[北海道大学調和系工学研究室メールマガジン] harmolab023

2020年6月26日配信

こんにちは。

北海道大学調和系工学研究室(川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教)です。

梅雨らしくすっきりしない空模様が続いていますが、皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか。

調和系工学研究室では、AIによる俳句作り「AI一茶くん」の開発を行っていますが、俳句よりもより親和性が高い「AI川柳」にも取り組んでいます。

そこで、多くの皆さんにAI川柳を楽しんでいただけるよう、AI川柳のTwitterアカウントを開設いたしました。

呟いたAI川柳は本メールマガジンでもご紹介しますが、ご興味のある方はぜひTwitter @ai_senryuもご覧ください!

では、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

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◇ 本日のTopics ◇

【1】新北海道スタイル「アフターコロナ/ウィズコロナ時代に向けて」[後編]

【2】AI川柳

【3】調和系工学研究室WHAT’S NEW

【4】こんな本を読んでいます

【5】ディープラーニング勉強会

【6】人工知能・ディープラーニングNEWS

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【1】新北海道スタイル「アフターコロナ/ウィズコロナ時代に向けて」[後編]

5月26日(火)に「新北海道スタイル」キックオフミーティングがオンライン開催されました。

「新北海道スタイル」は、道民と道内事業者が知恵を出し合って、取組の可視化や道民と事業者の連携、感染リスクの低減を図りながら、事業継続やビジネスチャンスの拡大につなげ、コロナと共存する新たなステージの北海道を目指すものです。

この取組を道民運動として輪を広げていくため、市町村、経済団体の代表者と知事によるキックオフミーティングが開催され、本研究室の川村教授が「アフターコロナ/ウィズコロナ時代に向けて」と題して取り組みの事例を紹介しました。

アフターコロナを見据えて、私たちが何を考えていかなければならないか。

また、本研究室発ベンチャー企業が開発しているソリューションを例に挙げながら、AIを活用してウィズコロナ時代に向けてどのようなことができるのか、前編に続き後編をご紹介したいと思います!

[アフターコロナ/ウィズコロナ時代に向けて] [後編]

そして、アフターコロナを見据えて今回の様々な状況を考えて、我々が何を考えていかなくてはならないかというと、私は世の中のリソースと需給のコントロールを、このコロナ禍を契機として考えていく必要があるのではないかと思っています。

恐らくこの先、小売りでもそうですが、3密を避けるためたくさんの人が来る時間を作らないということが必要ですし、曜日によって人がたくさん来たり来なかったりという状況を作らないということが、3密防止にもなります。

ピークを下げるということは、それを支える事業者の方の負担も下がりますし、リソースの利用効率も良くなるので、AIを使って混雑をどのように皆で共有をしていくのかということやシェアリング、さらには、なかなか日本では受入れられませんが、ダイナミックプライシングなども、もっともっと積極的に導入していくべきだと思っています。

例えば、マスクの問題もご存知のように台湾では買える人をきちんと最初にコントロールして、供給機会を平等に均等にコントロールすることによって、マスク不足をいち早くITの力で抑えていました。

一方、日本では、価格を変えるということがよく理解されておらず、転売業者が高い値段でマスクを売るということが市場外で発生しています。

例えば、共働きでなかなか朝並ぶことができないような人たちは、マスクを買うことができないため、実際にできるかどうかは別ですが、ある程度高くても安心なマスクが買えるという状況があれば、価格が高いけれども買う機会が得られます。

このようなことをやってくと、いろいろな意味で事業者の負担も減り、少子高齢化で働き手が減ってく中でも存続でき、生産労働性も高くなり、効率的に資源が使えることになります。

同じようなことが観光や宿泊でもできるのではないかと思っているので、コロナの状況が終わっても、特に北海道は観光や宿泊、飲食などが重要なので、働き手の数が少なくなっても事業を安定的に提供できるように、フラットな需要を上手に作っていくことを頭の片隅に置きながら対策を考えていくと良いと思っています。

最後に、我々がやっていることをご紹介したいと思います。

北大発認定ベンチャー企業の調和技研で、ライブカメラから混雑状況を予測するシステムを作っています。

これはAIで画像認識をして、人をカウントするシステムです。

例えば、人をカウントすることによって緊急事態宣言の効果や、情報のブロードキャストの仕方によって、どのくらい人がコントロールできるのかということを情報収集しながら、情報発信の力をコントロールしていく必要があると思います。

