[北海道大学調和系工学研究室メールマガジン] harmolab049

2021年7月9日配信

こんにちは。

北海道大学調和系工学研究室（川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教）です。

全国的に梅雨空ですっきりしないお天気が続いていますが、皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか。

すでにお手に取っていただいている方もいらっしゃると思いますが、７月7日に「人工知能が俳句を詠む AI一茶くんの挑戦」がオーム社から発売されました。

各章の扉ではAI一茶くんの詠んだ俳句を紹介していますが、最終章である第8章では次の句が紹介されています。

西行の爪の長さや花野ゆく

付録として掲載されたAI俳句百句選の中から、俳人の大塚凱さんが選句した一句です。

歌人として文学史上に名を残した西行に倣うように陸奥をめぐったのが松尾芭蕉であり、その足跡を追って俳句というジャンルが成立しているということも踏まえ、敢えてこの句を選びました。無論、AI俳句という試みもまた、長い長い旅の途中であるということを意識しての句です。（大塚凱）

AI一茶くんの挑戦はまだまだ続きます。

これからもあたたかく見守っていただけましたら大変うれしく思います！

出版を記念して、抽選で本メールマガジンをお読みいただいている10名の方に「人工知能が俳句を詠む AI一茶くんの挑戦」をプレゼントいたします。

ご応募される方は、「お名前、送付先ご住所、お電話番号、ご所属」をご記入の上、本メールにご返信をお願いいたします。

応募締め切りは2021年7月12日（月）正午となります。（応募者多数の場合は抽選とさせていただき、当選者の方にはメールにて通知させて頂きます。）

たくさんのご応募お待ちしております！

では、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

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◇　本日のTopics　◇

【１】調和系工学研究室WHAT’S NEW

【２】日刊工業新聞「次代をつくる」

【３】こんな本を読んでいます

【４】AI一茶くん句会に参加

【５】ディープラーニング勉強会

【６】人工知能・ディープラーニングNEWS

【７】今週のAI俳句ランキング

【８】AI川柳

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【１】調和系工学研究室WHAT’S NEW

★クレスコの根本代表取締役と川村教授による対談が実施されました

6月22日（火）、株式会社クレスコ代表取締役社長執行役員根本浩幸氏と川村教授による対談が北海道大学で実施されました。

「次世代の人材育成の支援およびAI(人工知能)技術に関する研究の促進」を目的に、2021年3月、クレスコ様より本研究室に奨学寄附をいただき、その取り組みに対して、同日、本学大学院情報科学研究院長谷山美紀研究院長よりクレスコ様に感謝状が贈られました。

対談では「産学連携でのAI・IT人材の育成」をテーマに、AI・IT人材不足の現状や課題、産学連携によるAI・IT人材育成の必要性、次代のAI・IT人材に必要な力、今後の展望について語られました。

クレスコ様のホームページに対談内容の要約が掲載されていますので、ご興味のある方はぜひお読みください。

[北海道大学川村秀憲教授と対談産学連携でのAI・IT人材の育成の継続を再確認] [株式会社クレスコ]

★情報法制シンポジウムにて川村教授がAI俳句について報告します

7月11日（日）に開催される第5回情報法制シンポジウムにて、川村教授が「人工知能が俳句を詠む：AI一茶くんの挑戦」と題して報告します。

「AIが作る著作物」をテーマに、東京大学鳥海不二夫教授、松原仁教授、宍戸常寿教授、中央大学実積寿也教授、株式会社KDDI総合研究所加藤尚徳氏と共に、最近のAI著作物の現状とその著作物の法的な解釈などについて議論します。

ご興味のある方はぜひご参加ください。

【開催要項】

主催：一般財団法人情報法制研究所（JILIS）

共催：情報法制学会（ALIS）

日時：2021年7月11日(日)14:00～16:00

会場：オンライン開催

テーマ：AIが作る著作物

※参加申し込み等の詳細は以下のURLをご確認ください。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSemp4tGVeTwhi3pSHyJdXtW4-yH3lhjsV8lnx4Y2xemyq8OfQ/viewform

[第5回情報法制シンポジウム]

