2021年9月17日配信
こんにちは。
北海道大学調和系工学研究室(川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教)です。
過ごしやすい季節となりましたが、皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか。
好書好日のツイッター(@BOOK_asahi_com)で、本研究室が開発している俳句を生成する人工知能「AI一茶くん」とフルーツポンチの村上健志さんが俳句対決しているのをご存じでしょうか。
対決は三番勝負で、一茶くんの開発に協力していただいている俳人の大塚凱さんに「秋の雨」「消」「のりもの」の3題を出してもらい、膨大な一茶くんの俳句から若手俳人の生駒大祐さんが選句しています。
本日、9月17日まで投票を受け付けていますので、良いと思う方の句に一票をぜひお願いいたします!(詳細は下記の【1】調和系工学研究室WHAT’S NEWをご覧ください。)
なお、「人工知能が俳句を詠む AI一茶くんの挑戦」をお読みになった方は、どちらがAI一茶くんの句なのかをすぐに見分けられるかもしれませんがヒントを一つ。
「一茶くんは基本に忠実」です!
では、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
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◇ 本日のTopics ◇
【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW
【2】世の中は「ゲームチェンジ」している・その2
【3】こんな本を読んでいます
【4】ディープラーニング勉強会
【5】人工知能・ディープラーニングNEWS
【6】今週のAI俳句ランキング
【7】AI川柳
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【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW
★AI一茶くんがフルーツポンチの村上健志さんと対決中です
本研究室が開発している俳句を生成する人工知能「AI一茶くん」が、フルーツポンチの村上健志さんと俳句対決をしています。
[お題:秋の雨]
駅を出て秋雨の色にまぎれけり
秋の雨しばらく空っぽの花瓶
投票はこちらから:https://twitter.com/BOOK_asahi_com/status/1436115542293704715
[お題:消]
虫の音の数多に消えるひとつの音
渡り鳥橋の名前の消えてなし
投票はこちらから:https://twitter.com/BOOK_asahi_com/status/1436121372992815115
[お題:のりもの]
秋蝶や外から見えるエレベーター
トンネルの中の電車や秋の暮
投票はこちらから:https://twitter.com/BOOK_asahi_com/status/1436127994284707844
どちらがAI一茶くんで、どちらが村上さんの句でしょうか。
どちらの句が良いと思いますか?
好書好日のツイッター(@BOOK_asahi_com)にて、本日9月17日まで投票を受け付けていますので、良いと思う方の句に一票をぜひお願いいたします!
好書好日
[フルポン村上の俳句修行・番外編 人工知能「AI一茶くん」と三番勝負!]
★フレグランスジャーナル誌に「人工知能が俳句を詠む AI一茶くんの挑戦」の書評を掲載していただきました
9月15日に出版されたフレグランスジャーナル誌2021年9月号に、「人工知能が俳句を詠む AI一茶くんの挑戦」の書評を掲載していただきました。
フレグランスジャーナル誌は、香粧品(化粧品・トイレタリー)科学研究開発専門誌です。
「人工知能が俳句を詠む AI一茶くんの挑戦」は、電子書籍も出版されています。
本書は、人工知能がどんなことをできるのか気になる方、とくに人工知能の創造性について興味のある方にピッタリの1冊となっています。
もちろん人工知能がどんな俳句を生成するのかが気になる俳句好きの方にもわかりやすく、ていねいに解説していますので、ご興味のある方はぜひお読みください。
★研究室に関連する企業・ベンチャーのニュース
『AWL がJ-Startup HOKKAIDOインタビューで紹介』
J-Startup HOKKAIDOインタビューでAWL株式会社を紹介していただきました。
J-Startup HOKKAIDOとは、経済産業省北海道経済産業局とSTARTUP CITY SAPPOROが共同で取り組んでいるプロジェクトです。
北海道発でグローバルな活躍を目指すスタートアップ企業を選定し(2021年6月時点で25社)、支援をすることで、スタートアップの飛躍的な成長を後押ししています。
ご興味のある方は、ぜひお読みください。
[【J-Startup HOKKAIDOインタビュー】AWL株式会社]
[AWL株式会社]
『AWLが東京都スタートアップ実証実験促進事業に採択』
「東京都スタートアップ実証実験促進事業( PoC Ground Tokyo Project )」において、AWL株式会社の「顧客の店内行動から高度な広告効果分析を実現するエッジAI技術を活用したサイネージと防犯カメラ連動分析サービス」が、応募総数80件以上の中から 2021年度第1期採択事業(7件)として採択されました。
PoC Ground Tokyo Projectは、東京都が採択されたスタートアップの実証実験に対し、実証にかかる費用や、実証の場や機会の提供に協力してくれる企業とのマッチング等の支援を行い、スタートアップの急成長を促すプログラムです。
[東京都スタートアップ実証実験促進事業(PoC Ground Tokyo Project)]
【2】世の中は「ゲームチェンジ」している・その2
川村教授が技術顧問を務める、INSIGHT LAB株式会社 代表取締役社長 CEO 遠山功氏が9月23日に著書「スタートアップ大国イスラエルが教えてくれたボーダレスな生き方、働き方。」を出版します。
遠山氏が2019年5月にイスラエルを訪問した際には川村教授も同行し、同国のスタートアップスピリットに遠山氏同様大いに感化されました。
本書の中で「世の中は『ゲームチェンジ』している」と題して川村教授が語っている、イスラエルから受け取ったメッセージを前号に続きご紹介したいと思います!
