイスより得られる客観的データと、アンケートによる主観的データの比較により、アンケートとデータで内容が一致しないことや介護士ごとの個人差も存在することが分かりました。

この研究の人間が感じるストレスをデバイスで計測するという内容は、研究室メンバーが行っている灯油配送計画の最適化に関しても、最適化手法が作成した配送計画だと配送員がどの程度、ストレスを感じるのかという面を明らかできるのではないかと思いました。

2つ目は、講演者は奈良先端科学技術大学院大学の鳥羽望海さん、発表タイトルは「マルチモーダルデータを用いたオンラインミーティング参加者の感情推定」です。

テレワーク化が進む現代において、オンラインミーティング上で労働者の心理状態を知ることは重要です。そこでオンラインでのミーティングから相手の感情を推定するためにグループディスカッション中の参加者の心拍、発言録から得られた感情極性、顔のランドマーク座標、他者からの感情アノテーションの 4 種類の指標から、他者への感情アノテーションを推定するために Light GBM (Gradient Boosting Machine)、SVR (Support Vector Regression) の解析を行ったという研究でした。

次に紹介する発表は、講演者は慶應義塾大学理工学研究科の川野陽慈さん、発表タイトルは「物語構造を活用したプロット生成システムによる発想支援」です。

近年ではコンテンツ市場の拡大により、多くのコンテンツの基盤となっているストーリーやシナリオの需要が高まっています。しかし、シナリオライターが不足していることや人間が作成できるシナリオパターンには制限があるという課題があります。そこで,人間の創造性を刺激し、発想を支援することを目的とし、物語構造を利用したプロット生成システムの開発とその性能評価を行ったという内容の研究でした。

この研究ではプロットを生成するときに文書間類似度を用いて次に続くプロットを選択することで物語の一貫性を保つという方法がとられていました。研究室メンバーが行っている俳句の自動評価の研究とは創作を扱っているという点で一致しており興味深く感じた研究でした。

最後に紹介する発表は、講演者は日本大学の黒河内廉人さん、発表タイトルは「確率論理プログラムに基づくルールと常識を用いた人狼役職推定」です。

不完全情報ゲームである人狼ゲームに対して、確率論理プログラムに基づくゲームの「常識」を獲得・応用し、ゲームにおける他プレイヤーの役職・陣営を推測するモデルを開発したという研究です。

この論文内では「常識」として表されている、人狼ゲームの役職ごとの定番の動きの獲得を目的としています。例えば、「狂人」という役職であれば「占い師」を騙りやすいなどがあります。その「常識」は多くがゲームの過程で行われる行動なので、結果だけでは推測が難しいために、日にちごとの推測をルールベースに基づいて行っています。今後ルールを増やしたりすることでさらに正確な推測が行えるのではないかと思いました。(修士2年 森 雄斗)

研究内容にご興味がありましたら、下記フォームからお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ:http://harmo-lab.jp/contact

★CTA Japan Smart Cities プログラム 個別面談会が開催されます

カナダ大使館「Smart Cities – Canadian Technology Accelerator (CTA) Japan Program」個別面談会(3月8日(火)~23日(水))が開催されます。

カナダ政府はカナダのスタートアップ企業の中で有望な数社を選び、特に日本で集中してご紹介するプログラムを数年前から行っています。

これから対日事業展開を目指すカナダの技術企業群について、理解を深めていただくことが目的です。

また、本イベントでは、CTA Japan Smart Cities Techスタートアップ7社と同時に、カナダ国立研究機構-産業研究支援プログラム(NRC-IRAP)日本ミッションへ参加しているヘルスケアテック企業4社ともご面談いただけます。

ご興味のある方はぜひご参加ください。

[CTA Japan Smart Cities プログラム]