★Sapporo AI LabがAI人材育成プログラム「実践的データ分析講座」を開催します

Sapporo AI Labが人材育成プログラム～ 2021年度版「実践的データ分析講座」をオンライン開催します。

本セミナーは、データ分析の意義や必要性、そしてその基本的な技術を解説すると共に、具体的な実例や実際の現場で発生している問題から、それをどうやってデータ分析（AI・機械学習）で解決していくかという方針の策定、さらにその具体的な分析をハンズオンで体験することで、実践的なデータ分析の基本的な技術とデータ分析を用いた業務もしくは製品改善の進め方を習得することを目的としたセミナーです。

これらを通じて、地場IT企業におけるデータ分析スキルの向上と安定化維持を後押しし、地場IT企業が独自にデータ分析を用いて、業務もしくは製品開発等の効率化を図ることにより、地場産業の競争力強化につなげることを狙いとしております。

開催日時／開催場所：

1日目　令和3年（2021年）8月3日（火）14:00～17:00

2日目　令和3年（2021年）8月4日（水）14:00～17:00

3日目　令和3年（2021年）8月5日（木）14:00～17:00

講師：株式会社テクノフェイス　技術開発部　丸山　哲太郎　氏

主催：Sapporo AI Lab／一般財団法人さっぽろ産業振興財団

定員：20名（参加無料）

※詳細については以下のURLをご参照ください。

https://www.s-ail.org/news/seminar/2093.html

受講申込：https://www.s-ail.org/data202108/

[Sapporo AI Lab]

★研究室に関連する企業・ベンチャーのニュース

『AWLが開発する店舗向けAIカメラ』

6月25日付の日経MJで、AWL株式会社がサイバーエージェントとの業務提携の下で推進する、AIカメラを活用したデジタルサイネージ（電子看板）上の広告配信の最適化や、広告を見たお客様の行動から広告効果を分析する機能などが取り上げられました。

6月28日（月）の日本経済新聞でも同内容が紹介されていますので、ご興味のある方はぜひお読みください。

日本経済新聞

[店にAIカメラ、客層分析を手軽に　イデインやアウル] （お読みいただくにはログインが必要となります。）

[AWL株式会社]

【２】日刊工業新聞「次代をつくる」

今年度から日刊工業新聞「次代をつくる」にて、本研究室の川村教授が寄稿しています。

第4回目は無形資産の「スピルオーバー」を取り上げ、ＡＩ分野での企業と大学との連携について述べています。

[「次代をつくる／無形資産―スピルオーバーで利益得る」 7月6日（火）]

ジョナサン・ハスケルらによる『無形資産が経済を支配する―資本のない資本主義の正体』という本では、「無形資産」の重要性が語られている。無形資産とは、ソフトウェアだけでなく、ノウハウ、アイデア、ビジネスモデル、創作、デザイン、知財などを含めた形のない資産のことである。最近では、人工知能（ＡＩ）のアルゴリズムなどもそうである。現代の様々なデジタルサービスの多くは無形資産によってその価値を支えられている。

著書によると無形資産には「スケーラビリティ」「サンク性」「シナジー」「スピルオーバー」の四つの特徴があるという。本稿ではスピルオーバーに着目したい。スピルオーバーは、ここでは他人の無形資産を真似たり、利用したりすることのハードルの低さを意味する。海外のビジネスモデルを国内でいち早く展開するタイムマシン経営などがその典型例である。

無形資産の存在感が高まる中、企業はスピルオーバーで利益を逸する側になるのではなく、上手に利益を得る側に回ることが重要である。では、どのようにすれば利益を得る側に回れるのか。その一つの方法が産学連携であると考えている。

大学は教育研究を重要なミッションとするが、その研究の成果は社会に還元するために論文などの形で対外発表されることが多い。知財化の課題はあるが、大学は発表された研究成果を利用されても逸する利益はあまりないはずである。

産業分野で重要な無形資産となりつつあるＡＩの研究分野は発展スピードが加速している。それぞれの企業が独自に研究を行っても世界のスピードには勝てない。ならば、ＡＩの分野でも企業が大学と手を組んでスピルオーバーの効果を最大化することは競争力をつける一つの手立てとなるのではないか。