世の中は「ゲームチェンジ」している
日本の学生の多くは、既存の教育システムのなかで、正解があることを前提に問題を解いて育ってきました。一方で、大学の研究は答えがない世界。誰もまだ解決していない課題を設定し、その解決方法を考えることに価値があります。だから、私の研究室に入ってくる学生たちは当初、戸惑います。それまでと違うゲームをしなければならないからです。
学生たちは私の答えを探ろうとしますが、研究に教科書や答えはありません。私は学生にこう言います。「自分なりの根拠をもって相手を説得できなければ、新しいものは生み出せない。君はどう思うのか?」と。
スタートアップの世界も同じです。誰も取り組んだことがないビジネスを「ゼロ」から「イチ」に育てていくわけですから。自分で考えて行動を起こしていかなければ、何も始まらないのです。
例えば、戦後の高度経済成長期の日本は、言わば上りのエスカレーター。人口ボーナスが効いていて、今日よりも明日が必ずよくなると誰もが思っていた時代でした。上りエスカレーターに乗っている時は、何もしなくても上がっていきます。
そこで避けるべきリスクは、失敗をすることでした。戦後に生まれた団塊世代の多くは、勉強していい大学に入って、一流企業に就職することがいい人生につながるという価値観にもとづいて生きてきました。しかし、もはやそれは成り立たない。日本の雇用形態や社会構造を支えてきた「新卒一括採用」「終身雇用」「年功序列」の仕組みも崩れつつあります。
現在0歳の子どもたちが10歳になる2030年代には、日本の生産年齢人口は7000万人を割ると推測されています。人口減少が加速し、すでに下りのエスカレーターに乗っている状態ですから、何もしなければどんどん降りていく。ゲームが変わって答えがない。そういう潮目の時期だと思います。
よく学生から「どんな会社に就職したらよいのでしょうか?」と聞かれますが、私も分かりません。変化のスピードが加速するなかで、新しい答えをどう探していくか? 私は学生たちに「ゲームが変わりつつある」という話をしています。古いゲームのなかで成果を出しても、そのゲーム自体が沈むと、自分が優秀でも一緒に沈んでしまう。
それならば、新しいゲームのなかに飛び込んで、新たな攻略法を見つけて自分のポジションを作るほうがいい。競争相手がまだ少ない時こそチャンスです。これからは能力評価の時代になります。素晴らしい研究や開発ができれば、年齢は関係ありません。将来的に新たなゲームのほうが主流になることを理解している人は、どんどんゲームチェンジをしていくでしょう。
強みの掛け算でエッジを効かせる
これからの時代に求められるのは「広く浅く」ではなく、「エッジが利いてここにしかない」こと。いかにエッジが利いた人材になるかが重要になるでしょう。そのために一番簡単な方法は、自分の好きなものを極めることです。他人と比べるのではなく、自分でなければできないことを突き詰めていけばよいと思います。日本は学校教育でも均一化や同調圧力が強い傾向にありますが、人と同じことをするのは、裏を返せば、同じ仕事しかできないということです。広く浅く求められるものは、AIに代替されやすいのです。
もう一つ大切なことは、自分の強みを掛け合わせること。例えば、将棋のプロになるのは難しくても、将棋が好きで英語が得意ならば、「将棋」×「英語」という独自のタグを考えることができます。You Tubeに英語で解説する将棋コンテンツを作り、海外に向けて情報発信できれば自分の新たな得意分野になるかもしれません。自分の強みを掛け算することで、唯一無二の人材になれるのです。
私は「研究」×「スタートアップ」×「ビジネス」の分野で、自分にしかできない付加価値を生み出すことを意識しています。大学の研究者で、スタートアップの会社を複数立ち上げて、上場までこぎ着けるケースは、日本ではまだ少ないですからね。強みの掛け算からさまざまなベンチャービジネスが生まれています。(その3に続く)
【3】こんな本を読んでいます
★世界を動かすイノベーターの条件 非常識に発想し、実現できるのはなぜか?
