2019年12月13日配信
こんにちは。
北海道大学調和系工学研究室(川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教)です。
札幌は12月に入ってからは真冬日になることもあり、雪かきが出勤前のルーティンワークになる日々が近づいてきていますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
この雪かきを省力化するために設置するロードヒーティングの稼働コストを削減しようと、本研究室と北ガスが、ボイラーをAIで制御するコントローラを共同研究しています!
北大発認定ベンチャー企業であるTILにて実用化が進められていますが、雪国ならではの課題を解決しながら経済的な効用にもめどをつけた事例として賞を受賞したり、メディアで取り上げていただいたりしています。
このコントローラが普及し、北海道の長い冬が少しでも過ごしやすくなれば大変うれしく思います。
では、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
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◇ 本日のTopics ◇
【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW
【2】AIヨミ子の川柳
【3】調和系工学研究室発ベンチャー企業
【4】今週のAI俳句ランキング
【5】人工知能・ディープラーニングNEWS
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【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW
★凸版印刷がAWLをパートナーとしてAIカメラを活用した自動販促プラットフォームを開発し実証実験を実施しています
凸版印刷株式会社がAWL株式会社をパートナーとしてAIカメラを活用した自動販促プラットフォームを開発しました。
AWLは本研究室の川村先生がCo-founder、研究室OB(2001年度修士課程修了)の土田 安紘氏がCTOを務める、AIカメラを活用したサービスで高い技術を保有するベンチャー企業です。
現在、凸版印刷内の売店にて実証実験を実施しており、小売業界を中心にデジタルサイネージなどを活用した販促活動のターゲティング精度を向上することで、売場改善における売上拡大への貢献や、省人化対応した店舗での販促・接客支援の実現を目指します。
本研究室が中心となって様々なベンチャー企業を設立してきましたが、皆でいろいろと頑張って開発している成果が少しずつ世に出てきて大変うれしく思います。
どうぞ引き続き応援をよろしくお願いいたします。
[AIカメラを活用した自動販促プラットフォームを開発、凸版印刷内の売店で実証実験を実施] [AWL株式会社]★日本経済新聞北海道版の記事でロシアのノボシビルスクでの経済交流会について紹介されました
12月4日の日本経済新聞北海道版で、ロシアのノボシビルスク大学で開かれた日ロの経済交流会について紹介されました。
本研究室の川村先生のAIを使った事業モデルの発表や、川村先生がCo-founder及び社外取締役を務める株式会社調和技研の中村拓哉社長のコメントなどが記事になっています。
ノボシビルスクは札幌市の姉妹都市でもあるので、今回の交流事業をきっかけに、ロシアと新しいプロジェクトを進めていけたらと思います。
[日本経済新聞北海道版]
「針路は北へ ロシア最前線(1) シベリアに企業、熱視線 「ロシア版シリコンバレー」 技術交流や共同研究探る」(お読みいただくにはログインが必要となります。)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO52915170T01C19A2L41000/
[株式会社調和技研]
★The 23rd Asia Pacific Symposium on Intelligent and Evolutionary Systemsにて発表を行いました
12月6日~8日に鳥取大学で開催されたThe 23rd Asia Pacific Symposium on Intelligent and Evolutionary Systems(IES 2019)(https://www.ies2019.website/) にて、修士2年の神戸 瑞樹さんが発表を行いました。
