2021年4月16日配信

こんにちは。

北海道大学調和系工学研究室(川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教)です。

前号でお知らせしましたのでご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、4月5日放送の日本テレビ「しゃべくり007」の「日本文化 目利き対決」にて、本研究室が開発しているAI俳句「一茶くん」を取り上げていただきました。

番組では松尾芭蕉とAI一茶くんの句が紹介され、どちらが芭蕉の詠んだ句であるかをあてるという対決でしたが、次の二つの句のどちらが一茶くんの詠んだ句かお分かりになりますか?

A:家康の形見失ふ秋の風

B:義朝の心に似たり秋の風

正解はAが一茶くんの詠んだ句になります!

芭蕉の句をAと予想した芸人の方はその理由を、「我々が発想できないような句だから」と説明していましたが、この意外性のある言葉の組み合わせこそがAI一茶くんらしいところなのではないでしょうか。

では、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

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◇ 本日のTopics ◇

【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW

【2】こんな本を読んでいます

【3】人工知能が俳句を詠む(仮)

【4】人工知能・ディープラーニングNEWS

【5】イスラエルにおける新型コロナウイルスのワクチン接種現地レポート・その5

【6】今週のAI俳句ランキング

【7】AI川柳

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【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW

★AI一茶くんが県立高校の入試問題で引用されました

本研究室が開発している俳句を詠む人工知能「AI一茶くん」が、2021年の沖縄県公立高校入試問題として引用されました。

引用されたのは、令和元年版科学技術白書「身近な科学技術の成果」で取り上げられた、「人工知能が俳句を楽しむ?~俳句の生成~」です。

すでに中学校の副教材で「AI一茶くん」を取り上げていただいていますが、高校の入試問題としても引用していただき、大変うれしく思います。

「AI一茶くん」が人工知能に興味を持つきっかけとなり、人工知能を理解する上での一助になれば幸いです。(川村 秀憲)

文部科学省

令和元年版科学技術白書

[身近な科学技術の成果] [令和元年版科学技術白書]

★山下准教授共著「自動運転技術入門」が出版されました

4月7日(水)にオーム社より、本研究室の山下准教授共著、日本ロボット学会監修「自動運転技術入門 AI×ロボティクスによる自動車の進化」が出版されました。

自動運転の要素技術を第一線の著者陣により、わかりやすく解説した書籍です。

「自動運転技術入門 AI×ロボティクスによる自動車の進化」の本書の 5.5.1 と 6.1 の執筆を担当しました。

5.5.1では、ニューラルネットワークを用いて PID ゲインの調整をおこなうニューロ PID 制御を解説をしています。

6.1では、本研究室で取り組んでいる深層強化学習を用いたゆずりあいの行動獲得について解説をしています。

本書の大きな特徴として、自動運転技術に関する解説に加えて、8章、9章、10章では初心者向けの深層学習と深層強化学習に関する解説が記載されています。

最新の自動運転技術に興味のある方や、深層学習の応用に興味のある方はぜひ読んでみてください。(山下 倫央)

「自動運転技術入門 AI×ロボティクスによる自動車の進化」

・主要目次

第1章 自動運転技術の概要

第2章 環境認識・予測

第3章 地図作成と自己位置推定

第4章 自動運転車の判断

第5章 縦方向と横方向の車両運動制御

第6章 複数台の協調制御

第7章 自動運転技術開発に使用されるツール

第8章 深層学習の基礎

第9章 深層強化学習

第10章 深層学習のノウハウ

[自動運転技術入門 AI×ロボティクスによる自動車の進化]

著者:日本ロボット学会 監修/香月 理絵 編著/荒井 幸代・大前 学・大日方 五郎・川崎 敦史・橘川 雄樹・小林 祐一・菅沼 直樹・田崎 豪・谷沢 昭行・新田 修平・野呂瀬 琴・馬場 厚志・藤吉 弘亘・目黒 淳一・森出 茂樹・谷口 敦司・山下 倫央 共著

