2020年7月10日配信

こんにちは。

北海道大学調和系工学研究室(川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教)です。

今年も残すところ半年となりましたが、皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか。

今年の4月に、本研究室が開発しているAI俳句と人が詠んだ俳句との対決番組が放送されましたが、この度、AI俳句をテレビ番組でまた取り上げていただくことになりました。

昨日、本大学での撮影が終わり、この後にスタジオでの収録も控えています。

詳細が決まりましたら、改めてお知らせいたしますのでお楽しみに!

では、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

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◇ 本日のTopics ◇

【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW

【2】こんな本を読んでいます

【3】AI川柳

【4】ディープラーニング勉強会

【5】人工知能・ディープラーニングNEWS

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【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW

★日本経済新聞でAWLのAIを活用した「断密」システムについて取り上げていただきました

6月26日(金)の日本経済新聞で、AWL株式会社のAIを活用した検温システムや朝食会場の混み具合を表示する「断密」システムついて取り上げていただきました。

AWLは本研究室の川村教授がCo-founder、研究室OB(2001年度修士課程修了)の土田 安紘氏がCTOを務める、北大発認定ベンチャー企業です。

「新北海道スタイル」として新型コロナウイルス感染拡大を防ぐ「三密」対策が強く求められる中、万世閣、トーホウリゾートや鶴雅リゾート等が導入を決めており、コロナが治まった後も出退勤管理などに応用できると評価されています。

日本経済新聞

[北のリゾートに「断密」システム、鶴雅もトーホウも](お読みいただくにはログインが必要となります)

[AWL株式会社]

★7月2日放送の「5時ナビ TVh道新ニュース」で介護AIについて取り上げていただきました

7月2日(木)17時からテレビ北海道で放送の「5時ナビ TVh道新ニュース」で、株式会社サンクレエと本研究室が共同で進めている介護AIについて取り上げていただきました。

サンクレエは本研究室の川村教授が顧問、横山助教がテクニカルアドバイザーを務める、販売管理システムの提供などを展開するIT企業で、本研究室と連携してさまざまな分野でAI技術の研究・開発を進めています。

内容は、カメラ画像から介護施設入所者のベッド起き上がり行動の検知や、介護記録の自動作成に関する研究についてです。

[5時ナビ TVh道新ニュース]

★日刊工業新聞でTILが開発したRECORiSについて取り上げていただきました

7月2日(木)の日刊工業新聞で、ティ・アイ・エル株式会社が開発したAIによる音声言語認識技術を使ったソリューション「RECORiS(レコリス)」の市場投入について取り上げていただきました。

TILは本研究室の川村教授がCo-founder、博士3年に在籍する永田 紘也さんがCTOを務める、北大発認定ベンチャー企業です。

「RECORiS」は、生活者と事業者が直接対面するサービス現場で発生する可能性のあるさまざまなトラブルに、音声認識技術を活用し、生活者と事業者双方の安心と安全を提供するサービスです。

これまで1年をかけて企業導入に向けたテストや調査を進めてきました。

密室での客対応を見える化することで、サービス向上だけでなく、導入する企業が自分をも守ることにつながると考えます。

応援をどうぞよろしくお願いいたします。

日刊工業新聞

[接客対応をAIがテキストに。サービス向上でトラブル防止へ]

[ティ・アイ・エル株式会社]

★AWLがAI体温検知ソリューションの提供を開始します

AWL株式会社がAIを活用した顔認証機能を内蔵し、高精度・立ち止まり不要で複数人の体温を同時に測定できる体温検知ソリューションの提供を開始します。

AWLは本研究室の川村教授がCo-founder、研究室OB(2001年度修士課程修了)の土田 安紘氏がCTOを務める、北大発認定ベンチャー企業です。

顔認証を内蔵した体温検知ソリューションは、±0.1度の誤差(ラボ環境下)と非常に高精度な検温が可能なことに加え、4メートル程度の距離から複数人が歩いてくる状況でも瞬時に検温が完了するため、立ち止まりによる行列の発生を防ぐことができます。

