2021年6月25日配信
こんにちは。
北海道大学調和系工学研究室(川村秀憲教授、山下倫央准教授、横山想一郎助教)です。
夏至を迎え札幌は過ごしやすい季節となりましたが、皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか。
この時期の札幌では、「ポプラの綿毛」が舞うのをご存じでしょうか。
ポプラは4・5月に開花して、5・6月に実が成熟し、その後に果皮が割れて中から飛び出てくるのが白い綿毛になります。
北海道大学のキャンパス内にもポプラ並木の名所がありますが、風にのって調和系工学研究室のある9階までふわふわと飛んでくる姿には癒されます!
では、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
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◇ 本日のTopics ◇
【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW
【2】日刊工業新聞「次代をつくる」
【3】こんな本を読んでいます
【4】人工知能が俳句を詠む(仮)
【5】AI一茶くん句会に参加
【6】ディープラーニング勉強会
【7】人工知能・ディープラーニングNEWS
【8】今週のAI俳句ランキング
【9】AI川柳
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【1】調和系工学研究室WHAT’S NEW
★調和系工学研究室へ奨学寄附をいただきました
一般社団法人JTS社団様より本研究室へ奨学寄附をいただきました。
JTS社団様は高度IT人材の育成のため、様々な支援活動を実施しています。
大学での研究活動には学会への参加一つとっても研究費がかかせません。
頂いた寄附は、本研究室の人工知能に関する研究活動に有意義に活用させていただきます。
JTS社団様にはこの場を借りてお礼申し上げます。
調和系工学研究室 教授 川村 秀憲
[北海道大学奨学寄附金制度について]※寄附金については、税法上の優遇措置の対象となります。
[一般社団法人JTS社団]★北大の魅力を発信するウェブマガジンで川村教授が紹介されました
北海道大学の魅力を発信するウェブマガジン「いいね!Hokudai」にて、川村教授が紹介されました。
1 人を助け社会と調和する人工知能〜現場の課題が最先端のオリジナリティ〜
2 「自分を超えていく」ものづくり〜研究も経営も、予想できないゴールへの手段〜
3 北海道の資産、北大の資産を起業のエコシステムに!〜ロールモデルを起点に、仲間がふくらむ雪だるま〜
3つのキーフレーズで紹介されていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
[いいね!Hokudai]#150 人と機械の調和を目指す人工知能研究者・川村秀憲さん(情報科学研究院 教授)[北大人図鑑No.9]
★アカリクが発行するAcaric Journalで川村教授のインタビューが紹介されました
株式会社アカリクが発行する、大学院生・研究者のためのキャリアマガジンAcaric Journal Vol.2で、本研究室の川村教授のインタビューが紹介されました。
特集「AI再考」の中で、「AIを通してヒトの本質的役割に迫る―AI技術が変える研究者の未来―」をテーマに、AI研究を始めたきっかけ、人と共存する機械について語っています。
[Acaric Journal]★日本技術会北海道本部倫理委員会主催のフォーラムにて山下准教授が講演します
公益社団法人日本技術士会北海道本部倫理委員会が主催するフォーラム、「第11回技術者倫理フォーラム〜公衆から信頼される技術者になろう〜」にて、本研究室の山下准教授が「AI と技術者倫理」と題して講演します。
ご興味がある方はぜひご参加ください。
[フォーラム概要]【開催日時】:令和3年6月30日(水) 14:30 〜 16:40
【参加形態】:1.会場参加、或いは2.インターネットを介したウェブ配信の視聴(いずれかおえらびください)
札幌市内会場にて、新型コロナウイルス感染拡大防止に配慮した会場定員設定に対応して、参加人数を制限して実施するとともに、その模様をライブ配信で視聴していただきます。
