2021年9月3日配信

こんにちは。

北海道大学調和系工学研究室(川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教)です。

北海道を含む21都道府県が緊急事態宣言の対象地域となりましたが、皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか。

今年の夏は札幌も連日30度を超え、連続真夏日記録は統計史上97年ぶりに最長記録を更新したそうです。

9月に入っても日中はまだ汗ばむ日がありますが、来月には暖房が必要になるほど寒くなることを思うと、もう少しだけこの短い夏を楽しみたいと思います。

では、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

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◇ 本日のTopics ◇

【1】世の中は「ゲームチェンジ」している・その1

【2】調和系工学研究室WHAT’S NEW

【3】日刊工業新聞「次代をつくる」

【4】こんな本を読んでいます

【5】ディープラーニング勉強会

【6】人工知能・ディープラーニングNEWS

【7】今週のAI俳句ランキング

【8】AI川柳

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【1】世の中は「ゲームチェンジ」している・その1

川村教授が技術顧問を務める、INSIGHT LAB株式会社 代表取締役社長 CEO 遠山功氏が9月23日に著書「スタートアップ大国イスラエルが教えてくれたボーダレスな生き方、働き方。」を出版します。

遠山氏が2019年5月にイスラエルを訪問した際には川村教授も同行し、同国のスタートアップスピリットに遠山氏同様大いに感化されました。

本書の中で「世の中は『ゲームチェンジ』している」と題して川村教授が語っている、イスラエルから受け取ったメッセージを3回にわたりご紹介したいと思います!

工作少年からAI博士に

私はもともと工作が大好きな少年でした。小学校2年生の頃、「PC-8001」というNECのコンピューターの先駆けとなった機種がたまたま自宅にあって、私は使い方もよく分からないまま、触って遊んでいた記憶があります。

当時はインターネットがないので、調べることができないし、マニュアルもない。唯一の情報源は、専門雑誌という時代でした。コンピューターの世界に興味を持った私は、雑誌に掲載されているプログラミングのコードを紙に書いて、キーボードに打ち込みながらゲームのプログラミングを覚えました。今思えば、写経のようですね。

数少ない命令を組み合わせることで、コンピューターが動いて新しい何かができあがっていく。ピタゴラスイッチのような感じで、とてもワクワクして楽しかったのです。その作業を繰り返しながら、ゲームを作っていたのですが、私はプログラムを組み合わせることで、さらに複雑で面白いものを作れないだろうかと考えるようになりました。自分ではまったく想像もしないようなものが生まれることに強い関心があったのです。

今思えば、自分で学習して、自分の意思を持つようなロボットをプログラミングで作れるのではないかという当時の思いが私の研究の原点となっています。大学院の修士課程を修了する時、私は人工知能(AI)の研究の道に進むと決めていました。人生には限りがあるからです。私は本当に面白くて夢中になれることだけに、自分の人生の時間を使いたいと思っています。

人工知能で「アカデミック」と「ビジネス」の懸け橋に

私は現在、北海道大学大学院の調和系工学研究室で、人工知能やディープラーニングなどの研究をしています。調和系工学研究室では「人工知能の技術を応用し、人々の幸せと社会の調和に貢献する」ことをテーマに掲げて、ワクワクすることを追求。みんながあっと驚くような仕組みや、多くの人に役立つサービスを社会に実装するための研究や技術開発をしています。

北海道には、ITベンダーは多いのですが、下請けや孫請けでシステムを受注するところがほとんどで、実はものづくりの分野は弱いんですね。私はその課題を何とかしたい。札幌のスタートアップを盛り上げていきたいという想いから、北海道大学発のベンチャーを立ち上げて、産学連携でのビジネスやものづくりに取り組んでいます。

これまでに調和系工学研究室から「株式会社調和技研」や「AWL株式会社」など、4社のスタートアップが誕生。立ち上げメンバーとして草創期から携わった研究室の卒業生たちも活躍しています。

「調和技研」は、企業向けにAIの導入支援やコンサルティングをしている会社です。「AWL」は、店舗向けの監視カメラのAIソリューションを提供。人間の「目と頭脳」を補完してお客様の動線などを分析し、マーケティングや業務効率化に役立つツールを開発しています。そのほか、「ティ・アイ・エル株式会社」(以下、TIL)は、ロードヒーティングという路面に積もった雪を溶かす装置をAIで制御するシステムや、AIボイスレコーダーソリューションを開発。「株式会社Aill(エール)」は、AIで人をつないで会話をサポートする恋愛ナビゲーションアプリの開発運営をしています。