さらにマスクをした状態でも正確な検温が可能で、マスク未着用の場合はアラートを出し、着用を促します。

すでにホテル・旅館などの宿泊・観光関連事業者を中心に多数の納入実績があり、従業員が対象者に接近し、一人ひとりの体温を測定する従来のハンディタイプのサーマルカメラと比較し、作業を大幅に抑制するとともに、従業員の感染リスクを最小化することができます。

お問合せ先:https://awl.co.jp/services/services-contact/

[立ち止まり不要で複数人を同時測定「AI体温検知ソリューション」]


[AWL株式会社]

★日本経済新聞でTILが開発した「カスハラ」対策システムについて取り上げていただきました

7月7日(火)の日本経済新聞で、ティ・アイ・エル株式会社が開発した、音声をその場で文章に変換してチェックするシステム「RECORiS」について取り上げていただきました。

TILは本研究室の川村教授がCo-founder、博士3年に在籍する永田 紘也さんがCTOを務める、北大発認定ベンチャー企業です。

不動産の内覧や介護などの現場で使ってもらい、サービス現場で発生する可能性のあるさまざまなトラブルを防ぐだけでなく、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ビデオ会議の要約を作成する機能も追加で提供します。

日本経済新聞

[北大発スタートアップが「カスハラ」対策システム] (お読みいただくにはログインが必要となります)

[ティ・アイ・エル株式会社]

【2】こんな本を読んでいます

★テクノロジー・スタートアップが未来を創る

鎌田富久  (著)

本日ご紹介するのは、自らも東京大学在学中にソフトウェアのベンチャー企業ACCESS社を共同創業し、現在はエンジェル投資家でもある著者が豊富な経験から指南する大学発ベンチャーのススメです。

[感想]

東京大学の人気講座・アントレプレナー道場の鎌田富久さんによる大学発ベンチャーの指南書。

SCHAFT、WHILLなど東大発ベンチャーの事例が豊富に紹介されています。

シリコンバレーとスタンフォード大学の関係のように、日本でも大学での研究成果を事業化しイノベーションを生み出していくことが望まれて久しいですが、あまりうまくエコシステムが形成されていません。

それは、日本の大学のシステムの問題とともに研究者のマインドにも大きな原因があり、両方を改善していかなければ育っていきません。

日本はすでに人口はピークアウトし、市場もシュリンクしていく宿命にあります。

その中で、日本が豊かさを保っていくためには世界に向けてイノベーティブな産業を輸出していくしか道はありません。

そのためには、先端の研究を進める大学の力をもっと活用していく必要があると思います。

本書では、研究者がスタートアップを立ち上げるための心構えやコツが書かれています。

我々研究者には手厳しいことも書かれていますが、大きな使命感と覚悟を持って踏み出さなければスタートアップは成功しません。いよいよ大学研究者も象牙の塔に引きこもっていればいい時代は終わりました。

ぜひ、本書を参考に大学の知恵をうまく使ってたくさんの新規事業が生まれてくると良いなと思います。(川村 秀憲)

【3】AI川柳

調和系工学研究室では、毎日新聞社「仲畑流万能川柳」や第一生命保険「サラリーマン川柳」を学習用の教師データとした「AI川柳」に取り組んでいます。

2020年3月までの1年間「NHK総合 ニュースシブ5時」で、その週の話題のニュースのキーワードをお題にバーチャルアナウンサー「ニュースのヨミ子」さんが詠んでいたAI川柳も、本研究室が開発した人工知能システムです。

多くの皆さんに楽しんでいただけるよう、2020年6月にAI川柳のTwitterアカウント( @ai_senryu )を開設いたしました。

AIの中には詠んだ句の良し悪しはないためそれを良いと思うのは人間の側で、そう思うことで初めてAIの詠んだ句が意味を持つのではないでしょうか。

AIが詠んだ句に共感していただけましたら大変嬉しく思います!