そして市中感染に関しても、実際に人がたくさん街中を歩いたときに、本当に市中感染が増えるかどうかということはまだよくわからない部分もあるので、街角のリアルなデータをウォッチしながら、実際に増えた日、減った日と、その時に人がたくさん出たということの相関を明らかにしていくことが必要です。

もしかしたら、マスクと手洗いと人が近づかない3密を避けることをやると、意外と歩いている人と市中感染の数に相関がないということがわかれば、人を増やしながら、大事なところに感染力を下げるために注力していくというようなコントロールができやすいと思っています。

次も北大発認定ベンチャー企業になり、我々がやっているAWLというところで開発しているソリューションになります。

お店の状況など、人がたくさん集まるような状況でAIを活用して、どのようなことができるかなと考えています。

サツドラさんに協力してもらって実証実験を実施しているのですが、例えば店内の混雑状況を常に計測して、リアルタイムで今店内が混でいるのか、空いているのかなどといった情報を出していきます。

このようなことができると、AIを使って、いろいろなところで人がたくさん集まる状態を避けられるようなことが、割とコストかけずにできるのではと思います。

今、我々が作っているソリューションでは、マスクをしているのかどうかという検知を画像認識でして、マスク未使用の場合は「マスクしてください」というアラートを出すようなこともやっています。

人が「マスクをしてください」と言うと、問題が起こる場合もあるということも聞いていますが、AIが自動的に検知して「マスクしてください」と言うのであれば、店員さんも神経をすり減らさなくていいと思います。

そして発熱検知や、ポンプで消毒をしたかどうかということをきちんと画像認識するということ、また、人と人との距離を測って店内が密になっているのか、距離が足りているのかということを、データ分析するようなこともできるようになっています。

今後、コロナも含めていろいろと考えていかなければならないことや、できることがあります。

このような状況なのでピンチをチャンスにというような言い方は不謹慎かもしれませんが、このコロナの状況を一つの契機として、その後にも効いてくるようなことというのを、皆で考えて対策していければいいかなと思います。

ぜひみんなで頑張っていきましょう!(川村 秀憲)

【2】AI川柳

調和系工学研究室では、毎日新聞社「仲畑流万能川柳」や第一生命保険「サラリーマン川柳」を学習用の教師データとした「AI川柳」に取り組んでいます。

2020年3月までの1年間「NHK総合 ニュース シブ5時」で、その週の話題のニュースのキーワードをお題にバーチャルアナウンサー「ニュースのヨミ子」さんが詠んでいたAI川柳も、本研究室が開発した人工知能システムです。

AIの中には詠んだ句の良し悪しはないためそれを良いと思うのは人間の側で、そう思うことで初めてAIの詠んだ句が意味を持つのではないでしょうか。

AIが詠んだ句に共感していただけましたら大変嬉しく思います!

★お題「初投句」

分かってる 訳じゃないです 初投句

AI自身が意味を理解していなくても、たくさん作った中からいいものを選んでくるのも、人間だからこその創作行為です!

★お題「帰宅」

帰宅せず 北窓開き リラを見る

19日から都道府県をまたぐ移動自粛要請が全面的に解除されたので、単身赴任中の一時帰宅をずっと自粛していた方たちも、ぜひゆっくり家族とお過ごしください!

★お題「父の日」

父の日に 思えば父が いい息子

子供の時は深く考えていなかったけれど、自分にとっての父親は祖父からみたら息子なわけで、大人になると、父親はいい息子だったんだなとしみじみ思ってみたり・・・

★お題「マスク」

マスクして 夫に慣れて くれた猫

今まで夫のことが苦手だった飼い猫が、マスク姿がデフォルトになった夫を誤認識してフレンドリーに接するようになる・・・こんなところにもマスク効果が!

ここでご紹介する川柳はTwitter「調和系工学研究室AI川柳 @ai_senryu 」でも発信していますので、ご興味のある方はこちらもぜひご覧ください!

