2021年8月6日配信
こんにちは。
北海道大学調和系工学研究室(川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教)です。
日本代表のメダルラッシュでオリンピックが盛り上がっていますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
昨日から札幌でも競歩が始まり、明日はいよいよ北海道大学もコースに含まれるマラソンが開催されます。
残念ながら応援は家でとなりますが、選手たちの活躍が今からとても楽しみです!
では、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
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◇ 本日のTopics ◇
【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW
【2】日刊工業新聞「次代をつくる」
【3】こんな本を読んでいます
【4】俳句の缶づめ「今回のAI一茶くん」
【5】ディープラーニング勉強会
【6】人工知能・ディープラーニングNEWS
【7】今週のAI俳句ランキング
【8】AI川柳
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【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW
★日本経済新聞で「人工知能が俳句を詠む AI一茶くんの挑戦」の書評を掲載していただきました
7月30日(土)の日本経済新聞朝刊で、「人工知能が俳句を詠む AI一茶くんの挑戦」の書評を掲載していただきました。
「AIの技術や発展史などの解説も詳しく、好奇心を大いに満足させてくれる。読後、先端的な知に触れた実感を強く得た。」と評価いただきました。
「人工知能が俳句を詠む AI一茶くんの挑戦」は、電子書籍( www.amazon.co.jp/dp/B099ZPSDFR )も発売されていますので、ご興味のある方はぜひお読みください。
日本経済新聞
[人工知能が俳句を詠む 川村秀憲ほか著 句会に参加する日は来るか] (お読みいただくにはログインが必要となります。)★総務省AIネットワーク社会推進会議 「報告書2021」にて調和系工学研究室の活動を掲載していただきました
総務省AIネットワーク社会推進会議 「報告書2021」にて調和系工学研究室の活動を掲載していただきました。
総務省情報通信政策研究所は、平成28年10月から「AIネットワーク社会推進会議」を開催し、AIネットワーク化に関する社会的・経済的・倫理的・法的課題について検討を行っています。
本研究室の川村教授もヒアリングを受け、「北大調和系工学研究室の研究事例とスタートアップ」と題して、「AI開発・利活用に関する主な取組等の概要」「ヒアリング等における発表・意見交換の概要」が報告書に掲載されています。
ご興味のある方は報告書をぜひご覧ください。
総務省
[AIネットワーク社会推進会議 「報告書2021」の公表]※「北大調和系工学研究室の研究事例とスタートアップ」は別添1「報告書2021」の69~70ページで紹介されています。
★研究室に関連する企業・ベンチャーのニュース
『調和技研がJ-Startup HOKKAIDOインタビューで紹介』
J-Startup HOKKAIDOインタビューで株式会社調和技研を紹介していただきました。
J-Startup HOKKAIDOとは、経済産業省北海道経済産業局とSTARTUP CITY SAPPOROが共同で取り組んでいるプロジェクトです。
北海道発でグローバルな活躍を目指すスタートアップ企業を選定し(2021年6月時点で25社)、支援をすることで、スタートアップの飛躍的な成長を後押ししています。
ご興味のある方は、ぜひお読みください。
[【J-Startup HOKKAIDOインタビュー】株式会社調和技研] [株式会社調和技研]【2】日刊工業新聞「次代をつくる」
今年度から日刊工業新聞「次代をつくる」にて、本研究室の川村教授が寄稿しています。
第5回目は数多くの企業と共同研究を行ってきた経験から、自社の課題解決にAI技術を導入したいと考えている企業への成功の秘訣を述べています。
[「次代をつくる/AI導入、2つの秘訣」8月3日(火)]人工知能(AI)の研究者としてこれまで、数多くの企業と共同研究を行ってきた。その経験から、自社の課題解決にAI技術を導入したいと考えている企業に2点伝えたい。