★お題「金曜日」(6月26日投稿)

金曜日 3割引いて 誘われる

プレミアムフライデーが始まった頃は色々なお店でお得なサービス宣伝していたけど、まだやっているのかな?

★お題「将棋」(6月29日投稿)

忘れてた 結果褒ほめられ 将棋見る

藤井七段がタイトル奪取に王手をかけましたが、ネットニュースで称賛されていて慌てて見ました・・・

★お題「半分」(6月30日投稿)

人生に 今年半分 惜しみ合う

今日で今年の半分が終わりますが、大学も卒業式・入学式と中止になって、学生たちも残念だったろうな・・・

★お題「エコバッグ」(7月1日投稿)

エコバッグ 買って弱気に 出してみる

いよいよレジ袋有料化開始されましたが、最近では男性でもエコバック持つ人が増えたけど、慣れるまでスーパーで出すのにちょっと抵抗があったような・・・

★お題「梅雨」(7月2日投稿)

梅雨に今 当たってますと 思う犬

楽しみなはずの散歩も、雨だとテンション下がりますよね

犬も梅雨早く明けてとか思ってるのだろうか・・・

★お題「コンビニ」(7月3日投稿)

コンビニが 救った祖母を もって知る

最近、振り込み詐欺をコンビニ店員さんが気づいて未然に防げたニュースをよく目にします

人間関係が希薄化しているなんて言われるけど、そんなこともないなってなんだか嬉しいです

★お題「パン屋」(7月6日投稿)

買えそうな 人は祈ると 言うパン屋

一時のブームは落ち着いたような気もしますが、高級食パンみんな並んでましたね

自分の直前で売り切れないかドキドキする気持ちわかるな・笑

★お題「願い事」(7月7日投稿)

願い事 しつつ一つと 言われても

今日は七夕ですね

短冊に願い事を書くこともなくなったけど、もし今書くなら一つじゃ足りないかも・・・

★お題「ウニ」(7月8日投稿)

後ろから 電話でウニと 答えられ

北海道は今がウニのシーズンです

父親から北海道出張のお土産だけど何がいい?なんて電話があったら、聞こえるように「ウニ!」って言いたくなるかも・笑

★お題「密室」(7月9日投稿)

密室で つくるサインで 救われる

カスハラ問題に対応できるよう、AIによる音声認識技術を活用したソリューションの開発をしています

密室でのサービス現場を見える化するって、生活者も事業者も守ることになるんです!

【4】ディープラーニング勉強会

調和系工学研究室ではディープラーニングの最新の知識共有を目指し、毎週ゼミを実施しています。

担当学生がトップカンファレンスから自分の興味のある論文について発表し、意見交換をしながら進めています。

本研究室HP( http://harmo-lab.jp/?page_id=1194 )には過去の発表に使用したスライドも公開していますので、ご興味のある方はぜひそちらもご覧ください。

[紹介論文その1]

Spectral Metric for Dataset Complexity Assessment

公開URL:https://openaccess.thecvf.com/content_CVPR_2019/papers/Branchaud-Charron_Spectral_Metric_for_Dataset_Complexity_Assessment_CVPR_2019_paper.pdf

論文紹介スライドURL:https://www.slideshare.net/harmonylab/spectral-metric-for-dataset-complexity-assessment

出典:Frederic Branchaud-Charron, Andrew Achkar, Pierre-Marc Jodoin : Spectral Metric for Dataset Complexity Assessment, The IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR), Long beach, California, pp. 3215-3224 (2019)

概要 : データセットの複雑度を推定するCumulative Spectral Gradient(CSG)を提案しています。クラス間の類似度行列を計算し、求められる固有値の勾配を利用した複雑度の新たな指標であるCSGを用いることで、データセットの理解や訓練コストの削減が行なえます。(博士2年 平間 友大)