Mizuki Kambe, Soichiro Yokoyama, Tomohisa Yamashita, Hidenori Kawamura : Estimating Impressions for Clothing, Landscape, and Indoor Images Using CNN, The 23rd Asia Pacific Symposium on Intelligent and Evolutionary Systems (IES2019), pp.67-78, Tottori, Japan (2019)
発表を行った神戸さんには興味をもった研究発表、及び、学会に参加して気づいた問題点と最近の動向についてレポートしてもらいました。
興味を持った研究発表は、Multi-task Learning Using Online Fine-Tuning Considering the Importance of Each Filter : Shota Ikawa, Yuji Sato (Hosei University)です。
Transfer LearningとFine-Tuningは、ディープラーニングでラベル付きデータの不足に対処するための学習フレームワークです。
これらの方法は、畳み込み層で共通の特徴を獲得する畳み込みニューラルネットワーク(CNN)で効果的に機能します。
CNNレイヤーを転送する場合、ソースタスクをトレーニングした後、識別レイヤーを除く入力側に近い複数の畳み込みレイヤーを転送するのが一般的です。
一方、学習中の転移と高レベルの転移に焦点を当てた研究はほとんどありません。
この論文では、学習中に畳み込みフィルターを転送することにより、fine-tuningを行う手法を提案します。
フィルターはプルーニング基準を使用してランク付けされ、重要度の低いフィルターのみがターゲットフィルターとして上書きされます。
CIFAR-100のサブセットを使用した10クラスの分類では、提案された方法がゼロからのトレーニングと比較してテスト精度を最大2%改善できることを示しています。
また、学習の進行に伴い、各レイヤーの重要度の低いフィルターの比率が変化する傾向も示しています。
開催場所が鳥取であったためか、参加者はそれほど多くはありませんでした。
しかしながら、発表内容は幅広く、ディープラーニング以外の内容も多くありました。
ディープラーニングの成功に盲目的にならず、他の手法にも目を向けていくことも大切であると改めて感じました。
また、一人で4回の発表を行う方もいて、大変刺激となりました。(神戸 瑞樹)
★日経ムック「AIフロンティア」に川村先生の解説記事が掲載されました
12月12日発売の日経ムック「AIフロンティア」に、本研究室の川村先生の解説記事「人間とAIの協働こそが社会課題の解決に直結する」が掲載されました。
アクセンチュア株式会社の保科 学世氏が監修しており、保科氏と川村先生が一緒に行った講演をベースに寄稿しています。
近年、AIに対する関心レベルがブームと呼ばれるほどの盛り上がりを見せている技術的背景について、また、世界中でAIの開発競争が加速している背景についても述べています。
さらに、AIの未来を考えていくうえで、テクノロジーだけでなく社会をどうリデザインしていくのかなど、避けて通れない課題についても言及しています。
現在の社会課題に対するAI活用のアプローチなど、いろいろなAIの活用事例が紹介されていますので、ご興味のある方はぜひお読みください。
[日経ムック「AIフロンティア」]★TILがX-Tech Innovation 2019北海道地区最終選考会で最優秀賞を受賞しました
12月11日に開催された、株式会社北海道銀行などが主催する「X-Tech Innovation 2019北海道地区最終選考会」でティ・アイ・エル株式会社が最優秀賞を受賞しました。
TILは本研究室の川村先生がCo-founder、博士2年に在籍する永田 紘也さんがCTOを務める、北大発認定ベンチャー企業です。
「X-Tech Innovation」は、各業界・業種を横断する、デジタルテクノロジーを活用した新しいサービスを広く募集するビジネスコンテストで、TILが開発しているAIボイスレコーダーソリューション「RECORiS」について発表しました。