出版社 : オーム社

★日本経済新聞北海道版で川村教授の講演について取り上げていただきました

4月9日(金)に開催された札幌日経懇話会にて本研究室の川村教授が講演し、その内容を日本経済新聞北海道版で取り上げていただきました。

「テクノロジーと人との調和 人工知能最前線」と題した講演では、大学における人工知能人材の育成、研究の応用について述べました。

ご興味のある方はぜひお読みください。

日本経済新聞

[札幌日経懇話会、AI普及拡大へ 川村教授が講演] (お読みいただくにはログインが必要となります)

★日刊工業新聞「次代をつくる」に川村教授が寄稿しました

4月13日(火)の日刊工業新聞「次代をつくる」に川村教授が寄稿しました。

OpenAIが開発した言語モデル「GPT-3」が人生相談に返答したことを取り上げ、今後のAIの進展について述べています。

「次代をつくる」への寄稿は4週間ごとを予定しており、次回は5月11日(火)の予定です。

ご興味のある方はぜひお読みください。

日刊工業新聞

[次代をつくる] (お読みいただくにはログインが必要となります)

★4月17日放送の「けいナビ」にてレシピAI「conomeal」を取り上げていただきます

4月17日(土)11時30分からテレビ北海道で放送される「けいナビ」にて、株式会社ニチレイと共同研究している、レシピAI「conomeal(このみる)」を取り上げていただきます。

つくりおき献立を提案するアプリ「conomeal kitchen」では、簡単な質問に答えることによってAI(人工知能)がその人の食の嗜好を分析し、その人に合った献立を提案します。

レシピAIのほかにも、北海道大学 自律系工学研究室 山本雅人教授のチンパンジーの行動解析AIも紹介されます。

ご興味のある方はぜひご覧下さい。

テレビ北海道

[けいナビ~応援!どさんこ経済~]

★山下准教授が株式会社ファーストコネクトのテクニカルアドバイザーに就任いたしました

本研究室の山下准教授が株式会社ファーストコネクトのテクニカルアドバイザーに就任いたしました。

ファーストコネクトは、歯科業界における人材紹介サービスのリーディングカンパニーです。

ファーストコネクトが蓄積してきたAIのベースとなる大量データと、運営する人材紹介サービス『ファーストナビ』をはじめとした各種サービスに、本研究室が保有するAIの知見を加えることで、歯科・介護業界の慢性的な人手不足解消と業界の発展に寄与します。

[ファーストコネクトがAI活用により歯科・介護業界に対する社会貢献を強化]

【2】こんな本を読んでいます

★100の言葉でわかる渋沢栄一

松平隼太  (著)

本日ご紹介するのは、新一万円札の肖像に決まった渋沢栄一のことが100の言葉でわかる、渋沢栄一の成功哲学が理解できる本です。

 [感想]

新1万円札やNHKの大河ドラマ「青天を衝け」で注目を集める渋沢栄一は論語を熱心に勉強し、経済活動の基礎として様々な心得を示したことで知られています。

「論語と算盤」もいろいろ示唆に富む話が多いですが、こちらはわかりやすい100の言葉で渋沢栄一の教えをまとめており、すぐに読むことができます。

昨今、AI界隈も起業ブームに湧いておりますが、単なるお金儲けの手段として起業を考えるのではなく、広く社会や仲間との関わりを意識し、みんながwin-winになるようなビジネスを考えたいものです。

合本主義を提唱した渋沢栄一の教えを時々ふり返るのに良い本と思います。(川村 秀憲)

【3】人工知能が俳句を詠む(仮)