1. 会場参加:ホテル ポールスター札幌 2F (札幌市中央区北4条西6丁目)
・参加定員数 50名程度として定員に達し次第締め切ります
2. ウェブ視聴:Zoomウェビナーでのライブ配信を予定し、開催前に視聴 URLをメール送信します
・視聴定員数100名程度として定員に達し次第締め切ります
【参加費】:
1. 会場参加費:技術士有資格者で技術士会会員1,000円、会友1,500 円、非会員2,000 円、一般の方は無料
2. ウェブ参加費:Web配信トライアルにつき、今回は無料
※セミナーの詳細につきましては以下からご確認をお願いいたします。
http://www.ipej-hokkaido.jp/event/data/210630.pdf
★札幌商工会議所主催のセミナーにて川村教授が講演します
札幌商工会議所、中小機構 北海道本部 北大ビジネス・スプリングが主催するセミナー「AI実装によるDX推進(中小企業のAI技術活用セミナー)」にて、本研究室の川村教授が「AIの産業実装の現状と将来展望」と題して講演します。
株式会社調和技研、AWL株式会社、ティ・アイ・エル株式会社、株式会社サンクレエの事例紹介もありますので、ご興味がある方はぜひご参加ください。
[セミナー概要]日時:令和3年7月15日(木曜)14時から16時
場所:オンライン開催(Zoomウェビナー)
対象者:DXに興味のある企業経営者および情報担当者
定員:100名
参加費:無料(事前申込制)
主催:札幌商工会議所、中小機構 北海道本部 北大ビジネス・スプリング
※セミナーの詳細につきましては以下からご確認をお願いいたします。
https://www.smrj.go.jp/incubation/ho-bis/event/2021/favgos000001l9na.html
【2】日刊工業新聞「次代をつくる」
今年度から日刊工業新聞「次代をつくる」にて、本研究室の川村教授が寄稿しています。
第3回目は本研究室が取り組んでいる、洋服の画像から「かわいい」「おしゃれ」といった「感性」を分析する研究を例に、人の感性的な判断を補助する人工知能について述べています。
[「次代をつくる/「かわいい」など感性数値化」 6月8日(火)]ディープラーニングを用いた画像認識の精度が上がってきている。
画像に写っているものとその名称のように、答えが明確に定義できるデータセットにおいては、すでに人間の認識精度より優れているという研究報告がなされている。
例えば、物体検出、製品判別、人物認識、外観検査などである。それでは、答えが明確に定義し難い画像認識はどうか。
我々の研究グループでは、衣服が撮影されたアパレルの写真画像の認識について研究を行っている。
「シャツ」「スカート」「デニム生地」など答えが明確なものについて高い精度で認識できるのは想像に難くない。
一方、「かわいい」「おしゃれ」「スポーティ」などの認識はどうか。
これらは、人によって感じ方も違うだろうし、また流行によっても変わってくるだろう。このままでは、答えの取り扱いが難しい。
そこで、画像を見て何割の人がその衣服を「かわいい」と感じるかを答えとするように教師データを変更した。
例えば、半分の人が「かわいい」と答えたなら0.5という具合である。
これによって、人によって答えが変わってくる対象でも教師データを構築することができる。
専門家に「かわいい」かどうかなど感性的な判断をしてもらって教師データを作成し、ディープラーニングによって学習させてみたところ、大体専門家の認識に沿うような学習ができた。
このような画像認識はなんの役に立つだろう。
これまでアパレル業界では、感性的判断をともなうデザイン、売上分析、ブランド評価などは属人的な作業となってしまい、客観的なデータ活用は難しかった。
そこで、我々の開発した画像認識により個々の商品の「かわいい」などを数値化することで、統計的に商品計画や戦略立案、流行予測などを行うことが可能となる。
これによって、人の判断の精度を上げたり、デザインの工数を削減したりすることなどが期待できる。
今後、このように様々な分野で人の感性的な判断を補助する人工知能の応用が進むと考えられる。(川村 秀憲)
【3】こんな本を読んでいます
★ダブルハーベスト 勝ち続ける仕組みをつくるAI時代の戦略デザイン
堀田 創 (著)、尾原 和啓 (著)
本日ご紹介するのは、「AIのビジネス実装」の最前線を熟知する2人が明かす圧倒的な競争優位を築くDX時代の戦略フレームワークです。