一つ目は、AI技術の導入は手段であって目的ではないということである。目的は課題解決であって、そのために色眼鏡なくベストな方法を選択することが重要である。手段を縛ることはかえって解決を困難にする。自社課題は自分たちが一番わかっているはずなので、それを正確に伝えることに注力し、解決手段の検討は専門家の知見を借りる。餅は餅屋である。結果的にAI技術の利用がベストであれば、導入するのである。
二つ目は、問題の設定と解決方法の取り扱いである。例えば、製品の目視検査の省力化が課題になったとする。安易に問題設定すると、人と同等の画像検査の実現という事となる。そして、往々にして人が行った判定結果をどのぐらい再現できるのかということが議論の中心になる。
このような安易な問題設定は二つの点で注意が必要である。一つは、目視検査の省力化という課題に対して、人の判定結果を正解として同条件で画像認識することが必然ではないという点である。全く新しいセンサーや計測方法を導入して違った形で検査自体を再定義することもあり得るはずである。あらゆる可能性を柔軟に考えたい。
もう一つは解決方法の評価である。人の能力の再現と考えてしまうと高精度でなければ代替性を持たないが、省力化の実現と考えると違った評価が出てくる。例えば、良品の判定は50%であるが、不良品は100%検出できる画像認識が出来上がったとしよう。この画像認識で不良品と画像認識されたもののみを、人が改めて検査することとすると、人の検査すべき量はおよそ50%程度削減することができる。画像認識としては決して立派な精度ではないかもしれないが、それでも導入に値する効果が出せるかもしれない。
このようにAI技術を自社課題に導入する際には、課題自体もよく吟味した上で適切な問題設定をし適切な手段を選ぶことが成功の秘訣である。(川村 秀憲)
【3】こんな本を読んでいます
★BAD BLOOD シリコンバレー最大の捏造スキャンダル 全真相
ジョン・キャリールー (著), 関 美和 (翻訳), 櫻井 祐子 (翻訳)
本日ご紹介するのは、現代社会の様々な側面が凝縮した、若きCEOエリザベス・ホームズによるシリコンバレー発巨大詐欺事件の全容を、敏腕記者が地道な取材で証言を積み重ねながら暴いていった一冊です。
[感想]血液1滴から病気診断ができるという触れ込みで一時期シリコンバレー最大のスタートアップとなったセラノス社。
若い金髪の女性起業家としても注目の的だったエリザベス・ホームズが立ち上げたセラノス社がどのように話題を集め、資金を集め、注目されていったのか。
そして、周囲の評価には全く見合わない技術力によってどう開発が進んでいったのか。
スタートアップを創業して大きくしていくということは少なからずエリザベスと同じようにストレッチし、自分たちをよく見せるということはされると思いますが、一方で良心を持って正直に他者と付き合うことも大事だと思います。
それを忘れたエリザベスと、それを見抜けずいいように使われる周りのおじさんたち。
壮大な詐欺事件へと発展していきます。
後半は、悪事を白日にさらけだそうとするジャーナリストとの対決。
エリザベスたちの執拗な脅しと良心にさいなまれる元社員の苦悩と正義感。
とてもストーリーとしても迫力があり楽しめましたが、一方で社会の公器と呼ばれる会社がどうあるべきか(取締役会、内部統制、監査役会、株主総会、などなどの意義)も深く考えさせられました。(川村 秀憲)
【4】俳句の缶づめ「今回のAI一茶くん」
AI一茶くんの対決デビュー戦となった、NHK「超絶 凄ワザ!」への出演を契機として知り合ったマルコボ.コム社が季刊発行している『俳句の缶づめ』に、2019年10月号からAI一茶くんの俳句が掲載されています。
この中の「今回のAI一茶くん」というコーナーでは、素性を隠して掲載されたAI一茶くんの句を読者が当てるという企画が行われています。
このたび、「今回のAI一茶くん」をシェアしていただけることになりましたので、どのような句をAI一茶くんが詠み、その句が獲得した得点、AI一茶くんの俳句を見抜いた人数をご紹介したいと思います!
兼題「梅」(2021年7月27号)
少年の夢の中まで梅白し
AI一茶くんは良い俳句を自分で選ぶことは残念ながらまだできないので、AI一茶くんの詠んだ25句から、編集室が選んだ一句になります。
この句で獲得した得点は4点。
最多得点を得た句が5点であったことを考えると、4点は素晴らしい結果ではないでしょうか?