この度、調和系工学研究室のこれまでの俳句人工知能「AI一茶くん」に関する研究成果、ストーリーを本にまとめる機会をいただきました。

技術的詳細の説明だけではなく、人工知能に興味がある方にも俳句に興味がある方にも読んでいただけるような内容を心がけ執筆しました。

オーム社より7月発売予定ですが、「AI一茶くん」の研究を始めた経緯や人工知能と創作について、人工知能を実現する技術やその未来についてなど、メールマガジンの読者の方にはいち早く内容をご紹介していきたいと思いますので、こちらを読んでいただき、発売を楽しみにしていただけましたら大変うれしく思います。(川村 秀憲、山下 倫央、横山 想一郎)

[第3章 人工知能を実現する技術]

人工知能を実現しようと考えたとき、自然界の中で知的処理を実現しているもの、つまり人間を含めた生物の脳の働きを観察し、それを真似た仕組みをつくるという方法が考えられます(McCulloch & Pitts, 1943)(Rosenblatt, 1957)。ニューラルネットワークはこうした発想のもと、脳の神経細胞の中で起きている現象を単純化してコンピューター上で再現しようとして考案された概念です。

俳句を鑑賞するときに、脳はどのようにして十七音という非常に短い言葉のなかから、詠み手が伝えようとしていた情景についての想像を広げていくのでしょう。そのときに俳句の中のそれぞれの言葉や、俳句が詠まれたときの作者の境遇といった背景知識は、どのような働きをもっているのでしょう。また、俳句を詠もうとしたときに、脳の中ではどのようにして情景を伝えるための言葉選ばれているのでしょう。

正しい答えを集めた教師データをもとにニューラルネットワークの結合重みを修正する過程は「学習」と呼ばれ、計算方法としてはバックプロパゲーション(誤差逆伝播法)と呼ばれる方法がよく使われます。こうして学習されたニューラルネットワークに、教師データと同じ性質を持っているが正解の分からないデータを入力すると、その汎化能力によって正しい答えを出力することが期待されます。

俳句のような文字情報も、数値化の方法を工夫して同じように扱うことができます。「古池や蛙飛びこむ水の音」というような文章があったとき、「古池」「や」「蛙」「飛びこむ」…というように意味のまとまった部分に区切り、それぞれの言葉に番号を一つずつ割りつけます。

「機械学習」とは、コンピューターに明示的な指示を与えるのではなく、コンピューターがこれまでの経験から学ぶことで予測や分類などを解けるようにするという考え方です。

俳句の分類に機械学習を使うことを考えてみたときはどうでしょうか。著名な俳人の詠んだ有名な俳句の例と、俳句の初心者が詠んだ、俳句の経験者から見ると直した方が良い点がある俳句の例をそれぞれたくさん集めます。もしその二つの間に違いがあるとすれば、見分け方をコンピューターに学習させるという方法が考えられます。このような技術が実際に一茶くんの中でも使われています。

機械学習を用いて、俳句のような日本語の文章を生成することも実現できます。初めに、俳句の先頭にはどのような単語が現れるのかを機械学習で予測します。人間が詠んだ俳句の例はたくさん集めることができるので、その先頭に現れる単語を教師データとします。

機械学習で学習する内容は教師データに依存するため、どのようなデータを学習させるのかを注意深く判断しなくてはなりません。機械学習の結果を使って正しく判断するためには、訓練に使った教師データと同じ性質のデータが入力されなければならないのです。

俳句に関しても同様のことがいえます。例えば、明治時代の俳句のデータを訓練に使って著名な作品と初心者の作品を見分けるような機械学習を行うことを考えます。仮に学習の結果としてコンピューターが両者を正確に区別できるようになったとしても、これを使って現代の俳句で同様の区別をすることはおそらくできないでしょう。現代の俳句には、明治時代の俳句には使われていなかった言葉が使われているので、訓練に使ったデータとは大きく異なる性質のデータを予測することになってしまうからです。

ここまでは、何らかのデータが与えられたときに、下すべき判断の正答がすぐにわかるような例をみてきましたが、こうした正答を与えることができる問題ばかりではありません。