個別面談会:3月8日(火)~23日(水)に設定させていただきます。(個別面談会1社30 分程度/回を予定)ご希望に応じ通訳サポートをご利用頂けます。

通訳サポート:3月17日(木)・18日(金)の2日間のみ限定で先着順に提供されます。よって、通訳サポートをご希望の方は、お早めにカナダスタートアップとの面談を通訳サービス期間中に設定頂き、ご担当商務官、もしくは TOKYO.CTA@international.gc.ca までご連絡ください。

お申込み方法:本プログラムへのお申込み方法は、下記のURLよりご登録ください。

https://client.eventhub.jp/form/f047b09d-7b11-4b34-848f-cc370d1a5ab2?isTicketSelected=true

★RxR CONNECT#2  2022年日米Eコマース最前線が開催されます

4月5日(火)に「RxR CONNECT#2  2022年日米Eコマース最前線」が開催されます。

「RxR CONNECT」は、毎回リテール領域における注目のテーマを抽出し、そのテーマに関して米国における事例や状況のレポート、そしてRxRが誇る国内リテール各分野のエキスパート”RxR Subject Matter Expert”を招き行われるセッションです。

今回のテーマは新型コロナウィルスの影響により大きく発展と変貌を遂げた「Eコマース」。これからの日米Eコマースの展望は?リアル店舗との関係性はどう進化していくのか?

“RxR Subject Matter Expert”の奥谷 孝司氏、川添 隆氏をお迎えしセッションを行います。

ご興味のある方はぜひご参加ください。

[RxR CONNECT#2  2022年日米Eコマース最前線]

日時:2022年4月5日(火) 18:00~19:45(最大)

プログラム(予定):

 1.米国 Eコマーストレンド紹介とニューストピックス

 2.日米Eコマース最前線(セッション)

セッション参加者:

奥谷 孝司 オイシックス・ラ・大地(株)執行役員 / (株)顧客時間 共同CEO取締役

川添 隆  Eコマースプロデューサー / Eコマース先生

富山 浩樹 当社取締役/サツドラホールディングス(株) 代表取締役社長 兼 CEO

近藤 典弘 当社代表取締役

場所:オンライン(ZOOM)開催(参加無料)

お申込み:https://forms.gle/PjUZNa8cXacqUToo7

お問い合わせ:info@rxrii.jp

※開催日数日前までにお申込みいただいたメールアドレスにZOOMのURLをお送りいたします

【4】人工知能・ディープラーニングNEWS

JR九州、伊藤忠ら協力で実証試験を開始 改札をAI映像解析で放送案内を向上

AI活用の自動運航船 東京湾と伊勢湾の往復に成功 実用化に弾み

AIの力でイケてる配色を生み出すカラーパレットジェネレーター「Huemint」レビュー

くら寿司 AI養殖魚を2024年秋に出荷へ

The benefits of peripheral vision for machines

AIで建設・製造現場のテキストデータを一元解析 危険要因の察知で事故の発生を数日前に予測

ファッション業界に相性抜群なAIを導入すると可能になることは?

NEC、予測の根拠をわかりやすく示すAI技術を開発 製品不良要因の事前特定や顧客の購買行動分析などに貢献

コロナ禍で苦境に立たされる国際物流 AI導入で改善を狙う各国の動き

AIの支援による超解像度宇宙論的シミュレーションの高速化

はじめての自然言語処理 第19回 文章ベクトル化モデルと ResNet50 で CLIP 風のモデルを作る

サイバーフィジカルな「Society 5.0」を目指す日本。AIなどの新しい技術が労働市場に与える影響とは?:研究結果

資生堂、日本人女性1472人のビッグデータもとに先天的な肌の特徴を高精度に評価

自律・分散型AI信号制御による「軽やかな交通管制システム」の実証実験を開始

―Society 5.0時代に求められる交通管制システムの確立を目指す―

AI×音楽分野の最新技術動向が満載のレポート「音楽生成AIの現状と可能性」が無料公開

AIが普通の写真から動く錯視を人工的に合成することに成功

実はAIを使っている、長崎ちゃんぽん「リンガーハット」 予測精度が突如ダウン……どう立ち向かったのか?