AI一茶くんの句を良いと思った読者の方々の選評は以下の通りです。
・(少年老い易く学成り難し)そんな諺を思い出しました。穢れない少年の夢・・・梅白しが効果的な秀句だと思います。
・伊藤若冲は、絵師として生きる決意をした時に「月下白梅図」を描いたとか。厳寒の中に凛と咲き誇る白梅は、人知れず固く何かを志した少年の夢にふさわしい。
・まことに白く新しく光り輝いて夢に向かっている少年のお姿が見えるようです。
・白い梅の香りのする夜の庭。寝ている少年の夢の中まで香りが。白がいいなと。少年は白が似合う。
なお、兼題「梅」で投句された63句の中から、見事AI一茶くんの俳句を見抜いた方は、なんと7名いらしたそうです。
「AIとは思えない幻想的な一句」というヒントが効いていたとしても、7名の方に見抜かれるとは!
ちなみに前号(2021年4月26号)兼題「氷」の回では、
大仏の鼻のさきなる氷かな
という一句で、68句中2点句を獲得、見抜いた方は0人。
前々号(2021年1月25号)兼題「流星」の回では、
流星のはじめは青き夜空かな
という一句で、70句中3点句を獲得、見抜いた方は2人でした。
この企画が始まった当初は、AI一茶君の一句は200句からの選出でしたが、一茶君の一句一句の精度が高くなったため、流星の回は50句、氷の回からは、なんと25句からの選出となりました。
俳句の実力アップなのか、ヒントが左右しているのか? 今後も注目です!
『俳句の缶づめ』は年4回発行されています。
マルコボ.コムオンラインショップ( http://shop.marukobo.com/ )からも購読のお申し込みができますので、ご興味がある方はぜひご覧ください。
【5】ディープラーニング勉強会
調和系工学研究室ではディープラーニングの最新の知識共有を目指し、毎週ゼミを実施しています。
担当学生がトップカンファレンスから自分の興味のある論文について発表し、意見交換をしながら進めています。
本研究室HP( http://harmo-lab.jp/?page_id=1194 )には過去の発表に使用したスライドも公開していますので、ご興味のある方はぜひそちらもご覧ください。
[紹介論文その1]Joint Negative and Positive Learning for Noisy Labels
論文紹介スライドURL:https://www.slideshare.net/harmonylab/joint-negative-and-positive-learning-for-noisy-labels-249872471
出典:Youngdong Kim Juseung Yun Hyounguk Shon Junmo Kim School of Electrical Engineering, KAIST, South Korea
概要:Noisy Labelsに対する従来手法のNLNLを改善したJNPLを提案した。新たな損失関数NL+とPL+を用いた単一の学習アルゴリズムを用いることで単純化し学習コストの削減と精度向上を狙い、SOTAを達成した。(博士3年 平間 友大)
[紹介論文その2]PENS: A Dataset and Generic Framework for Personalized News Headline Generation
出典:Xiang Ao, Xiting Wang, Ling Luo, Ying Qiao, Qing He, Xing Xie : PENS: A Dataset and Generic Framework for Personalized News Headline Generation, ACL-IJCNLP 2021 (2021).
概要:本論文では、個人化されたニュースの見出し(Personalized News Headline) の生成問題におけるオフライン評価用のデータセットであるPENS (PErsonalized News headlineS) を公開する。Microsoft News のインプレッションログから収集したデータを用いて、数百人のネイティブスピーカーが手作業でテストセットを作成した。また、この問題に対する解決策として一般的なフレームワークを提案し、構築したデータセットのベンチマークスコアを示す。(博士2年 吉田 拓海)
【6】人工知能・ディープラーニングNEWS
★Hondaと楽天の自動配送ロボ、筑波大構内を走る サービス実現に向け技術検証
★JR東海、新型車両「315系」に国内初のAI冷房を導入 冷房能力を約3割向上
★ViTとCNNを組み合わせて精度と速度を向上させたCMTを詳細解説!
★「6年解けなかった構造があっさり」──タンパク質の“形”を予測する「AlphaFold2」の衝撃 GitHubで公開、誰でも利用可能に
★ディープラーニングの推論時間を大幅に短縮できる「NVIDIA TensorRT」利用方法は?