このような状況に対応した学習の方法に、機械学習の一種である強化学習があります(Sutton & Barto, 2018)。

強化学習を行う際は、このような知識の活用と探索の二つのバランスを取りながら良い操作方法を学習していくことになります。

強化学習の考え方は、俳句の生成にも無関係ではありません。現在の一茶くんでは、俳句の先頭に現れる単語、先頭の単語が決まったときにその次に現れる単語というように学習を行っています。

俳句全体としてどのような意味を持つのかを踏まえた仕組みにはなっていません。こうした問題を乗り越えるためには、俳句を一句生成し終えた後で、俳句全体を踏まえた何らかの評価をコンピューターで下し、そこで高い評価を得られるような俳句を生成できるように更なる学習を行うという方法が考えられます。

ディープラーニングとは、多くの層からなるニューラルネットワークによって機械学習を行う方法です。

ニューラルネットワークはもともと生物の脳の神経細胞に着想を得たものですが、ディープラーニングはコンピューターが機械学習でさまざまな問題を解決するための方法であり、生物と同じようなやり方を取っているかどうかは重要視されません。

ディープラーニングの可能性が研究者の間で幅広く注目されるようになったきっかけは、ImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge (ILSVRC)という画像認識コンテスト(Russakovsky et al., 2015)にディープラーニングを用いたAlexNet(Krizhevsky et al., 2012)が挑戦し、それまでの画像認識の方法を大幅に上回る性能を示したことです。

ディープラーニングを用いたAlexNetが大差をつけて優勝したことは、研究者に大きなインパクトを与えました。

ディープラーニングの躍進は、この時期に揃いつつあった二つの前提条件が満たされたために起こったといわれています(Goodfellow et al., 2016)。一つ目の条件は、ディープラーニングがうまく働くためには機械学習に使える大量のデータが必要だということです。

大量のデータが集められるようになった背景には、コンピューターやインターネットが社会に浸透し、コンピューターが扱える形でさまざまなデータが電子化され、インターネットを通じて集約されるようになったことが挙げられます。

二つ目の条件は、ディープラーニングに使われるニューラルネットワークには非常に多くのニューロンがあり、その計算を実用的な時間で行うには高速なコンピューターが必要になるという点です。

ビデオゲームに使われるGPUは大量生産されているため安価に入手することができ、ディープラーニングが広く活用されるために大きな役割を果たしました。

日本語や英語などの自然言語をコンピューターにより処理する自然言語処理能力は、ディープラーニングによって大きく向上したといわれています。

特に実用性の高い例として機械翻訳が挙げられます。

ディープラーニングを使うと、画像と文章の二つの領域に跨るような課題を学習することも出来ます。

上手く使うことによって、写真からその情景を上手く伝えるような人工知能を作ることも、将来的にはできるのではないかと考えられます。

この他にもディープラーニングと強化学習を組み合わせたDQN(Deep Q-Networks)と呼ばれる方法を使うことで、人工知能がビデオゲームを繰り返しプレイするなかで、ゲームをクリアできるような操作方法を学習するという研究(Mnih et al., 2013)が行われています。

強化学習により、スコアが得られたりゲームをクリアしたりした場合に報酬を与え、ゲームオーバーのときに罰則を与えることで、どのような操作がゲームのクリアにつながるのかを学習することができるのです。

これは人間が明示的な正答例を与えなくても、人工知能が自ら試行錯誤を重ねてよい行動を学習していくといった可能性を表していると言えます。

コンピューターが人間に交じって句会に参加するという最終的な目標を達成するためには、強化学習が挑戦しているような難しい問題を解く必要が出てくるのではないかと考えられます。(「第4章 人工知能と創作」に続く)