私たちのベンチャーは、過半数が外国人スタッフです。日本人がマイノリティーになるぐらいがちょうどいいと思っています。例えば、「AWL」は札幌と東京の2本社体制で、国内の開発拠点は札幌にあります。外国人のエンジニアが8割で、インドやメキシコ、中国、ロシアなど世界中から社員を採用。社内の公用語は英語です。ベトナムのハノイ工科大学と連携し、ハノイの現地法人でもAIの研究開発をしています。

2019年12月には「調和技研」の開発拠点をバングラデシュのダッカに設立しました。バングラデシュの場合、これから20~30年は人口ボーナスが続くと言われています。現地に行くと戦後の日本のように混沌としていますが、未来の可能性に期待や希望を持ってみんながいきいきとしているのです。新たなことに挑戦する意欲がまったく違うと感じました。

ベンチャーにはルールがありません。何が正解かも分からない。AI技術の最先端の分野に挑む優秀な人材は、そう簡単に集められないのが現状です。日本の場合はサラリーマンになって、既存の組織の枠組みのなかで働く人が多いですよね。自らアクションを起こして、ルールを変えるというマインドが教育されていない。優秀な人材を集めるには、必然的に海外にも目を向けることになります。そうしなければ、今後は世界で戦うことができない時代になるでしょう。

私たちのベンチャーの場合、研究室から生まれた複数の会社と仲間のネットワークがあることが強みです。選択できるオプションが増えるので、一つのビジネスモデルに依存しなくてもいい。それがリスクヘッジにもなるというメリットがあります。

例えば、ある1社が大型案件を受注したとき、研究室の仲間たちの会社とタッグを組めば、お互いの得意領域が分かるので仕事が進めやすい。それぞれのベンチャーで切磋琢磨しながら仕事やお金が循環し、うまく経済を回すことができれば、良いスパイラルが生まれて全体のバリューが向上していくのです。

今後は研究室で立ち上げたベンチャーを組織化できるような、ホールディングカンパニーを作ることを視野に入れています。海外には「Yコンビネーター」のようなインキュベーターがありますよね。私たちも身銭を切ってビジネスを立ち上げ、自分たちの自由になるお金を循環させながら大学発のベンチャーを育てていく。そのことが可能だと証明できれば、今後のロールモデルになると考えています。

そもそも「研究」と「スタートアップ」はまったく違うゲームです。同じ発想ではうまくいかない。研究の場合、新しいことを発見したり、世界でまだ誰も解決できていない課題を解決したりというアプローチが重要です。

一方で、スタートアップの場合は、新しいものである必要はなく、課題を解決しながらいかにお金を稼ぐか? 事業戦略や今後のビジョンが焦点となります。それぞれ生み出す価値に対する理解が違うことが前提となるため、頭の切り替えが必要です。その点でイスラエルは、大学の研究者がスタートアップを立ち上げた事例が多いことが印象的でした。

スタートアップ大国、イスラエルから何を学ぶか?

スタートアップ大国のイスラエルには、数年前から関心がありました。遠山功さんや中島直美さんにアテンドしていただいて、2019年5月に私は初めて現地を視察。同年10月には札幌にお二人を招き、イスラエルのスタートアップセミナーを開催しました。

イスラエルの人たちは、課題解決に対してストレートに向き合う発想や集中力がずば抜けていると思います。彼らは高校卒業後、軍隊に入隊します。優秀な人は、部隊を率いてテロや紛争の現場で多くの部下の命を預かるという、責任の重い立場を若い頃から経験します。彼らは答えのない世界で、常に課題解決のために即断即決をしているのです。

イスラエルの軍隊では、上司を平気でリコールするそうです。無能な上司のもとにいたら、自分たちの命が危険にさらされるので、優秀な人が上に立つ。コネに関係なく、優秀な人を素直に認めることができる社会だと思いました。イスラエルでは、学歴よりも軍歴が重視されます。軍隊で構築した人間関係は、徴兵が終わってからも続くので、新しいビジネスを始めるときにも、その人脈が役立つそうです。

現地の起業家たちは、華々しく成功しているわけではなく、地道にチャレンジを重ねて結果を出しています。軍隊で生きるか死ぬかという経験をしているからこそ、彼らは何度失敗しても挑戦を続けていくのです。