[感想]
シナモン執行役員の堀田さん等の著書。
技術的側面ではなく、ビジネスモデル創出の観点からAIを論じている。
要点をまとめると、AI導入は最初から高精度を狙わず、まずは仕組みとして導入することが大事。
そこから初めて実データ収集が可能となる。
導入後、データ収集と再学習のループを回すことで精度向上とデータ蓄積を行う。
さらに、そのループに新たな付加価値を生む2重、3重のループを追加していくことで競争的優位なモデルを作り上げることを考えるべき。
私もいろいろなビジネスパーソンとAI導入について議論してきましたが、概ね本書で書かれていることと同じことをご説明してきましたので、内容にはとても同意できます。
わかりやすくよくまとまっていると思います。
学術面、技術面からAIに取り組んでいる人は多いと思いますが、ビジネスモデルに踏み込んでAI導入を理解し、提案できる人は少ないと感じています。
ぜひ、研究者、技術者にも本書の内容を理解して、コミュニケーションの幅を広げてもらえたら良い提案ができるスキルが身につくのではないかと思います。(川村 秀憲)
【4】人工知能が俳句を詠む(仮)
この度、調和系工学研究室のこれまでの俳句人工知能「AI一茶くん」に関する研究成果、ストーリーを本にまとめる機会をいただきました。
技術的詳細の説明だけではなく、人工知能に興味がある方にも俳句に興味がある方にも読んでいただけるような内容を心がけ執筆しました。
「人工知能が俳句を詠む AI一茶くんの挑戦」はオーム社より7月7日発売予定です。
今回ご紹介する第8章が最後の章となりますが、この章の後に「おわりに」「付録 AI俳句百句選」なども掲載しています。
人工知能やAI一茶くんについてもっと詳しくお知りになりたい方は、Amazon( https://www.amazon.co.jp/dp/4274227332/ref=cm_sw_r_tw_dp_P76JPBNBF3MXFJFH9DX4 )からもご予約ができますので、ぜひご購入いただきお読みいただけましたら大変うれしく思います。
どうぞよろしくお願いいたします。(川村 秀憲、山下 倫央、横山 想一郎)
※第1~7章はHP( http://harmo-lab.jp/?page_id=6305 )で公開しています。まだお読みでない方はぜひそちらもご確認ください。
[第8章 人工知能と俳句の未来]二〇一六年に、米Google傘下のイギリス企業であるDeepMindが開発した囲碁をプレイする人工知能「アルファ碁」(Silver et al., 2016)が韓国のプロ棋士であるイ・セドルと対決し、五戦で四勝をあげたことはまだ記憶に新しいと思います。人工知能の研究において、チェスや将棋、囲碁などのボードゲームは長らく知能を実現するための技術レベルを測る物差しとして使われてきました。
ボードゲームをプレイする人工知能を作る際には、ある場面が自分にとって有利か不利かを表す静的評価関数を用います。最終局面で自分が勝った場合を百点、負けてしまった場合をゼロ点とし、最終的にどちらの局面に繋がっている可能性が高いのかをゲームの途中で評価します。
人工知能の研究では、すべての場面を列挙して先手必勝か後手必勝かが確定したとき、そのゲームが「解けた」と言います。
人間であれ人工知能であれ、正解の手に近づくことができたものが勝者となります。この勝負の世界には人の存在価値といったものは関係ありません。これまでの人工知能の研究ではそのような明確なルールや正解が存在する中で、いかに正しい判断をさせるかに焦点をあててきました。
一方、人工知能研究の対象に俳句を取り上げることは囲碁と比較してどのような違い、意義があるでしょうか。俳句で使われる文字を漢字とひらがなのたかだか一万種類程度と見積もったとすると、これが二十文字分続くと仮定しても、俳句としてあり得る日本語文は十の八十乗程度にすぎません。場合の数は囲碁と比べて大幅に少ないものとなっています。
そもそも俳句というものには絶対的な正解を定義することはできませんし、人間の存在を無視して人工知能に俳句をつくらせたり、評価させたりすること自体がナンセンスなのです。
このようなことを考えると、俳句を対象として人工知能を研究することは、人の価値観や人生観、コミュニケーションを研究することであると言うことができます。