我々の研究室でもＡＩに関する企業との共同研究を数多く手掛けている。企業しか持ち得ない課題やデータを題材にし、企業に研究費を負担してもらって最新のＡＩのアルゴリズムを研究していくことは大学としても研究の幅を広げる。今後、より一層産学連携が進み、日本の競争力の底上げがなされればと願っている。（川村秀憲）

【３】こんな本を読んでいます

★海外で結果を出す人は、「異文化」を言い訳にしない

グロービス (著), 高橋亨 (著)

本日ご紹介するのは、海外勤務で誰もがぶつかる「４つの壁」を提示し、それを乗り越えるための技術とリーダーシップを説いた、これからの海外赴任者の新定番書です。

[感想]

丸紅にて様々な国での海外事業に携わった著者が海外プロジェクト、外国人とのグローバルビジネスを成功させるために必要なことを経験からまとめた本。

海外事業を経験しつつも海外でうまく成果が出せない人は「〇〇国では」とすぐに国の事情に理由を求めるが、圧倒的に成功している人は国事情や文化、歴史の違いをきちんと理解しつつも異文化を言い訳にせず、きちんと人を理解して人に貢献しているといいます。

経験に基づいていろいろなケーススタディでわかりやすく状況を説明しており、自分がその立場だったらとロールプレイングを通して考えることでより理解が深まります。

また、ここで述べられていることは海外だから、外国人だからということではなく、同じ日本人の中でも役職、立場、世代が違う人とコミュニケーションを取って一緒に仕事をすすめる上でも全く同じと思います。

自分の視座を高くするという意味でもとても勉強になった本でした。（川村秀憲）

【４】AI一茶くん句会に参加

6月23日（水）にオンライン開催された第148回ふくし句会に、AI一茶くんで作成した俳句で修士1年平田航大さん、学部4年花野愛里咲さんが参加しました。

その結果を花野さんが報告してくれましたのでご紹介いたします。

AI一茶くんの俳句生成機能や選句機能に関して、俳人の方々と比較して、優れていたり劣っていたりする部分を明確にすることを目的に句会に参加しています。

ふくし句会は愛媛県在住の方々が中心に、初心者から20年以上キャリアを重ねた方まで、幅広く参加する句会です。

今回の句会は、参加者18名・投句数54句でした。

参加者はこの54句から特選1句と並選4句（4句を決められない場合は5句）を選句します。

特選1点、並選1点として、その合計点を評価とします。

今回はAI一茶くんで生成した俳句から、今回の兼題である「水羊羹」を含む2句と夏の季語を含む2句を選んでいます。

文字列の俳句らしさを表す評価指標の高い順に意味が理解できる俳句を選んで、以下の4句を投句しました。

・すれ違ふ日傘の中の少女かな（3点）

・正直に生きるつもりの熱帯夜（2点）

・音立てて水羊羹を流しけり（1点）

・黙々と水羊羹を啜りけり（0点）

AI一茶くんの俳句の中で最も評価が高かった句「すれ違ふ日傘の中の少女かな」は、3点という評価で全54句中上位20句以内に入ることができました。

立ち姿や歩き姿が美しい少女をイメージさせる、「少女」に意外性を感じるという意見をいただきました。

また、ひとり3句まで投句できるので、私たちが詠んだ句も投句しました。

・耳鳴りが宵に紛れる虎杖の花（平田作）　0点

・弱さなど決して見せぬ百合の花（花野作）　2点

平田さん作の俳句については、5・7・5の17音に収めると良い俳句になる、花野作の俳句については、百合の花の力強さが表現されている、という意見をいただきました。

今回の句会で最も評価が高かった俳句は、次の俳句です。

・骨にまで達す微熱や五月闇（6点）

・君が去つて常温の水羊羹（6点）

「骨にまで達す微熱や五月闇」という句は、骨にまで達するものが微熱であるという怖さによって夏の暗闇を表すことができているという意見があり、「君が去つて常温の水羊羹」という句は、恋人と別れた後の寂しげな情景が思い浮かぶという意見がありました。