【3】調和系工学研究室WHAT’S NEW

★日本経済新聞で川村教授のインタビュー記事が紹介されました

6月20日(土)の日本経済新聞で、「AIで世の中変える」と題して本研究室の川村教授のインタビュー記事が紹介されました。

どのような思いでスタートアップ企業を設立しているのか。

また、大学の研究を生かしたスタートアップの先に何を見ているのかなどが紹介されています。

ご興味のある方はぜひお読みください。

日本経済新聞

[「不毛の地」から起業家輩出、AIで世の中変える](お読みいただくにはログインが必要となります)

★「AWL BOX Mini」の販売が開始されます

AWL株式会社が開発した「AWL BOX Mini」の販売が開始されます。

AWLは本研究室の川村教授がCo-founder、研究室OB(2001年度修士課程修了)の土田 安紘氏がCTOを務める、北大発認定ベンチャー企業です。

「AWL BOX Mini」は手のひらサイズの小型サーバーに3台のカメラ映像を入力し、同時にAI解析することができ、初期導入に大規模な工事も不要であるため、安価で簡単に導入することが可能です。

 [お店の混雑状況を見える化 既存のカメラ映像からAIが分析、北大発弁茶開発の「AWL BOX Mini」マクニカが販売開始] [AWL株式会社]

★第1回ビッグデータ x AIコンペティションが開催されます

国内外問わず優秀な研究者・技術者などを対象に、第1回ビッグデータ x AIコンペティションが開催されます。

第1回目となるコンペのテーマは、スーパーマーケットやドラッグストア等の小売店にある陳列棚を撮影した画像から、正しい商品を類推する仕組みの構築です。

本研究室の川村教授も審査員として参加いたしますので、ご興味のある方は詳細をぜひご覧ください。

[【札幌発 データ分析コンペプラットフォーム発足】第1回ビッグデータ x AIコンペティション開催!!]

★TILがAIボイスレコーダーソリューションサービスを開始します

ティ・アイ・エル株式会社がAIボイスレコーダーソリューション「RECORiS」について、6月23日からサービスの提供を開始します。

TILは本研究室の川村教授がCo-founder、博士3年に在籍する永田 紘也さんがCTOを務める、北大発認定ベンチャー企業です。

「RECORiS」は、生活者と事業者が直接対面するサービス現場で発生する可能性のあるさまざまなトラブルに、音声認識技術を活用し、生活者と事業者双方の安心と安全を提供するサービスです。

本サービスへのお問い合わせは、以下のURLよりご連絡をお願いいたします。

https://recoris.jp/

[TILがAIボイスレコーダーソリューション「RECORiS」を正式にサービス提供を開始] [ティ・アイ・エル株式会社]

★7月9日にSTARTUP CITY SAPPOROがウェビナーを開催します

7月9日(木)18時から、STARTUP CITY SAPPORO事務局が「北海道発 ポストコロナ時代に挑むスタートアップ特集」をテーマにウェビナーを開催します。

本研究室の川村教授によるKeynoteに加え、IT領域でポストコロナ時代に挑戦する3社(エコモット株式会社・AWL株式会社・株式会社AmbiRise)のサービスをご紹介します。

ご興味のある方はぜひご参加ください。

[詳細]

・開催日時:7月9日(木)18:00-19:00

・会場:オンライン配信(YouTube Live予定)(※お申し込み頂いた方に、視聴用URLをお送りいたします。)

・参加費:無料

・以下のURLから事前登録をお願いいたします。

https://scs02.peatix.com/

[SCSウェビナーシリーズ 北海道発 >> ポストコロナ時代に挑むスタートアップ特集 第1回 ITスタートアップ編]

【4】こんな本を読んでいます

★逆説のスタートアップ思考

馬田隆明  (著)

本日ご紹介するのは、Microsoftで多くのスタートアップを支援し、現在、東大産学協創推進本部で講義や起業サポートを行う著者が、なぜスタートアップが必要なのか? 逆説的で反直観的な思考法が爆発的成長をもたらすのか? そして東大生がスタートアップを学んでいる理由とは?を語った一冊です。

[感想]