スタートアップを作って、海外市場に直接売り込みに行く戦略やフットワークの軽さを見習いたい。イスラエル人と日本人の違いは、自分で考えて実際に行動した場数の違いではないかと思います。日本人の場合、やらない理由を探しがちですが、やらないほうがむしろ、リスクの時代です。今後、日本が生き残っていくためには、イスラエルから学ぶことがたくさんあると思います。

イスラエルでスタートアップの聖地になっている「オープンバレー」は、地方の小さな町で発展。スタートアップと大学が密接に連携してイノベーションを起こし、政府もスタートアップの社会実装を後押ししています。現地で出会ったオフィールさんにオープンバレーが生まれた背景を聞いて、私たちが札幌で挑戦していることにとても近いと感じました。彼の考え方や取り組みに共感した私は、ここでできるのならば札幌でもできるのではないかと思いました。オープンバレーの取り組みは、将来的に札幌で実現したい一つのモデルになると思います。(その2に続く)

【2】調和系工学研究室WHAT’S NEW

★人工知能学会論文誌に幡本昂平さんの論文が掲載されました

博士2年の幡本昂平さんの論文「B2Bブランド品オークションにおける階層ベイズモデルを用いた落札 価格分布の推定」が、人工知能学会論文誌Vol.36, No.5 特集論文「エージェント技術とその応用2021」に掲載されました。

本研究は、ブランド買取「なんぼや」「BRAND CONCIER」、BtoBネットオークション「STAR BUYERS AUCTION」、ユーズド・ヴィンテージショップ「ALLU」を運営し、日本国内でのブランド品、時計、宝石、貴金属などのリユース事業を行っているバリュエンスジャパン( https://www.valuence.inc/group/japan/ )が開催する、B2Bの中古ブランド品のオークションデータを対象に行った研究です。

著者:幡本 昂平、横山 想一郎、山下 倫央、川村 秀憲

要旨:オークションは価値が一意に定まらない財の取引に古くから用いられており、近年ではインターネットオークションの普及により一度に扱うことができる商品数が増加している。

しかし、卸売のような多数の商品を取引する場合でも1商品あたりの判断にかかる時間は変わらないため、商品数に比例して評価額の決定に多大な時間を要する。

このことは主催者の留保価格の設定、参加者の入札額・入札対象の決定が困難になるという問題を生じさせ、円滑な取引を妨げる要因になる。

この問題に対し、本論文では商品価値の把握が必要であると考え、落札価格を推定する。

オークションに出品される商品は価格が一意に定まらない性質をもつため、価格の点推定値ではなく落札価格分布を推定対象とする。

本論文では商品数が多く1商品あたりの入札判断コストが高いB2Bブランド品オークションを対象とし、ブランド品の中でも取引量が比較的多い腕時計の実落札データを対象とした落札価格分布の推定を行った。

MAEやMAPEなどの誤差指標で精度検証を行い、提案手法が専門家に近い推定精度を保持したうえでデータ分布を捉えられていることを確認した。

最後に、落札価格分布推定を用いることで商品数の多いブランド品オークションにおける主催者・参加者の両者に対する支援が行えることを示す。

人工知能学会論文誌2021年36巻5号p. AG21-C_1-12

B2Bブランド品オークションにおける階層ベイズモデルを用いた落札 価格分布の推定

★札幌・北海道スタートアップ・エコシステム推進協議会 進捗報告会レポートが公開されました

8月24日に開催された札幌・北海道スタートアップ・エコシステム推進協議会の、進捗報告会レポートが公開されました。

「札幌・北海道スタートアップ・エコシステム推進協議会」とは、行政・大学・民間組織等の関係機関が一体となり、札幌・北海道において、スタートアップの創出・成長がなされるスタートアップ・エコシステムの拠点を形成し、イノベーティブな札幌・北海道を実現することを目的としています。

秋元克広札幌市長による拠点形成計画の進捗報告の中では、札幌・北海道スタートアップ・エコシステム推進協議会の課題でもあった資金調達環境において、北大発認定ベンチャー企業AWL株式会社が総額20億円の大型調達を実現するなど改善が確実に進んでいることが強調されました。

パネルディスカッションには、川村教授をはじめ産官学それぞれのスタートアップシーンで活躍する6名が参加し、「スタートアップが描く札幌・北海道の未来」というテーマのもと議論が交わされました。