メリッサ・A・シリング (著), 楠木 建 (解説者), 染田屋 茂 (翻訳)
本日ご紹介するのは、偉大なイノベーターの生涯を詳しく調べ、世界トップレベルの研究者がイノベーションの謎を解き明かす一冊です。
[感想]なぜある種の人はイノベーターなのか。
その疑問を解き明かそうとエジソン、アインシュタイン、スティーブジョブス、イーロン・マスク、キュリー夫人、ニコラ・テスラなどを取り上げ、性格や行動力、行動原理などを分析した本です。
不可能と思えることを可能にするために頭をフル回転させること、スケールの大きな課題を自分が解決すべき課題と設定すること、24時間365日仕事のことだけを考えること、そしてそれを大いに楽しむことなどイノベーターと呼ばれる人には共通の特徴があります。
誰しも真似できることでありませんが、イノベーターがどのようなことを考え、どのようなモチベーションで行動し、どのような景色を見ているのかを理解できれば、彼らに大いに力を発揮してもらう社会を作ることができるはずです。
読書を終えて、自分もなにか大きなことを成し遂げたい、そう思わせてくれる本でした。(川村 秀憲)
【4】ディープラーニング勉強会
調和系工学研究室ではディープラーニングの最新の知識共有を目指し、毎週ゼミを実施しています。
担当学生がトップカンファレンスから自分の興味のある論文について発表し、意見交換をしながら進めています。
本研究室HP( http://harmo-lab.jp/?page_id=1194 )には過去の発表に使用したスライドも公開していますので、ご興味のある方はぜひそちらもご覧ください。
[紹介論文]Deep High Resolution Representation Learning for Human Pose Estimation
公開URL:https://arxiv.org/abs/1902.09212
論文紹介スライドURL:https://www.slideshare.net/harmonylab/deep-high-resolution-representation-learning-for-human-pose-estimation
出典:Ke Sun, Bin Xiao, Dong Liu, Jingdong Wang: Deep High-Resolution Representation Learning for Human Pose Estimation, Proceedings of the IEEE/CVF Conference on Computer Vision and Pattern Recognition, pp. 5693-5703, (2019)
概要:Top-downアプローチを使った姿勢推定モデルを提案しています。低解像度のサブネットワークを追加し、複数の解像度のサブネットワークを並列に接続する機構を持つため、高解像度の表現を維持しています。比較実験では、COCO Keypoint datasetとMP2 Human Pose datasetを使用しました。結果は、他のモデルよりモデルサイズと計算量を抑えつつ、高い精度を実現しました。(修士2年 森 雄斗)
【5】人工知能・ディープラーニングNEWS
★学校の探究学習にもAIを。AIが意見集約・議論の合意形成を支援する「D-Agree」が、EdTech導入補助金に採択。
★ZOZO研究所、ファッションの流行変化を検証する 大規模データセットと実装基盤をオープンソースとして公開 〜 実データを活用し、分布シフト研究の促進を目指す 〜
★Facebook、顔認識AIが黒人の映る動画に「霊長類」とタグ付けしてしまい謝罪
★OpenAIの対抗馬となるか? イスラエルのスタートアップ・AI21 Labsの奮闘
★解説特集 深層学習と認知科学 深層学習と人工知能 松尾 豊
★Googleの公式からの強化学習の実応用(推薦システム)の解説記事
★京都薬科大など、AI創薬技術で新型コロナ治療薬のリード化合物を発見
★AIで文章の要約文生成の「ELYZA DIGEST」、デモサイト公開
★自動運転システムの訓練に特化、テスラの独自チップから見えた“クルマの未来”
★LOKI: An intention dataset to train models for pedestrian and vehicle trajectory prediction
【6】今週のAI俳句ランキング
AIが俳句を作る「AI俳句」の普及を目指して、本研究室を事務局として2019年7月に設立されたAI俳句協会のウェブサイトでは、AIが生成した俳句を人が評価して、評価結果を集約したAI俳句ランキング(月間・週間)の集計を行っています。
今週のランキングをご紹介したいと思います。
1位 くちびるに移民の夜の寒さかな
2位 春雷や赤い机に持ち込みし
3位 はなびらのかすかなる音雪柳
すべて、本研究室が開発した「AI一茶くん」が詠んだ句になります。
「AI一茶くん」は1日1句投稿していますので、ぜひ俳句協会ウェブサイト( https://aihaiku.org ) もご覧ください!