「RECORiS」は、消費者や取引先が企業に悪質なクレームや理不尽な要求をする「カスタマーハラスメント」が問題になる中、接客中のトラブルが起きるのを防止する音声録音サービスです。
今回の最優秀賞受賞により、2020年1月に開催される「X-Tech Innovation グランプリファイナル」に登壇することが決定しましたので、応援をどうぞよろしくお願いいたします。
[X-Tech Innovation 2019北海道地区最終選考会で最優秀賞を受賞] [ティ・アイ・エル株式会社] [AIボイスレコーダーソリューション RECORiS(レコリス)]★北海道新聞の記事でTILの受賞について取り上げていただきました
12月12日の北海道新聞の記事で、「X-Tech Innovation 2019北海道地区最終選考会」におけるティ・アイ・エル株式会社の最優秀賞受賞について取り上げていただきました。
TILは本研究室の川村先生がCo-founder、博士2年に在籍する永田 紘也さんがCTOを務める、北大発認定ベンチャー企業です。
今回の受賞の対象となった、TILが開発しているAIボイスレコーダーソリューション「RECORiS」についても紹介していただいています。
[北海道新聞]「北大発の企業「TIL」最優秀 道銀ICTコンテスト」(お読みいただくにはログインが必要となります。)
[ティ・アイ・エル株式会社] [AIボイスレコーダーソリューション RECORiS(レコリス)]★東京MX「企業魂」にTILが出演します
本日、12月13日に放送される東京MX「企業魂」にティ・アイ・エル株式会社が出演します。
12月11日に開催された「X-Tech Innovation 2019北海道地区最終選考会」にて、最優秀賞受賞を受賞した、TILが開発しているAIボイスレコーダーソリューション「RECORiS」についてご紹介いただきます。
「企業魂」は、様々な規模や分野の企業を紹介し、それぞれのビジネスモデル、サービスや製品に対する熱い想いを伝える番組なので、どのようにご紹介いただけるのか楽しみです。
東京近郊でご興味がある方はぜひ御覧ください。
番組名 : TOKYO MX(地上波9ch)「企業魂」
日時 : 12月13日(金)20:27~20:51 (TILは、20:35ころに配信予定)
※視聴範囲は、東京都全域と埼玉、千葉、神奈川の一部となります。
[TV放送のご案内]https://tilab.jp/archives/200?fbclid=IwAR2CvUPMn_bJ_JJcxquptnHKZHxHRI96WvNM_uaLcvO_lQ4WEcY0auJhf-g
[ティ・アイ・エル株式会社]【2】AIヨミ子の川柳
本日のヨミ子の川柳は、11月29日と12月6日のNHK総合「ニュース シブ5時」(https://www4.nhk.or.jp/shibu5/) で放送されたものになります。
その週の話題のニュースをお題に川柳を詠むヨミ子ですが、このAIシステムを開発しているのが本研究室です!
1句目にご紹介するのは注目ニュース「フランシスコ教皇」から、お題「人々」で詠んだ句になります。
人々に 元気のような 力かな
実は11月29日放送分から、今までよりもヨミ子がちょっと進化して、ニュースの画像を見て、川柳が作れるようになりました!
今まではニュースのキーワードで川柳を詠んでいましたが、情景を詠むという意味では、ちょっと人間に近づきました。
画像から自分でお題をAIで分析して、そこからさらに川柳を詠むという2段階です!
進化をとげたヨミ子ですが、作風は以前とあまり変わっていないのが残念です・・・
2句目は注目ニュース「イノシシ東京・埼玉に」から、お題「イノシシ」で詠んだ句になります。
猪鍋や もうこんなことを 言われてる
イノシシの画像から、ちゃんとお題のイノシシを読み取ることができました!
ただ、詠んだ句が何のことを言っているのかわかりにくいような。
これは、イノシシを見ただけで「猪鍋だ!」と、動物を見てしまうと食べ物にまつわる連想をしてしまう人もいることを指摘しています!(恐らく・・・)
作風をもう少し磨いてもらいたいですねとのコメントもありましたが、ヨミ子も川柳がこれからどんどんうまくなるように頑張ります!と意欲的なので、応援していただけると嬉しいです。
本日の「ニュース シブ5時」(午後4時50分~午後6時10分)でも、ヨミ子が川柳を詠みますのでお楽しみに!