【5】今週のAI俳句ランキング

AIが俳句をつくる「AI俳句」の普及を目指して、本研究室を事務局として2019年7月に設立されたAI俳句協会のウェブサイトでは、AIが生成した俳句を人が評価して、評価結果を集約したAI俳句ランキング(月間・週間)の集計を行っています。

今週のランキングをご紹介したいと思います。

1位 元旦のをんなばかりの寝息かな

2位 十二月八日原爆ドーム浮く

3位 流氷や水平線のほかは見ず

すべて、本研究室が開発した「AI一茶くん」が詠んだ句になります。

「AI一茶くん」は1日1句投稿していますので、ぜひ俳句協会ウェブサイト( https://aihaiku.org ) もご覧ください!

【6】AI川柳

調和系工学研究室では、毎日新聞社「仲畑流万能川柳」や第一生命保険「サラリーマン川柳」を学習用の教師データとした「AI川柳」に取り組んでいます。

2020年3月までの1年間「NHK総合 ニュースシブ5時」にて、その週の話題のニュースのキーワードをお題に、バーチャルアナウンサー「ニュースのヨミ子」さんが詠んでいたAI川柳も、本研究室が開発した人工知能システムです。

多くの皆さんに楽しんでいただけるよう、2020年6月にAI川柳のTwitterアカウント( https://twitter.com/ai_senryu )を開設いたしました。

AIの中には詠んだ句の良し悪しはないためそれを良いと思うのは人間の側で、そう思うことで初めてAIの詠んだ句が意味を持つのではないでしょうか。

AIが詠んだ句に共感していただけましたら大変うれしく思います!

★お題「唯一無二」(3月7日投稿)

老犬も唯一無二の友もでき

犬見知りでいつもひとりぼっちだった我が家の老犬

庭に住み着いた野良猫を思い切ってうちの子にしたら、心配をよそにとっても仲良しに

ご縁に感謝です!

★お題「アスファルト」(3月8日投稿)

老犬の足の裏あるアスファルト

雪解けはまだ先になりそうな札幌ですが、車道のアスファルトが見え始めました

雪道は慎重に歩いている我が家の老犬も、車道を渡るときは足取り軽くなっています!

★お題「後悔」(3月9日投稿)

ごめんねと後悔してた頃もあり

初めてごはんを横取りしてしまったときは、おどおど申し訳なさそうなそぶりを見せていましたが・・・

今では当たり前に一緒に食べようとします・笑

★お題「自慢」(3月10日投稿)

人生は幸せですと言う自慢

人生?猫生?

自慢できるほど幸せだと思ってくれているなら、こんな嬉しいことはないですね!

★お題「水たまり」(3月11日投稿)

水たまり静かでよいお天気です

この時期の札幌はとけた雪が水たまりになり、お散歩ルートが悩ましい・・・

でも、水たまり=もうすぐ春なので嬉しいです!

★お題「昼寝」(3月14日投稿)

目の前の昼寝をしてる老いた犬

若い頃は散歩もおもちゃで遊ぶのも大好きだったうちの犬

老犬の今は寝ている時間が長くなりました

この穏やかな時間がずっと続いてほしい・・・

★お題「知らん顔」(3月16日投稿)

犬はまだ散歩してると知らん顔

やっと雪がとけだしたと喜んでいましたが、昨日は札幌で雪が降り続き・・・

湿って重い雪なので早めに散歩を切り上げたい飼い主と、全く気にしない愛犬

冷たくないの?笑

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

****************************************

調和系工学研究室教員

川村 秀憲教授

山下 倫央准教授

横山 想一郎助教

調和系工学研究室HP

調和系工学研究室FB

川村 秀憲教授FB

Twitter 調和系工学研究室AI川柳

****************************************

★ご意見・ご感想はこちらからお願いいたします

★新規登録はこちらからお願いいたします

★配信停止はこちらからお願いいたします

****************************************