【7】AI川柳
調和系工学研究室では、毎日新聞社「仲畑流万能川柳」や第一生命保険「サラリーマン川柳」を学習用の教師データとした「AI川柳」に取り組んでいます。
2020年3月までの1年間「NHK総合 ニュースシブ5時」で、その週の話題のニュースのキーワードをお題に、バーチャルアナウンサー「ニュースのヨミ子」さんが詠んでいたAI川柳も、本研究室が開発した人工知能システムです。
多くの皆さんに楽しんでいただけるよう、2020年6月にAI川柳のTwitterアカウント( https://twitter.com/ai_senryu )を開設いたしました。
AIの中には詠んだ句の良し悪しはないためそれを良いと思うのは人間の側で、そう思うことで初めてAIの詠んだ句が意味を持つのではないでしょうか。
AIが詠んだ句に共感していただけましたら大変うれしく思います!
★お題「足音」(9月6日投稿)
足音が聞こえて耳をそばだてる
眠っているようでも、実際は今か今かと帰宅を待ちわびているうちの犬
家族の足音はすぐに聞き分けられるんです!
★お題「考える」(9月7日投稿)
うれしいと思うことだけ考える
気分が落ち込んでいるときこれとっても大事
特に夜眠る前は嬉しいと思うことだけを考える
もふもふな子が横にいればさらに良し!笑
★お題「嘘をつく」(9月8日投稿)
嘘をつく視線の強さ違う犬
帰宅したら部屋が荒らされている・・・
二匹ともいつも通りに見えるけど、視線を合わせないから犯人すぐわかります・笑
★お題「通販」(9月9日投稿)
通販を開けたら猫が飛んできた
ネコってどうしてこんなに箱が好きなんだろう?笑
★お題「選句」(9月10日投稿)
選句にはくわしくないと書いてある
AI一茶くんとフルーツポンチ村上さんが俳句対決します!
残念ながら一茶くんはまだ良い句を選句できないので(僕も…)今回も大塚凱さんにご協力いただきました
ぜひ投票お願いします!
★お題「退屈」(9月13日投稿)
一人では退屈ですと言ってみる
一日のほとんどを寝て過ごしてると言われていても、独りぼっちの留守番はやっぱり退屈だよね・・・
★お題「疲れてる」(9月14日投稿)
今日もまた疲れてるのか不思議だな
楽しく散歩してたのに、帰るよって言ったとたんくたっとしだすうちの犬
もっと遊びたいのか、抱っこで帰りたいのか
謎です・笑
★お題「老犬」(9月15日投稿)
老犬にとってもとても楽しそう
今までできていたことができなくなって、なんだかさびしく思うことも増えたけど
マイペースに楽しんでいる姿は、こちらまで嬉しくなります!
★お題「帰宅」(9月16日投稿)
ごめんねと何度も言って帰宅する
ちょっとでかけるだけだから、すぐに帰ってくるよ
それが思いのほか用事が長引いてしまい
ごめんごめんと言いながら家に帰ったら、めちゃくちゃ拗ねてた・笑
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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調和系工学研究室教員
川村 秀憲教授
山下 倫央准教授
横山 想一郎助教
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