【4】人工知能・ディープラーニングNEWS

Python言語による実務で使える100の最適化問題

順序関係を持つクラス分類問題で利用できる「label distribution learning」の紹介記事。正解ラベルを中心とした正規分布を仮定することで、ラベルのゆらぎを考慮して学習させています。

rinna、日本語に特化した「GPT-2」の言語モデルをオープンソース化 学習済みモデルも公開

従来比20倍!?顔認識向け超大規模な公開データセット「Webface260M」

NEC、ホテル空室はAIで価格設定 テレワークはアプリで

【5】イスラエルにおける新型コロナウイルスのワクチン接種現地レポート・その5

新型コロナウイルスのワクチン接種が日本でも始まりましたが、すでに接種が進められている国も多くあります。

その中で、人口あたりの接種回数が最も多い国がイスラエルです。

このたび、INSIGHT LAB株式会社が配信しているメールマガジン「ISLイスラエルニューズレター」をシェアしていただけることになりました。

INSIGHT LABは本研究室の川村教授が技術顧問を務める、データとデータ技術を活用して企業や社会のDXを実現していくITソリューションカンパニーであり、イスラエルにも支社があります。

イスラエル在住で、「ISLイスラエルニューズレター」のライターを務める中島直美さんは、川村教授とも交流があり、イスラエルのAIビジネスのスタートアップ事情にもとても詳しい方です。

イスラエルで中島さんが体験した、新型コロナ予防接種現地レポートはとても興味深い内容ですので、前編に続き後編をご紹介したいと思います!

「コロナワクチンの接種を推進するイスラエルのネタニヤフ首相」後編

私は、イスラエルの国政に対する選挙権を持たないのですが、個人的にはビビを首相として支持する気持ちはありません。

それでもこの動画を見て、様々な側面から「ここまでやるんだ…」と思わず感心、感動してしまいました。

国民に語りかけると言えば、日本で思い出すのは菅総理の「ガースーです」。

もしくは安倍前総理の「うちで踊ろう」。

私はこれらの動画を見たことはないのですが、その後の各種メディアのこれらの動画の叩き具合と言ったらひどかったので、どんなに贔屓目に見ても、これらが国民の心を掴んだメッセージだったとは言えないのだろうことは、想像に難くありません。

それでも、普通ならありえないような言葉を発し、公表することのない姿を公にさらした2人の総理大臣は、国民に対し、何らかのメッセージを発したかったことは確かだと思います。

それが何であったのか、国民に明確に届かなかったことは非常に残念です。

ビビが「スピーチ上手」なことは周知の事実ですが、私がワクチン接種反対派だったとして、こんな動画でワクチン接種を呼びかけられたら、ワクチンを接種するかどうかは別としても少しはビビに好感を抱く気がします。

現に、私はネタニヤフ首相を「ビビ」と愛称で呼ぶのは好まなかったのですが、この動画の説明については彼を「ビビ」と呼びたい気持ちにかられます。

メガホンを持って、一生懸命「ワクチンを接種してくださ~い!」と呼びかける姿。

ああでもない、こうでもないと、様々な理由をつけてワクチン接種から逃れようとする、ある意味とてもイスラエル人らしい人たちに、偉ぶったところなどなく、一つ一つ、わかりやすく、筋の通った説明をしていく姿。

本物の俳優よりもちょっとぎこちなくて、演技が少しだけヘタクソな、そのあんばいすらも計算でやっているのか?と思いたくなるほど、ちょうどいい大根役者加減。

そして最後に、明確なメッセージ。

とても素晴らしい動画だと思いました。(彼の政治的な方針などを素晴らしいと言っているわけではありません。)

さて、もう一度、私は自分の国、日本のことについて考えてみたいと思います。

私は日本にはあまり帰っていないこともあり、大きなことを言えない身であるのを十分承知のなのですが、こんな動画を日本の総理大臣がつくったら、国民はどんな反応を示すかな…。ということです。