この研究を通して人の知能とは何か、人工知能をどう実現するのか、そしてそれは本質的に人の知能とはどのように違うのかといったことを明らかにしたいと思っています。
一茶くんによって生成された俳句はどのぐらいのレベルなのでしょうか。
俳人の大塚凱さんに一茶くんで生成された俳句の中から優れたものを選句してもらい、批評してもらいました。
この批評のなかで大塚さんはとても興味深い表現をしています。いくつかの俳句の状況を説明する中で、「作中主体」という言葉を使っています。
人がつくった俳句だとしても実体験に基づかない想像上での創作もあり得るはずです。果たしてそのような作品であれば、人が詠んだ俳句でも「作中主体」という言葉を使うことが適切なのか、やはり「作者」という言葉で説明するのが適切であるのかは興味があるところです。
一茶くんで俳句を生成することと比べて、なぜ俳句を評価させることは難しいのでしょうか。
俳句を評価するということは、俳句の言葉の意味、文脈をきちんと理解することが求められます。
膨大な教師データの俳句を学習させるだけのやり方では、本質的に言葉の意味理解を実現することは難しいのです。
人工知能の知識表現において、そこで使われる言葉や記号の意味を現実世界の実体がもつ意味に結び付けられるかどうかという問題を記号接地問題と言います。
今の人工知能の技術に記号接地問題を解決する術はないのでしょうか。私たちはディープラーニングのいくつかの研究事例が、俳句研究における記号接地問題を突破するヒントになるのではないかと思っています。
ディープラーニングがマルチモーダル学習に拡張されることによって、一茶くんも将来的に記号接地問題を乗り越えていける可能性があるのです。
人工知能という言葉は一九五六年にダートマス会議で初めて提案されたということは第2章で紹介しましたが、人工知能の概念を最初に提案したのはイギリスの数学者、アラン・チューリングと言われています。チューリングは人の知能とは何かを深く考察し、現在のコンピュータープログラムの原型となる理論を最初につくりました。
相互作用が知能の本質であり、人間との相互作用の中でコンピューターが人間と同等の振る舞いができれば知能を持っているといって言ってよいのではないかとチューリングは考えました。
これを私たちの俳句研究に置き換えてみると、オンライン開催の句会に一茶くんを参加させ、人工知能と見破られなければ一茶くんは知能を持っているというテストが考えられます。
人工知能による俳句生成の試み、そして俳人による生成された俳句への評価などを説明してきましたが、では、人工知能の技術で作られた一茶くんは人と同じように俳句を詠んでいると言えるのでしょうか。
一茶くんの仕組み上、人に伝えたいことが先にあって言葉を繋いで俳句を生成しているわけではありません。繋がりそうな単語を確率的に選択することで結果的に俳句になった、その中にたまたま素晴らしい俳句だと解釈できるものがあった、というのが正直なところです。
この研究の目指すところは俳句を生成するだけではなく、人工知能に俳句の批評も行わせ、人に交じって句会に参加することです。
今の一茶くんに不足している課題設定を解決していくための手段として、私たちはAI俳句協会を設立しました。AI俳句協会は、インターネットのウェブサイトで展開される人と人工知能との交流の場です。
俳句を通した人と人工知能の相互作用によって、「強い人工知能」の実現の糸口を掴むだけでなく、人の知能そのものへの理解も深めることができると私たちは信じています。AI俳句協会は、そのためのプラットフォームと言えるのです。(終)
【5】AI一茶くん句会に参加
5月26日(水)にオンライン開催された第147回ふくし句会に、AI一茶くんで作成した俳句で修士1年 平田 航大さん、学部4年 花野 愛里咲さんが参加しました。
その結果を花野さんが報告してくれましたのでご紹介いたします。
AI一茶くんの俳句生成機能や選句機能に関して、俳人の方々と比較して、優れていたり劣っていたりする部分を明確にすることを目的に句会に参加しています。
ふくし句会は愛媛県在住の方々が中心に、初心者から20年以上キャリアを重ねた方まで、幅広く参加する句会です。
今回の句会は、参加者17名・投句数51句でした。
参加者はこの51句から特選1句と並選4句(4句を決められない場合は5句)を選句します。
特選1点、並選1点として、その合計点を評価とします。