前回の句会の兼題である「夏の風」を含む俳句は、データベース上に14,113句あるのに対し、今回の兼題である「水羊羹」を含む俳句は、674句しかありませんでした。

さらに、674句の中に意味の通じる俳句がほとんどなかったということが、今回の句会であまり良い評価を得ることができなかった理由であると考えています。

現状では、AI一茶くんの俳句は人間にとって「意味が理解できない俳句」が多いというイメージを持たれていますが、最終的には、AIだからこそ良い俳句が詠めるというイメージが定着することを目標に、句会を通して、良い評価を得ている俳句の共通点を学び、AI一茶くんの俳句から句を選ぶ際に生かしていきたいです。（学部4年花野愛里咲）

【５】ディープラーニング勉強会

調和系工学研究室ではディープラーニングの最新の知識共有を目指し、毎週ゼミを実施しています。

担当学生がトップカンファレンスから自分の興味のある論文について発表し、意見交換をしながら進めています。

本研究室HP（ http://harmo-lab.jp/?page_id=1194 ）には過去の発表に使用したスライドも公開していますので、ご興味のある方はぜひそちらもご覧ください。

[紹介論文その1]

Semi-Supervised Neural Architecture Search

公開URL：https://papers.nips.cc/paper/2020/hash/77305c2f862ad1d353f55bf38e5a5183-Abstract.html

論文紹介スライドURL：https://www.slideshare.net/harmonylab/semisupervised-neural-architecture-search-249540624

出典：Renqian Luo, Xu Tan, Rui Wang, Tao Qin, Enhong Chen, 33th Conference on Neural Information Processing Systems (NeurIPS 2020)

概要：ニューラルアーキテクチャ検索（NAS）は、優れたコントローラを使用して、より優れたアーキテクチャを生成したり、特定のアーキテクチャの精度を予測します。精度を正確に評価するにはコストがかかりますが、本論文では半教師付き学習のアプローチによってコストを削減します。（修士1年赤坂駿斗）

[紹介論文その2]

From Street Photos to Fashion Trends: Leveraging User-Provided Noisy Labels for Fashion Understanding

公開URL：https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=9388650&tag=1

論文紹介スライドURL：https://www.slideshare.net/harmonylab/from-street-photos-to-fashion-trends-leveraging-user-provided-noisy-labels-for-fashion-understanding

出典：Huang, Fu-Hsien, Hsin-Min Lu, and Yao-Wen Hsu

概要：本研究では、ファッションコーディネート投稿アプリ「WEAR」から、アジアの地域を対象としたRichWEARデータセットを提案します。また、RichWEARデータセットを用いてアイテムの色、属性、模様を予測するFARNetモデルも提案しています。FARNetモデルは、先行研究より優れた精度でアイテムの色、属性、模様を予測することができました。さらに、FARNetモデルを用いてアイテムの色、属性、模様を予測することで、季節・年ごとのファッションのトレンド分析を実施しています。（修士1年右田幹）

【６】人工知能・ディープラーニングNEWS

★ビットキー・佐川急便、オートロックマンションで顔認証を活用した「置き配」の実証実験を実施

★Training robots to manipulate soft and deformable objects

★【JSAI2021】AIが自動生成したシナリオは人間にとって本当に面白いのか？

★NVIDIAのAIペイントソフト「Canvas」はいたずら書きを瞬時にリアルな風景に変える

★「あの人に偽情報を見せたい」がSNSの“レコメンドAI”悪用で実現する可能性　F-Secureが検証

★ローソン、食品の値引き額をAIで算出　まずは東北で、2023年度までに全店展開

★マイクロソフトの強力なChatBOT、DialoGPTの紹介

★AI研究用データセット公開サイト Dataset Platter をオープンしました

★「BEiT: 画像処理版のBERT」自己教師あり事前学習のためのモデルBEiTを詳細解説！

★GitHubにAIプログラミング機能「Copilot」登場　関数名とコメントから中身を丸ごと自動補完

★スクエニと東大松尾研が連携　「AI×シミュレーション」の寄付講座を開設