ご興味のある方がぜひレポートをご覧ください。

STARTUP CITY SAPPORO

札幌・北海道スタートアップ・エコシステム推進協議会 進捗報告会レポート

★研究室に関連する企業・ベンチャーのニュース

『調和技研とコープさっぽろがAI活用で包括的共同研究を開始』

株式会社調和技研と生活協同組合コープさっぽろは、AI活用で包括的な共同研究を行うことで合意しました。

調和技研のAI技術によって、コープさっぽろの多様な事業で得られたデータを活用し、生産性向上を図ることを目的とします。

エンタープライズとベンチャーの協業モデルはアメリカ、シリコンバレーなどでは当たり前に行われているのですが、なかなか日本では弱い分野です。

AWLとサツドラもまさにそこからソリューションを生み出して横展開する成長モデルでした。

調和技研もここから横展開できるソリューションを生み出したいと思っております!(川村 秀憲)

コープさっぽろと調和技研、AI活用で包括的共同研究、「北海道をAIの最先端地域に」

株式会社調和技研

『北海道新聞で調和技研とコープさっぽろのAIによる宅配経路最適化が紹介』

9月2日(木)の北海道新聞で、株式会社調和技研と生活協同組合コープさっぽろが共同で研究するAIを活用した業務効率化を取り上げていただきました。

第1弾として宅配サービス「トドック」の最適な経路を割り出します。

期間は定めず、検品の効率化や接遇向上などさまざまな課題を研究する考えで、将来的には共同研究によってできたシステムなどの販売も視野に入れています。

調和技研がコープさっぽろ様と包括提携を結び、一緒にAIを活用した業務の効率化に取り組んでいくことになりました。

まずはトドックの配送経路最適化から取り組んでいきます。

その他、定期的にコープさっぽろ様の役員と調和技研の技術者が議論を行い、様々なAI導入の可能性を一緒に探っていく取り組みを行います。

我々の技術で地域課題解決のお手伝いを行う機会をいただき感謝です。(川村 秀憲)

北海道新聞

コープさっぽろAIで宅配経路最適化 トドック検品精度向上も 北大ベンチャーと](お読みいただくにはログインが必要となります。)

【3】日刊工業新聞「次代をつくる」

今年度から日刊工業新聞「次代をつくる」にて、川村教授が寄稿しています。

第6回目は言葉による指示を受けながらプログラムを作成する「OpenAI Codex」を紹介し、プログラムを作るという作業が再定義されることにより、人間に求められる能力が今後変わっていくであろうことについて述べています。

[「次代をつくる/プログラムつくる、再定義」8月31日(火)]

人工知能(AI)を研究する非営利団体のOpenAIが、自然言語による指示を受けてプログラムを作成する「OpenAI Codex(コーデックス)」を公開した。最新の自然言語生成技術「GPT―3」をベースとし、ソフト開発プラットフォーム「GitHub(ギットハブ)」と連携して膨大なソースコードを学習することで実現した技術である。

Python(パイソン)、JavaScript(ジャバスクリプト)などの10以上のプログラム言語で言葉による指示を受けながらプログラムを生成する。

OpenAIのサイトで、簡単なゲームを作成するデモ動画が公開されている。「このロケット画像を加えよ」「もう少し小さく」など、人に対してするように言葉で指示を出すと、それに対応したプログラムが自動生成されていく。

「ロケットを水平に動かし、壁に当たったら跳ね返る」との指示でロケットが動きだし、「背景を宇宙の色に」という指示で背景を黒色に設定する。「ロケットをクリックしたらスピードアップ」「隕石を加え、動かす」などの指示が続き、宇宙空間でロケットが隕石の衝突を避けるゲームができあがっていく。

これだけでも驚きだが、さらに驚くべきは「『running away』という単語を使ってゲームに名前を付けて表示せよ」という指示で「Running Away from the Asteroid(隕石からの逃避)」と画面に表示するプログラムを追加したところである。

隕石から逃避するゲームであるということを理解し、適切な名前を付けたのである。

このような技術が開発されたことは驚愕に値するが、それ以上にこの技術によってプログラムを作るという作業が再定義される社会的インパクトは計り知れない。人間に求められる能力が「作りたいものをプログラムに翻訳する」というものから、「AIに適切な指示を出す」という、より抽象度の高いものに変わっていく。プログラムの開発効率も飛躍的に高まるだろう。まだまだAIの技術進化は止まらない。(川村 秀憲)