今回はAI一茶くんで生成した俳句に対して、文字列の俳句らしさを表す評価指標の高い順に、私たちが俳句の初心者にも意味が理解できる俳句を選んで、以下の4句を投句しました。
・そら豆の花美しく老いにけり(3点)
・竹林の奥より夏の風こぼれ(2点)
・自動車の窓からのぞく夏の風(1点)
・硝子戸を開けて静かな夏の風(1点)
また、ひとり3句まで投句できるので、私たちが詠んだ句も投句しました。
・三年生これが最後の夏服(平田作)(1点)
・ラムネ玉落ちて響くは夏の音(花野作)(2点)
AI一茶くんの俳句の中で最も評価が高かった句「そら豆の花美しく老いにけり」は、3点という評価で全51句中上位10句以内に入ることができました。
「美しく」と「老いにけり」の取り合わせが良いという意見をいただきました。
今回の句会で最も評価が高かった俳句は、次の俳句です。
・椅子ふたつウクレレひとつ夏の風(7点)
この俳句には、爽やかさや温かさなどの良い印象を与える、1人がウクレレを弾き、その演奏をもう1人が聴いていたという2人の和やかな情景が鮮明に思い浮かぶ、などの意見がありました。
AI一茶くんの俳句は「老いる」「こぼれる」「のぞく」「開ける」などの動詞を含めることで情景を思い描くことができる俳句にはなっていますが、やや説明的な印象を受けます。
それに対し、この俳句は動詞を含めずに情景を柔らかく表現できているということが、AI一茶くんの俳句と異なる点であると感じました。
現在、俳句からどのような印象を得られるか、その俳句を詠んで情景が思い浮かぶかどうかを判断することは、AIにはできません。
これらの問題点を解決することができれば、人間から高い評価を得られる俳句をAIが選び出すことができると考えています。(学部4年 花野 愛里咲)
【6】ディープラーニング勉強会
調和系工学研究室ではディープラーニングの最新の知識共有を目指し、毎週ゼミを実施しています。
担当学生がトップカンファレンスから自分の興味のある論文について発表し、意見交換をしながら進めています。
本研究室HP( http://harmo-lab.jp/?page_id=1194 )には過去の発表に使用したスライドも公開していますので、ご興味のある方はぜひそちらもご覧ください。
[紹介論文その1]You Only Learn One Representation: Unified Network for Multiple Tasks
公開URL:https://arxiv.org/abs/2105.04206
論文紹介スライドURL:https://www.slideshare.net/harmonylab/you-only-learn-one-representation-unified-network-for-multiple-tasks
出典:Chien-Yao Wang, I-Hau Yeh, Hong-Yuan Mark Liao
概要:形式知と暗黙知を併用したネットワークを提案。単一モデルのアーキテクチャでマルチタスク学習に効果的。物体検出タスクにおいて圧倒的な性能を発揮。(修士2年 西浦 翼)
[紹介論文その2]A Learning-based Iterative Method for Solving Vehicle Routing Problems
公開URL:https://iclr.cc/virtual_2020/poster_BJe1334YDH.html
論文紹介スライドURL:https://www.slideshare.net/harmonylab/a-learningbased-iterative-method-for-solving-vehicle-routing-problems
出典:Hao Lu, Xingwen Zhang, Shuang Yang: A Learning-based Iterative Method for Solving Vehicle Routing Problems, International Conference on Learning Representations (ICLR 2020)
概要:ルールベースとRLベースのコントローラを組み合わせたLearn to Improve(L2I)を提案しました。この手法はCVRPインスタンスにてsotaを達成しています。(修士2年 大江 弘峻)