https://www4.nhk.or.jp/shibu5/
【3】調和系工学研究室発ベンチャー企業
調和系工学研究室では、人工知能を理論的に研究しているだけでなく、様々な民間の方々と共同研究を行い、実際にシステムやサービスをつくり、その技術を社会応用し、いろいろな企業といろいろな仕組みをつくって、世の中を変えるお手伝いをしています。
私たちの研究が日々社会の中で評価され、様々なニーズや課題がダイレクトにフィードバックされる環境におかれることが重要であるとの想いから、研究室のスタッフ、学生、OBが中心となって様々なベンチャー企業を設立しています。
本日ご紹介するのは、本研究室OBの山本 健太郎氏(1999年度学士課程修了)が代表取締役兼CEO、川村先生が顧問を務めている株式会社ネインです。
ネインは音声UIデザイン、AI技術開発、コネクテッド・カーについての開発を行い、企画からデザイン、回路設計、組み込み、アプリ、クラウドソフトウェア開発をすべて自社で行うことで高効率、かつハイスピードなモノづくりを進めているベンチャー企業です。
最近では、ヒアラブルデバイスを活用した音声UIによる、ビルメンテナンス(ユーティリティ設備の保守・点検・記録作業)や建設現場等に向けた音声点検サービスを高砂熱学工業株式会社と共同開発しました。
ヒアラブルデバイスとは、イヤホンに類似した音声入出力を備えた、身体に身につける装着型のコンピュータ(ウェアラブルデバイス)の一つです。
音楽だけを聴く通常のイヤホンとは違い、音声で操作を行ったり音声から情報を取得できるのが特長で、スマートフォンやタブレット端末、パソコンを介してインターネットに接続してサービスを利用することが可能です。
スマートスピーカーのイヤホン版を想像していただくとわかりやすいかもしれません。
スマートフォンやタブレット端末、パソコンを介してインターネットに接続してサービスを利用することが可能で音声だけではなく、モーションセンサーや脈波センサー搭載により人の行動や生体情報を取得することも可能です。
本サービスの導入により、これまで作業現場で作業者が目視しながら行っていた点検項目の確認や、端末の画面を操作することで点検結果を記録していた作業等が大幅に負担軽減可能となります。
ビルメンテナンス、建設分野を始めとするフィールドワーキング現場のデジタル・トランスフォーメーションを推し進め、働き手不足に悩む現場の生産性向上、将来的には現場作業者のリアルタイムでの体調管理等に大きく貢献できることが期待されます。
ヒアラブル技術で急成長をしているネインは、ヒアラブルでイノベーションを起こし、アジアから世界に向けて一緒に世界をリードするWebエンジニアを募集しています。
どうぞ応援をよろしくお願いいたします。
[株式会社ネイン]【4】今週のAI俳句ランキング
AIが俳句を作る「AI俳句」の普及を目指して、本研究室を事務局として2019年7月に設立されたAI俳句協会のウェブサイトでは、AIが生成した俳句を人が評価して、評価結果を集約したAI俳句ランキング(月間・週間)の集計を行っています。
今週のランキングをご紹介したいと思います。
1位 稲のかげ めでたき人の 力かな
2位 雨だれの うしろに揃ふ 涅槃かな
3位 叱られて 春蘭の下 土ゆらぐ
すべて、本研究室が開発した「AI一茶くん」が詠んだ句になります。
「AI一茶くん」は1日1句投稿していますので、ぜひ俳句協会ウェブサイト(https://aihaiku.org) もご覧ください!
【5】人工知能・ディープラーニングNEWS
★JR西日本「ベンダーの提案すら理解できない素人だった」新幹線の“着雪量予測”データサイエンスコンペ開催までの「奮闘」
https://ledge.ai/jr-west-data-science-competition/
★職人の勘や経験をAIが守る。養蚕業での初めてのAI導入を成功させた話
★Generating Better Search Engine Text Advertisements with Deep Reinforcement Learning
★アリババ、MLアルゴリズムプラットフォームをGitHubで公開
https://japan.zdnet.com/article/35146122/
★スマホで60秒 AI画像解析でブランド品の真贋判定を行う月額サービス
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1912/03/news096.html
★PFN、ディープラーニングの研究開発基盤をPyTorchに移行。Chainerはメンテナンスフェーズへ
https://ledge.ai/pfn-chainer-shift-to-maintenance-phase/
★AIモデルを自動で圧縮、実装できるツールを開発
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1912/05/news055.html
★格ゲーの駆け引きはAIにもできる? 憧れのプロ選手、AI化の可能性も
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1912/06/news036.html
★たった1枚のキャラ画像とウェブカメラで誰でもVTuberになれるシステムをGoogleのエンジニアが発表
https://gigazine.net/news/20191205-vtuber-google-engineer/
★画像認識システムの落とし穴となる「ExifのOrientation属性」とは?
https://gigazine.net/news/20191208-python-exif-orientation/
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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調和系工学研究室教員
川村 秀憲教授
山下 倫央准教授
横山 想一郎助教
調和系工学研究室HP
調和系工学研究室FB
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