雪が多く降る地域にお住まいでないと、ロードヒーティングと聞いてもピンとこないかもしれませんが、これは雪かきの省力化のためにボイラーをつけて道路を温めて雪を融かす装置です。

雪の多い北海道では、雪かきをしないと車が動かせなくなるほど積もるので、この雪かきがかなりの重労働になります。

そこで、大きな駐車場が必要な店舗や病院、集合住宅などではロードヒーティングが導入されているところが多くみられます。


従来では、壁に取り付けた水分検知型のセンサが雪の水分を検知してボイラーを動かしますが、これは本来の目的である路面の雪の状態を考慮していないため、うまくいかないケースが多々あります。

雪が融けないことが一番困るので、雪を完全に融かそうと長めにボイラーを動かしてしまい、その分運転コストがかかってしまうのです。

そこで本研究では、カメラで路面を撮影して積雪の有無を判定しました。

路面の一部だけを撮影するのではなく全体像を捉えて判断し、ディープラーニングで学習させていくと、雪がまだ路面にあればボイラーをオンにし、なくなればオフにする制御が可能となります。


3シーズンほど実験を行ってみたところ、性能はそのままで駐車場のロードヒーティングのガス代を約40%から最大50%程度までカットすることができました。

100台規模の駐車場は年間500万円程度のガス代が必要になるので、この装置を使うと年間で約250万円のガス代が節約できます。

これをもし北海道の様々な場所に導入できた場合、節約した燃料代で今まで導入ができなかったところにも導入できるといった道も開けることになり、より私たちの生活が便利で安全になるのではないでしょうか。

本共同研究は人工知能学会より2018年度現場イノベーション賞を受賞しており、現在、北海道ガスを含めて北大発認定ベンチャー企業であるTILで実際にサービス化しようと試作品を作っています。


[ティ・アイ・エル株式会社]

(本サービスにご興味のある方は、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。)

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受賞

年度氏名タイトル
2019川村 秀憲, 永田 紘也, 横山 想一郎, 山下 倫央, 横川 誠, 武田 清賢一般社団法人人工知能学会 現場イノベーション賞銀賞積雪の有無の判定によるボイラーを稼働する制御装置の開発