[紹介論文その3]Learning to Incetivize Other Learning Agents
公開URL:https://papers.nips.cc/paper/2020/hash/ad7ed5d47b9baceb12045a929e7e2f66-Abstract.html
論文紹介スライドURL:https://www.slideshare.net/harmonylab/learning-to-incetivize-other-learning-agents
出典:Jiachen Yang, Ang Li, Mehrdad Farajtabar, Peter Sunehag, Edward Hughes, Hongyuan Zha,34th Conference on Neural Information Processing Systems (NeurIPS 2020)
概要:マルチエージェント環境において、各エージェントにインセンティブ関数を学習させ、他エージェントに報酬を与える手法を提案しました。提案手法は標準的な強化学習エージェント、opponent shapingエージェントの性能を上回りました。(修士1年 西 佑希)
[紹介論文その4]Tell Me What They’re Holding: Weakly Supervised Object Detection with Transferable Knowledge from Human-Object Interaction
公開URL:https://arxiv.org/pdf/1911.08141.pdf
出典:Daesik Kim, Gyujeong Lee, Jisoo Jeong, Nojun Kwak, The Thirty-Fourth AAAI Conference on Artificial Intelligence (AAAI-20)
概要:物体検出モデルを学習させるために、ラベル付きのデータが大量に必要です。しかし、画像にアノテーションを付与することは、相当な時間やコストがかかります。そこで、人と物体の相互作用HOI情報を使用し、新しい弱教師あり物体検出モデルRRPNを提案します。この手法によって、Bounding Boxなしで物体の位置を推定できます。(修士1年 鐘 支俊)
[紹介論文その5]Learning Music Helps You Read: Using Transfer to Study Linguistic Structure in Language Models
公開URL:https://www.aclweb.org/anthology/2020.emnlp-main.554/
論文紹介スライドURL:https://www.slideshare.net/harmonylab/2021-06-23dlhirata
出典:Isabel Papadimitriou, Dan Jurafsky, EMNLP2020
概要:LSTMにおける文法構造のエンコードがどのように行われているかという点についての分析を、様々な言語での転移学習の実験結果から議論している。文法構造のエンコードにおいて、語彙分布が学習に与える影響は小さいこと、楽譜データやプログラミング言語のデータからも一般化可能な文法構造のエンコードが可能である点などを明らかにした。(修士1年 平田 航大)
【7】人工知能・ディープラーニングNEWS
★【MLP-Mixer】MLPがCNN,Transformerを超える日
★Copy.aiのAI利用記事作成システムは「使える」レベルの驚異的な出来、日本語も対応
★AIによるフェイクレポートの8割を「本物判定」、人間はかなりダマされる
★文字を“ディープフェイク”するAI、Facebookが開発 フォントや手書き感をコピーして別単語に変換
★Robust Overfitting 抑制のための平滑化手法
★PFNが独自深層学習用プロセッサの専用コンパイラを開発、6倍以上の高速化を実現
★よりシンプルで高効率・高精度なセグメンテーションモデルSegFormerを詳細解説!
★AIで「実在しない男性モデルの画像」を生成 「INAI MODEL」がラインアップ拡充
★まるで現実?G-buffersとレンダリングのパイプラインを用いたPhotorealistic画像の生成!