[紹介論文その2]

Noise or signal the role of image backgrounds in object recognition

公開URL:https://arxiv.org/abs/2006.09994

論文紹介スライドURL:https://www.slideshare.net/harmonylab/noise-or-signal-the-role-of-image-backgrounds-in-object-recognition

出典:Kai Xiao, Logan Engstrom, Andrew Ilyas, and Aleksander Madry: Noise or Signal: The Role of Image Backgrounds in Object Recognition

概要 : 物体認識モデルは訓練データのロスを最小化するように学習を行っており、画像とラベルの一般的な相関を利用することで精度が上昇します。背景は相関を示す自然なソースであり、過去の研究でも背景を用いて物体認識を行っている可能性が示唆されています。この研究では、背景をどのように利用しているか理解を深めることを目的としており、背景と前景の影響を調べるデータセットを作成しました。結果として、背景が精度に大きな影響を与えているものの、より正確なモデルは背景にロバストになることが分かりました。(博士1年 神戸 瑞樹)

[紹介論文その3]

Variational Template Machine for Data-to-Text Generation

公開URL:https://openreview.net/forum?id=HkejNgBtPB

論文紹介スライドURL:https://www.slideshare.net/harmonylab/variational-template-machine-for-datatotext-generation

出典:Rong Ye, Wenxian Shi, Hao Zhou, Zhongyu Wei, Lei Li : Variational Template Machine for Data-to-Text Generation, 8th International Conference on Learning Representations(ICLR2020), Addis Ababa, Ethiopia (2020)

概要 : Table形式の構造化データから文章を生成するタスク(Data-to-Text)において、Variational Auto Encoder(VAE)ベースの手法Variational Template Machine(VTM)を提案する論文です。Encoder-Decoderモデルを用いた既存のアプローチでは、生成文の多様性に欠けるという課題があります。本論文では多様な文章を生成するためにはテンプレートが重要であるという主張に基づき、テンプレートを学習可能なVAEベースの手法を提案します。提案手法では潜在変数の空間をテンプレート空間とコンテンツ空間に明示的に分離することによって、正確で多様な文生成が可能となります。また、table-textのペアデータだけではなくtableデータのないraw textデータを利用した半教師あり学習を行います。(博士1年 吉田 拓海)

[紹介論文その4]

Dynamic Measurement Scheduling for Event Forecasting Using Deep RL

公開URL:https://arxiv.org/abs/1901.09699

論文紹介スライドURL:https://www.slideshare.net/harmonylab/dynamic-measurement-scheduling-for-event-forecasting-using-deep-rl

出典:Chun-Hao Chang, Mingjie Mai, Anna Goldenberg: Dynamic Measurement Scheduling for Event Forecasting Using Deep RL, Proceedings of the 36th International Conference on Machine Learning (ICML2019), Long Beach, California, USA, (2019)

概要 : 患者の測定は、測定に必要なコストや意味のある測定を行うための頻度を考えてスケジューリングする必要があります。本論文では深層強化学習によって測定スケジューリングを学習する方法を提案しています。ICUの死亡予測タスク(MIMIC3)を用いたテストでは、医師の測定結果と比べて測定数の総数を31%削減し予想利得を3倍向上することに成功しました。(修士1年 大江 弘峻)

【5】人工知能・ディープラーニングNEWS

マリオはこんな顔だった!?モザイクを取り去り、リアルな顔を生成するAI技術が登場(米研究)

オンライン授業の集中度をAIで測定 生徒の視線や表情を解析 リモート指導を効率化

AIがTwitter上の災害情報をリアルタイムで収集、地図上で可視化 NECが提供 有事の状況判断を支援

「差別を植え付けるデータ」MITが大規模データセットを削除 -問われるデータの公平性

画像を半分入れたら残りを自動生成 OpenAI、文章自動生成モデルの画像版「Image GPT」開発

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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