東京大学産学協創推進本部、東京大学本郷テックガレージ・ディレクターの馬田隆明さんの著書。

スタートアップとは、いわゆるJカーブを描いて成長する新規企業であり、イノベーションを武器にこれまで放置されてきた社会課題を解決するソリューションを提供することをミッションとします。

AIの発展に伴って、日本でもやっと大学発ベンチャーが動き始めてきた印象です。

本書では、スタートアップを立ち上げる際の考え方、戦略、勘所などが簡潔にまとまっており、特にこれからスタートアップを立ち上げようと考える若い人に読んでほしいと思います。

いきなりメガヒットは生まれません。

広くみんなが困っていることを目の前の現場でターゲティングし、何でも良いので手数を出して高速にPDCAしていくのがコツと思います。

そのようなヒントがいろいろと書かれています。(川村 秀憲)

【5】ディープラーニング勉強会

調和系工学研究室ではディープラーニングの最新の知識共有を目指し、毎週ゼミを実施しています。

担当学生がトップカンファレンスから自分の興味のある論文について発表し、意見交換をしながら進めています。

本研究室HP( http://harmo-lab.jp/?page_id=1194 )には過去の発表に使用したスライドも公開していますので、ご興味のある方はぜひそちらもご覧ください。

[紹介論文その1]

Statistical and Machine Learning forecasting methods: Concerns and ways forward

公開URL:https://doi.org/10.1371/journal.pone.0194889

論文紹介スライドURL:https://www.slideshare.net/harmonylab/statistical-machine-learning-forecasting-methods-concerns-and-ways-forward-235781947

出典:Makridakis S, Spiliotis E, Assimakopoulos V : Statistical and Machine Learning forecasting methods: Concerns and ways forward, PLoS ONE, 13(3), 2018

概要 : 時系列予測において、統計的手法に変わるものとして機械学習が学術的に提案されてきましたが、両者を比較した性能の違いというのはあまり知られてはいません。本論文ではM3コンペティションで使用された大規模なサブデータセットを用いて、統計的手法と機械学習の性能の違いを見ることで、現状では統計的手法の方が性能が高いことが明らかになりました。また機械学習の性能を上げるための方法案を提案しています。(学部4年 椿 康平)

[紹介論文その2]

Bottom-Up and Top-Down Attention for Image Captioning and Visual Question Answering

公開URL:http://openaccess.thecvf.com/content_cvpr_2018/html/Anderson_Bottom-Up_and_Top-Down_CVPR_2018_paper.html

論文紹介スライドURL:https://www.slideshare.net/harmonylab/bottomup-and-topdown-attention-for-image-captioning-and-visual-question-answering

出典:Peter Anderson, Xiaodong He, Chris Buehler, Damien Teney, Mark Johnson, Stephen Gould, Lei Zhang : Bottom-Up and Top-Down Attention for Image Captioning and Visual Question Answering, The IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR), pp. 6077-6086 (2018)

概要:Bottom-Up Attention、Top-Down Attentionという2つのAttention機構を用いた画像キャプションモデル、VQAモデルを提案しました。本論文では物体検出アルゴリズムであるFaster R-CNNをモデルに組み込むことにより、より人間らしく、オブジェクトベースでのキャプション生成、VQAが可能になりました。性能面においてもMSCOCOテストサーバでSOTAを達成、2017年のVQA challengeで第1位を獲得しました。(学部4年 平田 航大)

[紹介論文その3]

NEVER GIVE UP: LEARNING DIRECTED EXPLORATION STRATEGIES

公開URL:https://openreview.net/pdf?id=Sye57xStvB

論文紹介スライドURL:https://www.slideshare.net/harmonylab/never-give-up-236143606

出典:Adria Puigdomenech Badia, Pablo Sprechmann, Alex Vitvitskyi, Daniel Guo, Bilal Piot, Steven Kapturowski, Olivier Tieleman, Martin Arjovsky, Alexander Pritzel, Andew Bolt, Charles Blundell, (2020)

概要:疎報酬な環境での強化学習をうまく行う深層強化学習エージェントNGUの提案をしました。内部報酬を利用することで探索を行い続けるという考えが、Never Give Upという名前の由来となっています。Atariの57本のゲーム中51本で人間レベルを超えた性能を出しました。(学部4年 西 佑希)

【6】人工知能・ディープラーニングNEWS

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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