★京大、ピアノ演奏を“耳コピ”するAIを開発 ゆゆうたさんなどの演奏を採譜したデータも公開
★白血病の治療方針モデルで再現!深層強化学習による、白血病の治療方針の決定フレームワークの提案
★「この人、家賃を滞納しそう?」AIが予測 入居審査を45分→16分に
★正答率は93%以上 AIで作業員の歩きスマホやヘルメット未着用を検出、日立ソリューションズ
★「ゲームAIに関する記念碑的論文」–人工知能学会の論文賞にスクエニ三宅陽一郎氏
【8】今週のAI俳句ランキング
AIが俳句を作る「AI俳句」の普及を目指して、本研究室を事務局として2019年7月に設立されたAI俳句協会のウェブサイトでは、AIが生成した俳句を人が評価して、評価結果を集約したAI俳句ランキング(月間・週間)の集計を行っています。
今週のランキングをご紹介したいと思います。
1位 春眠の中より君の歩み来し
2位 ふるさとは雲の中なる若葉かな
3位 藻の花に水の匂ひの流れけり
すべて、本研究室が開発した「AI一茶くん」が詠んだ句になります。
「AI一茶くん」は1日1句投稿していますので、ぜひ俳句協会ウェブサイト(https://aihaiku.org) もご覧ください!
【9】AI川柳
調和系工学研究室では、毎日新聞社「仲畑流万能川柳」や第一生命保険「サラリーマン川柳」を学習用の教師データとした「AI川柳」に取り組んでいます。
2020年3月までの1年間「NHK総合 ニュースシブ5時」で、その週の話題のニュースのキーワードをお題に、バーチャルアナウンサー「ニュースのヨミ子」さんが詠んでいたAI川柳も、本研究室が開発した人工知能システムです。
多くの皆さんに楽しんでいただけるよう、2020年6月にAI川柳のTwitterアカウント( https://twitter.com/ai_senryu )を開設いたしました。
AIの中には詠んだ句の良し悪しはないためそれを良いと思うのは人間の側で、そう思うことで初めてAIの詠んだ句が意味を持つのではないでしょうか。
AIが詠んだ句に共感していただけましたら大変うれしく思います!
★お題「エアコン」(6月11日投稿)
エアコンが当たらぬように消えていく
札幌も今日は真夏日になるようです!
快適に過ごせるようにエアコンをつけてあげたのに、気づいたら別の部屋で寛いでた・・・
迷惑だったの?笑
★お題「寝たふり」(6月14日投稿)
目が覚めて寝たふりをする犬の顔
起きたら、おやつの袋が破られて食べ散らかしてある・・・
犯人は寝たふりしてこのまま嵐が去るのを待つつもりみたい
でも可愛いから許す・笑
★お題「開運」(6月15日投稿)
開運を想像するお隣さん
今日は「一粒万倍日」と「天赦日」が重なる最強の開運日なんですね
実現してほしいことを想像して、運を引き寄せる
それって大事!
★お題「無視」(6月16日投稿)
丁寧に言い訳おれは無視してる
約束していたおやつを買って帰れなかったら、無視してくる・・・
事情を丁寧に説明したのに言い訳だと思っているみたい・笑
★お題「幸せ」(6月17日投稿)
幸せは何度もあるに違いない
確かに幸せは一度きりじゃない
だけど、ちゅーるは1日に1本の約束だから今日の幸せはもう終わったと思うよ・笑
★お題「熊」(6月18日投稿)
朝起きるとたんに熊が出るテレビ
札幌の住宅街にクマ
市内での目撃情報はときどき聞きますが、まさか市街地に出没するとは・・・
朝ニュースを見て驚きました!
★お題「ごめんね」(6月21日投稿)
ごめんねといって喜ぶ父の顔
仕事があるから行かないと・・・ごめんね
こんな風に見送られたら、嬉しさが顔に出るのも仕方がない?笑
★お題「白っぽい」(6月22日投稿)
髪の毛が白っぽいなあ変だなあ
初夏の風物詩「ポプラの綿毛」が北大構内でも舞っています!
ふわふわ幻想的ですが、くっつくと厄介なんです・・・
★お題「パンダ」(6月23日投稿)
パンダ見たことがないとは言わぬ犬
上野動物園のシンシンが双子を出産しましたね
この後、名前の募集とかあるのかな?
おめでとう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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調和系工学研究室教員
川村 秀憲教授
山下 倫央准教授
横山 想一郎助教
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★ご意見・ご感想はこちらからお願いいたします
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