【4】こんな本を読んでいます

★VCの教科書 VCとうまく付き合いたい起業家たちへ

スコット クポール (著), 庭田 よう子 (翻訳)

本日ご紹介するのは、全米トップクラスのベンチャー・キャピタルの一つ、アンドリーセン・ホロウィッツでマネージング・パートナーを務める著者が、VCと起業家が知っておくべき実戦で使える知識をすべて語った一冊です。

[感想]

あの有名なベン・ホロウィッツ、マーク・アンドリーセンとVCを立ち上げたスコット・クポールによるVCの解説書。

クポールは自らスタートアップで活躍しイグジットした経験を持ち、またアンドリーセン・ホロウィッツVCにてマネージャーとしてVCを切り盛りしている。

VCがどのような仕組み、力学、そしてお作法で機能しているのか、スタートアップがVCと付き合うときに何をどのように理解すべきなのか、どういうところに落とし穴が潜んでいるのかを事細かに解説しています。

事例はアメリカの法律や慣習に基づいているため、全てがそっくりそのまま日本で当てはまるわけではないが、でも殆どのことは日本のVCにも取り入れられていることなので非常に参考になります。

スタートアップを成長させる際、資本政策はどうあるべきか、取締役会をどうすべきか、そして資金調達をどう考えるべきか、その際に何に気をつけるべきかは誰しも悩むところと思いますが、本書は著者の経験談から非常に丁寧に注意すべき点をまとめており、スタートアップの経営陣にはぜひ一度目を通しておいてほしい一冊です。(川村 秀憲)

【5】ディープラーニング勉強会

調和系工学研究室ではディープラーニングの最新の知識共有を目指し、毎週ゼミを実施しています。

担当学生がトップカンファレンスから自分の興味のある論文について発表し、意見交換をしながら進めています。

本研究室HP( http://harmo-lab.jp/?page_id=1194 )には過去の発表に使用したスライドも公開していますので、ご興味のある方はぜひそちらもご覧ください。

[紹介論文その1]

Anomaly Detection for an E-commerce Pricing System

公開URL:https://dl.acm.org/doi/10.1145/3292500.3330748

論文紹介スライドURL:https://www.slideshare.net/harmonylab/anomaly-detection-for-an-ecommerce-pricing-system

出典:Jagdish Ramakrishnan, Elham Shaabani, Chao Li, and Matyas A. Sustik.: Anomaly Detection for an E-commerce Pricing System, 25th ACM SIGKDD International Conference on Knowledge Discovery & Data Mining (KDD ’19).

概要:本紹介論文では大規模オンラインプライシングシステムに対する異常検知手法を提案しています。誤った値付けとその原因となるデータの特定をおこなう手法を開発しました。特徴的な点として、人手チェックを考慮したビジネスインパクトによる異常の優先度付けが挙げられます。手法は実システムに適用され、現実環境における効果の検証も行われています。(博士2年 幡本 昂平)

[紹介論文その2]

Decision Transformer: Reinforcement Learning via Sequence Modeling

公開URL:https://arxiv.org/abs/2106.01345

論文紹介スライドURL:https://www.slideshare.net/harmonylab/2021-08-24dltomoyaoda

出典:Lili Chen (UC Berkeley), Kevin Lu (UC Berkeley), Aravind Rajeswaran (Facebook AI Research), Kimin Lee (UC Berkeley), Aditya Grover (Facebook AI Research), Michael Laskin (UC Berkeley), Pieter Abbeel (UC Berkeley), Aravind Srinivas (UC Berkeley), Igor Mordatch (Google Brain)

概要:Transformerを用いた自己回帰モデルを強化学習 に応用。TD法に頼っていた強化学習の新たなパラダイム。Offline RLのいくつかのタスクでSOTA。(修士2年 織田 智矢)