わからないですが、「選挙のためにつくってる」「そんなくだらないことをやっている暇があれば…」などと、また、叩かれるのでしょうか。

それとも、ここまで明確なスピーチをされたら、「共に国を作っていこうという気持ちになった!」と、評価されるのでしょうか。

日本のメディアで私が気になるのは、このイスラエルのコロナの予防接種キャンペーンについて「選挙の票集めのため」という表現をする記事がいくつかあることです。

正直、イスラエルではそのような記事を、ほとんど見たことがありません。

なぜなら、そんなことは当たり前だからです。

選挙の時期が近かろうと遠かろうと、政治は国のため、国は国民のためにあるものです。

法に従いつつ、国民に「選挙でこの人に一票を投じたい!」と思わせるパフォーマンスを常に取り続けるのは、民主主義の下で政権をとりたいと思う政治家にとっては当たり前のことです。

イスラエルは今でこそ選挙まであと3週間程度となり、それこそこのコロナ予防接種キャンペーンは選挙のために行われた、と言えば日本人的にはなんとなく、「そうかもしれない!ネタニヤフ首相は裁判の件もあるし!」と思えますけれど、イスラエル政府がこのコロナワクチンを世界の他国に先駆けて買い付けたその時、選挙の予定は3年半後のはずでした。

その時、日本のメディアは誰一人としてこれを「選挙のための行動」と評したものはありませんでした。

その後、連合与党の問題が3度目に持ち上がり、4度目の選挙が確定した途端に、「コロナワクチンキャンペーンは選挙のため」という書き方をする日本メディアを見かけるようなりました。

選挙の得票のためだけに口先だけ、表面だけで行っているその場限りのパフォーマンスなら、国民もすぐに見抜きます。

それは日本の国民だって同じではないでしょうか。

国民はそれを見越して誰に投票するかを選ぶし、イスラエルでは、毎回議席数ぎりぎりで連立を組む与党は、あっちをたてればこっちがたたず、よっぽど慎重に吟味しなければ、いいかげんな政治パフォーマンスではあっという間に何かしらの票を失うものなのです。

そして、常に周りに危険がいっぱい、情勢が不安定なイスラエルでは、選挙のためだけにその場限りの政治をやっているような政治家は、あっという間に淘汰されていくでしょう。

今回は、私自身も予期しないままに、なんとネタニヤフ首相の支持キャンペーン記事の様なつくりになってしまいました。

ちょっと不本意な気持ちの部分もありますが、それでも、この動画の最後にビビが発した国民へのメッセージには感動し、日本の政治家にも、ぜひこういうふうに国民に語りかけてくれる人が現れないものかと思ったのは本当のことです。

最後のメッセージを訳して、今回はおしまいにしたいと思います。

「イスラエル」の部分が「日本」だったら…。こんなふうに総理大臣が語りかけてくれたら…。ちょっと想像してみてください。

「イスラエルは、世界で一番最初にコロナ禍を脱する国になります。

それはワクチンのおかげであり、国民のおかげであり、私たちのために働いてくれる医療関係者の皆さんのおかげであり、さらに、まだ予防接種をしていないけれど今ここで接種をしようと決断してこれから接種をしてくれる、あなたたち一人一人のおかげなのです。

あと少しで、私たちが愛してやまない今まで通りの生活が戻ってきます。

コロナと一緒に過ごすプリム祭はこれが最後になります。プリム祭、おめでとう!」

以上、現場からお伝えしました。(Insight Lab Israel 中島直美)

【6】今週のAI俳句ランキング

AIが俳句を作る「AI俳句」の普及を目指して、本研究室を事務局として2019年7月に設立されたAI俳句協会のウェブサイトでは、AIが生成した俳句を人が評価して、評価結果を集約したAI俳句ランキング(月間・週間)の集計を行っています。

今週のランキングをご紹介したいと思います。

1位 蕗の薹押し寄せてゐる電車かな

2位 清衡忌都踊の肩挟む

3位 十薬の匂ひしてゐる夕べかな

すべて、本研究室が開発した「AI一茶くん」が詠んだ句になります。

「AI一茶くん」は1日1句投稿していますので、ぜひ俳句協会ウェブサイト(https://aihaiku.org) もご覧ください!