★AIが予測したヒトタンパク質の画期的データベース、オンラインで公開
★さまざまなゲームを人間のようにプレイ可能なAIをDeepMindが開発、マルチプレイにも対応
★Open AIがニューラルネットワーク用のオープンソースGPUプログラミング言語「Trirton」発表
★監視カメラやAIビジョンシステムを合成人間のデータで訓練する英MindtechがIn-Q-Telなどから3.6億円調達
★アニメ用の美術背景を生成できるAI 30分以上かかる作業が約30秒に
★Facebook、どんな話題にも対応できるAIチャットボット「BlenderBot 2.0」オープンソースで公開。会話しつつ裏でネット検索し最新情報を取得
【7】今週のAI俳句ランキング
AIが俳句を作る「AI俳句」の普及を目指して、本研究室を事務局として2019年7月に設立されたAI俳句協会のウェブサイトでは、AIが生成した俳句を人が評価して、評価結果を集約したAI俳句ランキング(月間・週間)の集計を行っています。
今週のランキングをご紹介したいと思います。
1位 きのふより敬老の日の日和かな
2位 鳴き出づる人の如くに初明り
3位 叮嚀に使はれてゐる残暑かな
すべて、本研究室が開発した「AI一茶くん」が詠んだ句になります。
「AI一茶くん」は1日1句投稿していますので、ぜひ俳句協会ウェブサイト(https://aihaiku.org) もご覧ください!
【8】AI川柳
調和系工学研究室では、毎日新聞社「仲畑流万能川柳」や第一生命保険「サラリーマン川柳」を学習用の教師データとした「AI川柳」に取り組んでいます。
2020年3月までの1年間「NHK総合 ニュースシブ5時」で、その週の話題のニュースのキーワードをお題に、バーチャルアナウンサー「ニュースのヨミ子」さんが詠んでいたAI川柳も、本研究室が開発した人工知能システムです。
多くの皆さんに楽しんでいただけるよう、2020年6月にAI川柳のTwitterアカウント( https://twitter.com/ai_senryu )を開設いたしました。
AIの中には詠んだ句の良し悪しはないためそれを良いと思うのは人間の側で、そう思うことで初めてAIの詠んだ句が意味を持つのではないでしょうか。
AIが詠んだ句に共感していただけましたら大変うれしく思います!
★お題「連休」(7月21日投稿)
連休は毎日みんな楽しそう
明日からの4連休はペットたちと家でのんびりの予定
コロナ禍だし暑いしで遠出はしないけど、一緒にいるだけで喜んでくれるからこっちも嬉しい!
★お題「オリンピック」(7月26日投稿)
子の頃のオリンピックを懐かしむ
オリンピックが始まりましたね
オリンピック見たいからいつもより夜更かししてもいいでしょ?
子供の頃の特別感を思い出しました!
★お題「スイカ」(7月27日投稿)
スイカには敵意がないと思う時
スイカを見ると怖がっていたうちの犬
毎年食べているうちに、スイカは攻撃してこないことを理解したみたい・笑
★お題「うなぎ」(7月28日投稿)
丁寧にうなぎを食べてビール飲み
札幌も暑い!
こんな日は美味しいうなぎをゆっくり味わいながら、冷たいビールが飲みたいですね!
★お題「扇風機」(7月29日投稿)
健康を回復させる扇風機
札幌もこう暑さが続くと、さすがに夏バテしているうちの猫
使い方を間違っているけれど、扇風機で涼んでます・笑
★お題「泳ぐ」(7月30日投稿)
泳ぐのが楽しみになる夏の夕
こんなに暑かったら、散歩の途中で犬も泳ぎたくなりますよね!
気持ちよさそう・笑
★お題「新聞」(8月3日投稿)
新聞に載ってますよと売る本屋
7月31日の日経新聞朝刊の書評に「人工知能が俳句を詠む AI一茶くんの挑戦」が掲載されました
書店の書評コーナーに置いてあると思いますので、ぜひお手に取ってお読みください!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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調和系工学研究室教員
川村 秀憲教授
山下 倫央准教授
横山 想一郎助教
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