【6】人工知能・ディープラーニングNEWS

ダジャレを生成するAI!Pun-GAN

“無人決済みやげ店”羽田に登場 手に取った商品リアルタイム認識

テスラが人型ロボットに参入、「クルマで成し得たことを人型へ」とマスクCEO

東芝、性能と演算量を学習後に調整できるAI技術を開発 世界トップ級の分類性能か

Yahoo!知恵袋にAI導入 ユーザーが回答できそうな質問をおすすめする機能

セレブラス・システムズ、世界初の脳規模の人工知能ソリューションを発表

日本語でBERTが動くイメージを知ってほしい。『BERTによる自然言語処理入門』の著者に聞く

2021/8/25 日本語GPT-2/BERTの事前学習モデルを開発しオープンソース化

New tool could help authors bust writer’s block in novel-length works

NEC系、良品画像だけでAIが不良品検出 食品製造業向け

アラヤ、河川の水位を推定するAIモデルを構築

ELYZA、日本語における高精度の生成型要約モデルを開発。“ELYZA DIGEST”として一般公開へ

アボカドの食べ頃をスマホのカメラで評価 中京大学が深層学習技術利用でアプリ開発

大阪でAI採用店舗を開業 業務スーパーの神戸物産

日立、空港のX線手荷物検査をAIで支援する実証実験を開始

Summer School 数理物理 2021

LINEの論文6本が世界最大規模の音声処理関連国際学会「INTERSPEECH 2021」で採択

5台の接客ロボを一人で操作、サイバーエージェントが大阪で実証実験 「業務が可能か検証」

【7】今週のAI俳句ランキング

AIが俳句を作る「AI俳句」の普及を目指して、本研究室を事務局として2019年7月に設立されたAI俳句協会のウェブサイトでは、AIが生成した俳句を人が評価して、評価結果を集約したAI俳句ランキング(月間・週間)の集計を行っています。

今週のランキングをご紹介したいと思います。

1位 元日のをんなばかりの寝息かな

2位 恵那山の深きところに盆支度

3位 思ひ出し笑ひこらへて除夜の鐘

すべて、本研究室が開発した「AI一茶くん」が詠んだ句になります。

「AI一茶くん」は1日1句投稿していますので、ぜひ俳句協会ウェブサイト(https://aihaiku.org) もご覧ください!

【8】AI川柳

調和系工学研究室では、毎日新聞社「仲畑流万能川柳」や第一生命保険「サラリーマン川柳」を学習用の教師データとした「AI川柳」に取り組んでいます。

2020年3月までの1年間「NHK総合 ニュースシブ5時」で、その週の話題のニュースのキーワードをお題に、バーチャルアナウンサー「ニュースのヨミ子」さんが詠んでいたAI川柳も、本研究室が開発した人工知能システムです。

多くの皆さんに楽しんでいただけるよう、2020年6月にAI川柳のTwitterアカウント( https://twitter.com/ai_senryu )を開設いたしました。

AIの中には詠んだ句の良し悪しはないためそれを良いと思うのは人間の側で、そう思うことで初めてAIの詠んだ句が意味を持つのではないでしょうか。

AIが詠んだ句に共感していただけましたら大変うれしく思います!

★お題「本心」(8月20日投稿)

要するに本心だとは限らない

人間だけじゃなく、ペットたちにも本音と建前があるんだ・・・

了解!笑

★お題「食欲」(8月23日投稿)

朝起きて食欲無いと言われても

週末もいつもの時間に起こされて・・・

ごはん用意しても食べないなら、もう少し寝かせてほしかった・笑

★お題「愚痴」(8月24日投稿)

今日もまた我が家の犬に愚痴聞かれ

リモート飲み会にも慣れたけど

ちょっとでも愚痴言うと愛犬が心配そうに見てくる

愛犬のためにも、以前みたいに外で会って愚痴聞いてもらいたい・笑

★お題「ぽっちゃり」(8月25日投稿)

すれ違うときぽっちゃりを撫でてみる

これはもうネコ飼いの特権だと思う

でもぽちゃぽちゃ触りすぎて、嫌がられたりもするんです・笑

★お題「眠そう」(8月26日投稿)

眠そうな犬はね起きて散歩する

会話の中の「さんぽ」の一言を聞き逃さないうちの犬

すごい勢いで起き上がって笑顔でアピールするから、後でなんて言えません・笑

★お題「休みたい」(8月27日投稿)

休みたいもんだ子猫の笑顔見て

子猫を迎え入れたとき、みんなこんな気持ちになるのでは?

もちろん仕事には行くけど・笑

★お題「野菜」(8月31日投稿)

近頃は野菜ばかりでつまらない

現在ダイエット中のうちの犬

野菜大好きだったのに、おやつも野菜に変えたら不満顔

やっぱりジャーキーのほうが嬉しいよね・笑

★お題「真剣」(9月1日投稿)

真剣な顔をしていた頃もあり

出かける気配を察知すると、置いていかれないよう真顔で後を追ってくれていたのに

今では寝そべったまま見送られています・笑

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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調和系工学研究室教員

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