【7】AI川柳

調和系工学研究室では、毎日新聞社「仲畑流万能川柳」や第一生命保険「サラリーマン川柳」を学習用の教師データとした「AI川柳」に取り組んでいます。

2020年3月までの1年間「NHK総合 ニュースシブ5時」で、その週の話題のニュースのキーワードをお題に、バーチャルアナウンサー「ニュースのヨミ子」さんが詠んでいたAI川柳も、本研究室が開発した人工知能システムです。

多くの皆さんに楽しんでいただけるよう、2020年6月にAI川柳のTwitterアカウント( https://twitter.com/ai_senryu )を開設いたしました。

AIの中には詠んだ句の良し悪しはないためそれを良いと思うのは人間の側で、そう思うことで初めてAIの詠んだ句が意味を持つのではないでしょうか。

AIが詠んだ句に共感していただけましたら大変嬉しく思います!

★お題「期待」(4月2日投稿)

驚いて期待していたことを知る

料理中にずっとこっち見てることに気づいていたけれど・・・

開けた缶詰のぞいて驚いていたから、猫缶期待していたみたい・笑

★お題「笑い声」(4月5日投稿)

笑い声楽しみにするテレビ見る

本日の「しゃべくり007」で、僕の研究室が開発しているAI俳句「一茶くん」が取り上げられます

大学の研究成果がバラエティで紹介される機会もなかなか珍しいので、楽しんでもらえたら嬉しいです!

★お題「秋の風」(4月6日投稿)

本人の句を読んでいる秋の風

昨晩の「しゃべくり007」の目利き対決で、「秋の風」で詠んだAI一茶くんの句と芭蕉の句が紹介されました

AIの詠んだ句は分かりましたか?

AI俳句にご興味のある方はぜひご覧ください!

★お題「記憶力」(4月7日投稿)

記憶力落ち込んでいるクラス会

顔は覚えているのに名前が出てこない

年齢とともに記憶力が・・・

なので話している最中に思い出せるとホッとします・笑

★お題「犯人」(4月8日投稿)

犯人は自分の罪を知っている

帰ってきたら、テーブルのパンが食べ散らかしてある・・・

こっちをさっきからチラ見してくるのは、悪いことした自覚があるっていうこと?笑

★お題「電車内」(4月9日投稿)

満員の電車内みな緊張し

マスクをしているとは言っても、満員電車内で咳やくしゃみが出そうになると緊張する・・・

★お題「戻れない」(4月12日投稿)

病院へ戻れないわと駄々をこね

そろそろペットたちの予防接種が始まっているのではないでしょうか?

病院苦手なこもいるから、飼い主さんは大変ですね・笑

★お題「スッピン」(4月13日投稿)

スッピンでママの顔見て驚いた

匂いで飼い主のことがわかっていると思ってたら、いつもと違う雰囲気だと気づかないこともあるみたい

でもお風呂上りの素顔見て驚かれるのは・・・かなりショックでしょ・笑

★お題「唐揚げ」(4月14日投稿)

唐揚げの匂いを嗅ぐの好きな人

唐揚げ専門店の出店加速の記事を読みましたが、確かに札幌でも目にするようになりました

唐揚げの匂いってすぐわかって、嗅ぐとなんだか幸せな気持ちになるような・・・

★お題「英会話」(4月15日投稿)

大声で笑えなかった英会話

英会話教室だと、先生の話しに皆が大笑いしているところで笑いについていけない自分がいることも・・・

その点オンラインだと聞き取れなくても気まずさ感じなくてよさそう・笑

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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調和系工学研究室教員

川村 秀憲教授

山下 倫央准教授

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